笑いと涙と歌とアクションのてんこ盛り! 「パッチギ! LOVE & PEACE」&DVD「パッチギ!」
いよいよゴールデンウィーク。旅行に行く方、のんびり家で過ごす方、それぞれいらっしゃるでしょうが、映画館にもぜひ足を運んでくださいね。たった1800円でたっぷり2時間、めったに出来ない体験や感動を味わえるモノはそうありません。でも、実は米国アカデミー賞の頃に、ゴールデンウィーク公開作品のめぼしいところをずいぶんご紹介してしまったので、少々息切れ(笑)。そこで今週来週はこれから公開される続編映画に備えて、前作DVDをあわせてご紹介。休み中にDVDを見て、休み明けに続編を楽しむのはいかがでしょう?
「パッチギ! LOVE & PEACE」――1974年、アンソン(井坂俊哉)は慣れ親しんだ京都に別れを告げ、難病を抱える幼い息子チャンス(今井悠貴)の治療のため、母(キムラ緑子)と妹キョンジャ(中村ゆり)とともに東京に引っ越してきた。叔父夫婦(風間杜夫&手塚理美)のサンダル工場を手伝いながら病院を探すが、なかなか治療先は見つからない。ある日、アンソンは駅で京都時代からの因縁のライバル近藤(桐谷健太)と遭遇、近藤率いる大学応援団と沿線の朝鮮高校の生徒たちを巻き込んで、大乱闘となってしまう。とばっちりでクビにされた国鉄職員・佐藤(藤井隆)と意気投合したアンソンは、彼を自宅に連れて行く。一方、タレント事務所にスカウトされたキョンジャは、チャンスの治療費を稼ぐため、そして狭い世界を飛び出すために、在日朝鮮人の出自を隠してタレントの仕事を始める。そして、知り合った人気俳優・野村(西島秀俊)に魅かれていくが……。
“パッチギ”とは、「突き破る、乗り越える」、転じて「頭突き」という意味の朝鮮語。タイトル通り、まさしくいろんな意味で“パッチギ”っている映画です。
前作「パッチギ!」で高校3年生ながら、一児の父親となったアンソン。それから数年を経た彼は妻を病気で亡くし、息子も難病に侵されるという厳しい状況にありました。ムチャクチャやっていた京都時代の短気な性格はあいかわらずですが、そんな中でも希望を失わず奮闘する彼は、やっぱり父として、男として、少しだけ成長したような気がします。
見どころの1つは、1970年代という時代背景を映した、当時流行のファッションやヘアスタイル、音楽、ギャグ、思想などがちょっとしたところにもきっちり再現されているところ。当時の記憶が一部(?)残っている私は、ついつい笑ってしまいました(個人的には、野村役・西島秀俊のアヤシイ長髪が必見!)。
毒舌でおなじみの井筒和幸監督らしい、ホントに痛そうなパッチギ(頭突き)連発の、あいかわらず容赦ない乱闘シーンには思わず腰が引けてしまいましたが(笑)、底抜けのパワー全開な展開に、泣いたり、笑ったりのあっという間の2時間です。
それにしても、映画は完全にエンタテインメント作品として成り立っているのですが、まざまざと描かれている在日朝鮮人の人々の歴史認識と、日本人である自分のそれとのあまりの違いにヒヤリとすること数回。21世紀になった今でも、様々な報道で伝わってくる「単純に過去のことなんて言い切れない現実」が、ジワジワと迫ります。
子供のようなことを言う、と思われそうですが、誰もが幸せに、希望を持って生きていける世の中が、なぜなかなか実現しないのか。なぜ人は人を差別するのか。もちろん、そういう自分の中に差別意識が1つもないのかどうかも見つめ直しながら、考えたくなりました。
「パッチギ! LOVE & PEACE」 5月19日(土)~、シネカノン有楽町他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.pacchigi.jp
(c)2007「パッチギ! LOVE & PEACE」パートナーズ
「パッチギ!」――1968年、京都の府立東高校生・松山康介(塩谷瞬)と親友・吉田紀男(小出恵介)は、東高空手部と近くの朝鮮高校の生徒との乱闘に巻き込まれた。それがきっかけで、担任教師・布川(光石研)にサッカーの親善試合を申し込むために朝高へ行かされた康介は、吹奏楽部でフルートを吹くキョンジャ(沢尻エリカ)に一目惚れする。キョンジャは朝高の番長アンソン(高岡蒼佑)の妹だった。少しでも彼女と親しくなるために楽器店へギターを買いに行った康介は、出会った坂崎(オダギリジョー)に彼女が演奏していた曲が『イムジン河』だと教えてもらう。ギターと一緒に朝鮮語の辞書も買って独学を始めた康介は、少しずつキョンジャやアンソンたちと親しくなっていく。でも、周囲の大人たちの視線は冷たく、空手部と朝高との反目も次第に激しくなって……。
全編全力疾走しているような映画です。特に彼らのあり余るパワーを示しているのが冒頭のシーン。噂には聞いていましたが、修学旅行のバスを高校生たちの力だけでひっくり返してしまう“パッチギ”ぶりに圧倒されます(笑)。
同時に、好きな相手に少しでも近づくために、ギターや外国語に奮闘する康介の初々しい姿が微笑ましくて(笑)。このDVDを紹介していたあるサイトでは、ジャンルを“青春ケンカラブストーリー”としていました。そんなジャンルがあったとは知りませんでしたが(笑)、まさしくそうかもしれません。
この映画の大きなテーマであり、康介とキョンジャ、周辺の人々を結びつけていくのが、『イムジン河』という歌です。2002年に発売されていますが、実は1968年当時、直前になってレコード発売が中止されるという事件に見舞われたいわく付きの曲です。ザ・フォーク・クルセダーズによるこの歌は、“政治的配慮”という理由でラジオやテレビも自主規制したため、彼らのコンサート以外で聞かれることはほとんどなかったそうです。今、放送禁止の対象になるのは過激な歌詞が問題になった歌がほとんど。この歌の穏やかで切ない詞を聞くと、「なぜ?」と不思議に思うくらいです。
そこまで神経質になるほど、当時の状況は差し迫ったものだったとも言えるのかもしれません。でも、40年経って事態は変わったのでしょうか?
難しい問題を声高に語るよりも、こういうエンタテインメント映画を1本見るほうが素直に受け止めることが出来そう。どうしろこうしろということではなく、こういうことがあったと、今を生きる私たちこそが知っておきたい映画です。
DVD「パッチギ!」
発売・販売元:(株)ハピネット
2079円(税込)で発売中。
オフィシャルサイト http://www.pacchigi.jp/first
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2007-04-27 【映画】 | 固定リンク
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トラックバック送信日 2007/06/21 17:07:01

コメント
『俺は、君のためにこそ死ににいく』こちらもよろしく。
投稿: ハヤブサ | 2007/05/16 23:47:14