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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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突然、愛する人を失ってしまったら――「さよなら。いつかわかること」&「悲しみが乾くまで」

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愛する人を失う――映画の中でしばしば描かれる悲劇は、私たちが生きる現実世界でも、誰もがいつかは経験する悲しい出来事。その第一報に接した時のショックはもちろん大きいですが、その後の日常を暮らしていくことのほうが、ずっと長くて苦しいのではないでしょうか。それでも人は、前を向いて生きていくことができる――そんなことをそっと伝えてくれる2本です。

「さよなら。いつかわかること」――シカゴに住むスタンレー(ジョン・キューザック)の家族は、妻グレイスと12歳の長女ハイディ(シェラン・オキーフ)、8歳の次女ドーン(グレイシー・ベドナルジク)。妻は陸軍軍曹としてイラクに赴任中で、地元のホームセンターに勤めるスタンレーは、思春期にさしかかった娘たちと3人でギクシャクした毎日を送っていた。そんなある日、妻の戦死の知らせが届く。あまりのショックに途方に暮れるスタンレーは、娘たちにどう伝えていいのかわからない。衝動的に、彼はドーンが行きたがっていたフロリダの遊園地へ車で行くことにするが――。

明るく強い母(姿は出てきませんが)に対し、父はとても頼りなげ。訃報を聞くと、子供たちの下校時間まで、ただ涙を流し続けるだけで、なかなか現実を受け止められないのです。そして、娘たちに黙ったまま、まるで現実逃避のように遊園地を目指します。

姉のハイディはすぐに何かあることに気づきますが、ドーンは素直に喜ぶばかり。父が禁止したイラク戦争関連ニュースをこっそりTVで見ているハイディの姿や、母と約束した「毎日同じ時間に互いのことを想う」ことを、大事に大事に守っているドーンの姿を見ていると、ノドの奥が痛くなってきます。

そしてその痛みは父親の姿にも。旅の途上、何度も自宅の留守番電話に電話をかけるスタンレー。そう、留守番電話のメッセージは、妻の声なのです。カッコ悪いかもしれません。でも、彼がどれほど妻を大切に想っていたのか。夢にも思わなかった彼女の不在は、彼の人生をどれほどメチャメチャにしてしまったのか。そんなことが1つ1つ積み重ねられて、もし自分だったら……と思わずにはいられなくなります。

軍人が戦地に行ったのだから覚悟していたはず――そうかもしれません。報道で何万という人々がイラクで亡くなっていることを、私たちは知っているのですから。でも、その“何万人”に自分の大切な人がカウントされる現実を考えていた人がどれだけいるのか。いいえ、たとえ覚悟していたとしても、その悲しみに違いはないのではないでしょうか。

スタンレーの弟ジョン(アレッサンドロ・ニヴォラ)が、イラク派兵に懐疑的な意見をぶつけてスタンレーとケンカするシーンはありますが、戦争の映像や“戦争反対”の言葉は1つも出てきません。ただ、愛する人を突然失くした家族が、どうやってその悲しみを受け止め、“明日”を迎えるのかを静かに優しく描いているだけ。

だからこそ、大切な人を失くす人々が大勢生まれてしまう“戦争”が、いかに哀しく無意味なものなのかが迫ってくるのかもしれません。主演ばかりでなく、プロデューサーも引き受け、御大クリント・イーストウッドにテーマ曲の作曲まで直談判して実現させたJ・キューザックの、多くの人に見てもらい、考えてもらいたいという熱い想いが素直に感じられます。長い作品ではありません。ぜひ、ゆっくりご覧ください。

Movie080328_2 「さよなら。いつかわかること」 4月26日(土)~、シネスイッチ銀座他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.sayonara-itsuka.com
(c)2007 The Weinstein Company, LLC. All rights reserved.


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「悲しみが乾くまで」――夫(デヴィッド・ドゥカヴニー)と子供2人に囲まれ、幸せに暮らすオードリー(ハル・ベリー)を突然襲った、夫の死。葬儀の準備に追われながら、彼女は夫の親友ジェリー(ベニチオ・デル・トロ)のことを思い出す。夫の幼馴染みで、かつては敏腕弁護士だった彼は麻薬に溺れ、誰もが見放したが、夫だけが親身に面倒を見ていたのだ。オードリーも彼を嫌っていたが、葬儀に呼ぶことに。訪ねてきたジェリーの姿に、彼女は彼もまた夫を大事に想ってくれていたことに気づく。葬儀が終わり、日常生活が戻ってきたが、夫の不在を受け入れられないオードリー。耐え切れなくなった彼女はジェリーを訪ね、客間に住んでほしいと頼む。「お情けならいらない」と断るジェリーに彼女はこう告げた。「違うわ。助けてほしいのは私のほう」――こうして、奇妙な共同生活が始まった……。

オードリーを襲った悲劇は、本当に理不尽なものでした。路上で自分の妻を殴りつける男を止めた夫が、その男に射殺されてしまったのです。見ず知らずの男に、何の非もない夫が。そんな現実を受け止めろ、と言われても、簡単に納得できるはずもないですよね。

子供たちを守り、生きていこうと思っても、生活の折々に夫のいない寂しさ、理不尽さを感じて眠れぬ夜を過ごし、ついには子供たちに八つ当たりまでしてしまう。そんな自分をもてあました彼女が、ジェリーに同居を提案するのは一見唐突ですが、ある意味、当然の成り行きだったのかもしれません。

オードリーを演じるH・ベリーが迫力満点。理不尽な現実に混乱し、ジェリーに頼ったり、つらく当たったりという支離滅裂で不安定な精神状態が、リアルに迫ります(3月16日に出産したばかりの彼女は、本作出演で母親になれるという自信がつき、妊娠する決意をしたそうです)。

一方の、彼女を受け止めるB・デル・トロも、それを上回る存在感で圧巻。麻薬患者の、あのどこかを見つめるような目つきには背筋がゾクリ。一時は親友のために必死に更正しようとしていただけに、麻薬の恐ろしさ、哀しさが真に迫ります。

消えることのない大きな傷を抱えた2人が、それでも続く人生を再び歩んでいくために、どう支え合い、どう立ち直るのか。2人の静かな熱演が、ズシリとお腹に響きます。

Movie080328_4 「悲しみが乾くまで」 3月29日(土)~、恵比寿ガーデンシネマ他、全国順次公開
オフィシャルサイト http://kanashimi.jp
(c)2007 DreamWorks Pictures LLC. All Rights Reserved.

 
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2008-03-28 | 固定リンク | コメント (0)

美しきカメレオン俳優に酔う――ジュード・ロウ 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」&「スルース」

Movie080321_1

役柄によって外見だけでなく印象まで驚くほどガラリと変える俳優を、カメレオン俳優と称することがあります。ちょっと極論ですが、そう呼ばれる俳優はどちらかといえば個性的な容貌であることが多いような気がします。今週ご紹介するジュード・ロウは、その点では異色かも。美しい外見は時にノーブルに、時にアヤしく、同一人物には見えない、まさしくカメレオンなのです。

「マイ・ブルーベリー・ナイツ」――恋人と別れたエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、気持ちの区切りがつけられないまま、毎晩恋人のアパート近くのカフェに通うようになる。カフェのオーナー、ジェレミー(J・ロウ)はそんな彼女を優しく迎え、たわいもない話をしながら甘酸っぱいブルーベリー・パイでもてなしていた。ある晩、恋人のアパートの窓に女性の姿を見つけたエリザベスは、1人で旅に出る。目的地のない旅の途中に出会う、様々な人々。半年後、ジェレミーの元にエリザベスの手紙が届いた。「あなたのブルーベリー・パイは世界一おいしい」と。ジェレミーは彼女を探そうとするが…。

デビュー・アルバムでグラミー賞8部門受賞という華々しいスタートを飾った歌姫、N・ジョーンズの女優デビュー作です。ごく普通の女の子を演じたノラはとってもかわいくて、高好感度。そんな彼女を特に輝かせたのが、相手役J・ロウだったのではないでしょうか。

失恋し、毎晩お酒を飲んでは(時には酔いつぶれて寝てしまうことも)ブルーベリー・パイを食べる彼女にお説教するでもなく、余計な世話を焼くでもなく、さりげない会話を交わし、ただ優しく見守るジェレミーの存在は、ある意味、女性にとっては理想の男性かもしれません。

“来る者拒まず、去る者追わず”といった感じで、一見淡々として受身だった彼が、手紙というわずかな手がかりだけで必死に彼女を捜す姿は、突然彼の熱い想いがあふれ出したようで、ドキッ。エリザベスのことがちょっぴりうらやましくなってしまいます。

そして、エリザベスが出会う旅先の人々――妻と別れたショックでアルコール依存になった男(デイヴィッド・ストラザーン)と彼の束縛を嫌った元妻(レイチェル・ワイズ)、誰も信じないギャンブラー(ナタリー・ポートマン)――も、魅力的。強烈な彼らの存在があるからこそ、エリザベスも引き立つのです(そういえば、N・ジョーンズ以外のメイン・キャスト4名は、全員がアカデミー賞を受賞したか、ノミネートされたことのある実力派)。

監督は、熱狂的なファンを持つ「ブエノスアイレス」「花様年華」のウォン・カーウァイ。実は本作を見て、ちょっとビックリした私。それというのも、私が持っていたカーウァイ監督作のイメージとは違い、意外なほど明るい印象だったので。

舞台のニューヨークが別の街のように見えてくる、不思議で美しい映像と音楽も印象的。彼女はいつ心の旅を終え、どこに戻るのか。幸せな予感を胸に、あなたも彼女の旅を一緒に味わってください。

Movie080321_2 「マイ・ブルーベリー・ナイツ」 3月22日(土)~、日比谷スカラ座他、全国東宝洋画系で公開
オフィシャルサイト http://www.blueberry-movie.com
(c)Block 2 Pictures 2006



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「スルース」――ロンドン郊外にある最新設備が整った邸宅。その住人であるベストセラー推理作家ワイク(マイケル・ケイン)を訪ねて、若く美しい男がやって来た。彼の名はマイロ(J・ロウ)。売れない俳優だという彼の訪問の目的は、ワイクの妻にあった。彼女の浮気相手だというマイロが、離婚を承知しないワイクを「うん」と言わせるために来たのだ。しかし、詰め寄るマイロに、ワイクは意外な提案を持ちかける……。

こちらのJ・ロウは、うって変わってアヤしい男。その金髪と美貌を武器に、今までいろんな女性を渡り歩いて来たに違いない、なんて勝手に想像してしまうような、ちょっと崩れたムードが漂います。

元々は舞台劇だった本作は、1972年にも1度映画化されました。前作ではワイクを、英国を代表する名優の1人ローレンス・オリヴィエが演じ、マイロを若かりしM・ケインが演じています。つまり、J・ロウは30数年前に怪優ケインが演じた難役を、本人を目の前に演じたワケです。なんという度胸!! それだけでも、彼の思い入れが伝わってきます。

数年前から本作のリメイクを考えていたというJ・ロウは、今回はプロデューサーも担当。実のところ、俳優として出演するほうが後から決まったとか(彼曰く、「映画化することで頭がいっぱいだった。そうしたら急にとんでもないことになったんだ」)。J・ロウは“いっちゃった”系演技を余すところなく披露し、ベテラン、ケインが、それをどーんと受け止めています。

1人の女性をめぐって対立していたはずの男たちが奇妙な共犯関係を結び、本音と建前が入り乱れる中、次々に優位な立場が入れ変わっていく展開は、そんな2人の演技合戦なくしては成り立たないのです。どちらが騙して、どちらが騙されているのか? 最後に笑うのは、誰なのか? 刻一刻と変化する状況に、一瞬たりとも目が離せません。

それにしても、J・ロウは見た目が綺麗な分、余計にアヤし過ぎ。あなたは、どちらのJ・ロウに惹かれますか?

Movie080321_4 「スルース」 シネスイッチ銀座他、全国で公開中
オフィシャルサイトhttp://www.sleuth.jp
(c)MRC II Distribution Company LP

 
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2008-03-21 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

正義の味方を喰ってしまう勢いの、時代を体現する敵役たち 「ノーカントリー」&「バンテージ・ポイント」

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主人公は命懸けで法を守る正義の男――という映画は星の数ほどありますが、彼らをより盛り上げるのが、タフで強い敵役たち。今週は、そんな中でも特に不気味で恐ろしい敵役が登場する2本をご紹介します。彼らは恐ろしいだけでなく、存在そのものが「現代」という時代を表しているようで、映画から離れていろんなことを考えてしまいそうです。

「ノーカントリー」――メキシコとの国境に近いテキサスの砂漠で狩りをしていたモス(ジョシュ・ブローリン)は、偶然、トラック数台とそれを取り囲むような何体もの死体を見つける。荷台には現金200万ドルと大量のヘロインが残されていた。危険と知りつつ、人生を変えようと現金を持ち去ったモス。しかし、深夜、様子を見に現場に戻った時、追っ手の銃撃に遭い負傷してしまう。逃げ帰った彼は妻(ケリー・マクドナルド)を実家に帰し、現金を持って身を隠すことに。しかし、すでに消えた現金を取り戻すため組織が雇った殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)が、モスの行方を追い始めていた。一方、現場に駆けつけた保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、モスのトラックが残されていたことから、彼が巻き込まれたことに気づく。ベルもまたモスの行方を追い始めるが……。

先日のアカデミー賞で、見事主要4部門(作品・監督・助演男優・脚色賞)に輝いた本作が、いよいよ公開です。監督は、「バートン・フィンク」「ファーゴ」など個性的でスリリングな数々の作品を世に送り出してきたジョエル&イーサン・コーエン兄弟。2時間を超える長尺ですが、飽きさせることがありません。

先日のアカデミー賞予想でも少し書きましたが、とにかく圧倒的な存在感で物語を支配するのが、H・バルデム演じる殺し屋(“助演”というより、ほとんど“主演”という感じ)。「あいつの顔を見て生きてるヤツがいるのか」と言われるほど、スゴ腕の彼の仕事道具は銃でもナイフでもなく、なんと酸素ボンベ(のようなもの)。

さらに彼独特のポリシーがあって、「何もそんなことで殺さなくても……」という相手にも一切容赦はナシ。こうと決めたら、誰にも止めることは出来ないのです。そのゴツイ顔を飾る、内巻きのミョーにかわいいマッシュルームヘアが、不気味さをいや増します。

老保安官ベルは彼らを追いながら、犯罪組織に命を狙われているのに他人の金を離そうとしない男と、自分の邪魔をする人間を容赦なく排除していく男を理解できず、次第に無力感を覚えていきます。原題は、「NO COUNTRY FOR OLD MEN(年老いた=善良な男たちに住む場所はない)」。時代は変わり、人間と人間が起こす事件もすっかり変質してしまったのでしょうか?  

それにしても、ラテン系の濃い顔に好みは分かれるところですが、アカデミー賞授賞式で正装したH・バルデムはなかなかセクシーな2枚目ぶりで、シガー役を思い出すと余計にカッコよく見えてしまいました(笑)。

Movie080314_2 「ノーカントリー」 3月15日(土)~、日比谷シャンテ シネ他、全国公開
オフィシャルサイト http://nocountry.jp
(c)2007 Paramount Vantage, A PARAMOUNT PICTURES company, All Rights Reserved.


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「バンテージ・ポイント」――スペイン・サラマンカにある広場には大群衆がつめかけていた。各国首脳が集まり開催されるテロ撲滅サミットの画期的構想を、アメリカ大統領アシュトン(ウィリアム・ハート)がスピーチすることになっているためだ。物々しい警備と各国報道陣が待ち受ける中、大統領が到着。護衛のシークレット・サービスの中にバーンズ(デニス・クエイド)がいた。1年前のアシュトン大統領狙撃事件で負傷した彼は、これが復帰後の初仕事。だが、神経過敏気味の彼に、周囲は不安の色を隠せない。唯一、復帰に力を貸した同僚テイラー(マシュー・フォックス)だけが味方だ。報道番組プロデューサーのブルックス(シガーニー・ウィーヴァー)や、アメリカ人旅行者ハワード(フォレスト・ウィッテカー)、非番の地元刑事エンリケ(エドゥアルド・ノリエガ)らが見守る中、壇上に立った大統領がスピーチを始めた時、一発の銃声が鳴り響く。崩れ落ちる大統領の姿にパニックとなった広場を、さらに爆発が襲い……。

各国首脳が集まってのテロ撲滅サミット開催など、現実を反映させたような設定で展開する本作の敵役である「テロリストたち」は、“殺し屋シガー”ほど超人的な個性派ではありませんが、逆にとってもリアルなのかもしれません。彼らは同じ主義主張を持つ者を敵陣営に送り込み、主義主張が異なる者でも必要な人材と判断すれば、弱みを握り、誘惑し、ありとあらゆる手段で計画に取り込むのです。その緻密な計画がジワジワと明らかになっていく過程はとってもスリリングです。

そのスリリングさを一層高めているのが、本作の特徴でもある、事件を見つめる様々な視点。大統領がホテルを出発し、広場で爆発が起こるまでの23分間を報道番組スタッフの視点、シークレット・サービスの視点、旅行者の視点、地元刑事の視点、そしてテロリストの視点など、なんと計8人分をひたすら繰り返すのです。まるでビデオを巻き戻すかのように(最近はDVDだから巻き戻しませんね・笑)何度も何度も“再生”するわけです。

もちろん居場所も見ているモノもそれぞれ違うので、まったく同じ映像ではないのですが、次第にイライラが(笑)。でも、それは作り手の思う壺にハマってしまった証拠。飢餓感にも似た感覚に襲われた頃、ようやく事態は24分目へ突入し、以降、クライマックスまで息つく間もない怒涛の展開が待っています。そして、少しずつ私たちに明かされていた事実がパズルのようにすべてピタリとはまった時、事件の全体が見えてくるのです。

エンタテインメントとして私たちを楽しませ、事件はちゃんと解決します。でも、テロリストが最後に残した一言にドキリ。「俺たちの戦いは、終わらない」。そう、今回は失敗したけれど、すぐそこに次が待っているぞ、と言わんばかりのテロがテロを呼ぶエンドレスな現実をまざまざと見せつけられたようで、ゾッ。

バーンズのような、法と正義を命懸けで守る人々がただテロリストを捕らえるだけでは、終わらない現実。この恐怖の連鎖は食い止められないのか。すっきりと解決したはずの物語を見終えた後、考えさせられてしまいました。

Movie080314_4 「バンテージ・ポイント」 サロンパス ルーブル丸の内他、全国で公開中
オフィシャルサイトhttp://sonypictures.jp
(c)2008 Columbia Pictures Industries, Inc. all rights reserved.

 
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2008-03-14 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

TV発、個性派キャラに魅せられる2本 「映画 クロサギ」&DVD「HERO」

Movie080307_1

人気TVドラマが映画になってスクリーンへ。最近では当たり前の流れになってきました。ストーリーはもちろんですが、登場するキャラクター像がしっかり描かれていると余計に楽しめるもの。今週は、個性派キャラがとっても魅力的な2本です。

「映画 クロサギ」――少年時代に詐欺の被害に遭い、家族を失った黒崎(山下智久)。成長した彼は詐欺師を騙す“クロサギ”となり、家族の仇である御木本(岸部シロー)を追っていた。ある日、情報源である詐欺師業界の黒幕・桂木敏夫(山崎努)を通じてレイコ(飯島直子)の依頼を受ける。彼女を騙した石垣(竹中直人)は、15年前、日本経済界を揺るがすほどの大きな詐欺を働き、警察の知能犯係刑事・神志名(哀川翔)や大企業を標的にする詐欺師・白石(加藤浩次)らからも追われている男だった。姿を変えて石垣に接近する黒崎の前に、さくら(大地真央)が現れる。彼女は、石垣や桂木の過去を知っているらしい……。

2006年のTBS連続ドラマの中で、平均視聴率No.1を記録した「クロサギ」が、映画になって帰ってきました。山下智久、堀北真希、加藤浩次、市川由衣、哀川翔、山崎努らドラマでお馴染みのレギュラー陣はもちろん、豪華ゲストも多数出演して華やかさを増しています。

私はドラマを見ていなかったのですが、ちゃんと展開についていけたので心配ご無用(もちろん、黒崎が家族を失う原因となった詐欺事件の黒幕だった、桂木との微妙な関係や、黒崎を追い続ける神志名との間柄など、ドラマを見ていたほうがより楽しめそうですが)。なるほど、詐欺ってこうなってるのねえ、と感心(?)しきり。

現実の世も、振り込め詐欺や粉飾決算詐欺、ネット詐欺、霊感商法詐欺、食品偽装詐欺等々、ありとあらゆる詐欺が横行していて、ニュースで目や耳にしない日はないほど。でも、「なんでそれで騙されちゃうのかなあ」と他人事のように思っている危機感のなさや、「私は大丈夫」という根拠のない自信が、次の被害者を生んでいるのかもしれません。

再び巨大詐欺を企む石垣というプロ中のプロを相手に、“クロサギ”黒崎がどんなワナを仕掛けるのか。ある時はトラック運転手、ある時は新興IT企業の社長、ある時はガードマン、ある時は押しの弱い営業マンへと化ける彼の七変化も見どころです。

そして、スクリーンに登場するだけでシーンが引き締まる山崎努のさすがの存在感。実際にシェイクスピアを演じてきた彼が、山下智久とするシェイクスピアごっこ(?)もなかなかです。私的には冒頭1シーンながら、杉田かおるの怪演(!)に注目。最近、私がハマっているドラマ「エジソンの母」でもイイ味出してますが、こちらも見ものです。

Movie080307_2 「映画 クロサギ」 3月8日(土)~、全国東宝系で公開
オフィシャルサイトhttp://www.kurosagi-movie.jp
(c)2008 黒丸・夏原 武/「映画 クロサギ」製作委員会


Movie080307_3 DVD「HERO」 
発売元:フジテレビジョン/東宝/ジェイ・ドリーム  販売元:東宝
3月8日(土)~、「HERO 特別限定版(3枚組)」8,190円(税込)/「HERO スタンダード・エディション」3,990円(税込)
(c)2007 フジテレビジョン・東宝・J-dream・FNS27社
オフィシャルサイトhttp://www.hero-movie.net


「HERO」――6年前に転勤で離れた東京地検城西支部に戻ってきた検事・久利生公平(木村拓哉)。刑事部長の牛丸(角野卓造)以下、中村(大塚寧々)、芝山(阿部寛)、江上(勝村政信)、末次(小日向文世)、遠藤(八嶋智人)とあいかわらずの面々だが、事務官の雨宮(松たか子)はなぜかよそよそしい。久利生は芝山が担当した傷害致死事件の公判検事を務めることに。容疑者は素直に自白し、何の問題もなく裁判は結審すると思われていたが、初公判で一転して無罪を主張する。担当弁護士は、元検事で刑事事件の無罪獲得数が日本一という大物・蒲生(松本幸四郎)。彼は東京地検次席検事・鍋島(児玉清)の同期でもあり、ウラに大物代議士・花岡(森田一義/タモリ)の存在があった。窮地に立たされた久利生は、真実を求めて雨宮と韓国へ向かうが……。

昨年秋、興行収入81億円を記録し、見事2007年の邦画No.1ヒットとなった「HERO」。今さら……と思われそうですが、放映時に1度も欠かさず見ていたほど大好きなドラマだったのに、ちょうどお休み期間で映画を見逃してしまった私としては、ずっと気になっていたのです。そこでタイミングよく(笑)DVD発売となったこの機会に、見せていただいたというワケです。

この「HERO」最大の魅力は、やっぱりそのキャラクターにあるのではないでしょうか。かなり型破りな久利生は言うまでもなく、そんな彼を囲む城西支部の面々。今回は、中村&末次という意外なコンビが、意外な趣味を披露してくれます。

そして、「しょうがねえなあ、久利生は!」という顔をしながら、「いざ!」という時は全員そろって手を貸してくれるチームワークの良さ。こんな検事たちばかりだったら、冤罪事件はなくなるかも……なんて、ふと思わずにはいられません。

'06年に放映されたドラマのスペシャル版で登場した中井貴一、綾瀬はるか、石橋蓮司といったキャストの続投に加え、松本幸四郎、香川照之(特捜部検事役)、タモリ、イ・ビョンホン(1シーンですが)、古田新太(放火犯役)と華々しく個性的なメンバーも参戦。期待に違わず、見ている私たちを最後まで引っぱっていってくれます。

そして、地道な捜査を続けて見つけた、何てことのない小さな事実から真実を探り当てる久利生。「大物政治家の収賄事件と無名の一般人の傷害致死のどちらが巨悪か」について、常に変わらない彼の姿勢が、ラストの法廷弁論で一気に噴出して気分爽快です。

お馴染みのアイテム・通販グッズや久利生たち行きつけのバーのマスター(田中要次)も嬉しいことに健在。「まだ、見ていない」というアナタはもちろん、「もう、見ちゃった」というアナタにもおすすめです。今回のDVDにはメイン・キャストのインタビューやメイキング・シーン等々、本編に加えて映像特典2枚が加わった3枚組の「特別限定版」もあります。ぜひ、改めてお楽しみください!

 
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2008-03-07 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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