アカデミー主演男優&女優賞ノミネート作品2本立て! 「ブラッド・ダイヤモンド」&「クィーン」+アカデミー賞受賞予想<3>

今週は、アカデミー主演男優&女優賞にノミネートされた作品をご紹介します。どちらも、骨太で見応え十分。実際に受賞する、しないに関わらず、お勧めしたい作品です。
1999年、アフリカ・シエラレオネ共和国。漁で家族を養うソロモン(ジャイモン・フンスー)は、貧しいながらも穏やかな日々を送っていた。夢は息子を医者にすること。しかし、内戦の火の粉は彼の村にまで襲いかかり、反政府軍に捕まったソロモンは家族と引き離され、彼らの資金源であるダイヤモンド採掘場へ労働力として連行される。そこで驚くほど大粒のピンク・ダイヤを発見したソロモンは、家族を救うチャンスに、とこっそり隠した。その噂を耳にしたダイヤ密売人アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)はソロモンに近づく。一方、内戦の火種である“紛争ダイヤモンド”、別名「ブラッド・ダイヤモンド」の真相を探る手がかりがアーチャーにあると気づいたアメリカ人記者マディー(ジェニファー・コネリー)は、アーチャーに接近。こうして、何の関わりもなかった3人が行動を共にすることになり――。
あなたは、“紛争ダイヤモンド”という言葉を聞いたことがありましたか? 恥ずかしながら、私は初めて。“ブラッド・ダイヤモンド(=血まみれダイヤ)”という別名からして、なにやら不穏な空気が漂いますが、この映画を見て、文字通り“血まみれ”だったことに愕然としてしまいました。
政府軍と反政府軍に分かれ、いまだ内戦が続くアフリカ諸国。反政府軍が、その国の採掘場から産出されたダイヤの原石を密輸出し武器購入資金に充てていたことから、西欧諸国は、その”紛争ダイヤモンド”を輸入しないよう自主規制をかけます。ところが、ダイヤは出回り続けるのです。それも、ほとんど採掘されない(!)近隣の別の国が産出した物として。誰でもわかる、でもおざなりになっていたからくりに、本作は迫っています(注:この映画の設定年以降の2002年に、ダイヤ輸入国による新たな自主規制が確立されています)。
“紛争ダイヤモンド”を巡って、ひょんなことから行動を共にすることになった3人は、育った環境も、生き方も、まったく異なっていました。唯一同じことは、このピンク・ダイヤを見つければ自分の望みがかなう、と信じていること。だから時に疑心暗鬼になりながらも協力し、危険な状況を助け合って切り抜けていくのです。この3人の微妙な関係が、物語の大きなカギになっていきます。
このところ、難しい役に挑戦し続けているレオ君がまたも挑んだ難役。もちろん、ただの悪役ではありません。様々な過去を抱えたアフリカ出身の白人という複雑な人間像を、地味に、抑えて演じています。アイドル的な人気から脱皮することに苦心してきた彼の現在の集大成と言って良い役かもしれません。ゴールデングローブ賞では、「ディパーテッド」と共に主演男優賞にWノミネートされましたが、アカデミー賞では本作1本でノミネート。それも納得の存在感です。
実は10数年前、初めて鑑定書付きダイヤのネックレスを買った私(自分で、です・笑)。自分にとっては“清水の舞台”な買い物でしたが、すごく嬉しかった。今でもお気に入りのアクセサリーです。でも、これももしかすると……。今まで考えもしなかったことですが。「ダイヤの不買運動を勧めているわけじゃない」とエドワード・ズウィック監督は言いますが、ただのエンタテインメントを超えた内容は、必見です。
「ブラッド・ダイヤモンド」 4月、サロンパス ルーブル丸の内他、全国松竹・東急系公開
オフィシャルサイト http://www.blooddiamond-movie.com
(c)2006 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
1997年5月、総選挙に臨んだイギリス国民は、トニー・ブレア(マイケル・シーン)を今世紀最年少の首相として選ぶ。『過去300年で最大の憲法近代化を行う』ことを公約に掲げていた彼の選出を、「クィーン」・エリザベス2世(ヘレン・ミレン)は複雑な思いで受け止めていた。その数ヶ月後の8月30日、ダイアナ元皇太子妃の突然の事故死の報が入る。すでにチャールズ皇太子と離婚し民間人となっていた彼女に対し、女王は何の国事も行わないことを決めるが、事態は思わぬ方向へと進み――。
ダイアナ元妃が亡くなってもう10年経ったことに驚きますが、なによりも、実際に起きた事件をテーマに、まだまだ健在の実在する人物たちのドラマが作られたことにビックリ。しかも、すごーくリアリティがあるのです。
事故後、すぐ声明を出さなかった王室が、世論によっていかに追い詰められていったのか。その国民と王室の亀裂を最小限に抑えるため、ブレア首相がいかに奔走したのか。まるで、内部で見ていた人が脚本を書いたような迫力。実際に、女王の伝記の著者や王室コメンテーター、ダイアナに近い関係者まで、ありとあらゆる人物に取材したそうで、限りなくノンフィクションに近いフィクションなのかもしれません。
何よりも、女王役を引き受けたH・ミレンの勇気に脱帽。きっと、その度胸こそが女王の威厳にもつながるのでしょう。同時に、国民の反応にいかに苦悩したかという、女王の人間的な部分も丁寧に描かれ、好感が持てる人物像になっています。
一見、王室という存在に反対の立場にあるかのようなブレア首相の、次第に見えてくる真意も興味深いところ。そして、いかに英国国民がロイヤル・ファミリーを身近に感じ、愛しているのかも、見えてきます。
皇室を持つ日本人だからこそ、他の国以上に英国国民の心情が理解できるのかも。でも、日本ではこれほど皇室の内情を描いた映画は作れないだろうなあ。そういう点では、英国王室は本当に開かれているのだと、改めてその違いを感じてしまいました。
「クィーン」 4月、シャンテ シネ、新宿武蔵野館他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.queen-movie.jp/
(c)2006 GRANADA SCREEN (2005) LTD/PATHE RENN PRODUCTION SAS/BIM DISTORIBUZIONE
「勝手に恒例(笑)! 全米アカデミー賞受賞予想 第3回」
今週は、主演男優賞&主演女優賞です。まずはノミネート一覧から。
<主演男優賞ノミネート>(※タイトルの後は、日本公開予定です。)
レオナルド・ディカプリオ 「ブラッド・ダイヤモンド」(4月公開)
ライアン・ゴズリング 「Half-Nelson/ハーフ・ネルソン(原題)」(公開未定)
ピーター・オトゥール 「Venus/ヴィーナス(原題)」(公開未定)
ウィル・スミス 「幸せのちから」(公開中)
フォレスト・ウィテカー 「ラストキング・オブ・スコットランド」(3月10日公開)
アカデミー会員に嫌われてるのか? と、他人事ながらそんな心配をしたくなるほど、無視され続けてきた感のあるL・ディカプリオ。ここ数年、単純なヒーローではなく、複雑な背景を持つ人物に挑戦し続けてきましたが、そろそろ陽の目を見る頃では。今回の役どころにはそれだけの存在感があったと思うのです。ということで、予想はL・ディカプリオ。
<主演女優賞ノミネート>
ペネロペ・クルス 「ボルベール/帰郷」(6月公開)
ジュディ・デンチ 「あるスキャンダルの覚え書き」(初夏公開)
ヘレン・ミレン 「クィーン」(4月公開)
メリル・ストリープ 「プラダを着た悪魔」(公開済み)
ケイト・ウィンスレット 「リトル・チルドレン(仮題)」(夏公開)
M・ストリープもお見事でしたが、どちらかというとコミカルな作品より、シリアス物に軍配は上がり勝ち。そうなると、やっぱり実在の人物を演じた度胸と迫力で、ヘレン・ミレンが有力ではないでしょうか。
来週はいよいよ作品賞です。お楽しみに!
全米アカデミー賞 オフィシャルサイト http://www.oscar.com
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2007-02-16 【映画】 | 固定リンク
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