裏切り者は、誰? 「アンフェア the movie」&「オール・ザ・キングスメン」
突然ですが、あなたは誰かを裏切ったことがありますか? 裏切りにも理由はさまざま。自分や愛する者を守るため、誰かを陥れるため、あるいは強い信念に基づく、止むを得ない犠牲として。今週の裏切り者は、誰?
「アンフェア the movie」――バツイチ、子持ち、大酒飲みで単独行動ばかりの問題児だが、検挙率No.1の警視庁公安部警部補・雪平夏見(篠原涼子)は、警察内部の不正が記されているという極秘文書を追っていた。そんな中、何者かが車に仕掛けた爆弾で、娘・美央(向井地美音)が重傷を負う。最新設備の整った警察病院に搬送された娘の意識が戻る間もなく、病院を後にする雪平。その直後、乱入してきた戸田(成宮寛貴)を中心とする一団が病院を占拠、上司の斉木(江口洋介)とニュースを聞いた雪平は捜査本部に駆けつける。入院中の警察庁長官を人質に一味のリーダー後藤(椎名桔平)が要求してきたのは、警察庁の裏金80億円だった。長官救出を最優先にした警察上層部は、SAT(テロ対策特殊部隊)突入を決定。しかし、計画は失敗に終わる。情報が漏れていたのだ。誰も信じられない雪平は娘を救出するため、単独で病院潜入を試みるが――。
昨年1月、連続ドラマとしてスタートするや、今までにないハードボイルドなテイストと、謎が謎を呼ぶ展開で話題を呼んだ「アンフェア」。同年10月、続編となるスペシャルドラマ「アンフェア the special コード・ブレーキング-暗号解読」も高視聴率を記録し、待望のシリーズ完結編が映画として登場しました。
雪平役・篠原涼子を始めとするおなじみのメンバー――加藤雅也、江口洋介、寺島進、濱田マリ、阿部サダヲの他に、新たに椎名桔平、成宮寛貴、大杉漣など個性豊かな俳優陣も加わってドラマは一層の緊迫感を増し、さらに展開もスケールアップ。
今回は出張中の元夫・佐藤(香川照之)に代わり、娘と暮らす雪平の母性が爆発。娘を救うため、上層部の命令に背き、職を賭して、命懸けの単独行動に挑みます。しかも、捜査本部の情報はテロリスト側に漏れているのです。いったい誰が? 警察側の人間すべてが裏切りの容疑者。おまけに、最新設備の警察病院には、雪平たち現場の捜査員たちが知らない、大きな秘密もあったのです。
「いきなり映画から入っても、ついていける?」と心配しているあなた。もし、ドラマを見ていなかったら、一度、公式サイトに掲載されている今までのストーリーに目を通してから、映画館へどうぞ。実は、私もドラマを見ていませんが、それでも十分楽しめます(余裕がある方は、発売中のDVDで完全制覇すれば、きっとより楽しくなるはず)。
もちろん、ドラマを見ていた人は楽しめること間違いナシ。果たして、誰が“裏切り者”なのか。衝撃のラストを、思う存分堪能してください。
「アンフェア the movie」 全国東宝系で公開中
オフィシャルサイト http://unfair-movie.jp
(c)2007 関西テレビ放送 フジテレビジョン 東宝
「オール・ザ・キングスメン」――1949年、ルイジアナ州メーソン市で、新聞記者ジャック(ジュード・ロウ)と郡の出納官ウィリー(ショーン・ペン)は出会う。貧しい生い立ちのウィリーは、育った環境も生活もまったく異なる上流階級出身のジャックに強い印象を残す。しばらく後、小学校建設の不正入札を糾弾したウィリーは失業し、セールスマンに。取材に行ったジャックに、「俺は決して信念を捨てない」と熱く語る。やがて問題の学校が欠陥工事による死傷者を出し、俄然注目を浴びたウィリーは担がれて州知事に立候補、さまざまなウラのからくりを乗り越え、労働者の支持を集めて見事当選する。一方、彼を応援する記事を次々と書き、居づらくなったジャックは退職し、ウィリーの側近となる。5年後、絶大な権力を握ったウィリーは、汚職と女性スキャンダルにまみれていた……。
本作は、1946年にピュリッツアー賞を受賞したロバート・ペン・ウォーレンの小説『すべて王の臣』が原作です。小説といっても実在のモデルがいて、1928年にルイジアナ州知事に当選し、31年に上院議員、そして1935年8月にアメリカ大統領選出馬宣言をし、翌月、州議事堂で知人である医師に射殺されたヒューイ・P・ロングがその人。当時の大統領ルーズベルトから、「今、もっとも危険な人物の1人」と言われたほど、貧困層からの絶大な人気と、大きな権力を誇っていたそうです。
このところ、日本でも地方自治体の長の汚職が相次いで発覚して、初めは理想と信念に燃えていても人間は時の経過とともに腐敗してしまうんだろうか、なんてちょっぴり暗澹とした気分に。本作が書かれたのは60年も前ですが、とても過去の出来事だなんて思えないほど、現代に重なっていて驚きます。
パワフルで行動力に溢れたウィリーを演じたS・ペンが、ただのスキャンダル知事じゃない魅力を発散していて、ロングという人もこうだったのかも、と説得力十分に見せてくれます。一方、彼の側近となるも常にどこか傍観者だった本作の語り手ジャック役のJ・ロウも、ノーブルな外見とムードがマッチ、好対照な存在として光っています。
ジャックの父親代わりだったアーウィン判事役アンソニー・ホプキンスも出番は少ないながら強い印象を残し、ウィリーの側近役のジェームズ・ガンドルフィーニやパトリシア・クラークソンもベテランの味をたっぷり発揮、ドラマをキッチリ締めています。
ジャックの幼なじみで初恋の、そして永遠の女性であるアンを演じたケイト・ウィンスレットも、先週紹介した「ホリデイ」でJ・ロウと兄妹役でしたが、まったくイメージが違っていて、さすがの一言。「タイタニック」のローズ役で、『レオ君が守らなくても、十分生き残れそうだった』とさんざん叩かれた陰口も(笑)、すっかり遠い昔のようです。
「悪」は「善」を生むことが出来るのか。誰が、誰を裏切るのか。ウィリーやジャックの行き着く先には何があるのか。出演者を並べるだけでも、重厚さが伝わってくる大人のドラマです。じっくりとご覧ください。
「オール・ザ・キングスメン」 4月7日(土)~、日比谷みゆき座他、全国公開
オフィシャルサイトhttp://www.sonypictures.jp/movies/allthekingsmen/index.html
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2007-03-23 【映画】 | 固定リンク
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