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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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希望と不安にゆれる季節を、さわやかな気分に。「神童」&「ボンボン」

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新年度が始まり、新たな人や場との出会いに少しずつ慣れてくると、ふと疲れ気味な自分を感じたりしませんか? 今週はそんな時に、ちょっとさわやかに、元気をくれる2本のご紹介です。

音楽大学のピアノ科を目指して浪人中の菊名和音(ワオ:松山ケンイチ)は、偶然、成瀬うた(成海璃子)という少女と出会う。言葉を覚えるよりも先に楽譜が読めたうたは、その飛びぬけたピアノの才能で、幼いころから「神童」と呼ばれていた。しかし中学生になった今は、球技を禁止され、いつも手袋をしなければならない日常や、ピアニストだった亡き父(西島秀俊)の分まで期待を寄せる母(手塚理美)にうんざりしてレッスンもサボりがち。一方、今年の受験に落ちたら両親(柄本明・キムラ緑子)の営む青果店を継ぐ覚悟のワオは、日々練習に明け暮れていた。そんな彼の奏でる音は、ピアノが好きかどうかさえわからなくなっていたうたの何かを呼び覚ます。レッスンをサボってはワオの家にやって来るうたが弾くピアノもまた、ワオを強く刺激し……。

人気の原作コミックが実写映像化され、ヒットを放ったドラマ「のだめカンタービレ」。昨年のモーツァルト生誕250周年関連イベントやCDなども起爆剤となって、クラシックがブームを巻き起こしている今、また期待の1本が登場しました。

主人公の1人は、5歳で子役デビュー以来、早くも12歳で連続ドラマ(『瑠璃の島』)の主演を堂々と演じて高い評価を受けた、“神童”女優・成海璃子。実際に幼いころからピアノを習っていた彼女ですが、今回はもう1人の“神童”がその演奏シーンを支えています。

うたの音を奏でたのは、和久井冬麦(わくいむぎ)という12歳の少女。なんとなんと、わずか5歳でウィーン国立音楽大学予備科入学を許されたという、“神童”なのです。もちろん、素晴らしい演奏をするピアニストはたくさんいるでしょうが、実際に“神童”と呼ぶにふさわしい年齢の日本人の少女がよくぞいたもんだと、そして、スタッフがよくぞ見つけたもんだ、と感心しちゃいます。

そして、もう1人の主人公がワオ役・松山ケンイチ。ピアノをこよなく愛しながらも、なかなか思い通りの演奏が出来ず、さらには店の跡継ぎというプレッシャーを抱えながら最後の受験に臨む彼のちょっと天然がかった(笑)、音楽を愛する心優しい横顔は「デスノート」で演じたLとはまったく違って、うただけでなく私たちまで和ませてくれます。

年齢的にも、立場的にもまったく共通点のない2人が、恋愛でもなく、友情でもなく、強いて言えば音楽に対する同志のような不思議な信頼感で結ばれていく様が、音楽と共にさわやかに伝わってきて何だかいい気分。

“クラシック音楽”、“神童”と聞くだけで、高尚で敷居が高そう、なんて思うかもしれませんが、そんなことはありません。2人の存在は、クラシック音楽をずっと身近で親しいものにしてくれるはず。清々しいラスト・シーンにちょっぴり元気をもらえそうです。

「神童」 4月21(土)~、シネマライズ、シネ・リーブル池袋他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.shindo-movie.jp
(c)2007「神童」製作委員会

Movie0420_02
フアン・ビジェガス(フアン・ビジェガス)はこのところついていない。20年も働いていたガソリンスタンドは、オーナーが代わってあっさりクビ。職を捜そうにも、52歳の“簡単な機械の整備士”ではなかなか見つからない。たった1人の肉親である娘(マリエラ・ディアス)の家に身を寄せるが、役立たずの夫と子供たちを抱える小さな家に居場所はない。そんなある日、車の故障で立ち往生していた女性を助けて家まで送ったお礼に、「ボンボン」という名の白い大きな犬を贈られる。ドゴ・アルヘンティーノという犬種の猟犬で、親はドッグ・ショーで優勝したこともある血統書付きの犬だが、フアンは困惑するばかり。断りきれずに連れて帰れば、娘からは大ブーイングだ。しかし、フアンが連れ歩くボンボンはいろんな人から注目を浴び、フアンの人生は思いも寄らぬ方向に動き出す……。

ちょっと珍しいアルゼンチンの映画です。珍しいのはそのキャスティングも。主演のフアンは、本作の監督カルロス・ソリンの会社近くの駐車場に勤務するオジサン。もちろん、これがスクリーン・デビューの、ド素人。ちなみに、9歳の少女役の子を除いてはみんな素人で、動物トレーナー、映画配給業者、制作アシスタント、学校教師などなど、監督の個人的な知り合いを中心とした出演陣なのです。

だからこその、演技っぽくない演技がなんともいえない味わいを醸し出します。特に、フアンの人の好い、どこか自信がなさそうな不安気な表情は、役柄にピッタリ。彼が小さな車の助手席にボンボン(本名グレゴリオ。数々のドッグ・ショー受賞歴を誇る由緒正しい犬。これが映画初出演)を乗せて走る姿は、見ているだけでほのぼの気分に。

このボンボンがまた、いいのです。お世辞にもカワイイ顔とは言い難いのですが、一見無愛想に見える表情が、次第にとっても雄弁にいろんなことを語り出す(ような気がしてくる)のです。気に入らない人のオフィスでこっそり粗相をしてみたり、素知らぬ顔をしながらのお茶目な行動に、笑わずにはいられません。

フアンの人生が動き出す、と言ってもそんな劇的な変化を遂げるわけではありません。それはとても小さく静かな変化なのですが、ちょっとうまく行かなくなってしまった人生に一番重要なのは、その小さな変化とちょっとの自信なのではないでしょうか。

血統書付きの由緒正しいボンボンにも、実はあるトラウマがありました。彼がそれを克服した時、フアンの顔に浮かんだ笑顔。その心底嬉しそうな顔には、いつもの自信のなさそうなフアンの姿はありません。冴えないオジサンと無愛想な大きな犬との道中は、きっとあなたにも元気を贈ってくれるはず。のんびり、ほのぼの気分で楽しんでください。

「ボンボン」 シネカノン有楽町で公開中。他、全国順次公開
オフィシャルサイトhttp://www.bombon-movie.com/

 
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2007-04-20 【映画】 | 固定リンク

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