笑える密室サスペンス!?──『キサラギ』
誰しも1人や2人(もっとかも…)は熱を上げた“あこがれのアイドル”がいる(いた)と思う。もちろん、相手が国民的スターの場合もあれば、B級以下の場合もある。対象となる人はさまざまだろうけど、とくに後者の場合、「ワタシだけはアナタの良さをわかってる!」と、本気モード全開でハマっちゃうんだよねえ。今週ご紹介する映画『キサラギ』の登場人物たちも、まさにそう! 今は亡き売れないアイドル“如月ミキ”に恋した男たちのお話だ。
そのメンツは、
家元(小栗 旬)
→筋金入りの如月ミキ愛好家で、ファンサイトのホスト。書きに書いたファンレターは、なんと200通。自慢は「如月ミキパーフェクトコレクション」なるアルバム。
オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)
→うっかり付けてしまったハンドルネームを後悔してると言いつつ、なぜかオダ・ユージを意識しているクールな良識人。実は、ミキの死に疑問を持っている。
スネーク(小出恵介)
→なにかと人の話にのっかっては事を大仰にする、ノリ一発のお調子者。だけど、ミキを思うアツさでは誰にも負けない! 家元も羨むミキの生写真がジ・マ・ン。
安男(塚地武雅)
→片道6時間かけて、はるばる福島からオフ会に参加。農業を営む優しい男ではあるが、空気が読めず、周りから浮いてしまう。趣味はアップルパイ作り。
イチゴ娘(香川照之)
→キュートなハンドルネームとは真逆の、見るからにアヤしい挙動不審人物。無職。ミキちゃんの物と言い張るカチューシャを付けて、真顔でしゃべるヘンなオジサン。
こんなすべてがバラバラの5人が、アイドル如月ミキのファンサイトで知り合い、自殺した彼女の一周忌に“愛するミキちゃんの追悼会”と称して都内某所で初のご対面を果たすところから物語は始まる。はじめは、思わず「わかるわかる」とうなずいてしまう、他愛ないファンの想い出話や自慢大会でテンションアップ。ところが、オダ・ユージの「彼女の死因は自殺じゃないとしたら…?」のひと言で事態は一変。「じゃあ犯人は誰だ?」「もしかして、この中に…」という疑心暗鬼が憶測を生み、思いもよらない事実が出るわ出るわ。話は二転三転どころかコロコロ転がり、ひとつの部屋でヒザを突き合わせての珍推理が展開されていく。
舞台はほぼこの1部屋で、5人とも出ずっぱり。まるでお芝居を見ているような映画なんだけど、コレがちっとも飽きさせない。話し出すとネタバレになっちゃうので言いたくても言えないのが残念だけど、よくぞここまで次から次へとトンデモないエピソードが飛び出すよなあ、と感心するやら、おかしいやら。よくよく考えると“ありえない話”“ふざけた出来事”の連続技なんだけど、それを“事件はこの部屋で起こってるんだ!?”ばりに受け入れさせてしまう5人5様のアンサンブル演技も見もの。
ユースケさんが交渉人・真下正義よりもっとド真面目にキメれば、小出くんがチャチャを入れ、小栗くんはイジけまくり、香川さんはいたってマイペースでヘンなオジサンにナリきる。そして張りつめた空気が流れると、塚地さんが最高に間の悪いタイミングで乱入し、笑いを誘う。そんな当人たちも笑いをこらえるのに苦労した、というやり取りが絶妙。
まさに、アイドルに無我夢中の5人組が魅せる一喜一憂の数々が、おのずと自分のアイドル遍歴とオーバーラップしてきてお楽しみも倍増。おおいに笑わせてくれて、最後はグッとくるものを与えてくれる、がむしゃらに人を愛せる愛すべき男たちにカンパイ。
『キサラギ』 6月16日(土)~渋谷シネクイント、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
オフシャルサイト http://www.kisaragi-movie.com/
(C)2007「キサラギ」フィルムパートナーズ
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2007-06-15 【映画】 | 固定リンク
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