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[テレビ]-ちひろ&昌子の- テレビ、今週のツボ

●桜井ちひろ(文・右)
雑誌ライター。三度のご飯よりもテレビが好き。テレビに「そりゃ、ないだろっ!」とツッコむのが趣味。そして外に出ず、体重増加に悩む日々。でもしあわせ。

●藤井昌子(絵・左)
コミカルイラストレーター。漫画家。このお仕事のおかげで、すっかりテレビ好きのドラマ好きに。そして引きこもりに拍車をかける日々。でもしあわせ。

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ちょっと切ない“憧れの日本人”の姿が見られる倉本聰作品

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原作ものやパート2ものなどが多い最近のドラマで、昔からきちんと、オリジナルな脚本を書き続けている倉本聰。誰もが知っている『北の国から』や、2005年に放送された『優しい時間』に出演した嵐の二宮和也の自然な演技にホレて、出演を依頼したという今期のドラマの『拝啓、父上様』。そのほかにも数々の名作はあるけれど、そんな、倉本聰作品が、なぜ胸にぐっと来るのかを、ちょっと考えてみました。

●大都会ではない街が舞台●
『北の国から』や『優しい時間』は北海道が舞台で、周りには何もない。厳しい自然の中で、登場人物たちが懸命に生きている。一方、『拝啓、父上様』の舞台は、神楽坂という、高層ビルがバンバン建っているところからは少し離れた、古い町。どちらもIT企業などの最先端の企業や会社などがあるわけでもなく、人が時間に追われてせこせこと動き回る場所ではない。そこに住んでいる人たちが、自分のペースで動けたり、考えたりできる、ゆっくりと時間が流れてる場所。日本にいる人の大半は、ドラマと同じように、テレビのニュースで見るような大きな事件は周りにめったに起こらないし、華やかな世界とは無縁。そういう場所で広がる話だからこそ身近に感じられるし、どこか、自分の生まれた場所が重なるような懐かしさを感じて、感情移入してしまうのかな。

●フツーだけど、品がある主人公●
バリバリのキャリアウーマンも、やり手の証券マンもオシャレなイケメンも出てこない。クラスの中でいったら、目立たないタイプで、マジメにいろいろやってるのに、間が悪くて失敗するとか、好きな人に告白もできない不器用なオクテ……。そんな人が主人公。自分と似てる部分が、どこかにある。でも、何か心に一本芯が通ってるというか、すっと背筋が伸びているような品があるのよね。『北の……』の純くんは、ウジウジといろんなことを悩みながらも、こうと決めたときには絶対にくじけない強さがあるし、『拝啓……』の一平も、今どき女の子に声もかけられないオクテだけど、きちんと自分の進む板前の道を決めたら、黙々とがんばる。そして、どちらも目上の人、先輩に対しては、尊敬の念を持って接してて、礼儀正しい。それが、見ててすがすがしいわけで(一平風で読んでね)。

●人とのつながりを大事にする●
『北の……』では、厳しい大地でがんばっていく親子の絆と葛藤。『拝啓……』では、今なお町に残る義理や人情と、それだけでは生きていけない厳しい現実が描かれてると思う。でも、親子、近所の人たち……時にはケンカもするけれど、根っこのところで人とのつながりを大事にして生きていく姿が、なんかうらやましい。忘れかけていた人の絆の温かさと大切さが胸にジーンと来るの。

●静かな演出●
出てくる人たちの考えや、周りの人たちとの関係を、淡々と描いていく。また、『北の……』の中で、パッと映る自然の風景、『拝啓……』でのがらんとした板場……。その映像だけで、その前にその場所にいた人たちの熱い感情や思いとかが、ジーンと伝わってくるのよね。黙して語らずっていうか、そういう無の場面があるのが、すごく心にも優しいんだなって思う。

倉本作品で描かれている人の姿は、“今もこういう人がいればいいな”と誰もが思う、憧れの日本人のような気がする。気は優しくて、ツライことは人にいわずに、自分のできることをがんばる。報われなくても、自分と同じように友達のことを心配し、親や目上の人とぶつかっても尊敬する気持ちは忘れていない……っていうね。そんな人はめったにお目にかかれない。それを、なつかしの昭和などの時代にせずに、今を生きる人たちの中に表していくっていうのが、倉本聰のすごいところ。おまけにドラマの中の登場人物たちは不器用で、うまく行かないことも多くて、見ていて切ない。でも、そんな人になりたいと思う。だから作品や、登場人物たちがずっと胸に残っていくんだろうな。

『拝啓、父上様』フジテレビ・木曜夜10:00~10:54

 
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2007-02-08 【テレビ】 | 固定リンク

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