サンジャネと、ロザリオ礼拝堂のあるヴァンスは目と鼻の先。マチスが晩年、約4年の歳月をかけて制作したこの礼拝堂を訪れるのも、今回の旅の目的のひとつ。
何かのついでに観るというより、わざわざ行かなければならない立地のロザリオ礼拝堂は、佐藤が学生時代、美術の名作を訪ねて1ヶ月程のヨーロッパ旅行をした時にも諦めた、いわば長年の夢。
内部は撮影禁止なので写真がないのですが、礼拝堂の一方の壁一面を覆う「生命の樹」と名付けられた、ダイナミックなステンドグラス、また別の壁の、白いタイルにモノクロの線画で描かれた「聖母子」や「キリストの受難」が、中に入った瞬間、圧倒的な迫力で、かつ圧倒的な優しさで目に飛び込んできます。
「キリストの受難」など、すべての絵の登場人物には、顔がありません。これは、マチスの「神に近い人は、目に見えない」という考えに基づいているものだそうですが、確かに顔がないと、神々しいというか何というか、思わず祈りの気持ちが自然にわき上がってくるような、静かで透明な時間が過ぎていきました。
外に出ると、コート・ダジュールの真っ青な空に、コントラストのまぶしい白い外観、そしてやはり特徴的な十字架。中のやわらかい光と、外の光のあざやかさの対称も、この光の礼拝堂を、いっそう特別なものにしていました。そう、こんな礼拝堂、世界のどこでも見たことはありません。
このロザリオ礼拝堂とあわせて、ぜひ訪れたいのは、ニースの「マチス美術館」。
ニースを拠点に、ヴァンスでも数年を過ごしたマチスの、初期から、野獣派と呼ばれた時代、そして晩年の優しく、おおらかで、生命を感じる大作に至る軌跡を存分に堪能することができます。上の階にある、「ロザリオ礼拝堂」のための習作もお見逃しなく。
ニースの中心部から、少し離れた高台にあるので、ドライブがてらの景色も楽しめます!
TRAVEL 佐藤悦子 2009-08-30


