シガーニー・ウィーバーの素顔と『アバター』
私のように自分に子供のいないものが時の流れを一番感じるのは、
友人の幼い子供がいつの間にか大きく育ったのを目にする時だ。
今回、東京国際映画祭のために11年ぶりに来日したシガーニー・ウィーバー。
愛娘、シャーロットが一緒に来たが、18年前の来日時には、
よちよち歩きのかわいいベビーだった彼女が、今回はボーイフレンド同伴の
ヤング・レディに成長していて、私は18年という歳月があっという間に
過ぎたことを思い知らされた。
蛇足ながら、Sigourney というめずらしい名前は、日本では“シガーニー”と
表記されているが、実際の発音は“シゴーニー”に近い。
そのシガーニー自身も、かつてはただただ細くて背の高い(180cm以上!)
美女だったが、今は貫録もついて、映画祭のグリーン・カーペットでも
圧倒的な存在感を見せる熟女に変身した。
PHOTOGRAPH by SHINKA SHINOHARA
10月18日には来日会見。ゾーイ・サルダナ、サム・ワーシントンを堂々従えて
彼女は数多い女優さんの中でも、独特の雰囲気を持つ人だ。
いつも同行しているご主人のジムはニューヨークの舞台演出家で、
シガーニー自身もニューヨーク生まれ。完全なニューヨーカー・カップルで、
いわゆる“ハリウッド人種”とはまったく肌合いの異なる人たちである。
具体的にどういうことかと言うと、気取らず、気さく。
「私たちは特別の世界の人間」という雰囲気がまったくない。
毎日、ニューヨークの路上を普通に歩いている仲のよいご夫婦そのものである。
(C)MCMULLAN CO/SIPA/amanaimages
今年6月、NYで、旦那さまジム・シンプソンと仲むつまじくイベントに出席
東京でも、お気に入りの場所は「ロッポンジ」や「ハラジューク」ではなく
「麻布十番」。きわめて庶民的で、昔ながらの商店街が今も残る麻布十番を
知っているあちらの映画人は、断言できるけど、シガーニーとジム夫婦だけ。
ジムは学生のころ、交換留学生として麻布のお寺で暮らしていて、
それでこの界隈にくわしいのだ。
ここで彼らが買うのは台所用品とか、ひのきのお風呂の手桶(日本が大好きで、
NYのマンションのお風呂は日本式!)など。なんともユニークだ。
共に東部の一流大学卒で、ニューヨークの演劇界の空気を吸っているから、
話もすぐ芝居、歌舞伎のことになる(玉三郎の大ファン)。
今回も自由日には昼の部と夜の部を一日、ぶっ通しで観ると、
いそいそと歌舞伎座に出かけていった。
これは1998年、『エイリアン4』の来日のひとコマ
このステキなご夫婦の以前からの夢は、二ューヨークに自分たちの小劇場を
持ちたいというものだったが、それをついに実現。
数年前、トライベッカ地区に <FLEA>(“蚤”のフリー)という
客席500席ほどの劇場をつくった。
でもなぜ「蚤」なの? シガーニーいわく:
"A flea gets under your skin. That's how our theater would do to the audience."
「ノミって人の肌の下まで刺して、感覚を刺激するでしょ?
そういう刺激を観客に与える劇場にしたいからなの」
そういえば "I've got you under my skin" というタイトルの
有名なポピュラーソングがある。
「あなたが好きで、私の肌の中まで入り込んでしまった」という意味だ。
「ニューヨークを訪ねる日本の皆さん、ブロードウェイのミュージカルも
いいけれど、その翌日はうちのFLEAに来て、ニューヨークで最先端の
意欲的なお芝居も観てね」というのが、シガーニーが今回、
何度も繰り返していた、皆さんへのメッセージだ。
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
『アバター』(12月18日公開/20世紀フォックス配給)
さて、シガーニーが今年の東京映画祭に持ち込んだのは
ジェームズ・キャメロン監督の話題の3D映画『アバター』。
『タイタニック』以来の12年間をこの映画に注ぎ、秘密に包まれていた
キャメロンの話題作の一部、30分ほどが、世界に先駆けて上映された。
その映像の衝撃度はすでに方々で語られていると思うが、
キャメロン監督がそれをどうやって撮影したのか。
「ここまで言っていいのかなあ…」と、シガーニーが監督に気がねしつつ
明かしてくれた撮影裏話も、映像におとらず衝撃的だった。
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
シガーニー(中央)は『アバター』で女性科学者を演じる
彼女の打ち明け話によると、俳優たちは基本的に何もないだだっ広い
スタジオの中で、黒のレオタード姿。体中にセンサーをベタべタつけられ、
頭にかぶった小さなカメラは終始、俳優の顔の動きを撮影し続けている。
そのセンサーの反応をコンピューターで映像化して、衛星パンドラに住む異星人、
ナヴィ族を創っていったのだとか。
「何もかにもがジム(・キャメロン)が開発した世界初の撮影技術。
He is truly a genius! (彼は本当に天才よ!)」
彼をよく知るシガーニーのこの言葉が真実かどうか。
今年の暮れ、皆さんはご自分の目で確かめることができる。乞う、ご期待!
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
主演のサム・ワーシントンを演出するキャメロン監督
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2009-10-30 | 固定リンク






