日米の人気小説を“大胆”に映画化! 「ハンニバル・ライジング」&「大帝の剣」
小説やコミックなどを原作にして生まれた映画はたくさんありますが、今週は少し変わった“原作物”をご紹介。1本は小説から誕生した「映画の登場人物として大人気の世界的アンチ・ヒーロー」が主人公の映画――それだけならどうということもありませんが、新作映画のために、プロデューサーが寡作で有名な原作者に企画を持ち込み、新たな原作と脚本まで書き下ろしてもらった、通常と逆パターンで誕生した作品。もう1本は、小説をまったく違うテイストで料理し、映画化した作品です。
「ハンニバル・ライジング」――1944年、リトアニアの名門貴族レクター家はドイツ軍侵攻から逃れるため、城を捨て辺境の山小屋へ疎開する。しかし穏やかな日々もつかの間、迫ってきた戦火は幼い兄妹ハンニバルとミーシャを残し、両親と召使いの命を奪う。生き延びるため、必死に妹を守り篭城生活を送るハンニバルだったが、逃亡兵たち(リス・エヴァンズ他)に小屋を占拠されてしまう。厳冬の中、食糧は尽き、一味は幼いミーシャを手にかけた――。ようやくソ連軍に救出された時、ハンニバルはショックで記憶の一部と言葉を失っていた。孤児院で成長したハンニバル(ギャスパー・ウリエル)はやがて脱走。母の遺した古い手紙を頼りにパリの叔父を訪ねるが、すでに他界、妻だった日本人女性レディ・ムラサキ(コン・リー)が彼を引き取る。優しくミステリアスな彼女と暮らすうち、ハンニバルは言葉を取り戻し、やがて医学の道を選んで医学校の奨学生に。同時に、毎夜うなされる悪夢を探るため、自らの失った記憶をたどり始めた……。
世界でもっとも有名なアンチ・ヒーローの1人と言っても過言ではないでしょう、ハンニバル・“カニバル(人喰い)”・レクター博士。元々はトマス・ハリスの小説『レッド・ドラゴン』('81)の脇役的存在でしたが、続編となる第2作『羊たちの沈黙』('88)の映画化('91)でヒロインのFBI捜査官クラリス・スターリングともども大注目を浴び、映画でレクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスは、クラリス役ジョディ・フォスターとその年のアカデミー最優秀主演男・女優賞をカップルで獲得、代表作となったのでした。
続く『羊たち…』の10年後を描いた『ハンニバル』('00)も、映画('01)とともに大ヒット(『レッド…』も、すでに「刑事グラハム/凍りついた欲望」('86)として映画化されていましたが、映画「羊たち…」「ハンニバル」の大ヒットを受け、A・ホプキンス演じるレクター博士版「レッド・ドラゴン」として02年に再映画化)。“スピン・オフ”というにはすでにあまりに大きく有名なキャラクターですが、そのアンチ・ヒーローをさらに深化させるべく企画されたのが、本作です。
きっかけは、プロデューサーのディノ&マーサ・デ・ラウレンティス夫妻が「レッド・ドラゴン」公開時のプロモーションで世界を回っているとき、「どうして、レクター博士はあんな化け物になったのか?」という質問を何人にもされたことでした。
原作者T・ハリスは、30年間の作家生活でわずか4本しか発表していない超寡作な作家。小説『ハンニバル』に、わずかに数ページ記したレクター博士の少年時代を新たなプロットとして執筆することに、初めは乗り気ではなかったそうです。でもいつしか、小説ばかりか映画の脚本まで書いてみたいと言い出したことから、本作が誕生しました。
原作者も、映画製作者も、とり憑かれたように魅かれるキャラクター、レクター博士。彼の原点となる青年時代を演じるために抜擢された、22歳のG・ウリエルのプレッシャーはどれほどのものだったのか。でも、「かなりの勇気を必要とした」と言う彼の、聡明な中にもどこか妖しい眼差しはとても印象的で、十分期待に応えています。
“シリーズ”や“続編”ものは企画不足と指摘されることもありますが、こういう発展的な展開は一見の価値あり、ではないでしょうか? アヤシイ日本描写には笑ってしまいましたが、若きハンニバル君は中々のモノ。見事、“シリーズ”に仲間入りです。
「ハンニバル・ライジング」 4月21日(土)~、日劇PLEX他、全国公開
オフィシャルサイト http://hannibal-rising.jp
江戸幕府が誕生して数十年。真田幸村(津川雅彦)率いる真田の残党は旅に出る。豊臣の血を唯一受け継ぐ姫、舞(長谷川京子)を擁する彼らには、ある目的があった。徳川方の目をそらすため、一行は二手に分かれ、舞は忍者の佐助(宮藤官九郎)と道中を行くことに。敵方に襲われるが、通りがかりの大男に助けられる。万源九郎(阿部寛)と名乗った男は、「大帝の剣」という名の身の丈ほどもある不思議な力を持つ大剣を背負っていた。「おもしれぇ!」ことが何より大好きな源九郎は、舞たちと行動をともにすることになるが……。
夢枕獏の人気シリーズを原作にした本作を一言で言えば、“超SF伝奇時代劇”。“SF”と“時代劇”がくっつくなんてアリ? と思うかもしれませんが、あったんです、ここに(笑)。真田幸村や天草四郎という、実在の人物まで登場しての奇想天外な展開にはア然呆然です。
でも、本作の一番“大胆”なところは、原作のテイストを驚くほどに変えていること。小説では戦闘シーンなどの描写がかなりリアルで、グロテスクに感じる人もいるようですが、映画はバンバン血や腕が飛び散っても、なんだかコミカルなムードが漂うのです。
それは各キャラクターの設定や、独特な間のせい。「ケイゾク」「TRICK」の堤幸彦が監督と聞けば、わかるのではないでしょうか。それにしても原作者や原作ファンはどう思うんだろう? なんて心配になるほどです(笑)。映画に賛否両論あるというのも、納得。
でも、私はそのハチャメチャぶりがあまりにも突き抜けていて、笑いっぱなし。ただただエンタテインメントを追求したその勢いと度胸に、拍手喝采したくなります。
おまけにある物質をめぐって、宇宙人まで宇宙船で江戸時代に乗りつけて来るんです。姿を持たない彼らは人間に寄生しちゃうんですから(ホラー映画みたいですが、これまた笑っちゃいます)、一体全体どうなるの!? と見ないではいられない、でしょ?
原作のキャラクターを徹底的に追求した映画と、そのテイストをビックリするほど変えた映画。同じ“原作物”でも、こんなに違う展開があるんだと、驚くような2本です。
「大帝の剣」 4月7日(土)~、全国公開
オフィシャルサイトhttp://www.taitei.jp
(c)2007「大帝の剣」製作委員会
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2007-04-06 【映画】 | 固定リンク
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» 空想と冒険そしてちょっとコミカルなSF時代劇映画 『大帝の剣』 トラックバック 漫画無料館
失礼します、漫画無料館のシゲ丸といいます。
TBさせてもらいます。
今回、ご紹介させてもらう漫画。。。じゃなくて映画は『大帝の剣』タイトルの漫画に反しますが、気にせず進めます(笑)『大帝の剣』は、夢枕獏さんによって書かれたSF歴史小説です。20年以上も前に、夢枕獏さん...... [続きを読む]
トラックバック送信日 2007/05/06 14:22:02

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