帰郷物語~夢だけじゃ食えない
先日、送別会に参加しました。といっても職場関係ではなく、行きつけのバーで出会った男友達を送り出す会でした。
彼はプロのミュージシャン志望で、路上やライブハウスでギターの弾き語りをしていたのですが、今年に入ってから、遠く離れた実家でお店をされているお父さんが病気で入院することになり……。店を継げるのは彼しかいないということで、ミュージシャンの夢をあきらめ、実家に戻ることにしたのです。
リアルにせまりくる三十路の事情
「まぁ、俺も30だしな。このタイミングでこういう流れになるってことはそういうことなんだよ」
特に不満そうな顔もせず、静かに焼酎のグラスをかたむけながら、淡々と語る彼。10代のころの私ならば、
「今まで頑張ってきたのにここであきらめていいの!?」
などと熱く叫んでしまったかもしれませんが、こちらも三十路までリーチの年頃。悲しいけれど、世の中、どうにもならないことがあるし、こういう時に何ができるかといえば、お酒をおごることくらいしかないのを、もう知っているのです。
送別会の会場となった行きつけのバーが彼と親しかった飲み仲間であふれかえる頃、彼の最後となる弾き語りミニライブが開演。こっそり泣いている女の子もいたりして、私の涙腺も少々ゆるみましたが、彼が感動的なライブを終えた後、しれーっとした顔で床にギターをそっと置いたので思わず笑ってしまいました。山口百恵かよ!
さらにその後、バーのマスターが、
「お宝映像見る?」
と言って店内のプロジェクターに流した映像が、彼が弾き語りスタイルになるはるか前、ビジュアル系バンドでバリバリにメイクをして、すかしてギターをひいている姿だったのです。
「こんな夜になんでそれを流すんだよ!」
と怒る彼。店内に緊張が走った次の瞬間、
「流すんだったら、こっちの方がメイクすげーから」
と別のビデオテープを出してきた彼。それは確かに、涙もしめっぽい空気もアッという間に吹き飛ぶ、すげー破壊力を持った映像でした。もう~笑いすぎて撃沈。
「最後だからこそ、笑って締めたいじゃん?」
という彼の男気に乾杯し続けた夜でした。
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2007-03-12 【OL】 | 固定リンク
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