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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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見慣れた日常を特別にする──『天然コケッコー』

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うーーー、イライラする。電車内の左奥では青年とオジさんがいさかいを起こしている。右向こうでは携帯なれしてないオバさんが大声はりあげ電話中。目の前ではヘッドホンからシャカシャカ耳障りな音モレが…。そんなちょっと前までの淀んだ気分がウソのように澄み渡り、肩の力がスーッと抜けていく映画に巡り合った。
それが、くらもちふさこ原作のコミックを、監督・山下敦弘(『リンダ・リンダ・リンダ』)×脚本・渡辺あや(『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』)が愛を込めて映画化した、この『天然コケッコー』。原作が愛されていればいるほど、その映画化っていうのはむずかしいんだけど、キャラクターの雰囲気、キャラが話すひと言ひと言、セットや小道具へのこだわりなどなど、原作ファンも“動く『天コケ』だ~!”と、感激してしまうようだ。“そっくり”だけど“マネる”のではなく、『天コケ』のイメージを大切に映画にしている。その愛情は、不覚にも原作を読んでないワタシにまで伝わってくるのだから、相当なものだろう。

あたり一面ぐるりと天然色にあふれた田舎の分校。全校生徒は、たったの6人。そこに通う、中学2年生の右田そよ(夏帆)をはじめとする生徒たちの、四季折々の“日常”が、なだらかな時間の流れにのって描かれてゆく。
ただ、それだけ。他の映画のように、世間を揺るがす大事件も、殺伐とした争いも、劇的なロマンスもない、フツーの生活。
7人目の生徒となる東京からの転校生、大沢くん(岡田将生)のイケメンさんぶりにドキドキしたり、話してみたらけっこう無愛想でガッカリしたり。そのモヤモヤを最年少、小学1年生のさっちゃん(宮澤砂耶)にぶつけて落ち込んだり、なにげなく言ったひと言で親友を傷つけちゃって、あとでベソをかいたり…。
他人から見たら“ささいなこと”かもしれないけど、本人にしたら“重大なこと”。そんな誰もが味わったことのある“甘酸っぱい気持ち”が、なんとも心地いいホンワカした空気のなかで映しだされてゆく。

そうそうドラマチックなことなんて起こらないのが、現実だし日常だ。それを、ただつまんないと受け流すか、一見ささいなことに見える出来事をちゃんと心で受け止めるか、はアナタしだい。ここに登場する人たちは、そうしたフツーを心から満喫しているように見える。それは、劇中でそよちゃんが言う「もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう」という言葉にも象徴されている。
ゆえに、フツーと言ったって飽きることはない、日々ささいな事件の連続でキラキラしている、とびっきりのフツー。

演じるキャストたちもまたイイ雰囲気で、そよちゃんを演じる夏帆ちゃんは、まさにハマリ役。透明感のある美少女なのに、なんかヌケててオトボケさんなところが笑いを誘う。一方、そよちゃんとは友達以上恋人未満の大沢くんを演じる岡田くんの、テレ隠しでクールぶってる演技もカワイイ。その他、5人の生徒たちも、それぞれチャーミングな個性派ばかり。さらに、初々しい子どもたちの伸び伸びした演技を引き出す、そよちゃんのお父ちゃんには佐藤浩市、お母ちゃんには夏川結衣ら演技派の大人たちの存在も効いている。

加えて、心地よさを倍増させる自然の恵み、そよちゃんたちがしゃべる心なごます方言、そしてレイ・ハラカミの音楽。もー、くるりのエンディング・テーマが流れる頃には、冒頭のイラ立ちなんてどこへやら、安らか気分でゴキゲンだ。そうしたフツーを特別に変えてしまう“ピュアな感性”が息づいている、心が気持ちよくなる映画です。

Movie072702 『天然コケッコー』 7月28日(土)~シネスイッチ銀座、渋谷シネ・アミューズ、新宿武蔵野館ほか全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.tenkoke.com/
関連サイト『天然コケッコー@s-woman.net』 http://www.s-woman.net/tenkoke/
(c)2007「天然コケッコー」製作委員会

 
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2007-07-27 | 固定リンク | コメント (0)

イケないオトナの心理とは?──『リトル・チルドレン』

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「アナタはしあわせですか?」と訊かれて、何のためらいもなく「ハイ!」と答えられる人は、いったいどれくらいいるのだろうか。人間には現状に満足できない、“もっともっと”という欲望や、“もし違う道を選んでいたら…”という迷いがあるから、なかなか現実をありのままには受け入れられない。しかも、かなりハメを外した生活をしている人でない限り、日常というのはそれほど刺激的なものじゃない。
そんな心の内に潜む衝動的欲求に突き動かされ、イケないことをしてしまう迷える大人たちのお話が、この『リトル・チルドレン』。現代のチェーホフと言われるトム・ペロッタのベストセラー小説を、『イン・ザ・ベッドルーム』のトッド・フィールド監督が映画化した作品だ。

新居を買い、ボストン郊外に引っ越して来たサラ(ケイト・ウィンスレット)は、経済力のあるマジメな夫と3歳のカワイイ娘に恵まれた主婦。一見、何不自由のない幸せな日々を送っているように見えるけど、なぜか満たされない。公園に行っても、他のママさんたちは子どもの話か、ダンナとのマンネリHの話ばかりで実りナシ。ただひとり、そんなサラの心を捕らえるのが、ママ連中のあこがれの的である通称“プロム・キング”ことブラッド(パトリック・ウィルソン)。美人で仕事のできる妻キャシー(ジェニファー・コネリー)に代わって、主夫をしながら司法試験を目指すハンサムなパパさんだ。他のママさんたちから浮いてる2人は、すぐに意気投合。とはいえ、互いに家庭のある身。最初は分別あるお付き合いを心がけていたのだが、抑えていた内なる欲望が騒ぎだし…。そして、そんな2人の恋か情事か、の関係と共に、罪を償い街に戻って来た性犯罪者ロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)と周りの反応が描かれてゆく。

もしワタシがサラの立場だったら、同じような行動を取るのかなあ? 恋人がキャシーのように完璧すぎる人だったら、やっぱりブラッドのように息苦しくなって逃げ出したくなるかな? などなど、登場人物たちの心理を、ついつい自分に置き換えて見てしまうのが、この映画のおもしろさ。
ここに出てくる人たちは、褒められた人たちじゃないし、むしろ弱い人たちだ。それでも、満たしてくれるものを探している。たとえ間違った方向に突っ走っちゃったとしても、人生をあきらめてはいない人たち。そんな人たちの感情の揺れや心理をていねいに、ユーモアを交えて見せてくれるから、彼らに親近感を覚えるし、先述したように“もし自分だったら…”と考えてしまうのだ。
そして、そうした人間心理を、さらに興味深いものにしているのが、ロニーの存在。まあ、得体の知れない元犯罪者が戻って来る、と聞けば劇中の住人たちと同じように脅威を感じて、追い出したくもなるだろう。ベタなサスペンスよりもスリリングなロニーの予測不可能な行動には否応なしに引き込まれてしまい、目が離せない。

答えを押しつけるのでも、ただ投げかけるだけでもなく、一緒に考える楽しみがある。リアルだけど愛しい、シリアスなのにユーモラスな人間ドラマ。

Movie072002_2 『リトル・チルドレン』 7月28日(土)~Bunkamuraル・シネマ、シャンテシネほか全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.little-children.net/

 
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2007-07-26 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

笑ってストレス解消!──DVD『ハイっ、こちらIT課!』

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海外TVドラマというとアメリカ産の作品にスポットが当たりがちだけど、イギリスだって面白度じゃあ負けてない。要は、アメリカほど派手じゃないから民放では放映されない、目にする機会が少ないってだけ。クオリティはかなり高い作品が多いのだ。なかでも、ミステリーとコメディは要チェック!

とくに後者、コメディは2年くらい前から《コメディUK!》というくくりで、WOWOWが注目の英国コメディ・ドラマを定期的に放映中。その中には、イギリスのTVドラマなのに、アメリカのゴールデン・グローブ賞で作品賞と主演男優賞の2冠を制覇した『The Office』、さらには、あのジョニー・デップも出演を熱望したという、2人の男優が女装にゲイにと七変化する過激コメディ『リトル・ブリテン』(DVDも発売&レンタル中)などの話題作もある。
そしてもう1作、この『ハイっ、こちらIT課!』も本国イギリスで大人気、しかも既にアメリカ版のリメイクも決まっている注目作なんですねぇ。

舞台は、タイトルどおり大企業のIT課。というと聞こえはいいけど、じつは他の部署からまったく相手にされず、会社の地下に追いやられた、お荷物課。電源の入れ方すらわからない社員に文句は言われても感謝はされない、そんな環境からか、IT課のオタクな社員ロイ(クリス・オダウド)とモス(リチャード・アヨエイド)はやる気ナシ。思い込みの激しい激情型オタクのロイは、ヒマさえあればナンパに精を出し、玉砕記録更新中。一方、モスはつねに冷静な電脳系オタクなんだけど、社交性ゼロで、いざとなるとトンデモないことをしでかす変わり者。そんなイイ加減な2人の元に、やる気満々の女上司ジェン(キャサリン・パーキンソン)がやって来て、喝を入れる!! と思ったら、なんと彼女はパソコン音痴。しかも、かなりのドジ娘さん。かくして、いったいいつ仕事してんの? なトラブルメーカー3人衆の珍事件が、毎度毎度描かれてゆく。

本作のようなコメディ・ドラマ、1話完結で主要キャラや舞台はほぼ毎回同じ、そして劇中に観客の笑い声が入るドラマを、シットコム(シチェエーション・コメディの略)と呼ぶ。古くは『奥さまは魔女』、最近では『フレンズ』、そして日本では三谷幸喜の『HR』などもそうですね。とはいえ、本作はそれらよりももっとコントっぽいというか、どちらかというと『志村けんのだいじょうぶだぁ』とかに近いかも。
日本企業との合併をネタにした笑いや、“ファイナル・アンサー”の本家クイズ番組ネタなど、なじみのあるテーマで笑わせてくれるのもポイント。また、ジェンの“たとえサイズが合わなくても、一目ぼれした靴を何が何でも履きたいの!”という女心や、月のものがくると不安定になる女性ならではの悩みには、わかるわかると頷きつつも、その必死の形相に笑わずにはいられない。

よくイギリスの笑いは、ウィットに富んでてシニカルだから本場のことをちゃんと知ってないと笑えない、なんて言われることもあるけど、実際に観てみればそれほど敷居は高くない。とくに、本作は入門編にも最適。愛すべき面白キャラたちが見せる、世にもおかしな会社風景に、ストレスだってフッ飛びます。

『ハイっ、こちらIT課!』
発売元:CKエンタテインメント/キネティック 販売元:ジェネオン エンタテインメント
ファースト・シーズン Vol.1は発売中、Vol.2は8月3日発売。レンタルも同時開始。

オフィシャルサイト http://www.comedique.com/theitcroud/index.html

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◎(左)ファースト・シーズン Vol.1(第1話~3話)/定価3,990円(税込)

◎(右)ファースト・シーズン Vol.2(第4話~6話)/定価3,990円(税込)

 
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2007-07-13 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

傷ついた男たちに魅了される──『傷だらけの男たち』

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よく“時が心の傷を癒してくれる”と言う。たしかに、良くも悪くも“忘れること”ができるのが人間である。でも、心の痛みを癒すのは、時だけではなく、人との関わりも大きいような気がする。そんなことをシミジミ考えさせられるのが、『インファナル・アフェア』のチームが集結して作り上げた、この『傷だらけの男たち』。『インファナル・アフェア』のリメイク版『ディパーテッド』に続いて、本作もレオナルド・ディカプリオ主演でハリウッド版の映画化が決定している話題作だ。

ここに登場する2人の男は、ともに心に深い傷を抱えている。1人は、傷に溺れて酒浸りのやりきれない日々を送る男。もう1人は、傷を糧に地位も名誉も手に入れた男。こう書くと後者の男性のほうが、いかにも前向きなように映るかもしれないけど、彼にとってはこの傷こそが生きるための唯一の原動力であり、よっぽどの奇跡でも起きないかぎり癒されることはない根深い悲運を背負っているのだ。

かつては上司と部下、そして親友でもあった刑事のヘイ(トニー・レオン)とポン(金城武)。だが、3年前のクリスマスの悲劇が、2人の人生の明暗を分ける。ポンの恋人が自殺したのだ。それ以来、ポンは警察を辞め、飲めなかった酒を浴びるように飲み、今では万年酔っぱらいのしがない私立探偵。一方、ヘイは仕事も順調、なにより資産家の娘で美人のスクツァン(シュー・ジンレイ)と結婚し、この上なく幸せな日々を送っているように見える。しかし、再び2人の運命を変える事件が起こる。スクツァンの父親が何者かに惨殺されるのだ。警察は金品目的の強盗殺人として容疑者を挙げ、事件を解決に導く。しかし、どうも腑に落ちないスクツァンは、事件の調査を夫ヘイの親友ポンに依頼。その直後から、彼女の身を脅かす不審な出来事が起こりはじめ、ポンの調査が進むにつれ、事件の真相と1人の人間の運命を狂わせた悲しい過去が浮かび上がってくる。

サスペンスではあるけれど、謎解きや犯人当てがメインという映画じゃあない。コレを読んでるカンのいい人は、もう誰が犯人かはわかってると思うし、劇中でも案外あっさりとバラしてしまう。問題は、結果ではなく過程なんだよ、というワケ。『インファナル・アフェア』でもそうだったけど、偽りの自分や抱えこんだ秘密、そしてやり場のない心の痛みに葛藤する男たちの行く末をじ~っくりと見つめる。これこそが、この映画の醍醐味なんですよ!
また、前述したように人との関わりにも注目。ヘイにはスクツァンがいるし、ポンにも深酒しすぎる彼を心配するキュートなフォン(スー・チー)がいる。彼女たちと関わりを深めていくことで、男たちがどう変わってゆくのか、も見もの。

しかも、そんな傷だらけの男たちを、大人の色香を感じさせるトニー・レオンと、酔いどれててもナイーヴで胸キュンさせる金城くんが、グッとくる演技で魅せてくれるのだ。まったく違うタイプなのに、どちらももっと知りたい、彼らの痛みを理解したい、と思わせる、人を惹きつけずにはおかない魅力がある。2人の迫真の演技と男っぷりにシビれます。

Movie070602_2 『傷だらけの男たち』 7月7日(土)~日比谷みゆき座ほか全国公開
オフィシャルサイト 
http://drywhisky.com/
(c)2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.

 
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2007-07-06 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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