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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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甘酸っぱ~い“ひと夏の想い出”──『ディセンバー・ボーイズ』

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身も心も凍える今日この頃、心温まる「夏の映画」を観るというのもオツなもの。それが、このハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフくんが新たな一面を魅せる、と話題を呼んでいる『ディセンバー・ボーイズ』。「夏の映画」と言っても、舞台は12月の南オーストラリア。そう、あちらは今が真夏なんですねえ。
季節をテーマにした映画の中でも、とくに「夏」がテーマと聞くと、もうそれだけで心がトキメいてしまうのは、私だけではないだろう。やっぱり夏は開放的な気分になるし、思春期の少年少女が、ちょっと背伸びした恋や冒険をしてオトナになる季節でもある。古くはジェニファー・オニール主演の『おもいでの夏』(71年)、あるいはジョディ・フォスター主演の『君がいた夏』(88年)は、年上の女性への恋物語。ひと夏の冒険ということなら『スタンド・バイ・ミー』(86年)がそうだ。
そして、そんな思春期の少年たちの「特別な夏」を描いた、新たな胸キュン映画の誕生と言えるのが、本作なのである。

1960年代の南オーストラリア。孤児院で暮らすティーンエイジャーの4人組、マップス(ダニエル・ラドクリフ)、ミスティー(リー・コーミー)、スパーク(クリスチャン・バイアーズ)、スピット(ジェイムズ・フレイザー)は、全員12月生まれの仲間。そんな彼らに、院長が、夏の休暇を海辺の村で過ごすという特別プレゼントを与えてくれたのだ。初めての遠出ドライブ、初めてのカーニバル、そして初めての海に大はしゃぎ。さらに、彼らは村で“希望”に出会う。滞在先の隣に住むステキな若夫婦が、子どもができず悩んでいるという話を偶然、ミスティーが聞いてしまうのだ。これまで年下の子たちが何人も養父母に引き取られてゆくのを横目で見てきた彼らは、「今度こそは」と若夫婦に気に入られるゾ作戦を開始。ただし、養子になれるのは1人だけ。しかも、最年長のマップスは「自分はムリ」とはなっから争いには加わらず、1人で別行動を取るようになるのだが…。

彼らの友情は、養子騒動でどうなってしまうのだろう? という行く末と共に見ものなのが、マップスの初めての恋だ。他の少年たちの小競り合いを尻目に、美少女ルーシー(テリーサ・パーマー)と知り合い、恋に落ち、そして愛を知る。
最初はハリーと違う、意外とたくましいラドクリフくんに戸惑いを覚えるかもしれない。けれど、クールぶっていても、じつは愛を求めている、ナイーヴな彼に自然と引き込まれてしまうのだ。ルーシーにリードされるラブシーンも、初々しくて微笑ましいしね。また、夏の恋ならではの顛末が、美しくもせつないんだ、これが。

加えて、物語がミスティーの回想という形で進行してゆくということもあって、ただありのままを撮るだけの映像では終わっていない点もポイント。「鮮やかな想い出」というか、「リアルな夢物語」のような映像美でひと夏の体験が映しだされているのだ。なかでも、南オーストラリアのアデレードとカンガルー島でロケをした、ユニークな入り江や芸術的造形の岩山「リマーカブル・ロックス」、白い砂丘「リトル・サハラ」など、まるでアートみたいな自然美にはウットリしてしまう。

そうしたハツラツとした少年たちの姿、ちょっぴり大人になるせつない体験、色彩に富んだ映像が、心をとらえ目を奪う。その上、ラストでとびっきりの友情をみせてくれる。ピーター・シンコッティが歌う、胸に響くエンディング・テーマが流れるころには、まさに感無量。派手さや斬新さはないけれど、心地いい感動に浸れる「ひと夏の想い出」だ。

Movie113002『ディセンバー・ボーイズ』 12月1日(土)~サロンパス ルーブル丸の内ほか全国にて公開
オフィシャルサイト http://wwws.warnerbros.co.jp/decemberboys/
(c) 2007 Warner Bros. Entertainment Inc.

 
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2007-11-30 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

次が知りたい、止まらない、ハマる面白サスペンス──DVD『4400-フォーティ・フォー・ハンドレッド』

Movie112301

海外ドラマというと、『24』『プリズン・ブレイク』がダントツ人気だけど、まだまだおもしろいドラマはあるんですよ。日本では、まずWOWOWで放映され、現在シーズン3がDVDレンタル中の、この『4400-フォーティ・フォー・ハンドレッド』もそのひとつ。本当に“見たらハマる”、謎あり、不思議あり、人間ドラマありの、後を引くドラマ・シリーズ。

なにしろ、シーズン1の始まりからして、意表を突く。約60年間にわたり、謎の失踪を遂げた人種も年齢もバラバラな世界各国の人々が、なんと2004年のシアトル郊外に突然、姿を現すのだ。その数、4400人。彼らは失踪後の記憶がなく、誰もが失踪時からまったく年を取っておらず、格好もその時のまま。ただひとつ以前と異なるのは、彼らは特殊能力を授かって戻ってきたということ。ある者は人の心を読み、ある者は人並みはずれた怪力を身につけ、またある者は念を送るだけで病気が治せるという能力がある。その一方で、人を死に追いやるような邪悪な力を持つ者もいるのだ。誰が彼らを連れ去り、なぜ力を与えて戻し、何をしようというのか? が描かれてゆく。
続くシーズン2では、シーズン1は序章にしかすぎなかったと思わせるような、生還者である通称“4400”の驚異の能力の数々が映しだされてゆく。と共に、彼らを脅威に感じ排斥しようとする人間たちも出てくる。さらに、4400たちをコントロールしようとする政府の陰謀も明らかになる。
そしてシーズン3では、またしても想像を絶する展開から幕を開ける。シーズン2で産まれた4400の赤ちゃんが、なんとこの3で一瞬にして成長(!?)、見た目は立派な女性になって登場するのだ。彼女は4400の味方なのか? 敵なのか? を軸に、さらに激化する4400vs政府の戦いが描かれてゆく。

まず、4400の能力が1人としてカブっていないので、見ていて飽きることがないのだ。“特殊能力者もの”と言っても、たいてい主役オンリーか、多くても4~5人、いま衛星で放映中のテレビシリーズ『Heroes/ヒーローズ』は10数人いるらしいけど、それにしたって4400人にはかなわない(笑)。まさに、アイデアの勝利。
しかも、特殊能力者vs人間というだけの話なら、単なるSFドラマで終わっちゃうけど、この4400は望んでもいないのに能力を授かってしまった“人間”であり、“被害者”でもあるというのもポイント。無事に戻れたと思ったのもつかの間、身内や友人は年を取っていたり、亡くなっているという現実にとまどい、人間離れした能力に悩み、迫害に傷つく。それが、見ていてなんとも切ないし、おのずと感情移入してしまうのだ。
さらに、1話ごとに個人個人がフィーチャーされる4400のメンバーに加えて、シリーズを引っ張るメイン・キャラ、4400に関する事件を調査する捜査官トムとダイアナの人間味も本シリーズの味。政府の人間でありながら、2人ともが4400と密接な関係を持っている。これは任務なんだと簡単には割り切れない、2人の心の揺れがドラマに深みと親しみをもたらす。
4400は世界の救世主となるのか? それとも災いの元なのか? 「次はどうなる? どう出る?」と頭を働かせるうちに、彼らと2人の捜査官の心情に深入りしていく、脳にも心にも効くドラマですよ。

また、アメリカでは既にシーズン4の放映が終了してるのだけど(日本放映は来年)、その4にはなんと本シリーズにハマっちゃって、“日本特別捜査官(という名で、このDVDのPRも買って出ている)”の「くりぃむしちゅー」がゲスト出演! といっても、通行人レベルの役らしいんですが…。本人たちいわく「“ウォーリーをさがせ”気分で見つけてください」とのこと。“くりぃむさん”をさがすお楽しみまである、シーズン4も期待大だね。

『4400-フォーティ・フォー・ハンドレッド』
発売元:パラマウント ジャパン
レンタル:シーズン1~3はレンタル中。
セル:シーズン1(税込4,935円)、シーズン2(税込9,975円)のコンプリートボックスは発売中。シーズン3 コンプリートボックスは12月19日発売(税込10,290円)

オフィシャルサイト http://www.paramount.jp/4400/

Movie112302_3
◎(左)シーズン1 コンプリートエピソード[2枚組・全6話]/4,935円(税込)
◎(右)シーズン2 コンプリートボックス[4枚組・全13話]/9,975円(税込)

 
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2007-11-23 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

“食”を知ることで“生”を見つめる──『いのちの食べかた』

Movie111601

ちょっと前のBSE問題に始まり、ここ最近の消費/賞味期限の改ざんなど、食問題が見直されるどころか、次から次へとボロが出てくる昨今。まあ、陰でコソコソやられるよりは公になったほうがまだマシだから、あまり神経質になりすぎるのもどうかとは思う。ただ、品質表示すら疑わしいとなると、私たちも情報をただ鵜呑みにするんじゃなくて、もっと“食”と真剣に向き合うことが必要なのかもしれない。そんな“食べるということ”の意味を、いろいろと考えさせてくれるのが、このドキュメンタリー映画『いのちの食べかた』だ。

まず、始まってすぐに驚かされるのが、ドキュメンタリーにつきもののナレーションもなければコメントもない、その上、BGMさえかからないということ。ベルトコンベアで運ばれる大量のヒヨコ、整然と吊るされている豚の肉、水に浮いた大量のリンゴ、房取りトマトやホワイトアスパラの収穫などなど、めったに目にすることのない“食の生産現場”映像が淡々と映しだされてゆく。
にもかかわらず、退屈するどころか、目はスクリーンに釘付け状態。逆に説明がないぶん、先入観なしのまっさらな気持ちで見られるし、「いま、目の前で起こっている光景は何なの? どうなるの?」と、頭を回転させながら見ることになるので、否応なしに引き込まれてしまうのだ。まさに、絵が口以上に物を言う、といった感じ。

そして、さらに驚くのが、食料を生み出す現場が思っていた以上にクリーンで機械化されている、ということ。とくに、牛や豚を食肉に加工する場所は、生産・管理・衛生がビックリするほど行き届いているのだ。
とはいえ、この徹底した合理化というのも善し悪しで、私たちの血となり肉となるモノをつくっているはずなのに、すっごく無気質な感じがする。たとえば、広大な畑を悠々と行進する大型機械、あるいはヒマワリ畑を低空飛行し薬をまく飛行機、あるいはアーモンドの木の実を巨大マジックハンドで揺さぶり落とす機械。さらに、そこで働く人々でさえ、機械的に作業をこなしてゆく。
効率を考えて人間がつくりだしたシステムだということはわかっていても、なんだか機械に支配された、命が軽んじられるSF映画の世界を目の当たりにしているような錯覚に陥る。

Movie111602

だからといって、約2年間かけて取材し撮影したニコラウス・ゲイハルター監督は、この合理化システムや誰かを糾弾しようとはしない。あくまでも客観的に、ときには美しいとさえ感じさせる映像で、“現実”を見せてゆく。
なかには、「牛(うし)」が処理されて「牛肉」になるシーンも出てくる。私たちが実際に見ることのほとんどない作業の様子に「いのちを食べることとは、こういうことなんだ」と、動揺する人も多いだろう。とはいえ「だったら、お肉は食べなきゃいいんでしょ」と言うのは、あまりにも短絡的だ。なぜなら、食べる食べないにかかわらず、これが世の中の現実で、自分はその現実の一端によって「生かされている」のだから。
監督いわく「観客にはただこの世界に飛び込んで、自分なりの受け止め方をしてほしい」。そう、まず目を背けないこと、そして知ること。きっと、見る前と後とでは“食”との向き合い方が変わると思いますよ。

『いのちの食べかた』 渋谷シアター・イメージフォーラムほかにて公開中、以下全国順次公開
オフィシャルサイト http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/

 
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2007-11-16 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

刺激とスリル満載の“自分探し”──『ボーン・アルティメイタム』

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これほどスリル満点の“自分探しの旅”映画には、めったにお目にかかれない! それが、記憶を失った主人公ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)が、世界をまたにかけて自分の過去を取り戻すまでを描く《ボーン》シリーズ。ロバート・ラドラムの傑作スパイ小説を現代的にアレンジし、スリリングかつ臨場感たっぷりに映画化した大ヒット・シリーズだ。

第1作『ボーン・アイデンティティー』では、嵐の地中海で瀕死の重症を負った男が救出されるところから始まる。九死に一生を得たものの記憶を喪失した、その男=ジェイソン・ボーンが、わずかな手がかりを頼りに自分が何者なのかを突き止めようとすると、次々と刺客が現れ、行く手を阻み……。と、自己の存在(アイデンティティー)を明らかにするための逃避行が描かれてゆく。
つづく第2作『ボーン・スプレマシー』では、自分がCIAの極秘プロジェクトの産物である、最強の殺し屋だったということは判明した。しかし、いまだ記憶が完全には戻らないボーンは過去を捨て、愛する人との人間らしい未来を歩もうとする。だが、CIAはボーンの息の根を止めようと執拗に追跡、未来を奪う。再び戦いの舞台に引きずり出されたボーンは、再度過去と向き合う決意を固め、至高(スプレマシー)の戦いを繰り広げてゆく。
そして、とうとうボーンの自分探しの旅が終着点を迎える! ついに記憶が戻り真実が明かされるのが、この第3作『ボーン・アルティメイタム』なのである。何が何でもボーンを抹殺しようと総出で追跡してくるCIAの裏をかき、真相にたどり着き、最後通告(アルティメイタム)を下すボーンの大活躍を緊迫感たっぷりに追ってゆく。

シリーズものの多くは、舞台や時を変えているので、はじめから見なくても理解はできるし、それなりに楽しめる。ただ、この《ボーン》シリーズは、ぜひとも1作目から順を追って見てほしい作品であり、通して見るべき価値のある作品なのだ。なぜなら、ボーンの自分探しの旅は、我々を道連れにするから。まるで、ボーンと一緒に旅をしているかのような感覚が味わえるのだ。しかも、旅を重ねるにつれ、多くを語らずの孤独な彼の心情や、成長ぶりが感じ取れて、うれしくなってしまう(「誰もアナタを理解してなくても、私だけはわかってるよ」風の、あの感じです)。

そして、演じるマット・デイモンのカッチョよさと言ったら。「他の映画ではジミー大西ちゃんみたいだけど、このシリーズではホントにカッコいい!」という評判も納得の男っぷりの良さ(ちょっとヒドい言われようですが…)。程よく筋肉のついた凛々しいボディと精悍なマスクは、眺めてるだけでもシビれますよ。

そんな男前のヒーローと行く、スイス、フランスほか(第1作)、インド、ドイツ、ロシアほか(第2作)、そしてイギリスのロンドン、モロッコのタンジール、アメリカのニューヨークほか(第3作)といった世界めぐり。それも、観光名所とはひと味違う地元色豊かな場所でのカーチェイスあり、銃撃戦あり、肉体バトルありの、とっても刺激的でスリリングな旅。
なにより、シリーズを重ねてもテンションが落ちることなく、加速(今回の3作目などは、まさにノンストップ・アクション)してゆくのがスゴい。
さあ、あなたも一緒に出かけませんか? 極上のスリルを味わいに。

Movie110902『ボーン・アルティメイタム』 11月10日(土)~日劇1ほか全国にて公開
オフィシャルサイト 
http://www.bourne-ultimatum.jp/
(c) 2006 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 
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2007-11-09 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

心が“しあわせ”で満たされる感動作──『オリヲン座からの招待状』

Movie110201

偏見かもしれないけど、小説の映画化にはちょっと抵抗がある。これまで、どんなに映画の出来が良くっても、原作を超える映画には出会えていないからだ。きっと、想像力の問題だと思う。絵のない小説の方が、いくらでも妄想がふくらむから。その後、スクリーンで絵を見ても、自分のイメージとのギャップに違和感を感じて、映画そのものにのめり込めなくなってしまう。なので極力、映画を先に観て、気に入ったものは原作も読むようにしているんだけど、今度は役者の顔がチラついて想像力が減退してしまうんですよねぇ(笑)。
しかし、“へぇ~、こんなアプローチもあるんだぁ”と目からウロコだったのが、浅田次郎の短編集『鉄道員』の中の1編を映画化した、この『オリヲン座からの招待状』。スポットをどの登場人物に、そして現在(原作)、それとも過去(映画)に当てるかで、味わいが違う。たしかに、同じことを描いてはいるんだけど、目線を変えるだけで拡がりが出てくるのだ。別項のインタビューで、浅田氏本人も「小説と映画が理想的な愛情関係にあることがわかる好例」と述べているが、まさにそのとおり。映画の主人公、トヨ(宮沢りえ/中原ひとみ)と留吉(加瀬亮/原田芳雄)の相手を思いやり慈しむ夫婦関係のように、映画が意志と敬意をもって小説に連れ添っている。

物語は、東京で別居生活を送る夫婦、裕次(田口トモロヲ)と良枝(樋口可南子)の元に、故郷の京都から1通の招待状が届くところから始まる。それは、子ども時代の2人にとっての想い出の場所、京都の映画館のオリヲン座が閉館するという知らせであり、それに伴う最後の上映への招待でもあった。
昭和30年代のオリヲン座は、映画好きで職人肌の館主(宇崎竜童)と働き者の妻トヨ(宮沢りえ)、そして頑張り屋の弟子、留吉(加瀬亮)で切り盛りしている憩いの場だった。しかし、館主が病に倒れ他界してしまったあたりから、状況が厳しくなる。未亡人の若女将と住み込みの弟子というだけで口さがないウワサを立てられたり、テレビの登場で映画産業自体も下火になりつつある時代。それでも、2人は館主の「ほかしたらあかん」という遺志を受け継ぎ、オリヲン座を守り続ける。その模様と、そして迎える最終興行までが描かれてゆく。

舞台が映画館ということもあるからかもしれないけど、『ニュー・シネマ・パラダイス』の昭和版といった趣。『ニュー・シネマ~』にも、トト少年と映写技師のおじさんの印象的な自転車シーンがあったけど、こちらでは宮沢りえちゃんが、切ないくらい美しい自転車シーンをみせてくれる。さらに、『ニュー・シネマ~』にエンニオ・モリコーネの心に残る音楽があったように、こちらにはジャズ・アーティストの上原ひろみの音楽があり、それがまた泣けてくるほど心に響く。
とはいえ、こっちの主役は男と女、そしてその関係という部分が、本作ならではのポイント。主人公であるトヨと留吉の、自分の気持ちを抑えて、つねに相手を思いやる、恋愛と友情の間のようなパートナーシップが、ステキなのだ。トヨは夫の遺志を継いでくれた留吉に感謝の心を忘れないし、留吉はオリヲン座もトヨも全力で守ろうとする。同じ目的があるから、ひとりじゃないから、どんな中傷も困難も乗り越えられる。こんな愛し方もあるんだなぁ~と、観ているこっちの気持ちまで温かくする、やさしい関係。
そんな2人のつながりが、裕次と良枝に忘れていた大切なことを想い出させる。あの頃はよかったという想い出話で終わるのではなく、きちんと“いま”の話になっているところもイイ。ぜひとも、恋人や親友と観に行ってほしい、やさしさに感涙する作品です。

Movie110202 『オリヲン座からの招待状』 11月3日(土・祝)~全国東映系にて公開
オフィシャルサイト http://www.orionza-movie.jp/
(c)2007「オリヲン座からの招待状」製作委員会

 
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2007-11-02 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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