女が会社を辞める時
ある日、昔からの飲み友達(同い年)とモツ鍋をつついていると
「ここのモツうまいよねぇ」
の次に、まるで“スープもうまいよねぇ”とでもいうような口調で
「私、会社、辞めようと思っててねぇ」
と言われ、かみしめていたモツをふきだしそうになったタナカです。そんな大それたことをコトもなげに言うのはやめて下さい、友(以下、モツ子)よ。
私たちの明日はどっちだ?
私とは別の業種の会社に勤めているモツ子は、よくも悪くも私と似ているところがあるのです。それは、独り立ちして稼げるような特殊な技能を持っていないということ。OLとしての日々のノウハウはあっても、会社を辞めてしまえば、これといってとりえがない、平々凡々な女性であるということ。
「悲しいけど、これが現実よね」
なんて言いながら、“そういうことから抜け出すために何か資格でもとろう”と口にしつつ酒をくみかわし、そして結局、何もしない。そんな生活を送ってきたのに…何故、いきなり会社を辞めるの? 何かやりたいことが出来たの? とたずねてみれば
「会社を辞めてから、探そうと思うの。自分探しから始めようかな、って」
三十路への扉がとてもクリアに見えてる年齢だというのに、なんて無鉄砲なモラトリアム発言! いつからそんな夢見る夢子になってしまったのだ、モツ子! っていうか、しょっちゅう、酒を飲んだくれては正体をなくすのに(今年の夏も、ガード下で爆睡しているところを別の友達に発見されてました)、「自分」の前に探さなきゃいけないものがたくさんあるんじゃないのか? 現実を見ろ! 現実を!
…とコメカミをピクピクさせながら言う私に、
「ちゃんと現実、見てるってば」
とモツ子が見せてくれたのは、退職までの予定がきっちり書かれたスケジュール表。
「冬のボーナスをきっちりもらうために、それまでは退職の話はしないでおくの。減額されると悔しいから」
と熱く語るモツ子。…確かに現実、見てるっちゃ見てるわね。
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2006-11-20 【OL】 | 固定リンク
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