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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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美しきカメレオン俳優に酔う――ジュード・ロウ 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」&「スルース」

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役柄によって外見だけでなく印象まで驚くほどガラリと変える俳優を、カメレオン俳優と称することがあります。ちょっと極論ですが、そう呼ばれる俳優はどちらかといえば個性的な容貌であることが多いような気がします。今週ご紹介するジュード・ロウは、その点では異色かも。美しい外見は時にノーブルに、時にアヤしく、同一人物には見えない、まさしくカメレオンなのです。

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」――恋人と別れたエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、気持ちの区切りがつけられないまま、毎晩恋人のアパート近くのカフェに通うようになる。カフェのオーナー、ジェレミー(J・ロウ)はそんな彼女を優しく迎え、たわいもない話をしながら甘酸っぱいブルーベリー・パイでもてなしていた。ある晩、恋人のアパートの窓に女性の姿を見つけたエリザベスは、1人で旅に出る。目的地のない旅の途中に出会う、様々な人々。半年後、ジェレミーの元にエリザベスの手紙が届いた。「あなたのブルーベリー・パイは世界一おいしい」と。ジェレミーは彼女を探そうとするが…。

デビュー・アルバムでグラミー賞8部門受賞という華々しいスタートを飾った歌姫、N・ジョーンズの女優デビュー作です。ごく普通の女の子を演じたノラはとってもかわいくて、高好感度。そんな彼女を特に輝かせたのが、相手役J・ロウだったのではないでしょうか。

失恋し、毎晩お酒を飲んでは(時には酔いつぶれて寝てしまうことも)ブルーベリー・パイを食べる彼女にお説教するでもなく、余計な世話を焼くでもなく、さりげない会話を交わし、ただ優しく見守るジェレミーの存在は、ある意味、女性にとっては理想の男性かもしれません。

“来る者拒まず、去る者追わず”といった感じで、一見淡々として受身だった彼が、手紙というわずかな手がかりだけで必死に彼女を捜す姿は、突然彼の熱い想いがあふれ出したようで、ドキッ。エリザベスのことがちょっぴりうらやましくなってしまいます。

そして、エリザベスが出会う旅先の人々――妻と別れたショックでアルコール依存になった男(デイヴィッド・ストラザーン)と彼の束縛を嫌った元妻(レイチェル・ワイズ)、誰も信じないギャンブラー(ナタリー・ポートマン)――も、魅力的。強烈な彼らの存在があるからこそ、エリザベスも引き立つのです(そういえば、N・ジョーンズ以外のメイン・キャスト4名は、全員がアカデミー賞を受賞したか、ノミネートされたことのある実力派)。

監督は、熱狂的なファンを持つ「ブエノスアイレス」「花様年華」のウォン・カーウァイ。実は本作を見て、ちょっとビックリした私。それというのも、私が持っていたカーウァイ監督作のイメージとは違い、意外なほど明るい印象だったので。

舞台のニューヨークが別の街のように見えてくる、不思議で美しい映像と音楽も印象的。彼女はいつ心の旅を終え、どこに戻るのか。幸せな予感を胸に、あなたも彼女の旅を一緒に味わってください。

Movie080321_2 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」 3月22日(土)~、日比谷スカラ座他、全国東宝洋画系で公開
オフィシャルサイト http://www.blueberry-movie.com
(c)Block 2 Pictures 2006



Movie080321_3

「スルース」――ロンドン郊外にある最新設備が整った邸宅。その住人であるベストセラー推理作家ワイク(マイケル・ケイン)を訪ねて、若く美しい男がやって来た。彼の名はマイロ(J・ロウ)。売れない俳優だという彼の訪問の目的は、ワイクの妻にあった。彼女の浮気相手だというマイロが、離婚を承知しないワイクを「うん」と言わせるために来たのだ。しかし、詰め寄るマイロに、ワイクは意外な提案を持ちかける……。

こちらのJ・ロウは、うって変わってアヤしい男。その金髪と美貌を武器に、今までいろんな女性を渡り歩いて来たに違いない、なんて勝手に想像してしまうような、ちょっと崩れたムードが漂います。

元々は舞台劇だった本作は、1972年にも1度映画化されました。前作ではワイクを、英国を代表する名優の1人ローレンス・オリヴィエが演じ、マイロを若かりしM・ケインが演じています。つまり、J・ロウは30数年前に怪優ケインが演じた難役を、本人を目の前に演じたワケです。なんという度胸!! それだけでも、彼の思い入れが伝わってきます。

数年前から本作のリメイクを考えていたというJ・ロウは、今回はプロデューサーも担当。実のところ、俳優として出演するほうが後から決まったとか(彼曰く、「映画化することで頭がいっぱいだった。そうしたら急にとんでもないことになったんだ」)。J・ロウは“いっちゃった”系演技を余すところなく披露し、ベテラン、ケインが、それをどーんと受け止めています。

1人の女性をめぐって対立していたはずの男たちが奇妙な共犯関係を結び、本音と建前が入り乱れる中、次々に優位な立場が入れ変わっていく展開は、そんな2人の演技合戦なくしては成り立たないのです。どちらが騙して、どちらが騙されているのか? 最後に笑うのは、誰なのか? 刻一刻と変化する状況に、一瞬たりとも目が離せません。

それにしても、J・ロウは見た目が綺麗な分、余計にアヤし過ぎ。あなたは、どちらのJ・ロウに惹かれますか?

Movie080321_4 「スルース」 シネスイッチ銀座他、全国で公開中
オフィシャルサイトhttp://www.sleuth.jp
(c)MRC II Distribution Company LP

 
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2008-03-21 【映画】 | 固定リンク

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