人生の終焉を迎えたとき、誰の名を呼びますか? 「いつか眠りにつく前に」

ふと、初恋の相手や昔のカレを思い出すこと、ありませんか? それは、思い出の場所を訪れた時や懐かしい友人に再会した時、古いアルバムを開いた時やちょっと人恋しい時など、いろんなきっかけがあるでしょう。でも、やがて迎える人生の最期に、あなたは誰の名前を呼ぶのでしょうか?
「いつか眠りにつく前に」――重い病に倒れ、人生の最期を迎えようとしていたアン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)。自宅で長女コンスタンス(ナターシャ・リチャードソン)と次女ニナ(トニ・コレット)、看護士(アイリーン・アトキンス)の看護を受けながら、彼女が夢うつつに呼んだ名前は「ハリス」だった。聞いたことのない名前に戸惑う娘たちをよそに、さらにアンは「ハリスと私がバディを殺したの」と口走る。アンの意識は、40年以上前へと戻っていた。暑い夏の日、親友ライラ(メイミー・ガマー)の結婚式でブライズメイドをつとめるため、歌手を夢見るアン(クレア・デインズ)はニューヨークからニューポートへやって来た。そして、ライラの弟バディ(ヒュー・ダンシー)に案内された別荘の湖のほとりでハリス(パトリック・ウィルソン)と出会う……。
V・レッドグレイヴ、メリル・ストリープ、グレン・クローズ、C・デインズ、T・コレット――大ベテランから若手実力派まで、ズラリ並んだ錚々たる名女優。このキャスティングだけで、もうお腹いっぱいですが(笑)、その期待に違わず、「いやあ、久々にいいモノ見せていただきました」と言いたくなる映画でした。
有名な歌手にはなれず、お世辞にも幸せとは言えなかった2度の結婚と離婚。たった1人で娘2人を抱えたまま、捨て切れない歌手の夢を追い続けて完璧な母親にもなれなかった。そんなアンが混濁した意識の中で思い返すのは、はるか昔のたった2日間の恋でした。
ハリスはどうしたのか。「バディを殺した」とはどういう意味なのか。それは映画を見ていただくとして、私が考えたのは、自分が人生の最期に何を想うだろうか、ということ(もちろん、突然の最期でそんなこと考えるヒマもないかもしれませんが)。
昔のカレ? それとも、今の相方? 子供たちのこと? 友人? 仕事のこと? 楽しかった思い出? やり残したこと? 自分の人生はこんなはずじゃなかった、もしあの時、別の選択をしていたら、という苦い後悔?
夫と子供2人に囲まれて穏やかな生活を営む長女コンスタンス。そんな幸せな日常にも小さな悩みや後悔はあるのです。一方の次女のニナは、恋人も仕事も長続きしない根無し草の人生。今の恋人ルークは結婚を望んでいるけれど、どうしても決断が出来ない。朦朧とした意識で横たわる母を見守りながら、娘たちも否応なく自分の人生に思いを馳せるのです。
1つも失敗のない、1つも悔いのない人生なんて、きっとどこにもないのでしょう。日々悩み、苦しんで、精一杯選び取った結果が今の人生だったとしたら。そう考えたら、いつ来るかわからない――もしかしたら、遠い未来ではなく、すぐ明日かもしれない――最期の時を、少しは違った気持ちで迎えられるかもしれません。
「そんなの、ただのキレイごと」。そう思われる方もいるでしょう。でも、本作を見て「幸せになろうと努力して。なぜなら、人生に過ちなんてないのだから」というアンの言葉を噛みしめてみて。私は、その言葉をそっと心の片隅に置いておきたくなりました。
「いつか眠りにつく前に」 2月23日~、日比谷みゆき座他、全国で公開
オフィシャルサイト http://www.itsunemu.jp
(c)2007 Focus Features. All Rights Reserved.
今年は誰? アカデミー賞予想(3)

<写真左>ジュリアン・シュナーベル (「潜水服は蝶の夢を見る」) 監督賞ノミネート
(c)Peter Kramer
<写真右>「つぐない」 作品賞ノミネート
(c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved
アカデミー賞 オフィシャルサイト http://www.oscar.com
最終回の今週は、監督賞&作品賞ノミネートです。アカデミー賞前哨戦ともいわれる1月のゴールデングローブ賞の授賞式は、脚本家組合のストライキで中止されるという異例の事態となってしまい、続くアカデミー賞授賞式も心配されていましたが、予定通り2月24日(全米時間)に行われることに。やっぱり、華やかな舞台がないとちょっと寂しいですものね。今年は外国語映画賞に浅野忠信主演「モンゴル」もノミネートされ(日本公開未定だったのが、めでたく4月頃に公開されることも決定)、その結果もまた楽しみです。
<監督賞>
イーサン・コーエン&ジョエル・コーエン 「ノーカントリー」(3月15日公開)
ジュリアン・シュナーベル 「潜水服は蝶の夢を見る」(公開中)
ポール・トーマス・アンダーソン 「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(4月公開)
ジェイソン・ライトマン 「JUNO/ジュノ」(初夏公開)
トニー・ギルロイ 「フィクサー」(4月12日公開)
馴染みのある名前はコーエン兄弟とP・T・アンダーソンでしょうか。他3名は全員初ノミネート。個人的には「サンキュー・スモーキング」の監督だったJ・ライトマンに期待したいところですが、やはりゴールデングローブ賞も受賞したJ・シュナーベルか。突然、倒れて全身の自由を奪われた元ELLE誌編集長が書いた、フランスでベストセラーの自伝(唯一動く左目の瞬きだけで書いた!)が原作。ほとんど動けない主人公を映像にするという、その発想からしてスゴイです。
<作品賞>
「つぐない」 (4月公開)
「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」 (4月公開)
「ノーカントリー」 (3月15日公開)
「JUNO/ジュノ」 (初夏公開)
「フィクサー」 (4月12日公開)
今年は最多8部門にノミネートされたのが「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」と「ノーカントリー」、7部門が「つぐない」と「フィクサー」、4部門が「JUNO/ジュノ」と「潜水服は蝶の夢を見る」と、1つの作品が独走状態というより、まんべんなくノミネートされています。全作品を見ていないため、またもやヤマカンで申し訳ありませんが、「つぐない」を。これは見まして(笑)、よかったので。公開前には、ぜひ改めてご紹介したいと思っています。
来週は結果のご報告をさせていただきます。どうぞお楽しみに!
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2008-02-22 【映画】 | 固定リンク
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宣伝スタッフのローズです。
メリル・ストリープという女優さんは、本当にすごいと思います。
演技がうますぎて、好きな女優さんかと聞かれると、う〜ん素直にそうとは言えないのですが
本当にすごい女優さんです。
今回メリル・ストリープが演じたライラという役(写真左)は
主人公のアンの若き日の親友だった女性です。
..... [続きを読む]
トラックバック送信日 2008/02/22 20:34:04

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