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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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音楽と友情と優しさに満ちた再生のドラマ──『再会の街で』

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どうしようもなく落ち込んだり、傷ついたりしたとき、想い出の曲が心を癒してくれる場合がある。音楽には、ただ楽しむため、ストレス発散のためだけではなく、ときに人を支え、救うパワーがあると思う。そんな、とてつもない喪失感を味わった主人公が、音楽と友情に支えられ、再生してゆく感動作が、この『再会の街で』だ。

ニューヨークに暮らすアラン(ドン・チードル)は、愛する家族に恵まれ仕事も順調の歯科医。一見、何不自由ない成功者に見えるが、心を許せる友だちのいないアランは、職場にも家庭にも息苦しさを感じていた。そんなとき、街で偶然、消息不明だった大学時代の友人チャーリー(アダム・サンドラー)と出会う。だが、チャーリーはアランのことを覚えていないと言うのだ。しかも、歯科医を辞めたあと仕事もせず、趣味はアナログ・レコード集めと模様替え、自分の殻に閉じこもってテレビゲームに興じている。そんなチャーリーが気になったアランは、時間を見つけてはチャーリーのアパートを訪ね、まるで学生時代の延長のような交流を育んでゆく。だが、想い出話には花が咲くものの、消息不明期間の話になると、口を閉ざし話を逸らそうとするチャーリー。そしてアランは、チャーリーが9・11の飛行機事故で最愛の妻子を亡くし、その喪失感から逃れるために、妻と出会った後の記憶をすべてシャットアウトしている、という事実を知るのだ。

チャーリーは、つねにiPodとヘッドホンを携帯し、まるで身を守るかのように音楽に耳を傾ける。流れてくるのは、まだ将来に希望がもてた大学時代に聴いていた70年代~80年代の音楽。それも、愛する女性への思いを歌った曲が多い、というのが、また胸にジーンとくる。

しかも、音楽に支えられ辛うじて生きているチャーリーをただ映すのではなく、アランの目線で見せてゆく、というのがポイント。チャーリーのような経験をしている人はそうはいないし、我々のほとんどはアランの立場だ。そのアランの、「いかにチャーリーとの友情を育んでゆくか」という思いを通して、見ているこちらまでが、チャーリーの喪失や痛みを身近で感じているかのような気分になる。リアルな感情が生々しく伝わってくるのだ。

さらに、良き友人を必要としているのは、チャーリーだけでなくアランも同じという描写が、観る者をより一層スクリーンに引き込む。2人は見た目や性格は正反対だけど、どちらもかなりのコミュニケーション下手。自分の気持ちを素直に出せない、どうせ誰もわかってくれない、というタイプ。そんな2人が、最初はギクシャクするものの、一緒にゲームをし夜遊びをし、付き合いを重ねるにつれ、ケンカもできるようになる。そして、慣れてないからおっかなびっくりの手探りだけど、相手を思いやるようになる。その過程が、なんともステキで微笑ましい。

また、チャーリーが心に抱えるやり切れない喪失感やアランの空虚感をしっかり見据えながらも、ユーモアを忘れないところも本作の魅力。それは、主演2人の人間味あふれる演技によるところ大。サンドラーがユニークさと悲痛さを併せ持つチャーリーになりきれば、チードルは生真面目すぎてバカを見るアランを、万年困った顔で演じ笑いをとる。そのコンビ・バランスが絶妙なのだ。

人は脆い、けれども支えがあれば強くもなれる、そしてなにより愛しいと痛感させる、心に響く人間ドラマです。

Movie122802 『再会の街で』 恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほかにて公開中。以下、全国順次公開
オフィシャルサイト http://www.sonypictures.jp/movies/reignoverme/

 
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2007-12-28 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

世界初! 笑撃の男同士フィギュア・ペア誕生!! ──『俺たちフィギュアスケーター』

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男同士がペアを組む、それも180センチを超える図体のデカい2人組が、あの優美で華麗なフィギュア・ペアの頂点を目指す!! もう、その絵を想像しただけで笑いが込み上げてくる、全米で2週連続ナンバー1を記録した爆笑ヒット・コメディが、この『俺たちフィギュアスケーター』。

かたや、「ここはコンサート会場か」ってほどマッチョな男フェロモンをプンプン放ち、女性ファンのハートをワシづかみにするチャズ・マイケル・マイケルズ(ウィル・フェレル)。かたや、ファンタジックな演技と典型的な王子様ルックスで、子どもたちと良識的オトナたちをウットリさせるジミー・マッケルロイ(ジョン・ヘダー)。
そんな見た目も性格も正反対の2人は、当然、犬猿の仲。かつ、以前は全米フィギュア界の男子シングルで1位を競い合うライバルだった。ところが、お互いを忌み嫌うあまり、同点優勝を遂げた世界選手権の表彰式の最中に、あろうことか殴り合いの大ゲンカ。メダルを剥奪された上に、なんと永久追放されてしまうのだ。
それから3年半後。過去を断ち切れず、スケートに関わる仕事をタラタラこなす、すっかり落ちぶれた2人に朗報が。「永久追放になったのは男子シングルだけ」という事実に今さら気づいた2人は、「だったらペアで再起を賭ける」と、が然ヤル気に。しかし、彼らとペアを組みたがる女子スケーターなんて、いやしない。そこで、前代未聞、話題騒然の男同士ペアが誕生する、というわけだ。実力はピカイチだけど、相性サイアク、おまけに男2人で、ふたたび栄光のスポットライトを浴びることができるのか? というお話。

一方が、身体のみならず態度もデカい「俺さまスター」を気取れば、もう一方は、あくまで優雅に「僕ちゃんプリンス」をアピール。と、主役2人の、そのナリキリぶりからして、もう大笑い。その上、しぶしぶペアを組んだら組んだで、腰に手をあてるだけでもヘンに意識しちゃったり、リフトを高々とこなしたと思ったら、手じゃなく股間を握ってた…とか、男同士ペアならではの珍プレーが続出。それが、イヤミじゃないというか、いかにもアクシデントのようで、2人の困った顔がまたさらなる笑いを誘う爆笑エピソードが満載なのだ。

しかも、コメディだからってナメちゃいけないのが、彼ら2人のスケート・テク。ロック・スターばりのアクティヴさとパッションを魅せるフェレルと、バレエ・ダンサーのような身のこなしで舞うヘダー。カート・ブラウニングやミシェル・クワンなどの振付を手がけるサラ・カワハラのお墨付きをもらったという、名プレーがあるからこそ珍プレーも生きる2人の滑りは一見の価値アリ。

さらに、2人を蹴落とそうとライバル視する、兄妹ペアの陰険ぶりも見もの。2人が単純おバカなのをいいことに、勝つためなら文字どおり何でもヤル、「そこまでやったら犯罪では?」の舞台裏のし烈な闘いもキョーレツだ。

そんな前途多難な状況を乗り越え、栄光をつかむことができるのか? 勝利を目指し猛特訓する、超人的難易度の必殺技を成功させることができるのか? それ以前に、執拗な兄妹ペアの魔の手から逃れることができるのか? 等々、いろんな面で楽しめる。
お下劣ギャグも多々あれど、2人が自分の気持ちに正直で根が純だからか、その「可愛いおバカぶり」に笑わずにはいられない。なにしろ、2人につられて、トリノ五輪の女子シングルで銀メダルを取った、あのサーシャ・コーエン(本人役で出演!)までもが捨て身の演技を披露しちゃうんだから。陽気な下ネタとお見事なスケーティングで、観る者を高揚させ爆笑の渦に巻き込む、恐るべしポジティヴ・おバカ・ムービーだ。

Movie122102 『俺たちフィギュアスケーター』 12月22日(土)~渋谷シネマGAGA!、なんばパークスシネマほか全国順次公開
オフィシャルサイト http://oretachi.gyao.jp
(c) 2007 DREAMWORKS LLC, ALL RIGHTS RESERVED.

 
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2007-12-21 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

孤独=自分と向き合えば、生き残れる?──『アイ・アム・レジェンド』

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もし自分が「人類最後の1人」という事態になったら、どうするだろう? いくら、ふだん人間関係が煩わしいと言ったって、話しかける相手もいない、答えてくれる人もいない、では…。そんな状況を想像するだけでも、恐ろしい。それが、リチャード・マシスンの同名小説を映画化した、この『アイ・アム・レジェンド』なのだ。

映画は、あの活気と喧噪にあふれた姿はどこへやら、建物は朽ちかけ、死んだように静まり返った2012年のニューヨークの風景から幕を開ける。道には廃車が乱雑に放置されている。「いったい何が起こったのか?」と頭をめぐらせていると、障害物を巧みに避け通りを走り抜ける、1台の真っ赤なマスタングが姿を現す。乗っているのは、ロバート・ネビル(ウィル・スミス)と愛犬のサム(アビー)。この1人と1匹は、3年間、お互いだけを頼りに暮らしてきた。
さかのぼること3年前の2009年。現代人がもっとも恐れる病・ガンの特効薬として開発されたウイルスが、皮肉にも人類を破滅へと追いやったのだ。ネビルは破滅を食い止めるために駆り出された有能な科学者だったが、ウイルスの威力はそれ以上だった。けれども、定めか、試練か、彼だけは感染しない特殊体質で、人類最後の1人として生き残る。
そして始まる、気が遠くなるような孤独との闘い。さらに、人類の絶滅と引き換えに出現した、日が沈むと蠢きだす“ヤツら”がいる。そんな絶望的な現実を、いかにしてサバイブしていくのか、が映しだされてゆく。

もちろん、“ヤツら”が何物で、どうやって1人で立ち向かうのか、も気になるところ。たしかに、緊張感とスリルたっぷりに描かれてもいる。ただ、この映画ほど大作感はなくとも、似たタイプの映画は以前にも見たことがある。
それ以上に、本作に引き込ませるのが、冒頭でも言った「孤独感」だ。詳しい説明もなく、寂れた人気のないニューヨークにポンと放り込まれる。「自分だったら何をする?」と思わずにはいられない。劇中、ネビルは毎日、メッセージを無線放送する。「私の名はロバート・ネビル。ニューヨークで生き残っている。もし誰か聞いているなら、応えてほしい」と──。
「きっと私も彼と同じように生存者を捜すだろう、でも3年もなんて耐えられるだろうか?」と、つねにネビルと行動を共にしているような、自分が彼の立場だったらと考えずにはいられない。まさに、体感度満点のリアルなシミュレーション。
また、興味深い点も多々あり、例えば「働かなくてすむのなら働きたくない」というのが人情(私情かな?)なのに、ネビルはとっても規律正しいストイックな暮らしを送っている。その姿を見て、人って「やるべきこと」があるから生きていられるのかも、と思わされたり。あるいは、どんな苛酷な状況の中でも、例えば航空母艦の上でのゴルフや、DVDショップ内のマネキン美女への恋心などの“お楽しみ”を生み出せるタフさに感心したり。あるいは、ネビルを勇気づけるのにボブ・マーリィの曲が印象的に使われる様を見て、音楽の力をあらためて痛感したり。
もしかしたら、誰か生存者がいるかもしれないという、ささやかな「希望」と、最愛の人すら救えなかったという「後悔の念」が、ネビルを前へと突き動かす。その姿は、感動的ですらある。

そんな孤独や恐怖、葛藤をほとんどセリフがないにもかかわらず、しぐさや表情でリアルに味あわせる、ウィル・スミスの演技が絶妙。さらに、彼の言葉に聞き入り、抜群の返しをみせる愛犬サム役のアビーちゃんの名演も見ものですよ。

Movie121402 『アイ・アム・レジェンド』 12月14日(金)~サロンパス ルーブル丸の内ほか全国にて公開
オフィシャルサイト http://wwws.warnerbros.co.jp/iamlegend/
(c) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc.

 
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2007-12-14 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

ゴッド・ハンドが愛と笑いと感動をもたらす!?──『やわらかい手』

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ときに、ピンチがチャンスに変わる場合がある。窮地に立たされたとき、ふだんの自分だったら選択しないようなことに思いきってチャレンジしてみると、道が拓けることもあるのだ。
映画で言えば、失業中、または悩める中年オヤジたちが生活向上のためストリッパーを目指す『フル・モンティ』(97年)とか、傷心の親友を励ますため、婦人会のおばさま方が自ら一肌脱いでヌード・カレンダーを作る『カレンダー・ガールズ』(03年)とか。どちらもイギリス映画なのだが、ギョッとするようなちょいエロ・テーマを心地いい笑いと感動に変えてしまうのが、じつに上手い。そして今回とりあげる、同じくイギリスが舞台の『やわらかい手』も、まさにそんな映画のひとつなのだ。

ロンドン郊外の小さな町に暮らすマギー(マリアンヌ・フェイスフル)は、夫に先立たれ、息子も独立した今や、孫だけが生きがいの中年主婦。だが、その孫は難病を患っていて、手術を受けないと命が危ない状態。しかも、手術には大金がいる。そこでマギーは、最愛の孫のために費用を調達すべく職探しを始めるのだ。とはいえ、経験も資格もない身。手術費をまかなえるほどの収入を得られる仕事先が、そう簡単に見つかるわけはない。
そんな切羽詰まった彼女の目に飛び込んできたのが、あるセックスショップの「接客係募集」の張り紙だった。こんなおばさんだから、どうせ裏方の仕事だろうと思ったら、なんと「手」を使って男たちを昇天させる「接客係」!! 男たちは急所部分に丸い穴の空いた壁の向こう側にいるので、直接顔を合わせる必要はないが、やはりフツーの主婦には抵抗がある仕事。だが、孫の手術は待っちゃくれない、と覚悟を決めるマギー。もちろん、ヤルからには本気で取り組む。その努力と資質の甲斐あって、たちまち行列ができるほどの人気者になってゆくのだが…。

マギーは口数も多くはないし、淡々としているんだけど、内面からにじみ出す品の良さとユーモア・センスがある。だからか、“風俗店なんて”という偏見や、“孫のためにカンバってます”という湿っぽさを感じさせないのが魅力。
なにしろ、最初は見知らぬ男たちのアソコを触るなんて、と目を白黒させていたのが、一度「こう」と決めた女は強し。殺風景な仕事部屋を花や小物で飾りつけ、「さぁヤルぞ!」とエプロンを締めて、前向きに仕事に臨んでゆく。そんなマギーの姿が、なんともチャーミングで痛快。さらに、みるみる人気を獲得する「天性のゴッド・ハンドの持ち主だった!」というのだからケッサクだ。

その中年主婦マギーを演じるのは、60年代に一世を風靡し、ドラッグ中毒でどん底に陥るも立ち直り、いまだ現役の歌姫マリアンヌ・フェイスフル。あのミック・ジャガーをはじめ世の男性諸氏をメロメロにし、「ルパン三世」の峰不二子のモデルとも言われる女性だ。女優としても、近作では『インティマシー/親密』や『マリー・アントワネット』などにも出演している。
マギーが放つ「品」と「キモの座り具合」は、まさに酸いも甘いも噛みわけてきたマリアンヌならでは。しかも、ただ逞しいだけじゃなく、本当に「可愛い女性」としてマギーを魅せてくれる。おまけに、孫を助けるためだけのドラマでは終わらない、艶っぽさのあるイキなエピソードまで用意されている。
いくつになっても女は現役、いくつになっても可憐かつタフであれ。マリアンヌだからというのではなく、同じ女としてこの心意気は見習いたいもんです。

Movie120702 『やわらかい手』 12月8日(土)~Bunkamura ル・シネマにて公開、以下順次
オフィシャルサイト http://www.irina-palm.jp/

 
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2007-12-07 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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