これぞセイシュン! 笑った後はちょっぴりアツい「うた魂(たま)♪」&「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」

春です! 今年も近所の公園の並木が一斉に桜の花を咲かせています。花粉症というやっかいな長年の相棒もいるので、つらい季節ではありますが、それでもなんだか心が弾みます。そう、春といえば“青春”という春もありました(笑)――あらためて口にするとちょっと気恥ずかしいですが、誰もが通り過ぎる(あるいは現在進行形で過ごしている)10代という青春時代。あなたは何をしていました(います)か? 今週は笑えて、ちょっぴり感動でアツくなる、青春時代ど真ん中の2本です。
「うた魂♪」――荻野かすみ(夏帆)は自分の歌声とルックスに自信たっぷりな、合唱部でソプラノパート・リーダーを務める女子高生。生徒会長の牧村(石黒英雄)から、「歌っている荻野さんの写真を撮りたい」と言われ、有頂天だ。ところが、上がってきた写真の自分は、想像とはまったく違う、ものスゴイ顔。ショックを受ける彼女に、牧村のひと言が追い討ちをかける。「産卵中のシャケみたいにユーモラスだね」。すっかり自信を喪失した彼女は、産休中の先生に代わり合唱部顧問を務める瀬沼先生(薬師丸ひろ子)に退部を申し出る。しかし、最後の舞台となるはずだった夏の合唱祭で、心から歌を愛するヤンキー高校の合唱部部長・権藤(ゴリ<ガレッジセール>)たちと出会い……。
実は小・中学生時代、地元の少年少女合唱団(といっても、少年は1人もいなかった)に在籍していた私。毎週日曜日の練習がめんどうくさいこともあったけど、ハモった時の感覚――自分の身体が楽器みたいにワンワン反響して、まるで“音の宇宙”に放り込まれたような不思議な感覚――が大好きでした。
だから合唱と聞くと、当時を思い出してなんだか懐かしくなります。確かに、自分がどんな顔して歌っているのか、見たことはなかったなあ。だから、かすみの衝撃も少しは理解できそう。彼女ほどナルシスティックなところはない、と思っていますが(笑)。
この、かすみ役の夏帆がとってもカワイイのです「天然コケッコー」のそよちゃん役でも、しっかり者の中に天然なところがちらちら見えていましたが、今回はカンペキな天然ぶりを披露(笑)。一歩間違うと嫌味なナルシストを、かわいくおかしく、生き生きと演じています。
それから、尾崎豊を愛する男子高生・権藤を、ガレッジセールのゴリがシブーく(?)熱演。実年齢の半分しかない18歳の役に、最初は「どうよ??」と思いましたが、そんな事実は次第に気にならなくなってくるから、大したモノ。なんだかやる気のなさそうな代用教員の瀬沼役、薬師丸ひろ子もステキ。かつて主演映画の主題歌を歌ってはヒットを飛ばしていた彼女が、その頃と同じ透き通った、まさしく合唱部のような歌声で意外な曲を聞かせてくれるのも見どころ(聞きどころ)です。
当初、田中誠監督は合唱部分を吹き替える予定だったそうですが、かすみ率いる七浜高校合唱部も、権藤率いる湯の川学院高校合唱部も、結局、吹き替えナシ。「ハモった時の気持ちよさに気づいてしまった」とゴリが言うように、俳優陣の努力が見事なハーモニーを聞かせてくれます。
歌っていいよな。音楽っていいよな。そんな気分いいラスト・シーンでは、思わずあなたも歌を口ずさんでいるはず。私は見事にハマり、試写室を出る時に鼻歌を歌っていることに気づき、ちょっと赤面でした(笑)。
「うた魂(たま)♪」 4月5日(土)~、シネクイント他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.utatama.com
(c)2008「うた魂♪」製作委員会
「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」――1979年夏。田園風景が広がる平和な田舎町でママチャリ(市原隼人)は仲間たちと“イタズラ”を生きがいに楽しい毎日を送っていた。ところが、突然強敵が現れる。それは身長183cmの巨大な敵は国家権力を背負った公務員、新たに赴任してきた駐在さん(佐々木蔵之介)。なんと彼はイタズラされたらきっちりやり返すという、信じられない大人げなさで彼らの前に立ちはだかってきたのだ。おまけにママチャリたち憧れの、喫茶店に勤める町いちばんの美人(麻生久美子)は彼の奥さんだった。こうなったら負けるわけにはいかない。ママチャリたちと駐在さんのイタズラ大戦争の火ぶたが切って落とされた――!
ご存知の方も多いと思いますが、本作の原作は大人気のブログ小説。原作者・ママチャリさんの青春時代を小説にした、一部実話の物語です。30年前ではありますが、うらやましいほどバカバカしくて楽しい彼らの青春が、コミカルに生き生きと描かれています。
共通一次試験、インベーダーゲーム、口裂け女、ぶらさがり健康器……なつかしの流行モノや社会現象を背景に、「夢想花」「愛の水中花」「狼なんか怖くない」などなど、なつかしの歌をBGMに流してのイタズラの応酬。大マジメに頭をひねって作戦を考えるのですが、どのイタズラも決して他人を傷つけたり、不快にしたりはしません。今の世の陰湿なイタズラと違って、健康的ですらあるかも(健康的なイタズラって……笑)。
こんなバカバカしいことに、なんでここまでマジに……なんて思ったアナタは、ちょっとお疲れ気味かも。何も意味がなくても、どんなにバカバカしくっても、彼らは真剣。これだけ真剣に取り組む姿を見れば、それがたとえ何だって応援したくなってきます。
そして、青春時代らしく、イタズラと共にあるのは友情や恋、彼らなりに1本筋が通った意地。最後を飾る最大の作戦は感動的で、少しばかりジンワリ目頭が熱くなりました。
市原隼人くんたちママチャリ一味は合宿状態で撮影に臨んだそうですが、だからこそのピッタリ息のあったチームワークが、スクリーンいっぱいに繰り広げられます。このところ出演した映画やドラマが続々公開されてすっかりおなじみの佐々木蔵之介さんですが、この駐在役も大人げないのに懐が深くて、これまたイイんです。
そう、青春時代には一見ムダに見えることだって必要なのです。いえいえ、ムダだ、何だなんて、そんな議論こそムダ。花咲き誇る春に、彼らの青春を楽しんでください。
「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」 4月5日(土)~、シネマGAGA!他、全国公開
オフィシャルサイト http://bokuchu.gyao.jp
(c)2008「ぼくちゅう」PARTNERS
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2008-04-04 【映画】 | 固定リンク
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