北川悦吏子脚本の世界と『たったひとつの恋』
“ラブ・ストーリーといえば北川悦吏子”といわれてるのは、ドラマ好きなら、知ってるよね? 木村拓哉が大人気になり、最終回に視聴率41.3%という驚きの数字になった『ビューティフルライフ』(2000年・TBS)をはじめ、数多くの作品があるけど、きっと、誰でも1度は北川作品のドラマにハマったり、興味を持ったことがあるはず。その北川悦吏子が、妻夫木聡と柴崎コウが共演した『オレンジデイズ』(2004年・TBS)以来、2年ぶりに連続ドラマの脚本を書いたのが、『たったひとつの恋』だ。今までの作品と『たったひとつの恋』を見比べて、北川作品の特徴を勝手に考えてみた。
1 ヒロインは“姫”キャラ
『愛してると言ってくれ』の紘子(常盤貴子)、『ビューティフルライフ』の杏子(常盤貴子)、『オレンジデイズ』の沙絵(柴崎コウ)、そして『たったひとつの恋』の菜緒(綾瀬はるか)。女優、図書館司書、バイオリニスト、女子大生と設定は違うけど、みんな、とりあえず、容姿はバッチリで、フツーにいたらモテそうな女の子ばかり。そして性格は“姫”。ちょっとわがままで、でもたまに寂しがりやな一面を見せるから、男子たちが「しょーがねーなー」とぼやきつつ、姫のご機嫌を伺ってしまう。女子から見れば、「顔がいいからって調子に乗って」と文句のひとつも言いたくなるけど、キライと思ってても、憧れの裏返しだから、つい感情移入しちゃうのだ。
2 芯が強い女とのトラブル続発のラブ
反対に男子は、一見しっかり者でも、肝心なところで、ちょっとウジウジしたり、優柔不断なところがあるのよね。『たったひとつの恋』の弘人(亀梨和也)も菜緒がお嬢様だとわかったとたん、「俺なんか……」とすねてみたり、『オレンジデイズ』の櫂(妻夫木聡)も沙絵の本心がわからずに、元カノに心が動いたり。周りの人の反対など、必ずトラブルが起きて恋の行方が悪いほうに傾きそうになるのもパターン。でも、気が強い女子は、悩みながらも『好き』という気持ちを心にしっかり持ち続け、貫こうとする。菜緒も家族に反対されても、弘人が逃げ腰になっても、「わたしは好きだよ」ってしっかり言うもの。このまっすぐさが女の強さなのだ。
3 グループ内での三角関係
北川作品の中で、グループ交際の設定が使われる場合は、たいてい女子より男子が多い。『あすなろ白書』『オレンジデイズ』『たったひとつの恋』も男子3人に女子2人。そして、男子の1人は女子の1人に恋するけど、振られるパターン。ってことは『たったひとつの恋』でただ1人、恋モードになっていない亜裕太(平岡祐太)も弘人と菜緒の恋を見守ってるうちに、菜緒に恋しちゃう展開になるかも? そして、男子チームの中では、苦しんでる友達を身体を張って守るとか……。女の子が憧れてる男同士の友情がスパイスとして入ってるのも、ひとつのポイントだ。
4 病気に負けない主人公たち
『愛していると……』の榊(豊川悦司)、『オレンジデイズ』の沙絵は聴覚障害。『ビューティフルライフ』の杏子は難病に侵されて車椅子の生活。『たったひとつの恋』の菜緒も難病を抱えている。障害があっても強く生きて、恋も一生懸命しようとする。一日一日を全力で生きようとしているからこそ、そのくじけない姿にみんな感動! また、手話を使ったり、車椅子の生活の大変さなど、ドラマを見ながら、病気で苦しんでる人の生活をさらっと見せ、障害がある人にも、いつも対等に接することが大切だなって自然にわかるようになっているのは、スゴイと思う。
5 少女マンガみたいな夢のようなセリフ
フツーならいえない。もし、彼氏が言ったらドン引きしちゃうと思うけど、ヒロインの彼の言うセリフは、こういってもらえたら……と女の子が夢の中で想像するようなキザっぽいものがちりばめられている。『ビューティフルライフ』の柊ニ(木村拓哉)がいう「俺があんたのバリアフリーになる」も、『たったひとつの恋』の弘人が言った「俺の将来に参加する?」なんてのも、こうやって文にしてみると、こっぱずかしい。でも、カッコいい人になら言われたい。永遠の乙女の夢がぎゅっと詰まった恋のセリフは、北川作品ならでは。
と、ずらずらと書いてまいりましたが、北川作品は、基本的につらいこと、苦しいことを少女マンガ風にすることで、夢の世界に連れてってくれる恋愛ドラマなのね。「あいつを蹴落としてやるー」みたいなドロドロの女の汚い部分をガーンと出すキャラが出てこないもの。ありえないと思いつつ、最後にはハッピーエンドを期待する……それが醍醐味です。『たったひとつの恋』はすべての要素はバッチリはいってるけど、ちょっと、展開が遅いので、もっとタッターと話が進んでくれればなーと思うけど。
『たったひとつの恋』日本テレビ・土曜夜9:00~9:54
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2006-11-23 【テレビ】 | 固定リンク
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