アナタもだまされる?──『パーフェクト・ストレンジャー』

サスペンス映画の醍醐味といえば、やっぱり“犯人当て”。そんな、こちらの闘争心に火をつけるのが、「その結末は、あまりにもアリエナイ」「ラスト7分11秒、衝撃の真実に、あなたは絶対だまされる」といった宣伝文句で挑発する、この『パーフェクト・ストレンジャー』。
主人公のロウィーナ(ハル・ベリー)は、ターゲットの心の隙に入り込み、秘密を暴くことに長けた新聞記者。しかし、彼女がようやくつかんだ特ダネ、上院議員のスキャンダルを上層部にもみ消されたため、納得できない彼女は新聞社を辞めてしまう。そんな時、彼女の幼なじみ、グレース(ニッキー・エイコックス)が変死体となって発見される。警察はグレースの元恋人の犯行と見ているようだが、ロウィーナには別に思い当たる容疑者がいた。じつは、グレースが殺される数日前に、ロウィーナは彼女と駅で偶然再会。その時グレースは、ネットの出会い系サイトで知り合った広告業界の大物ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)に、深い仲になったあと捨てられたと言い、不倫関係を記事にして公にしてほしいと、ロウィーナに頼んでいたのだ。ハリソンが口封じのために殺したのかもしれない…そう思ったロウィーナは、別人になりすまし出会い系サイトにアクセス。と同時に、彼の会社にも派遣社員として潜り込み、単独で真相を暴こうとするのだが…。
冒頭のあおり文句も「ホントかなあ?」と半信半疑で観たんだけど、たしかに“ありえないオチ”ではある。「これはないでしょう」と思わず笑っちゃいましたもん。
なにしろ、登場人物の誰もが怪しい。いちばん怪しいハリソン役のブルース・ウィリスからして、いかにも犯人っぽい。でも、ただの女好きオヤジかも…。いやいや、やっぱり犯人だよ等々、揺さぶりをかけまくる。その他の人たち、ロウィーナに協力する元同僚で、パソコンに精通しているマイルズ(ジョヴァンニ・リビシ)にしろ、グレースの元恋人キャメロン(ゲーリー・ドゥーダン)にしろ、隠している重大な秘密があるし、嫉妬深いハリソンの妻(ポーラ・ミランダ)にも動機がある。と、だいたいサスペンスものは疑惑のキャラが勢揃いするものなのだが、それにしてもみんながみんな露骨に疑わしすぎる。
そうした中から、頭をめぐらせ消去法でいくと、もしかしたら真犯人に行き着くかもしれない。ただし、犯人を言い当てたとしても、理由まではラスト7分11秒を見るまでわからないのよ、これが! ゆえに、誰もが絶対だまされる、ありえない結末ってわけ(笑)。
ただ、“ありえないオチ”ではあるけれど、一応スジはとおっているから、腹も立たない。その過程、翻弄されるスリルを楽しんで、という内容になっているのだ。それに、舞台となるニューヨークのおしゃれなレストラン「Asia de Cuba」「Sapa」や老舗のバー「チャムリーズ」、あの“グランド・ゼロ”に建てられたビルを使ったハリソン・ヒルのオフィスの外に広がる景観など、目を奪われるシーンも多々あるし。そしてなんといっても、時には颯爽としたキャリアウーマン・ルック、時には真っ赤なドレスでセクシーに迫る、ハル・ベリーの艶やかな美しさには、同性でも釘付けだよ。さらに、オチをネタにあーでもない、こーでもない、と重箱の隅をつつくのも、また楽し。私も、映画会社の人に「最初からこうすれば、もっと簡単なのでは?」と突っ込んでみたところ、「それでは映画が成り立たない」と一蹴されちゃいましたが。とほほ。
『パーフェクト・ストレンジャー』 9月29日(土)~サロンパス ルーブル丸の内ほか全国公開
オフィシャルサイト http://www.movies.co.jp/perfectstranger/
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