なつかしテイストの親子愛……誰でもハマる話だから引っ張りだこ!

リリー・フランキーが書いた『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』は200万部を超えるベストセラー。本が売れないと言われてる時代に、驚異的な売れ行き。そして、この本を原作にして、テレビドラマ、映画、舞台までも作られている。いったい、どこにそんなに人をひきつける魅力があるのか。ちょっと考えてみました。
●重要なお母さんのキャスト●
最初の2時間ドラマ(06年11月18日にフジテレビで放送の同名の単発ドラマ)では田中裕子、現在放送中の連続ドラマでは倍賞美津子、そして、映画では樹木希林、舞台では加賀まりこがオカン役になっている。どの女優さんも、実力派。オカンのキャラクターは、気が強くてバンバン言いたいことを言うけれど、心はとっても優しくて、困った人がいると面倒見ちゃう。そして、バカがつくほど息子を溺愛してる。……フツーに考えると、女子的には、姑としては一番出会いたくないキャラだもんね、この“オカン”は。それを“なんて、いいお母さん”と思わせるのは、なかなか難しい。誰からも、どの年代からも、男女にかかわらず、みんなが「わかる、わかる!」と言えるお母さんを演じられるキャスティングをしているから、みんな、よけいにこの話を身近に感じて、ハマっちゃうんだな。
●“ボク”に自分を重ねられる●
主人公のボクは、2時間ドラマでは大泉洋、連ドラでは速水もこみち、映画でオダギリジョー、舞台では萩原聖人。演じてる人はなんとなく、ボーッとしてるイメージ。電車の中で何回か会ってそうな、身近な感じ。あ、もこちゃんだけは、ちょっとタイプ違うかな? 性格設定が“優柔不断”で、やることなすこと、結構いい加減。それも前向きじゃなくて、どーしよーと思いつつウダウダしてしまう。そんなダメダメな感じの人が主人公だから、共感できる。この“ボク”は才能はあったけれども、周りに流されて、なんとなくイラストレーターになって、なんとなく生きてる。そこが、学生のときにダラダラしてたとか、やりたいことがわからなくて、落ち込んでた……そんな、誰もが持っている、ちょっと投げやりなときの“自分”を思い起こしちゃうわけで、つい、懐かしさもあって見ちゃうんだよね。
●お母さん大好きと大声で言ってOK●
世の中では一般的に“マザコン”というのは、結構バカにされる風潮があって、特に男の人がお母さんをやたらと大事にすると、親孝行とは思われないで“自立しない男”と思われがち。この“ボク”も“オカン”に甘えてるし、頼り切ってる。“オカン”も息子を「まーくん」って愛称で呼んで、いい年になっても、まだ6つの子供のように世話を焼く。そんなベタベタな関係。なのに、それを見ていると、今の自分が“お母さんが好き”と言えなくても、ボクとオカンのようなちょっと密度の濃い親子愛をうらやましいと思ってしまう……。でも、それは自然なこと。それでも、いいんだよ。変じゃないんだよって、この話は言ってくれてるので、見てる人はほっとするんだよね。今まで、照れくさくて言えなかった『お母さん、ありがとう』『お母さん、ごめんね』の言葉。自分が言いたかったことを代わりに表現してくれる……だから、この話は、いろんな世代を超えて、人気がある話なんだな。
そして、物語の終わりは……オカン、亡くなっちゃうんだね。覚悟していても、自分より年が上なんだから、必ず先に天国に行くとわかっていても、なかなか受け止められないよね、母親の死は。テレビドラマのまーくんは、それをどう受け止めるんだろう。きっと、いろんな人が、自分とお母さんの姿を重ね合わせて、号泣でしょう。想像するだけで泣けちゃうよ~。
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 フジテレビ・月曜夜9:00~9:54
映画は4/14から全国公開
舞台は7/5~7/16まで、天王洲・銀河劇場にて
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2007-03-15 【テレビ】 | 固定リンク
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