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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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アナタもだまされる?──『パーフェクト・ストレンジャー』

Movie0928

サスペンス映画の醍醐味といえば、やっぱり“犯人当て”。そんな、こちらの闘争心に火をつけるのが、「その結末は、あまりにもアリエナイ」「ラスト7分11秒、衝撃の真実に、あなたは絶対だまされる」といった宣伝文句で挑発する、この『パーフェクト・ストレンジャー』。

主人公のロウィーナ(ハル・ベリー)は、ターゲットの心の隙に入り込み、秘密を暴くことに長けた新聞記者。しかし、彼女がようやくつかんだ特ダネ、上院議員のスキャンダルを上層部にもみ消されたため、納得できない彼女は新聞社を辞めてしまう。そんな時、彼女の幼なじみ、グレース(ニッキー・エイコックス)が変死体となって発見される。警察はグレースの元恋人の犯行と見ているようだが、ロウィーナには別に思い当たる容疑者がいた。じつは、グレースが殺される数日前に、ロウィーナは彼女と駅で偶然再会。その時グレースは、ネットの出会い系サイトで知り合った広告業界の大物ハリソン・ヒル(ブルース・ウィリス)に、深い仲になったあと捨てられたと言い、不倫関係を記事にして公にしてほしいと、ロウィーナに頼んでいたのだ。ハリソンが口封じのために殺したのかもしれない…そう思ったロウィーナは、別人になりすまし出会い系サイトにアクセス。と同時に、彼の会社にも派遣社員として潜り込み、単独で真相を暴こうとするのだが…。

冒頭のあおり文句も「ホントかなあ?」と半信半疑で観たんだけど、たしかに“ありえないオチ”ではある。「これはないでしょう」と思わず笑っちゃいましたもん。
なにしろ、登場人物の誰もが怪しい。いちばん怪しいハリソン役のブルース・ウィリスからして、いかにも犯人っぽい。でも、ただの女好きオヤジかも…。いやいや、やっぱり犯人だよ等々、揺さぶりをかけまくる。その他の人たち、ロウィーナに協力する元同僚で、パソコンに精通しているマイルズ(ジョヴァンニ・リビシ)にしろ、グレースの元恋人キャメロン(ゲーリー・ドゥーダン)にしろ、隠している重大な秘密があるし、嫉妬深いハリソンの妻(ポーラ・ミランダ)にも動機がある。と、だいたいサスペンスものは疑惑のキャラが勢揃いするものなのだが、それにしてもみんながみんな露骨に疑わしすぎる。
そうした中から、頭をめぐらせ消去法でいくと、もしかしたら真犯人に行き着くかもしれない。ただし、犯人を言い当てたとしても、理由まではラスト7分11秒を見るまでわからないのよ、これが! ゆえに、誰もが絶対だまされる、ありえない結末ってわけ(笑)。

ただ、“ありえないオチ”ではあるけれど、一応スジはとおっているから、腹も立たない。その過程、翻弄されるスリルを楽しんで、という内容になっているのだ。それに、舞台となるニューヨークのおしゃれなレストラン「Asia de Cuba」「Sapa」や老舗のバー「チャムリーズ」、あの“グランド・ゼロ”に建てられたビルを使ったハリソン・ヒルのオフィスの外に広がる景観など、目を奪われるシーンも多々あるし。そしてなんといっても、時には颯爽としたキャリアウーマン・ルック、時には真っ赤なドレスでセクシーに迫る、ハル・ベリーの艶やかな美しさには、同性でも釘付けだよ。さらに、オチをネタにあーでもない、こーでもない、と重箱の隅をつつくのも、また楽し。私も、映画会社の人に「最初からこうすれば、もっと簡単なのでは?」と突っ込んでみたところ、「それでは映画が成り立たない」と一蹴されちゃいましたが。とほほ。

『パーフェクト・ストレンジャー』 9月29日(土)~サロンパス ルーブル丸の内ほか全国公開
オフィシャルサイト http://www.movies.co.jp/perfectstranger/
(c)2007 Revolution Studios Distribution Company, LLC. All Rights Reserved.

 
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2007-09-28 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

女のコのためのおしゃれ映画──DVD『ひなぎく』

Movie092101

長らく廃盤だった、女のコなら(もちろん、かつて女のコだった人も)きっと気に入ると思うガーリー・ムービーの傑作『ひなぎく』が、手の出るお値段(税込3,990円)で再発売される。初DVD化のとき、なんと6,090円も出して買った身としては、少々複雑な気分ではあるんだけど、やはり自分の好きな映画が広まるのは喜ばしいことなので、よしとしよう。

主人公は、2人の女のコ。ひなぎくの花輪を乗せた金髪のボブがチャームポイントの姉と、うさぎの耳結びにしたブラウン・ヘアがキュートな妹。とはいえ、2人はつねに気まぐれ、すべて冗談めかしてしゃべるので、姉妹というのもウソかもしれない。「誰もわかってくれない」「やることなすこと失敗ばかり」「それでも、駄目でも、けっこう!」という彼女たち。分別のあるオトナは彼女たちを無視し、寄ってくるのはスケベ心まるだしのおじさんだけ。だったら好き勝手にやってやる、とばかりに、おしゃれして、お化粧もキメて、高級ナイトクラブで酔っ払ってバカ騒ぎ、エロおじさんたちには食事だけさんざんおごらせておいて“はい、さようなら~”。そんな彼女たちの、ウソとイタズラと反逆心に満ち満ちた“やりたい放題ライフ”が描かれてゆく。

まず驚くのが、1966年にチェコで作られた映画であるにもかかわらず、いま見てもまったく古さを感じさせないということ。とくに、彼女たちの2ショットは、エッジの効いたファッション誌のグラビアやポスターになってもおかしくないくらい、独創的でありながら可愛さもある場面ばかり。
もちろん、彼女たちのファッションも見もので、現代でも有効なAラインの色違い・柄違いワンピをはじめ、クラシックな感じが逆に新鮮でキュートなビキニやインナー、スカーフ等の小物使いなど、すべてがおしゃれでキュート! もう、見てるだけでも楽しくなってくる。
さらに、彼女たちが暮らす部屋のインテリアにも注目。大きい葉っぱや押し花で壁を飾りつけたり、雑誌を切り抜いて写真や文字をコラージュしてディスプレイしたり、青リンゴや大ビン入りピクルスをオブジェに見立てたり…といったセンスは、まさに“いただき!”ってかんじ。
加えて、明確なストーリーがない分、映像で遊び心を発揮。モノクロとカラーの使い分けにとどまらず、フィルムを着色した紫、セピア、グレー、ピンクなどの色のマジックに始まり、場つなぎには花・蝶・ネジなどの画を挿入し、ポップアートっぽいヴィジュアルになっているのだ。

Movie092102

ソフィア・コッポラ(『ヴァージン・スーサイズ』『マリー・アントワネット』)や『アメリ』の雰囲気が好きな人なら、確実にハマると思う。
 そうした見た目だけでも存分に楽しめる映画ではあるんだけど、ただの“女のコの悪ふざけ映画”では終わっていないのもポイント。「どうして男は愛してるとしか言えないの?」と単純で意外性のない男を嘆き、「私たちに何が欠けてるの?」と周りから無視されることに恐怖を覚え、「人生は通り過ぎていく」こともわかっている。それでも「何かしなくっちゃね」と、不安や憂鬱を高らかに笑い飛ばし、イタズラ遊びを繰り返す。そんな2人を淋しいと見るか、小気味いいと見るか、は観る人しだい。でも、世の中に「死ね死ね死ね」とうそぶきながらも、つねにお腹を空かせて食べ物を求めている(=じつは生に貪欲な)彼女たちの生き生きとした姿に魅せられるのは私だけではないだろう。
そして、クライマックスで女性監督ヴェラ・ヒティロヴァーが私たち観客に問う、「破壊されたものを元に戻すことはできるのか?」を受けて、もう一度はじめから見直すと、また違った見かたができる、意外と奥が深い映画でもあるんです。

『ひなぎく』
ダゲレオ出版(Tel.03-5766-1119)より発売
(c) FIMEXPORT PRAGUE DISTRIBUTION s.r.o.
オフィシャルサイト
http://www.imageforum.co.jp/hinagiku/


Movie092103 ◎9月21日発売/3,990円(税込)

 
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2007-09-21 【映画】 | 固定リンク | コメント (1)

ド派手な中にも隠し味の効いた和製西部劇──『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』

Movie091401

ブラッド・ピットの新作『The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford』も、ラッセル・クロウの新作『3:10 to Yuma』も、どっちも共に西部劇。もしかして、これは、西部劇ブーム再来の兆し? と思っていたら、我が国の三池崇史監督の最新作も西部劇だ! しかも、ハリウッド産のウエスタンではなく、おもしろければ何でもアリの“マカロニ・ウエスタン”にオマージュを捧げた“和製ウエスタン”。過激バイオレンス『殺し屋1』から、ミュージカル『カタクリ家の幸福』に、おじさんヒーロー『ゼブラーマン』まで、何でもござれの三池流“マカロニ”が、この『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』なのである。

舞台となるのは、壇ノ浦の戦いから数百年後の寒村“湯田(ユタ)”。黄金が埋まっているというウワサを聞きつけてやって来た、平清盛(佐藤浩市)率いる平家ギャングと源義経(伊勢谷友介)率いる源氏ギャングが、隙あらば敵の命を頂戴し、お宝を独り占めしようと睨み合う。住処を乗っ取られた村人たちは、生きた心地がしない。そんな物騒なところに、流れ者の凄腕ガンマン(伊藤英明)がやって来る。このガンマンを味方につけた方が勝ち、と踏んだ両ギャング団は彼を抱き込もうとするのだが…。金のため、エゴのため、復讐のため、そして愛のための、血で血を洗う壮絶な戦いが繰り広げられてゆく。

冒頭、銃のホルスターに箸入れまで付いているクエンティン・タランティーノ演じる、スキヤキ作りの達人でもある早撃ちガンマンに導かれる“スキヤキ・ウエスタンの世界”は、ウエスタンと時代劇が同居したような舞台で、赤い出で立ちの平家ギャングと白い格好の源氏ギャングが、なんと全編英語でののしり合う。単なる和製というのではない、まさに和洋折衷、美味しそうなら何でも試すゾの新テイスト。
しかも、ちょい役&脇役まで豪華メンツがそろったキャストがスゴイ。なかでも、クールで冷酷、加えて神秘的で目を奪われる伊勢谷くんと、ただのオバさんに見えてじつは伝説の女ガンマンなんです、という難役を体当たりでこなした桃井かおり姐さんのカッコよさが光る。また、ダンナのアキラ(小栗旬)を清盛に殺され、義経のオンナになってまで復讐を誓う木村佳乃の妖艶な演技にも注目。
ただ、独裁的でしたたかな清盛役の佐藤浩市と、紅白どっちのご機嫌も取るコウモリ男な“保安官”役の香川照之、両者は怪演してるんだけど、かなり周りから浮いているのでノレない人もいるかも。これまでも“三池映画の笑い”はブッ飛んでるから万人受けするものではなかったんだけど、今回、アクションに力を入れ込みすぎたからなのか、悪天候に祟られ撮影疲れが出たせいなのか、笑いにキレがないのが残念。
とはいえ、伊藤さんのガンさばきや伊勢谷くんの流麗な刀使いをはじめ、迫力があって、なおかつ美しいアクションは、マジで素晴らしい。おまけにヴィジュアルは、さすがハリウッドでも名が知られた栗田豊道(ロバート・アルトマン作品など)撮影監督、これぞ映画でしょうと言いたくなる、壮大でありながらも情感のあるドラマチックな映像美なのだ。これは大画面で体験しなくちゃもったいない。
さらに極めつけが、ドンパチ映画だけでは終わらないドラマ性。父のアキラを目前で殺され口が聞けなくなった少年、平八(内田流果)が、甘やかしは一切なしだけど深い愛に支えられ、苛酷すぎる現実から逃避するのを止め、現実を受けとめてゆく姿。そしてエンディングにかかる、北島三郎によるコブシ回しも絶好調のマカロニ主題歌の日本語カヴァー曲が胸にジ~ンと響きわたる。(私は女だから気分だけだけど)まさに男泣きってかんじで目頭が熱くなる力作です。

Movie091402 『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』 9月15日(土)~渋谷東急ほか全国公開
オフィシャルサイト http://django-movie.com/main.html
(c)2007 Sukiyaki Western Django film partners
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

 
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2007-09-14 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

夢を追うアナタに贈る──『ミス・ポター』

Movie090701

アーティストが生みだす作品を観たり読んだり聴いたりして、私たちは作り手がいったいどんな人なんだろう、と想像をめぐらす。そして、興味を覚えたアーティストに関する書物や映像に触れ、やっぱり思ったとおりだったとほくそ笑んだり、意外な一面を知り驚いたり…。
では、イギリスを代表する人気者で、長きにわたって世界中で愛されている“ピーターラビット(R)”の生みの親、ビアトリクス・ポター(TM)とは、どんな人物だったのだろうか? を描いているのが、この『ミス・ポター』。

ビアトリクス・ポター(1866-1943年)は、裕福な家のお嬢さまとして生まれながらも、安穏とした生活に流されず童話作家になる夢を実現した女性。大好きな小動物を主人公にして、ピーターラビットと仲間たちの物語を描き、23冊の絵本にして遺したアーティスト。そして晩年は、愛着のある湖水地方の自然を守るため、広大な土地を買い取り、自然と共に生きた人でもある。そういったプロフィールは知っていても、正直どんな人なのかは知らないに等しい。
本作では、ビアトリクス・ポター(レニー・ゼルウィガー)の作品が本になって世に出てゆく過程を描きつつ、彼女の担当編集者で一番の理解者でもあるノーマン・ウォーン(ユアン・マクレガー)との身分違いの恋、さらには彼女が味わう人生最大の悲劇、そしてその傷心を包みこんでくれる、自然美あふれる湖水地方で暮らし始めるまでの半生が映しだされてゆく。

といっても、著名なアーティストの足跡を追う単なる伝記映画という作りではなく、ビアトリクスの人間性にスポットを当てているのがポイント。なかでもアーティストとしての彼女を支え、彼女の人生に多大な影響を与えるノーマンとの関係は、まるで純愛ロマンス映画のよう。
なにしろ、「きっと私は生涯独身で絵を描きつづけるんだろう」と覚悟を決めた女性の前に、夢を後押ししてくれる心惹かれる理想の人が現れるなんて、まさにシンデレラ・ストーリーでしょう。もちろん、現実は甘いだけじゃあ終わらないし、ユアンが演じるノーマンは“白馬に乗った王子”というより“馬に振り回される純朴青年”ってかんじではあるんだけど。それでも、心と心の通い合いがスクリーンから伝わってくるほどの“お互いへの深い思い”には、やはり魅せられる。

そして夢見がちな乙女の部分と、繊細ながらも芯は強い女の部分が同居している、ビアトリクスの人としての魅力。乙女で、繊細で、穏やかなのに根性が座ってる、その人柄や行動力は、“いま”の私たちから見てもステキに映ると思う。しかも、今から100年以上も前。女は結婚するまでは親に従い、結婚後は夫に従え、という時代だ。そんな“意志を持つ女性”にとっては、ものすごく生きにくい世の中で、世間の風潮や親の意見に振り回されず“自分らしく”生きることは並大抵のことではないはずなのに、彼女は笑顔で「ただ好きだから」と夢を叶えてゆく。そんなビアトリクスに、なによりも心惹かれるのは私だけではないと思う。いくら食べるのに困らないとはいえ、彼女の絵本作家デビューは30歳半ば。湖水地方を守ると決意した第2の夢なんて、40を越えてからだ。何かをやりたい! という気持ちに年齢なんて関係ないんだよね、きっと。なんてったって、ビアトリクスはそれを実践したのだから。

Movie090702_2 『ミス・ポター』 9月15日(土)~日劇3ほか全国東宝洋画系にて公開
オフィシャルサイト http://www.excite.co.jp/cinema/miss-potter/
(c)F.W 07

 
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2007-09-07 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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