イギリス・コメディの真打がパワーアップして再登場! ──『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』

このコーナーでも、これまでイギリスのコメディ番組をいくつか紹介してきたけれど、やはりイギリスを代表するコメディと言えば、モンティ・パイソンとMr.ビーンでしょう。
風刺とウィットの効いたモンティ・パイソンは「通受け」といった感じなので、イギリス文化や言葉の壁でイマイチ笑えないという人もいるかもしれない。ただ、2月20日に発売される『空飛ぶモンティ・パイソン』“日本語吹替復活”DVD BOXは、オリジナル英語を無視した吹き替えが最高に楽しいのでオススメ。とはいえ、お値段31,290円也、やはりマニア向けですね。
一方、Mr.ビーンは、ほとんどしゃべらず身体を使って視覚だけで笑わせるサイト・ギャグのオンパレードなので、初心者からコアなファン、英語圏以外の人まで幅広く楽しませてくれるのだ。
そのMr.ビーンが、映画版『ビーン』(97年)から約10年ぶりに帰ってきた。それが、この映画『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』。
正直、前作『ビーン』は、アメリカが舞台だったからか、やけに大味な印象だった。ギャグもどことなくキレがなく薄味だったし、なにより、“しゃべるビーン”に違和感を感じてしまったのだ。それを踏まえたからか、今度の舞台は英語圏ではないヨーロッパのフランス。それも、パリから映画祭でにぎわうカンヌまでのトラベル(トラブル?)ムービーだ。
教会のくじ引きで、1週間の南仏旅行とビデオカメラを当てたビーン(ローワン・アトキンソン)は、どしゃぶりのロンドンからピーカンのカンヌへ、いざ出発。とはいえ、火のない所を大火事にだってしてしまうのが、この男。そう簡単にカンヌに着くはずがない。
まず、パリ市内で迷子になり、ガール・デュ・リヨン駅のレストランで一騒動。さらに、ロシアから映画祭に出席するために来た映画監督を駅のホームで呼び止め、ビデオカメラでさんざん自分を撮らせた上に、同じ列車に乗るはずだった監督をホームに置き去りにしてしまう。しかも、車中には監督の息子、10歳のステパン(マックス・ボルドリー)がいて、ビーンのせいで、異国でひとりぼっちになってしまうのだ。
事情を察したビーンは、お得意の百面相でステパンを励まし、父親捜しを手伝うのだが、捜索中にパスポートと財布を置き忘れ一文なし。おまけに、監督はビーンを誘拐犯だと思いこみ、警察に通報しちゃったから、さあ大変。
無一文で言葉も通じない指名手配中の2人が、どうやってカンヌまで行き、監督の居場所の唯一の手がかり、映画祭の会場にいかにして潜りこむのか。そして、ステパンは無事父の元へ、ビーンは念願のビーチへ、たどり着くことができるのかが描かれてゆく。
ビーンと少年の珍道中と聞いて、真っ先にチャップリンの『キッド』を連想したんだけれど、あちらは笑いと涙の感動作。こちらは、笑いとポジティヴ志向の痛快作と言えそう。一文なしなら稼げばいい、手配されてるなら変装すればいい等々、転んでも転んでもタダでは起きないのがビーン流。
「ウィ」「ノン」と、(なぜかスペイン語の)「グラシアス」しかしゃべれないのに、トラブルさえ楽しんで旅を満喫するビーンの姿は、見ていて気持ちいいし、こっちまで旅気分が味わえる。
また、本物のカンヌ映画祭開催中に撮影したレッド・カーペットのシーンも見ものだし、ウィレム・デフォー演じるアメリカ人のナルシスト監督をギャフンと言わせる、ビーンのイタズラも愉快痛快だ。そして極めつき、お騒がせ男ビーンが、天使に見えるサプライズ・シーンからエンディングへの流れも見逃せない。
最後の最後まで、とことん楽しませてくれる、まさに愛すべきトラブルメーカー。ビーン初心者は、あの変顔とキテレツなパフォーマンスに病みつき必至、TV版のコア・ファンもビーンらしいサイト・ギャグの数々に笑いが止まらない、おもしろ快作だ。
『Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!』 1月19日(土)~日比谷みゆき座ほか全国公開
オフィシャルサイト http://www.mrbean.jp/
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2008-01-18 【映画】 | 固定リンク
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