古今東西、オンナの底力(パワー)は無敵なのです。「おばちゃんチップス」&「魂(たま)萌え!」
「女は、生まれたときから死ぬまで女」なんて言葉、聞いたことありますか? 今週は、ちょっと年配のパワフルな女性を東西対抗(笑)でご紹介。彼女たちを見ていると、今にもそのパワーが伝染してきそう。元気のおすそ分けを、どうぞ。
「おばちゃんチップス」――修平(船越英一郎)は東京の一流建設会社営業マンという生活を捨て、長年の夢だった方言研究のために大阪にやって来た。下宿先は千春(京唄子)が営む、昔ながらの雑貨屋・樋元商店の2階。窓を開ければ、隣りのアパートに住むホステス・麻衣子(misono)の部屋が丸見えという環境だ。大学の言語学非常勤講師の職だけでは生活できないため、樋元商店の店番を始めるが、地元のおばちゃんパワーにやられっぱなし。しかし、誰に対しても真摯で優しい修平は、すぐにおばちゃんたちと打ち解けていく。そんな中、マンション建設のために、樋元商店一帯が地上げにあうという緊急事態が。店やおばちゃんたちを守るため、修平が考えた策とは……?
「2時間ドラマの帝王」と呼ばれ、民放5局に主演作がある唯一人の俳優・船越英一郎。最近はバラエティ番組などのレギュラー出演でもすっかりおなじみで、見るからに人の好さそうなムードに、好感を抱く人も多いのではないでしょうか。その彼の主演作です。
本作は、かなり変わったきっかけから誕生しました。2003年、経済的に厳しい状況の大阪をなんとか立て直そうと大阪経済大学とホリプロが手を組み、企画力などの育成を目的にスタートした「基礎能力開発講座」。そこで公募した第1回グランプリ受賞作が、ポテトチップスに大阪のおばちゃんの一言を入れたカードを封入するという「おばちゃんチップス」でした。その商品化と共に、映画化はスタートしました。
脚本も手がけた田中誠監督は、東京・浅草生まれの生粋の江戸っ子。もともと関西弁が大好きだった彼が、大阪や大阪人を取材しまくって書いたシナリオにある各エピソードは、全部実話だそうです。関東圏で生まれ育った私としては、「ええーっ!」と、呆れるやら笑ってしまうやらの抱腹絶倒のモノばかり。ギャグじゃないのにしっかりギャグになってるところは、さすが大阪(笑)。おばちゃんたちのパワーをひしひしと感じます。
騒々しくて、図々しくて、お節介。でも、そんな中にも、どこか人の好さや優しさがにじみ出てくる不思議な感覚。だから大阪のおばちゃんたちは、今もあんなにパワフルに存在し続けられるのかもしれません。
ストーリーはよく出来たベタな展開で、目新しさはありません。でも、とっても温かくて、見た後は心がホカホカしてきそう。余談ですが、数年前、偶然、御殿場のアウトレットで船越さんを見かけたことが。その時、久しぶりに会った友人なのか、同じ年頃の男性と往来の真ん中で握手したんです。かなり背の高い人だし、そもそも日本で握手って行為は、スゴく目立つ。思わず笑ってしまいましたが、でも、ちょっぴりカッコよかったんです。あれ以来、なんとなく船越さん好きなワタシ。もしかしたら、おばちゃんたちの底なしパワーをガッチリ受け止めて共存できる人は、彼しかいなかったのかもしれませんね。
「おばちゃんチップス」 1月27日(土)~、シアターN渋谷、銀座シネパトス他にて公開
オフィシャルサイト http://www.obachan-chips.com
(c)2006「おばちゃんチップス」製作委員会
「魂萌え!」――武蔵野市の住宅街に築20年の一戸建てを構える関口家は4人家族。長男(田中哲司)はアメリカに行ったきりだが、フリーターの長女(常盤貴子)は親のスネをかじって同居中のごく平凡な家族だ。夫・隆之(寺尾聰)が定年退職を迎えた晩、妻・敏子(風吹ジュン)は初めて夫とぎこちなく握手を交わす。その3年後、夫は風呂場で倒れて還らぬ人に。葬儀から帰宅した敏子を迎えたのは、夫の携帯の呼び出し音だった。“伊藤”と名乗った女性の動揺ぶりに胸騒ぎを覚える敏子。さらに、定年後、蕎麦打ち教室に通っていた夫が、亡くなる前の数ヶ月間は教室に行っていなかったことを知る。思い切って夫の携帯から“伊藤”に電話をかけた敏子の誘いで、線香をあげに訪れた女性・伊藤昭子(三田佳子)は、隆之とは10年来の仲だと告げた……。
30年以上生活を共にしてきた夫が、10年もの間、別の生活の場を持っていた――ごく普通の専業主婦として、夫や子供ら家族のために日々を費やしてきた59歳の女性が受けたショックがどれほどのものだったのか。想像するだけでクラクラしてきそうです。
しかも、8年もアメリカに行ったままで勝手に結婚した息子は、妻や子供を連れての同居を言い出し、遺産相続の話まで始めます。フリーターで恋人と同棲生活を送る娘は、気ままにやって来ては、「お兄ちゃんのいいようになっちゃダメよ」と口だけ達者な他人事気分。敏子がプチ家出を試みたのも当然な気がします。
生まれて初めて泊まったカプセルホテルのワケありな宿泊客(加藤治子)や従業員(豊川悦司)。夫を偲ぶ会で出会った、自分を「○○さんの奥さん」ではなく、1人の女性として扱ってくれる男性(林隆三)。様々な人々との出会いは、彼女を大きく揺さぶります。
ふと、お正月に実家の母がこぼした愚痴を思い出しました。母が体験したある出来事についてでしたが、「些細なことだとわかっていても、腹が立って仕方がない。70歳にもなるのに、まだこんなことで腹が立つのかと思うと、子供みたいでがっかりした」というようなことを言っていました。例えは違いますが、年齢を重ねて“いい歳”になっても、変わらない部分があるのではないでしょうか。
だから、突然世間の荒波に放り込まれた敏子がようやくやりたいことを見つけて、それがどんなに唐突でも、「そんなこと、オバサンでやる人いないよ」と言われても、飛び込んでいく姿に(ちょっとお酒の力も借りてますが)、私まで嬉しくなってしまうのかもしれません。それはきっと、いつのまにか自分を彼女に重ね合わせているから。
何歳になっても、オバサンになっても、自分自身でありたい。いつも魂を萌え(燃え)させて生きていきたい。そんな、当然だけど、“いい歳”になると中々言いにくいセリフを、ラストシーンの敏子の表情がはっきりと語っているように見えました。
「魂萌え!」 1月27日(土)~、シネカノン有楽町他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.tamamoe.com
(c)2007「魂萌え!」パートナーズ
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2007-01-12 【映画】 | 固定リンク
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トラックバック送信日 2007/01/24 11:30:25

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