甘酸っぱ~い“ひと夏の想い出”──『ディセンバー・ボーイズ』

身も心も凍える今日この頃、心温まる「夏の映画」を観るというのもオツなもの。それが、このハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフくんが新たな一面を魅せる、と話題を呼んでいる『ディセンバー・ボーイズ』。「夏の映画」と言っても、舞台は12月の南オーストラリア。そう、あちらは今が真夏なんですねえ。
季節をテーマにした映画の中でも、とくに「夏」がテーマと聞くと、もうそれだけで心がトキメいてしまうのは、私だけではないだろう。やっぱり夏は開放的な気分になるし、思春期の少年少女が、ちょっと背伸びした恋や冒険をしてオトナになる季節でもある。古くはジェニファー・オニール主演の『おもいでの夏』(71年)、あるいはジョディ・フォスター主演の『君がいた夏』(88年)は、年上の女性への恋物語。ひと夏の冒険ということなら『スタンド・バイ・ミー』(86年)がそうだ。
そして、そんな思春期の少年たちの「特別な夏」を描いた、新たな胸キュン映画の誕生と言えるのが、本作なのである。
1960年代の南オーストラリア。孤児院で暮らすティーンエイジャーの4人組、マップス(ダニエル・ラドクリフ)、ミスティー(リー・コーミー)、スパーク(クリスチャン・バイアーズ)、スピット(ジェイムズ・フレイザー)は、全員12月生まれの仲間。そんな彼らに、院長が、夏の休暇を海辺の村で過ごすという特別プレゼントを与えてくれたのだ。初めての遠出ドライブ、初めてのカーニバル、そして初めての海に大はしゃぎ。さらに、彼らは村で“希望”に出会う。滞在先の隣に住むステキな若夫婦が、子どもができず悩んでいるという話を偶然、ミスティーが聞いてしまうのだ。これまで年下の子たちが何人も養父母に引き取られてゆくのを横目で見てきた彼らは、「今度こそは」と若夫婦に気に入られるゾ作戦を開始。ただし、養子になれるのは1人だけ。しかも、最年長のマップスは「自分はムリ」とはなっから争いには加わらず、1人で別行動を取るようになるのだが…。
彼らの友情は、養子騒動でどうなってしまうのだろう? という行く末と共に見ものなのが、マップスの初めての恋だ。他の少年たちの小競り合いを尻目に、美少女ルーシー(テリーサ・パーマー)と知り合い、恋に落ち、そして愛を知る。
最初はハリーと違う、意外とたくましいラドクリフくんに戸惑いを覚えるかもしれない。けれど、クールぶっていても、じつは愛を求めている、ナイーヴな彼に自然と引き込まれてしまうのだ。ルーシーにリードされるラブシーンも、初々しくて微笑ましいしね。また、夏の恋ならではの顛末が、美しくもせつないんだ、これが。
加えて、物語がミスティーの回想という形で進行してゆくということもあって、ただありのままを撮るだけの映像では終わっていない点もポイント。「鮮やかな想い出」というか、「リアルな夢物語」のような映像美でひと夏の体験が映しだされているのだ。なかでも、南オーストラリアのアデレードとカンガルー島でロケをした、ユニークな入り江や芸術的造形の岩山「リマーカブル・ロックス」、白い砂丘「リトル・サハラ」など、まるでアートみたいな自然美にはウットリしてしまう。
そうしたハツラツとした少年たちの姿、ちょっぴり大人になるせつない体験、色彩に富んだ映像が、心をとらえ目を奪う。その上、ラストでとびっきりの友情をみせてくれる。ピーター・シンコッティが歌う、胸に響くエンディング・テーマが流れるころには、まさに感無量。派手さや斬新さはないけれど、心地いい感動に浸れる「ひと夏の想い出」だ。
『ディセンバー・ボーイズ』 12月1日(土)~サロンパス ルーブル丸の内ほか全国にて公開
オフィシャルサイト http://wwws.warnerbros.co.jp/decemberboys/
(c) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc.
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2007-11-30 【映画】 | 固定リンク
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