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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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命懸けのマジックを、お楽しみください。「幻影師アイゼンハイム」&「ザ・マジックアワー」

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マジックを日本語に訳したら、手品、奇術、魔術でしょうか。今週ご紹介するのは、単なる手品や奇術じゃありません。文字通り、命を懸けたマジック。1本は、人知を超える力が働いたかのような幻想的で謎めいたもの。そして、もう1本は映画という映像のマジックが題材です。たっぷりご堪能ください。

「幻影師アイゼンハイム」――19世紀末ウィーン。ハプスブルク家が君臨する帝国では、大掛かりなマジックが一世を風靡していた。中でも絶大な人気を誇っていたのが、アイゼンハイム(エドワード・ノートン)。単なる奇術を超えた彼のショーは、「芸術の域に達している」と誰もが絶賛していた。評判を聞きつけた皇太子レオポルド(ルーファス・シーウェル)は、婚約者の公爵令嬢ソフィ(ジェシカ・ビール)と警護担当のウール警部(ポール・ジアマッティ)を伴い、劇場へ。体験者としてステージに上ったソフィを見て、アイゼンハイムは驚愕する。彼女は、少年時代に将来を誓い合った恋人だった。やがて、ソフィは謎の死を遂げる。犯人は皇太子? 一大スキャンダルが国を揺るがす中、アイゼンハイムは新しいショーで、ソフィの幻影を舞台に甦らせた……。

世紀末の退廃的な香りが妖しく漂う時代。まさにぴったりの文化だったに違いない、と思わせるほど独特のムードに包まれたマジックは、21世紀の現代に行われたとしても、十二分に楽しめるのではないでしょうか。アイゼンハイム役のE・ノートンは見事なまでの存在感で、全編を通して見る人を圧倒します。その美しい手さばきは、本当に魔術を操ってしまいそう。

といっても、これは奇術の映画じゃなく、ラブ・ストーリー。愛する人のために命を懸けた男の話なのです。身分違いで引き裂かれた恋人同士が10数年後再会、想いを確かめ合ったのに、彼女が殺害されてしまうという予想外の展開。真相を暴き、仇を討つために、男が何を企むのか。中々見えないアイゼンハイムの本心もまた、マジックのようです。

物語は、ウール警部の視点で進行します。皇太子の忠実な部下として出世街道を登りつつ、時に皇太子の傲慢なやり方に反発を覚える、ごくまっとうな男は、謎めいた魅力を持つアイゼンハイムに好感を抱いているのに、捕らえなければならないという立場にあるのです。そんな彼自身の葛藤が、事件をある方向へ導いていきます。

ソフィ殺害犯は誰なのか。アイゼンハイムの見せたマジックとは何だったのか。真相は明らかになるのか。ウール警部の明るい笑い声とともに、アイゼンハイムのすべてのマジックは幕を下ろします。くどくど説明しない、スマートで粋なエンディングに、あなたもきっとニヤリとしてしまうのでは。

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「幻影師アイゼンハイム」 5月24日(土)~、シャンテ シネ、シネマート新宿他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.geneishi.jp
(c)2006 Yari Film Group Releasing, LLC. All Rights Reserved.

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「ザ・マジックアワー」――港町・守加護(スカゴ)を牛耳るボス・天塩(テシオ/西田敏行)の愛人・マリ(深津絵里)に手を出したことがバレた、クラブ“赤い靴”の支配人・備後(ビンゴ/妻夫木聡)は、命と引換えに伝説の殺し屋“デラ冨樫”を5日以内に探し出さなければならないことに。しかし、従業員・夏子(綾瀬はるか)たちと必死に探し回っても、見つからない。窮地に陥った備後が思いついたのは、誰かを冨樫に仕立て上げることだった。「殺し屋に見えて、売れていない俳優」として選ばれたのが、三流役者・村田大樹(佐藤浩市)。村田は、“主演映画”のオファーを疑うマネージャー(小日向文世)とともに、やる気満々で守加護にやって来る。こうして、備後の命懸けの大芝居が始まった!

タイトルの「マジックアワー」とは映画の専門用語で、太陽が地平線の向こうに落ちて、光が完全に消えるまでの一瞬のこと。この時カメラを回すと、とても幻想的な映像が撮れるそうです。3年前、前作の撮影中にこの言葉を知った三谷幸喜監督は、その日のうちに「マジックアワー」をタイトルにした次回作の構想を練り始めたとか。

そして誕生したのが、幻想的な言葉とは似ても似つかない(笑)、本作でした。ホンモノのギャングのボスと、俳優が演じる(しかも主演映画!)ニセモノの殺し屋とのやり取りは、いつ破綻してもおかしくないギリギリを行ったり来たり。でも、これがなかなか破綻しないんです(笑)。そりゃ、ムリがあるでしょー、と思った瞬間に非常事態が勃発し、ムリは棚上げ。見ている気分はいつの間にか備後で、「どうしよう!?」「もう、ダメだ!」と一緒にハラハラドキドキ。もちろん、笑わずにいられるワケがありません。

三谷監督ご自身がおっしゃるには、今までは「舞台が本業、映画は趣味の範囲」。でも、監督作品も4本目となり、映画制作現場というプロ集団に“素人”が混じっていてはいけないのではないか、と思い始め、密かに本作を最後に、映画監督を“引退”するつもりだったそうです。その分、後悔しないよういつも以上に必死に取り組み、悩み、粘った結果(佐藤浩市さんに「頑固者」と言われたとか)、ようやく思い通りの作品が完成。そして、「もっと作りたい」と思うようになったということです。

実は私、監督の作品で一番好きだったのは1本目の「ラヂオの時間」でした。次の2本もおもしろいのですが、私の中では1本目が1番でした。でも、本作を見て、順位が入れ替わりました。見ていると嬉しくて、楽しくて、元気までもらえるのは、監督の映画への想いが感じられるからかもしれません。

何本か劇中映画が出てくるのですが(キャストが中井貴一、天海祐希、鈴木京香、谷原章介、寺脇康文、山本耕史、唐沢寿明、そしてこれがある意味“遺作”となった世界に誇る名監督・市川崑など、超豪華メンバー)、そのホンの短いシーンにも監督の映画への愛と遊び心が感じられて、おかしいやら、嬉しいやら。

そして、もちろん必見は、佐藤浩市演じる三流役者の演技過剰なベタ役者ぶり(以前も書きましたが、大好きなんです・笑)。俳優が、ベタな演技をする役者を演じるのって、なかなか難しいだろうに、その潔いまでの思いっ切りぶりに、気恥ずかしさはどこかへ吹っ飛んでいきました(好きな俳優さんでも過剰な演技を見るのは、ちょっと恥ずかしい・笑)。

「主演だ」と言われ舞い上がり、役の解釈を語り、くどいまでに熱演し、「メイクはいらない」と備後“監督”に言われているのにこっそりアイメイクをしてきた(笑)村田は、すっかりコケにされたワケですが、ラストは彼の映画への想いもちゃんと報われて、じーん。誰もが納まるところにきちんと納まるというマジックのような大団円に、気分も爽快。三谷監督の次回作が、待ち遠しくなりました。

Movie_080523_4
「ザ・マジックアワー」 6月7日(土)~、全国公開
オフィシャルサイト
http://magic-hour.jp
(C)2008 フジテレビ 東宝

 
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2008-05-23 【映画】 | 固定リンク

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