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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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オンナノコはみんなガンバっているのです。「JUNO/ジュノ」&「幸せになるための27のドレス」

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とかく「同性にはキビシイ」と言われがちな私たち女性ですが、もちろん、キビシイだけじゃありません。ステキな人とはおしゃべりしたいし、親しくなりたい。今週は、個性的で魅力タップリなヒロイン2人をご紹介します。そう、オンナノコはみんなガンバっているのです!

「JUNO/ジュノ」――ファッションやメイクには興味がなく、70年代のパンクロックとB級ホラー映画が大好きなちょっと変わった女子高生ジュノ(エレン・ペイジ)は予想外の事態に見舞われていた。市販の妊娠検査薬が示した「+」の印。友達以上恋人未満の同級生ポーリー(マイケル・セラ)と、興味本位でしたたった1回のセックスで、妊娠してしまったのだ。1度は中絶を決めたジュノだったが、「赤ちゃんにはもう爪が生えている」と聞くや、出産を決意、親友リア(オリヴィア・サルビー)と里親捜しを始める。郊外の豪邸に住むヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)とマーク(ジェイソン・ベイトマン)夫婦との養子縁組も決まり、ジュノの高校生妊婦生活が始まった。

16歳の高校生が予想外の妊娠――もう、考えナシなんだから。しっかりしてよ。バカだねえ。ある程度、年齢を重ねた身としては、そんなセリフがついポンポンと浮かんできます。子供を産むってことはタイヘンなんだよ。産んだ後には育てていかなくちゃいけないんだよ。でも、ジュノはとってもしっかりしていました。

望まない妊娠にガックリきながらも、それは自分がしたことの結果。誰のせいにもせず、グチをこぼすこともなく、どうするのが一番いいのか考え、決断し、実行に移す――ある意味、そんじょそこらのオトナより、ずーっとオトナ。むしろ、子供を切望していたヴァネッサの舞い上がり方や、そんな妻に戸惑うマークのほうが、よっぽど幼くみえてきます。

そんなジュノを育んできた両親もスゴイ人でした。本当はショックなのに、娘の決心を尊重し、事務手続きなどのフォローに回る父マック(J.K.シモンズ)。父の再婚相手である継母ブレン(アリソン・ジャネイ)も、初めての妊娠に戸惑うジュノを全面的に支えます。これがもし自分の娘だったら、こんなふうに接することができるだろうか? 思わず、わが身を振り返ってしまいます。

約10ヶ月の妊娠期間は、子供だけでなく、親が親になるための準備期間――そんなことを教えてくれた人がいました。ジュノの準備期間は、同時にこの妊娠出産に関わる人々にも、様々なことを考えさせます。本当の気持ち。近い将来のこと。遠い未来のこと……。

果たして出産は、ジュノと周囲の人々に何をもたらすのか? 全米公開時は7館でのスタートでしたが、口コミであっという間に2448館に拡大、アカデミー賞ノミネートまで果たした、一見冷めて見えるけど、実はあったかい女の子ジュノの物語を、ぜひご覧ください。

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「JUNO/ジュノ」 6月14日(土)~、シャンテ シネ他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.juno-movie.jp
(c)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

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「幸せになるための27のドレス」――子供の頃に結婚式に魅せられて以来、ジェーン(キャサリン・ハイグル)は社長秘書として忙しく働きながら、休日は友人の花嫁付添い人役に全精力を注いでいる。1日に2組の式を抱えてしまった日、タクシーをチャーターし、マンハッタンとブルックリンをピストン往復し、完璧にやり遂げた彼女に注目したのが、新聞記者のケビン(ジェームズ・マーズデン)だった。地元新聞で結婚式の取材記事を書いていた彼は、彼女をネタにした記事で現在の部署を抜け出そうと目論む。一方、ジェーンは久しぶりに海外から帰国した妹テス(マリン・アッカーマン)と、想い続けてきた上司のジョージ(エドワード・バーンズ)の急接近にハラハラ。でも、あっという間に2人は結婚を決め、式は彼女が準備することになってしまい……。

日本ではあまり馴染みがない花嫁付添い人ですが、映画やドラマによく出てくるのでご存知の方は多いと思います。おそろいのドレスを着た花嫁の親しい友人である彼女たちが実際に何をするのか、実は私は本作で初めて知りました(まあ、ジェーンの場合はかなりディープな仕事ぶりですが・笑)。

婚約パーティの会場探しに当日の段取り、ウィッシュ・リストの作成から代理でドレスの試着、果ては花嫁のトイレの付き添い(!)まで、そこまでするかと言わずにはいられない彼女の献身ぶりに、ついつい笑いがこみ上げてきます。

でも、ジェーンの献身はただのおせっかいじゃないのです。ウェディングドレスを身にまとい、バージンロードに現れた花嫁を見る瞬間の花婿の表情が大好きで、そのために本当に必死に尽くすのです。そして、付添い人として着た、思い出がいっぱいで捨てられない27着のドレスは、同時に彼女の「いつかは自分も」という切なる願いの表れ。

人のためにとことんガンバってきたジェーンの恋の行方は? 彼女が自分の幸せを手にするのはいつなのか? ひょんなことから、ケビンに見せることになってしまった(ほとんど1人ファッション・ショー!)27着のドレスが傑作です。ぜひ、ご注目を。

Movie_080530_4 「幸せになるための27のドレス」 5月31日(土)~、日比谷みゆき座他、全国公開
オフィシャルサイト
http://www.27dress.jp
(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX AND SPYGLASS ENTERTAINMENT FUNDING, LLC

 
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2008-05-30 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

命懸けのマジックを、お楽しみください。「幻影師アイゼンハイム」&「ザ・マジックアワー」

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マジックを日本語に訳したら、手品、奇術、魔術でしょうか。今週ご紹介するのは、単なる手品や奇術じゃありません。文字通り、命を懸けたマジック。1本は、人知を超える力が働いたかのような幻想的で謎めいたもの。そして、もう1本は映画という映像のマジックが題材です。たっぷりご堪能ください。

「幻影師アイゼンハイム」――19世紀末ウィーン。ハプスブルク家が君臨する帝国では、大掛かりなマジックが一世を風靡していた。中でも絶大な人気を誇っていたのが、アイゼンハイム(エドワード・ノートン)。単なる奇術を超えた彼のショーは、「芸術の域に達している」と誰もが絶賛していた。評判を聞きつけた皇太子レオポルド(ルーファス・シーウェル)は、婚約者の公爵令嬢ソフィ(ジェシカ・ビール)と警護担当のウール警部(ポール・ジアマッティ)を伴い、劇場へ。体験者としてステージに上ったソフィを見て、アイゼンハイムは驚愕する。彼女は、少年時代に将来を誓い合った恋人だった。やがて、ソフィは謎の死を遂げる。犯人は皇太子? 一大スキャンダルが国を揺るがす中、アイゼンハイムは新しいショーで、ソフィの幻影を舞台に甦らせた……。

世紀末の退廃的な香りが妖しく漂う時代。まさにぴったりの文化だったに違いない、と思わせるほど独特のムードに包まれたマジックは、21世紀の現代に行われたとしても、十二分に楽しめるのではないでしょうか。アイゼンハイム役のE・ノートンは見事なまでの存在感で、全編を通して見る人を圧倒します。その美しい手さばきは、本当に魔術を操ってしまいそう。

といっても、これは奇術の映画じゃなく、ラブ・ストーリー。愛する人のために命を懸けた男の話なのです。身分違いで引き裂かれた恋人同士が10数年後再会、想いを確かめ合ったのに、彼女が殺害されてしまうという予想外の展開。真相を暴き、仇を討つために、男が何を企むのか。中々見えないアイゼンハイムの本心もまた、マジックのようです。

物語は、ウール警部の視点で進行します。皇太子の忠実な部下として出世街道を登りつつ、時に皇太子の傲慢なやり方に反発を覚える、ごくまっとうな男は、謎めいた魅力を持つアイゼンハイムに好感を抱いているのに、捕らえなければならないという立場にあるのです。そんな彼自身の葛藤が、事件をある方向へ導いていきます。

ソフィ殺害犯は誰なのか。アイゼンハイムの見せたマジックとは何だったのか。真相は明らかになるのか。ウール警部の明るい笑い声とともに、アイゼンハイムのすべてのマジックは幕を下ろします。くどくど説明しない、スマートで粋なエンディングに、あなたもきっとニヤリとしてしまうのでは。

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「幻影師アイゼンハイム」 5月24日(土)~、シャンテ シネ、シネマート新宿他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.geneishi.jp
(c)2006 Yari Film Group Releasing, LLC. All Rights Reserved.

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「ザ・マジックアワー」――港町・守加護(スカゴ)を牛耳るボス・天塩(テシオ/西田敏行)の愛人・マリ(深津絵里)に手を出したことがバレた、クラブ“赤い靴”の支配人・備後(ビンゴ/妻夫木聡)は、命と引換えに伝説の殺し屋“デラ冨樫”を5日以内に探し出さなければならないことに。しかし、従業員・夏子(綾瀬はるか)たちと必死に探し回っても、見つからない。窮地に陥った備後が思いついたのは、誰かを冨樫に仕立て上げることだった。「殺し屋に見えて、売れていない俳優」として選ばれたのが、三流役者・村田大樹(佐藤浩市)。村田は、“主演映画”のオファーを疑うマネージャー(小日向文世)とともに、やる気満々で守加護にやって来る。こうして、備後の命懸けの大芝居が始まった!

タイトルの「マジックアワー」とは映画の専門用語で、太陽が地平線の向こうに落ちて、光が完全に消えるまでの一瞬のこと。この時カメラを回すと、とても幻想的な映像が撮れるそうです。3年前、前作の撮影中にこの言葉を知った三谷幸喜監督は、その日のうちに「マジックアワー」をタイトルにした次回作の構想を練り始めたとか。

そして誕生したのが、幻想的な言葉とは似ても似つかない(笑)、本作でした。ホンモノのギャングのボスと、俳優が演じる(しかも主演映画!)ニセモノの殺し屋とのやり取りは、いつ破綻してもおかしくないギリギリを行ったり来たり。でも、これがなかなか破綻しないんです(笑)。そりゃ、ムリがあるでしょー、と思った瞬間に非常事態が勃発し、ムリは棚上げ。見ている気分はいつの間にか備後で、「どうしよう!?」「もう、ダメだ!」と一緒にハラハラドキドキ。もちろん、笑わずにいられるワケがありません。

三谷監督ご自身がおっしゃるには、今までは「舞台が本業、映画は趣味の範囲」。でも、監督作品も4本目となり、映画制作現場というプロ集団に“素人”が混じっていてはいけないのではないか、と思い始め、密かに本作を最後に、映画監督を“引退”するつもりだったそうです。その分、後悔しないよういつも以上に必死に取り組み、悩み、粘った結果(佐藤浩市さんに「頑固者」と言われたとか)、ようやく思い通りの作品が完成。そして、「もっと作りたい」と思うようになったということです。

実は私、監督の作品で一番好きだったのは1本目の「ラヂオの時間」でした。次の2本もおもしろいのですが、私の中では1本目が1番でした。でも、本作を見て、順位が入れ替わりました。見ていると嬉しくて、楽しくて、元気までもらえるのは、監督の映画への想いが感じられるからかもしれません。

何本か劇中映画が出てくるのですが(キャストが中井貴一、天海祐希、鈴木京香、谷原章介、寺脇康文、山本耕史、唐沢寿明、そしてこれがある意味“遺作”となった世界に誇る名監督・市川崑など、超豪華メンバー)、そのホンの短いシーンにも監督の映画への愛と遊び心が感じられて、おかしいやら、嬉しいやら。

そして、もちろん必見は、佐藤浩市演じる三流役者の演技過剰なベタ役者ぶり(以前も書きましたが、大好きなんです・笑)。俳優が、ベタな演技をする役者を演じるのって、なかなか難しいだろうに、その潔いまでの思いっ切りぶりに、気恥ずかしさはどこかへ吹っ飛んでいきました(好きな俳優さんでも過剰な演技を見るのは、ちょっと恥ずかしい・笑)。

「主演だ」と言われ舞い上がり、役の解釈を語り、くどいまでに熱演し、「メイクはいらない」と備後“監督”に言われているのにこっそりアイメイクをしてきた(笑)村田は、すっかりコケにされたワケですが、ラストは彼の映画への想いもちゃんと報われて、じーん。誰もが納まるところにきちんと納まるというマジックのような大団円に、気分も爽快。三谷監督の次回作が、待ち遠しくなりました。

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「ザ・マジックアワー」 6月7日(土)~、全国公開
オフィシャルサイト
http://magic-hour.jp
(C)2008 フジテレビ 東宝

 
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2008-05-23 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

あなたは、騙される? 騙されない? 「アフタースクール」&「ラスベガスをぶっつぶせ」

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ラストのドンデン返しをお楽しみに!――という紹介って良いのか悪いのか、いつも迷います。だって、最初に聞いちゃったら、ドンデン返しに心の準備をしながら見てしまうことになるから。何も聞かないほうが、よっぽど楽しめるのに。そんな前フリをして今週の2本を紹介したら、バレバレですよね。でも、いいんです、今回は。それでもおもしろいんだから。さて、あなたは騙される? 騙されない?

「アフタースクール」――神野(大泉洋)は母校の中学教師。夏休み、部活動で学校に来ていた彼を、同級生だった島崎(佐々木蔵之介)が訪ねてきた。探偵をしている島崎はある依頼を受け、やっぱり同級生だった木村(堺雅人)を探しているという。島崎とは親しくなかったが、神野と木村は当時も今も変わらない親友同士。今朝も、産気づいた彼の妻(常盤貴子)を、昨夜から帰らない木村の代わりに産院へ送り届けたばかりだ。そんな彼に島崎は1枚の写真を見せる。今朝、あるホテルの前で撮られたというそれには、若い女性(田畑智子)と親しげに車に乗り込む木村の姿が写っていた。ショックを受ける神野に、木村探しを手伝ってほしいと持ちかける島崎。いつの間にか神野は彼の強引なペースに巻き込まれ、木村の行方を追うことになるが……。

十数年ぶりの同窓会で昔の友達に会ったとき、「変わらないなあ」と思う相手と、「えっ!? これが彼女(彼)?」と驚く相手がいませんか? 外見ばかりでなく、中には見た目は変わらないのに、話していてちょっと意外に感じたりする人も。それは、会わなかった長いブランクの間に彼女(彼)が変わったからなのか、自分が変わったからなのか。それとも、当時はただ気づかなかっただけなのか。そんなことを考えると、不思議な気分です。

神野と木村は中学時代からずっと親友同士。卒業後、教師と一流企業のエリートサラリーマンになった2人ですが、つき合いは変わることはありませんでした。でも、「変わってないって、何でわかるんだ。お前は本当に友達のすべてを知ってるのか?」突然、現れた元同級生の言葉に、神野は揺らぎます。かつては1日の大半をともに過ごしていた親友。でも卒業後、アフタースクール=放課後となった今、果たしてどれだけ知っているのか。

この元同級生たち3人が、とにかくイイ。底抜けにお人好しの神野。決して他人を信用しない島崎。そして、優しい微笑のウラに何事かを秘めているような木村。まったくタイプの違う3人の存在だけで、もうワクワクドキドキ。少しずつ明らかになっていく“真実”を、一刻も早く知りたくてジタバタしちゃいます(笑)。

演じるのは、ひたすらイイ人に見えた神野を、本当にただのイイ人なのか? と次第に不安にさせていく大泉洋。出演作が続々公開中だけど、これほど荒んだ目をしていたことがあっただろうか、という迫力の佐々木蔵之介。その微笑は、実は真実を隠し、他人を煙に巻くためなんじゃないか、と思わせる堺雅人。共演を楽しみにしていたという舞台出身の3人の、個性と実力が惜しむことなく発揮されています。

実は見終わってニヤリと笑った後、すぐにもう一度見たいと思った私。“真相”をわかった上で、「あのシーン」や「このシーン」、「そのセリフ」を確認したい、と。重箱のスミをつつきたがる、イヤラシイ観客ですねえ(笑)。でも、きっと抜かりはないんだろうな。あなたも、ニヤリと笑って重箱のスミをつつきに来ませんか?

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「アフタースクール」 5月24日(土)~、シネクイント他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://after-school.jp
(c)2008「アフタースクール」製作委員会

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「ラスベガスをぶっつぶせ」――ベン(ジム・スタージェス)はMIT(マサチューセッツ工科大学)の優秀な学生。親友と3人でコンテスト用の工学ロボットを研究し、帰りにはバーで飲みながら議論を交わすという、地味だが充実した人生を送っている。夢は卒業後、ハーバード大学医学部へ進み、医師になること。だが、母子家庭の彼にとって30万ドルという学費の調達は不可能だ。そのための奨学金の試験もうまくいかず、落ち込む彼に声をかけてきたのは、数学のローザ教授(ケヴィン・スペイシー)だった。教授が誘ったのは、ブラックジャックで必ず勝つ方法を習得し、ラスベガスのカジノで一儲けしようというチーム。一度は断るが、憧れの学内一の美女ジル(ケイト・ボスワース)もメンバーの1人だということと、ハーバードの学費を調達できるかもしれないという希望が彼の背中を押す。訓練で天才的な数学の才能を発揮したベンは、ついにラスベガスへ足を踏み入れるが。

「3つの扉のうち、1つに新車が、残り2つにヤギが隠れている。さて、あなたはどの扉を選ぶか」――この問題で、ベンの天才的な数学の才能に気づいたローザ教授。いくら説明されても納得のいかない私。だって、それって確率の問題じゃん。理屈はそうでも、現実にそうなるとは限らない。とゴネる私に、やっぱり数学の才能はないのでしょう(笑)。でも、大丈夫。映画は楽しめます。

カード・ゲームは運(ツキ)と度胸が勝敗を分けると思っていましたが、実は記憶力が99%モノをいうとは。なんとこれ、実話を元にした小説の映画化なのです。実際に巨万の富を得たという元学生が、実際にディーラー役で出演しているのですから、2度ビックリ。

主人公ベンを演じるJ・スタージェスの変貌ぶりがスゴイ。最初はちょっとダサい、地味な大学生だったのに、ラスベガスでスリルあふれる勝負の世界を味わい、ゴージャスな生活を楽しむうちに、顔つきまで変わってきます。

学費だけ稼いでやめようと思っていた彼がギャンブルの虜になり、教授のセオリー通りに冷静に勝負していたのが、やがて大損害を出すまでにのめりこんでしまうなんて。ギャンブルの魔力と恐ろしさをまざまざと見せつけます。

また、ローザ教授がまったく、教師の風上にも置けないトンでもないヤツなのです。失敗したベンをあっさり切り捨てると、彼が学費として密かに貯めていた資金もすべて取り上げてしまう守銭奴ぶり。「きったなーい!」と思わず声に出してしまいたくなる彼を演じたK・スペイシーが、あいかわらずイヤラシイくらい、ウマイ(笑)。実際は、「高校の最終学年で落第点を取ったくらい、数学はダメ」だそうですが。原作に惚れ込んで自ら映画化権を買って製作したほどですから、気合いも入っています。

ルール違反をする者を、時に暴力を使ってでも取り締まるカジノ側のコール(ローレンス・フィッシュバーン)や、ベンの才能をやがて妬むようになるチームのメンバーの存在も出現し、ベンの周囲は波乱含み。すべてを失った彼が、どんな反撃に出るのか。痛快なラストをどうぞお楽しみに。

Movie080516_4
「ラスベガスをぶっつぶせ」 5月31日(土)~、有楽座他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://ore-tensai.jp
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 
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2008-05-16 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

古今東西、老若男女を問わず、恋は突然訪れる。 「山桜」&「痛いほどきみが好きなのに」

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ちょっと前になりますが、12月に友人の結婚披露宴がありました。新郎新婦ともに私の大学時代の友人で、当時の2人は単なる友人同士。でも、昨春のある集まりをきっかけに、4ヶ月で入籍し(デートはたった4、5回!)、12月の披露宴を迎えたわけです。卒業してそろそろ20年。まさか、今頃こんなことが起きようとは!! 昨年一番の――自分の妊娠・出産以上の――サプライズでした(笑)。そう、すっかり忘れていたけれど、恋は突然訪れるもの。今週は、そんな切ない恋のお話2本です。

「山桜」――江戸後期、北の小国。野江(田中麗奈)は叔母の墓参りの帰り道、1本の山桜を見つける。薄紅色の花を満開に咲かせた、そのあまりの美しさに、思わず手を伸ばすが、届かない。その時突然、後ろから声がかかる。「手折ってしんぜよう」。振り返った野江に、背の高い武士は1本の桜の枝を手渡す。手塚弥一郎(東山紀之)と名乗った男は、かつて野江が断った縁談の相手だった。若くして夫に先立たれ、実家に戻っていた彼女に申し込まれた2つの縁談。母ひとり子ひとりの手塚家よりも、と会うこともないまま磯村家に嫁いだ彼女をいまだに案じてくれていた弥一郎の言葉は、野江の心を優しく満たす。これきりのはずだった2人の出会いは、やがて野江の運命までも変えていくことに……。

「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「蝉しぐれ」「武士の一分」――ここ数年続く、藤沢周平作品の映画化。本作はその5作目となりますが、実は企画が持ち上がったのは9年も前のことでした。当時、まだ10代の田中麗奈の2本目の主演作「はつ恋」を製作中だった本作のプロデューサー・小滝祥平氏が、彼女主演でいつかは、と考えていたそうです。

その想いが見事に結実。野江を演じた田中麗奈の凛としたたたずまいと、美しく咲き、潔く散る山桜がマッチした美しい映画になりました。私が初めて彼女を見たのは、映画「がんばっていきまっしょい」の女子高生役。役柄同様、高校生だった彼女も今年28歳なのですから、しみじみ、時の流れを感じてしまいます(笑)。

映画にも不思議な時間が流れていました。99分というどちらかと言えば短い作品なのですが、なんだか長いときが流れているような。それは、よくある退屈で長く感じた、ということでは決してなく、ゆったりと静かで、とても心地よいものでした。

実家に戻った自分の存在が弟や妹の縁談の邪魔になってはいけないと、急いで嫁いだ磯村の家は、武士でありながら蓄財に励む夫や舅と、そんな家をとにかく守ろうとする姑のいる、実家とはまるで違うところでした。馴染むことができないまま、たまの里帰りを唯一の心のよりどころとしていた野江にとって、誰かがどこかで自分のことを心配してくれていたということが、どれほど嬉しかったか。野江の表情ひとつで、それが伝わってきます。

その言葉の主、弥一郎は、命を賭して正義を貫こうとする人でした。野江がそんな彼に魅かれていくのは当然のこと。一度は縁があった相手なのに、と思えば思うほど、余計に思い切ることができなくなっていくのかもしれません。

満開の山桜のように、人の生きる姿勢も美しい映画です。言葉に出さないからこそ、伝わるものもある。そんな気がしました。

Movie080509_2 「山桜」 5月31日(土)~、テアトル タイムズスクエア他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.yamazakura-movie.com
(c)「山桜」製作委員会


Movie080509_3

「痛いほどきみが好きなのに」――ニューヨークに住む20歳のウィリアム(マーク・ウェバー)は俳優の卵。仕事もそれなりに順調で、人生を謳歌していた。そんなある晩、行きつけのバーで出会ったシンガーソングライター志望のサラ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)に、彼は一目で恋に落ちる。出会った晩にキスを交わした2人は、そのままつき合い始めるが――。

原作は、俳優イーサン・ホークの書いた自伝的な小説で、本作の映画化にあたって自ら監督・脚本・出演(ウィリアムの父親役)を務めています。「失恋した女性が感じる喪失感や弱さを描いた物語は山のようにあるけど、同じ経験をする男性についての物語は見たことがなかった。だったら自分で書こうと思ったんだ」と言うだけあって、ウィリアムがサラに翻弄される描写がとてもリアルです。

好きになったらすぐにセックスしたいウィリアムと、そこまで踏み込むには慎重なサラ。それは単に男女の違いだけでなく、サラが手痛い過去を抱えていたから、ということもあるのですが。その微妙な気持ちのスレ違いは、次第に埋めようもなく大きくなっていくのです。

「怖くてたまらない。君に好かれているのか自信がない」というウィリアムの想いは、誰しも覚えがあるのではないでしょうか? ある日突然自分に襲いかかり、自分で自分にイライラしてしまうほどの不安を抱えた切なさこそが恋なのですが、そんなことは過ぎてしまった今だからこそ言えること。

好きになればなるほど、追いかければ追いかけるほど、離れていってしまう相手。なぜ、自分と同じだけ愛してくれないのか。いつも不公平な天秤に、やりきれなさが募ります。

そういえば、20歳の頃の彼は今頃どうしているだろう? そんなことをふと懐かしく思い起こしながら、思うようにならない嵐のような痛みをともなう恋を、あなたも一緒に感じてください。

Movie080509_4 「痛いほどきみが好きなのに」 5月17日(土)~、新宿武蔵野館他、全国公開
オフィシャルサイト
http://www.itakimi.jp
(c)2006 By Barracuda films, LLC. All Rights Reserved.

 
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2008-05-09 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

あなたの“相棒”は誰ですか? 「最高の人生の見つけ方」&「相棒-劇場版-」

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“相棒”って、独特の響きがありませんか? “友人”よりずっと親密で、“親友”よりちょっとクール。対等な関係で、言いたいことはきっちり言うけれど、言わなくてもいいことはそっと胸にしまっておく、ちょっとオトナな間柄。今週は、そんな“相棒”たちの物語です。

「最高の人生の見つけ方」――真面目にコツコツ生きてきた自動車整備工のカーター(モーガン・フリーマン)は、末期ガンで余命6ヶ月と宣告される。入院先で同室になったのが、病院の経営者で辣腕実業家のエドワード(ジャック・ニコルソン)だった。余命6ヶ月という以外、何の共通点もない2人だが、少しずつ会話を交わすように。ある日、エドワードはカーターが落としたメモ、“バケット(棺おけ)・リスト”を見つける。それは棺おけに入る前にやっておきたいことを書き出したものだった。カーターの、「荘厳な景色を見る」「涙が出るほど笑う」に、「スカイダイビングをする」「世界一の美女にキスをする」と付け加えたエドワードは、彼をリスト実現の旅に誘い出す。常に家族を想い、生きてきたカーターだったが、妻バージニア(ビバリー・トッド)の大反対を押し切り、生涯最後の冒険旅行をするために病室を飛び出した――。

J・ニコルソン、M・フリーマン、ロブ・ライナー監督。この3人の名前が並んだだけで、「これはイケル!」と確信してしまった私。予想は裏切られることなく、爽快で痛快で感動的な1時間37分を体験することができたのです。やっぱり(笑)!

もし、平均寿命通りに生きることができたとしたら、私もそろそろ人生の折り返し地点。“棺おけリスト”も、決して遠い未来のことじゃありません。むしろ、早ければ早いほど、人生の終焉を迎えたとき、後悔することが少なくてすむのかも。まあ、わかっていても、なかなか具体的には浮かばないのですが。

カーターとエドワードのリストは、「なるほど」と思うもの、「まったく、男ってヤツは!」とあきれてしまうもの、「なぜ???」なものといろいろ。このリストにも2人の対照的な性格や考え方が現れていて、ついつい笑ってしまいます。

妻や子供たちなど家族の見舞いが絶えないカーターですが、かつてバージニアの妊娠をきっかけに大学を辞めたことへの後悔が、拭いきれません。もちろん、愛する家族たちに囲まれた、幸せな人生だとわかっているのですが。

一方のエドワードは金儲けに人生を費やし、3度結婚するも失敗。病室を訪ねてくるのは主治医と秘書トマス(ショーン・ヘイズ)だけ。いくら財産があっても、あの世には持っていけない。カウントダウンに拍車がかかった人生をどう過ごすのか。最優先だった仕事よりも優先すべきこととは何なのか。彼もまた、自分の過去を見つめ直すことになるのです。

お互いが決断を下す時、グッと背中を押してくれるオトナでコドモな男たち。彼らの関係こそ、“友人”よりも“相棒”と呼ぶのにふさわしい気がします。冒険旅行の果てに何が待っているのか。人生の終焉をどう迎えるのか。決して重苦しくならない彼らの姿にホッとしつつ、ちょっと意外なエンディングにじんわり胸が熱くなりました。

Movie080502_2 「最高の人生の見つけ方」 5月10日(土)~、丸の内ピカデリー2他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.saikonojinsei.jp
(c)2007 Warner Bros. Ent.

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「相棒-劇場版-」――降りしきる雨の中、人気ニュースキャスターの仲島が東京郊外の巨大TV塔に吊るされて遺体で発見される。現場には謎の記号「f6」が残されていた。警視庁捜査一課が頭を悩ませる中、特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、海外視察に向う衆議院議員・片山雛子(木村佳乃)の護衛を命じられる。途中、襲われるが、雛子は無事出発。その現場にも「d4」の記号があった。やがて、仲島と雛子は会員制webサイトの掲示板「処刑リスト」に名前が挙がっていたことが判明。リストには2週間前に交通事故死した判事・来生の名前もあった。その事故現場にも「e4」の記号が残されていたことを知った右京は、それがチェスの棋譜であることに気づく。リストを追い始めた捜査陣を嘲笑うように、有名美容整形医・安永も殺害され、現場には「g5」の記号が。やがて被害者たちの周辺から女子大生・守村(本仮屋ユイカ)が浮かび上がる……。

今週のテーマそのものズバリの本作は、ご存知の方も多いと思いますが、TVシリーズから誕生しました。実は、私はこのシリーズが大好きで、シリーズ化される前の1作目、「土曜ワイド劇場」放映時(2000年)から見ていたことが自慢の一つなのです(笑)。ちひろさんと昌子さんのTVブログでも紹介されていましたよね。

TVを見ていた方には今さらですが、簡単にご説明を。あまりに明晰な頭脳と、ガンコすぎる正義感のために上層部に疎まれ、特命係という閑職に飛ばされてしまった元エリート警部の右京。以降、特命係はリストラ要員が次々と配属されては辞職するという“人材の墓場”に。そこにやってきた7人目の刑事が薫。ところが、この2人が名コンビとなり、捜査一課を差し置いて難事件、怪事件を解決する、という設定です。

本作の一番の魅力は、登場人物たちのキャラクターにあります。頭脳明晰・冷静沈着・鋭いイヤミをバシバシ飛ばし(正しいから余計に憎たらしい・笑)、紅茶を愛する右京と、体力勝負・単純明快・直情型で朝はコーヒーに限るという薫。そんなまったくタイプの違う2人と、彼らを囲む、これまた個性的なレギュラーの面々(鈴木砂羽、高樹沙耶、岸部一徳、木村佳乃、津川雅彦、西村雅彦他)。ファンには堪えられない、そして初めて見る方には「え、なんでこの人がこんなチョイ役!?」と思うにちがいない超豪華キャストです。さらに劇場版で初めて登場する西田敏行など、その魅力はさらにパワーアップしています。

彼らが対峙する数々の事件も、時代を映したシリアスな社会問題から、コメディ風、ホラーチック、本格推理まで幅広く、時に毒気タップリなテイストで驚かされてしまいます。今回は、数年前、日本中を論争の渦に巻き込んだある国際的な事件を下敷きにした内容で、事件隠蔽のための国家的陰謀の話は、現実の官僚や政治家の姿を目の当たりにしているようでドキリ。あり得ないことじゃない、と背筋が寒くなるほどにリアルです。

ドラマを見ていた人には、いつもの「相棒」テイストが少し薄まったように感じるかもしれませんが、その分、映画が「相棒」初体験という人にはとっつきやすくなっているのではないでしょうか。爆破シーンや海外ロケなど、映像のスケール感もアップ。「相棒」経験者はもちろん、未経験者もぜひこの機会に「相棒」ワールドを楽しんでください。

Movie080502_4 「相棒-劇場版-」 5月1日(木)~、全国公開
オフィシャルサイト
http://www.aibou-movie.jp
(c)2008「相棒 -劇場版-」パートナーズ

 
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2008-05-02 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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