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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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これは現実か? はたまた夢なのか? 「スターフィッシュホテル」&「ユメ十夜」

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今週ご紹介する映画のキーワードは、“夢”と“小説”。一方の主人公は、人気ミステリー作家の小説を愛読し、悪夢に悩まされる会社員。もう一方は、あの文豪・夏目漱石が書いた“夢”をテーマにした小説。現実と夢の境目が判然としない幻想的な世界に、あなたは何を思いますか?

有須(アリス/佐藤浩市)は建築会社の会社員。設計事務所に勤める妻ちさと(木村多江)と、ちょっと裕福で穏やかな生活を送っていた。しかし、今では仕事や妻への情熱は消え、どこか乾いた毎日だ。そんな彼の楽しみは、人気作家黒田(串田和美)の描く幻想的なミステリー小説を読むこと。そのせいか、毎晩悪夢にうなされていた。ある日、妻が失踪する。そして現れた、ウサギの着ぐるみ姿の男(柄本明)。時を同じくして出版された黒田の新刊のタイトル「スターフィッシュホテル」は、有須が2年前の東北出張で、佳世子(KIKI)という女性と関係を持ったホテルの名前だった。さらに、妻の行方を捜す有須の行く先々で殺人事件が起きる。これは現実なのか、悪夢の続きなのか……? 有須がたどり着く結末とは?

アリス(=有須)にウサギとくれば、思い出すのは『不思議の国のアリス』ですよね。現実をどこか冷めた眼差しで眺めていた有須は、物語のアリス同様、ウサギ男の後を追うように“不思議の国”のような“現実”をさ迷います。

でも、それは本当に“現実”なのか? 彼の見る悪夢と目覚めている間に起きる出来事は、どこまでが事実で、どこからが虚構なのか。境目は、次第に曖昧になっていきます。

妻はなぜ失踪したのか? つきまとうウサギ男は何を知っているのか? そして、新刊小説に描かれているのは、まさしく今、自分の周囲で起きている出来事。いったい、なぜ? 彼の疑惑は膨らみ、孤独と焦燥にさいなまれます。

監督ジョン・ウィリアムズが日本在住の英国人という経歴のせいか、邦画にはないムードが物語をさらに幻想的に彩ります。「幻想的」とは言っても“夢落ち”などではなく、事件はちゃんと論理的な結末を迎えますので、安心して(?)見てください(笑)。

妻の失踪や殺人事件が解決し、すべてが結末を迎えたかに見えた後、実は物語にはまだ続きがありました。そのエピローグの意味は、見る人それぞれに委ねられているのです。あなたは、どう解釈するでしょうか?

「スターフィッシュホテル」 2月3日(土)~、シネマート六本木他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.starfishhotel.jp

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静かに暮らす作家・百閒(松尾スズキ)と妻(小泉今日子)。しかし、突然妻が別れを告げる<第一夜>。口の悪い和尚(中村梅之助)を恨みながら、悟りを開こうと侍(うじきつよし)は悪戦苦闘するが<第二夜>。夜泣きした子供を背負って夜道を歩く漱石(堀部圭亮)が、ふいに思い出した恐ろしい過去とは<第三夜>。子供が全員“神隠し”にあったという田舎町に講演にやって来た漱石(山本耕史)に、少年時代の切ない記憶が甦る<第四夜>。町一番の色男・庄太郎(松山ケンイチ)が出会った美女(本上まなみ)の恐ろしいヒミツとは<第十夜>--それぞれに語られる、「ユメ十夜」の物語。

「こんな夢を見た」で始まる夏目漱石の短編集『夢十夜』は、漱石が、 「この作品が理解されるには100年もの永い年月がかかるだろう」と、知人への手紙に記した作品でした。それからちょうど100年。巨匠から鬼才、若手実力派まで個性豊かな、日本を代表する10組の監督(実相寺昭雄、市川崑、清水崇、清水厚、豊島圭介、松尾スズキ、天野喜孝&河原真明、山下敦弘、西川美和、山口雄大)が、これまた個性豊かな俳優陣をキャスティングして映像化したのが、本作です。

条件はただ1つ、“製作費はみな同じ”。後は原作をどう解釈しようが、どう料理しようが、十人十色。そのリクエスト通り、時代物から現代劇、ホラー・テイストからコメディ・タッチ、3D-CGアニメにサイレント・ムービーと、あらゆるジャンルが揃いました。

“夢”って、見ている時はとても理に適って納得しているのだけど、目覚めて説明しようとすると、途端にあやふやで不条理なものになってしまいますよね。それをあえて小説にした夏目漱石(もちろん、彼が本当に見た夢かどうかを確認するすべはありませんが)。さらに、映画化した製作陣。それだけでも、興味がわいてきませんか?

原作を読んだのは、10数年前の学生時代なので、私の記憶もおぼろげですが、それにしてもこんな解釈があるとは!と、驚いたエピソードも。あの世の漱石サンも、ビックリしているかもしれません。

とってもリアルな描写から、現実をはるかに超えた“向こう”の世界にポーンと飛んでいってしまっても、「そうそう、夢ってそんな感じ」と妙に納得してしまいます。そう、この映画はストーリー展開を楽しむのではなく、不条理で幻想的な世界を漂うのがおもしろいのだと思うのです。

十夜もの夢があれば、きっとあなたの琴線に触れる1本があるはず。夢の解釈はあなた次第。もちろん、解釈なんかしなくてもいいのです。何でも言い合える友達同士で見に行って、あれこれ話すもよし。1人で行ってじっくり堪能するもよし。夏目漱石ってどんな人?と考えるもよし。まあ、まずは不思議な世界を味わってみてください。

「ユメ十夜」 1月27日(土)~、シネマスクエアとうきゅう他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.yume-juya.jp
(c)2006「ユメ十夜」製作委員会

ところで先日、第79回全米アカデミー賞のノミネートが発表されました。そこで、来週から2月25日(現地時間)の発表まで、またまた恒例の受賞予想をしたいと思います。さて、あなたの予想は? どうぞ、お楽しみに。

 
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2007-01-26 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

もし、ちがう時代に生まれていたら……?「マリー・アントワネット」&「夏物語」

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現代の日本を生きる私たちが、“激動の時代”を身をもって実感することはあまりないですよね。でも、例えばニュースでイラクなどの世界情勢を聞くと、ふいに身近に感じることはありませんか? 今週は、時代に翻弄された人たちが主人公。国も時代もまったく異なりますが、なすすべもなく時代の波に巻き込まれてしまった人たちのドラマです。

1755年、オーストリア皇女として誕生した「マリー・アントワネット」(キルスティン・ダンスト)は、母のマリア・テレジア女帝(マリアンヌ・フェイスフル)の命令で、たった14歳で15歳のフランス王太子ルイ(ジェイソン・シュワルツマン)の元に嫁ぐ。服や持ち物、愛犬まで故国のものはすべて取り上げられ、たった1人で見知らぬ土地に足を踏み入れた少女を待っていたのは、豪奢な生活と、やがて来る、想像もつかないほど過酷な激動の時代だった。4年後、ルイ15世(リップ・トーン)が崩御し、王太子がルイ16世として即位する。18歳で王妃となったマリー。フランス革命までは、あと15年――。

30~40代前後の女性は、このあたりの史実に妙に詳しいのではないでしょうか? かく言う私もその1人。そう、それはみんな「ベルサイユのばら」のおかげ(笑)。原作コミック、宝塚歌劇団の舞台、TV&劇場版アニメと、当時、ホントに一大ブームを巻き起こし、それは今もなお続いています。

本作の脚本を自ら書き、メガホンをとったのはソフィア・コッポラ。前作「ロスト・イン・トランスレーション」で日本のホテル、パークハイアット東京を舞台に撮影したことが話題になりましたが、今回はなんとヴェルサイユ宮殿での撮影を実現させたのです。フランス政府の大々的な協力で、通常は立ち入り禁止の部屋も開放。そのかいあって、豪華絢爛な時代が完全に再現され、見応え十分です。

加えて、美しい衣装の数々。いわゆる時代物にありがちな重々しくどっしりしたものではなく、眩しいほどに明るくポップな色彩感覚で、マリーの若々しく元気なキャラクターを一層引き立てます。元々ファッションの仕事をしていた監督だけあって、そのあたりはお手の物。今までのコスチューム・プレイにはなかった味付けとなっているのです。

それにしても思うのは、こういう時代に生まれた彼女の不運。そりゃ、浅はかで考えナシな女の子です。でも、14歳の、現代日本ならば、まだ中学生。たった1人で異国に嫁ぎ、「オーストリア女」だとか、「不妊症」だとか聞こえるように陰口を叩かれ、プライバシーは1つもなく、唯一頼れるはずだった夫は頼りなく、心の支えになるはずの実母からも、「子供を生まなければ、あなたの立場はない」とまで言われ、彼女はどうすればよかったのか。

浪費家の側近たちにそそのかされ、ちょっと(?)ショッピングに走ったり、夜遊びやゲーム(=ギャンブル)に興じても、仕方なかったんじゃないか――。国民が、自由や権利という意識に目覚め始める時代でなかったら、やり直すチャンスもあったかもしれないのに。

現代に生きる私たちと変わらない感覚を持つ女の子として、生き生きと描き出されたマリー。もし、ちがう時代に生まれていたら? そんなことを思わずには、いられません。

「マリー・アントワネット」 1月20日(土)~、日劇3他、全国公開
オフィシャルサイト http://MA-movie.jp
(c)2005 I Want Candy LLC.

この機会に、伝説のコミック「ベルサイユのばら」を一気読み!
http://www.s-book.com/plsql/com2_series?tid=908855133

Movie0119_02
60歳を超えて独身を貫く元大学教授ソギョン(イ・ビョンホン)。彼の元を、かつての教え子でTVの放送作家をするスジン(イ・セウン)が訪ねてきた。番組でソギョンの初恋の女性を探したいというのだ。彼には生涯忘れられない「夏物語」が1つだけあった。それは、人類が初めて月面に着陸した1969年の夏。軍事独裁政権下にある韓国・ソウルの大学生だったソギョンが、ボランティア活動で滞在した農村で出会った、村の図書館司書ジョンイン(スエ)という女性との日々だ。彼女を探すためのわずかな手がかりをたよりに、スジンはプロデューサーのキム(ユ・ヘジン)と共にかつての農村へ向かうが……。

ご存知の方も多いと思いますが、つい20数年前まで、韓国は軍事独裁政権下にありました。1961年に軍事クーデターで政権を握ったパク・チョンヒが1963年に大統領に就任後、1979年に暗殺されるまで(暗殺犯は側近の中央情報部長)、独裁状態にあったのです。

当時の韓国憲法では大統領の三選(3期目の就任)は禁止。それを改定し三選を目指す大統領に、野党や学生を始めとした知識人は猛反発。各地でデモが繰り広げられていました。北朝鮮に対する方針も、今の「太陽政策」とは逆の強硬な態度で、共産主義的思想を持つ人々は「北のスパイ」や「アカ」と呼ばれ、不当逮捕も日常茶飯事。スパイ罪で投獄されることもあったのです。

裕福な家庭のお坊ちゃんだったソギョンは、周囲の熱心な活動家とは違って何のポリシーも持たない、のんびりした大学生でした。その彼が、友人に連れて行かれた農村活動で、生涯唯ひとつの恋に落ちてしまうのです。でもその相手は、父親が北朝鮮に亡命したという「スパイの娘」。何のしがらみも計算もなく、少しずつ距離を縮めていく微笑ましい2人に、時代は容赦なく立ちはだかります。

歴史に「もし」は禁物だと言いますが、でも、もし、2人がもう十数年遅く生まれていたら――ひと夏の物語は思い出だけに終わらず、次の夏、また次の夏へと積み重ねていけたかもしれなかったのに。

イ・ビョンホンが1年半の充電期間を経て選んだラブ・ストーリーは、無邪気な青年時代が私たちをよけいに切ない気分にします。それにしても、20代のお茶目でユーモラスな表情がとってもかわいくて、さわやかなのですが、妙に歯が白いんですよねえ。あまりに白くて、彼が笑うたびに視線が引き寄せられてしまいました(笑)。ストーリーに全然関係なくて、スミマセン。

「夏物語」 1月27日(土)~、シネマート新宿他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.natsu2007.jp
(c)2006 KM Culture co. Ltd, All Rights Reserved.

完全ノベライズ本も発売中。http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4087605191

 
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2007-01-19 【映画】 | 固定リンク | コメント (2)

古今東西、オンナの底力(パワー)は無敵なのです。「おばちゃんチップス」&「魂(たま)萌え!」

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「女は、生まれたときから死ぬまで女」
なんて言葉、聞いたことありますか? 今週は、ちょっと年配のパワフルな女性を東西対抗(笑)でご紹介。彼女たちを見ていると、今にもそのパワーが伝染してきそう。元気のおすそ分けを、どうぞ。

「おばちゃんチップス」――修平(船越英一郎)は東京の一流建設会社営業マンという生活を捨て、長年の夢だった方言研究のために大阪にやって来た。下宿先は千春(京唄子)が営む、昔ながらの雑貨屋・樋元商店の2階。窓を開ければ、隣りのアパートに住むホステス・麻衣子(misono)の部屋が丸見えという環境だ。大学の言語学非常勤講師の職だけでは生活できないため、樋元商店の店番を始めるが、地元のおばちゃんパワーにやられっぱなし。しかし、誰に対しても真摯で優しい修平は、すぐにおばちゃんたちと打ち解けていく。そんな中、マンション建設のために、樋元商店一帯が地上げにあうという緊急事態が。店やおばちゃんたちを守るため、修平が考えた策とは……?

「2時間ドラマの帝王」と呼ばれ、民放5局に主演作がある唯一人の俳優・船越英一郎。
最近はバラエティ番組などのレギュラー出演でもすっかりおなじみで、見るからに人の好さそうなムードに、好感を抱く人も多いのではないでしょうか。その彼の主演作です。

本作は、かなり変わったきっかけから誕生しました。2003年、経済的に厳しい状況の大阪をなんとか立て直そうと大阪経済大学とホリプロが手を組み、企画力などの育成を目的にスタートした「基礎能力開発講座」。そこで公募した第1回グランプリ受賞作が、ポテトチップスに大阪のおばちゃんの一言を入れたカードを封入するという「おばちゃんチップス」でした。その商品化と共に、映画化はスタートしました。

脚本も手がけた田中誠監督は、東京・浅草生まれの生粋の江戸っ子。もともと関西弁が大好きだった彼が、大阪や大阪人を取材しまくって書いたシナリオにある各エピソードは、全部実話だそうです。関東圏で生まれ育った私としては、「ええーっ!」と、呆れるやら笑ってしまうやらの抱腹絶倒のモノばかり。ギャグじゃないのにしっかりギャグになってるところは、さすが大阪(笑)。おばちゃんたちのパワーをひしひしと感じます。

騒々しくて、図々しくて、お節介。でも、そんな中にも、どこか人の好さや優しさがにじみ出てくる不思議な感覚。だから大阪のおばちゃんたちは、今もあんなにパワフルに存在し続けられるのかもしれません。

ストーリーはよく出来たベタな展開で、目新しさはありません。でも、とっても温かくて、見た後は心がホカホカしてきそう。余談ですが、数年前、偶然、御殿場のアウトレットで船越さんを見かけたことが。その時、久しぶりに会った友人なのか、同じ年頃の男性と往来の真ん中で握手したんです。かなり背の高い人だし、そもそも日本で握手って行為は、スゴく目立つ。思わず笑ってしまいましたが、でも、ちょっぴりカッコよかったんです。あれ以来、なんとなく船越さん好きなワタシ。もしかしたら、おばちゃんたちの底なしパワーをガッチリ受け止めて共存できる人は、彼しかいなかったのかもしれませんね。

「おばちゃんチップス」 1月27日(土)~、シアターN渋谷、銀座シネパトス他にて公開
オフィシャルサイト http://www.obachan-chips.com
(c)2006「おばちゃんチップス」製作委員会



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「魂萌え!」――武蔵野市の住宅街に築20年の一戸建てを構える関口家は4人家族。長男(田中哲司)はアメリカに行ったきりだが、フリーターの長女(常盤貴子)は親のスネをかじって同居中のごく平凡な家族だ。夫・隆之(寺尾聰)が定年退職を迎えた晩、妻・敏子(風吹ジュン)は初めて夫とぎこちなく握手を交わす。その3年後、夫は風呂場で倒れて還らぬ人に。葬儀から帰宅した敏子を迎えたのは、夫の携帯の呼び出し音だった。“伊藤”と名乗った女性の動揺ぶりに胸騒ぎを覚える敏子。さらに、定年後、蕎麦打ち教室に通っていた夫が、亡くなる前の数ヶ月間は教室に行っていなかったことを知る。思い切って夫の携帯から“伊藤”に電話をかけた敏子の誘いで、線香をあげに訪れた女性・伊藤昭子(三田佳子)は、隆之とは10年来の仲だと告げた……。

30年以上生活を共にしてきた夫が、10年もの間、別の生活の場を持っていた
――ごく普通の専業主婦として、夫や子供ら家族のために日々を費やしてきた59歳の女性が受けたショックがどれほどのものだったのか。想像するだけでクラクラしてきそうです。

しかも、8年もアメリカに行ったままで勝手に結婚した息子は、妻や子供を連れての同居を言い出し、遺産相続の話まで始めます。フリーターで恋人と同棲生活を送る娘は、気ままにやって来ては、「お兄ちゃんのいいようになっちゃダメよ」と口だけ達者な他人事気分。敏子がプチ家出を試みたのも当然な気がします。

生まれて初めて泊まったカプセルホテルのワケありな宿泊客(加藤治子)や従業員(豊川悦司)。夫を偲ぶ会で出会った、自分を「○○さんの奥さん」ではなく、1人の女性として扱ってくれる男性(林隆三)。様々な人々との出会いは、彼女を大きく揺さぶります。

ふと、お正月に実家の母がこぼした愚痴を思い出しました。母が体験したある出来事についてでしたが、「些細なことだとわかっていても、腹が立って仕方がない。70歳にもなるのに、まだこんなことで腹が立つのかと思うと、子供みたいでがっかりした」というようなことを言っていました。例えは違いますが、年齢を重ねて“いい歳”になっても、変わらない部分があるのではないでしょうか。

だから、突然世間の荒波に放り込まれた敏子がようやくやりたいことを見つけて、それがどんなに唐突でも、「そんなこと、オバサンでやる人いないよ」と言われても、飛び込んでいく姿に(ちょっとお酒の力も借りてますが)、私まで嬉しくなってしまうのかもしれません。それはきっと、いつのまにか自分を彼女に重ね合わせているから。

何歳になっても、オバサンになっても、自分自身でありたい。いつも魂を萌え(燃え)させて生きていきたい。そんな、当然だけど、“いい歳”になると中々言いにくいセリフを、ラストシーンの敏子の表情がはっきりと語っているように見えました。

「魂萌え!」 1月27日(土)~、シネカノン有楽町他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.tamamoe.com
(c)2007「魂萌え!」パートナーズ

 
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2007-01-12 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

もし、あなたが自分ではない人生を生きることになったら――? 「ディパーテッド」&「ラッキーナンバー7」

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明けましておめでとうございます。お正月はどんな風に過ごされましたか? 今年もいろんな映画をご紹介していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。さて、今年のお正月映画の特徴は、ファミリー向け作品が多かったこと。そういう年は、たいてい第2弾(1月以降公開)に大人向けタイトルが多くなる傾向があるのです。2007年の第1回は、ちょっとハードな男たちの物語をご紹介。もしあなたが、本当の自分ではない他人の人生を生きることになってしまったら。それも、命懸けで。どうします? 

ボストン南部サウシー地区。マフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)が牛耳るこの地区出身の2人の若者が、警察学校に入学する。1人は、犯罪者の一族に生まれた自らの人生を変えるため、警察官を志したビリー(レオナルド・ディカプリオ)。もう1人は、コステロが幼いころから目をかけ育て上げたコリン(マット・デイモン)。2人は優秀な成績を修め、コリンは精鋭集団のSIU(特別捜査課)へ、ビリーは極秘捜査班へ大抜擢される。エラービー警部(アレック・ボールドウィン)率いるマフィア撲滅の最前線でコステロに情報を流し続けるコリン。一方、ビリーに課せられたのは、コステロ組織への潜入捜査だった。警察内部でも彼の正体を知っているのは、極秘捜査班を率いるクイーナン警部(マーティン・シーン)とディグナム巡査部長(マーク・ウォールバーグ)だけ。失敗すれば、命はない。互いの顔も素性も知らず、本当の自分を「ディパーテッド」(死者)として生きるビリーとコリン。しかし、ついに双方に内通者がいることがバレて――。

「あれ? どこかで聞いたような話」と、思ったあなた、その通りです。すっかりハマってしまった私が3作(DVDも含む)全部を紹介してしまった初のシリーズ、トニー・レオン&アンディ・ラウ主演「インファナル・アフェア」のハリウッド・リメイク版です。

いつも、続編&リメイク路線にちょっと冷たーい視線を向けている私ですが、さすがにこれは気になって、観に行っちゃいました(笑)。だって、マーティン・スコセッシ監督とこの俳優陣がそろったのです。どんなことになったのか、見ないでおくテはありません。

結論から言いますと、楽しめます(笑)。2時間半を超える超長尺を飽きさせなかったのですから、それだけでも大したモノ。基本的には原作に忠実で、シーンによっては、「よく似てるなあ」なんてところもありました。

逆に、かえっておもしろくなっていたのが、ビリーとコリンが魅かれる女性が同一人物だということ。犯罪者や警察関係者のカウンセリングを専門に行う精神科医マドリン(ビーラ・ファミーガ)と警察内で偶然出会うコリン。一方、ビリーは裁判所の命令で患者として治療を受けることになるのです。

陽の当たる明るい場所でデートを重ねるコリンと、本当は警察官なのに犯罪者として彼女に相対するビリー。2人が仮面を被って、本当の自分を明かしていないことを本能的に感じつつ、魅かれていくマドリン。三角関係が、物語をさらに深めていきます。

彼らを待つのは、どんな結末か? 「インファナル・アフェア」をご覧になっている方も、もちろんそうでない方も、きっと楽しんでいただけると思います。

「ディパーテッド」 1月20日(土)~、サロンパス ルーブル丸の内他、全国松竹・東急系にて公開
オフィシャルサイト 
http://www.departed-movie.jp
(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.

Movie0105_2

空港で待つ青年に車椅子の男(ブルース・ウィリス)が話しかけてきた。それは、平凡で幸せな家族を巻き込んだ、「ラッキーナンバー7」にまつわる物語。話し終えるや、男=グッドキャットは青年を射殺し、立ち上がると、自分の代わりに死体を乗せた車椅子を押して立ち去る――。
アパートで目覚めたスレヴン(ジョシュ・ハートネット)は、シャワーを浴びると痛む鼻を鏡に映した。砂糖を借りに訪ねてきた隣人・リンジー(ルーシー・リュー)はスレヴンの姿に驚く。実はスレヴンは失業し、恋人の浮気まで発覚したため、この部屋の住人で友人のニックを訪ねてニューヨークに来たのだ。ところが、路上でチンピラに殴られ身分証明書を盗まれた上、ニックは不在。それを聞いたリンジーは、ニックの行方を一緒に探そうと持ちかける。次に訪ねてきたのは、ギャングの下っ端。ニックと間違えられ、“ボス”(モーガン・フリーマン)の元に連れて行かれたスレヴンは借金返済を迫られる。出来ないのなら、3日のうちに敵対組織のトップ、“ラビ”(ベン・キングズレー)の息子を殺せと言うのだ。アパートに戻るや否や、今度はラビ側に誘拐されるスレヴン。ニックはこちらの組織にも借金があったのだ。ラビは、借金相殺の代わりに”ボス”暗殺を命じる。そのボスとラビの傍らには、凄腕の暗殺者グッドキャットの姿があった――。

長いストーリー説明でゴメンナサイ! 映画はまず、突然殺される2人の男から始まります。その後に上に書いた空港の1件があって、ようやくスレヴンが登場。いったい、コレ、どうつながってるの?? と、最初、頭はちょっと混乱気味になるかもしれません。

情け容赦ない射殺シーンが続いたかと思えば、腰のバスタオル1枚で連れて行かれるスレヴンの姿はちょっと吹き出してしまうほどコミカル。そんな緩急に富んだテンポが、あっという間に私たちを物語に引き込んでいきます。

対立する2大組織のボス。行方不明のニック。そして、他人の人生の帳尻合わせを本人に代わってさせられる、なんともツイていない男、スレヴン。タダの失業青年に、ギャング組織のボスを暗殺しろだなんて、そりゃムチャな。しかもその陰には、暗殺者の不気味な姿まであるのです。

キャストが出演理由の1つに「脚本がおもしろい」と口をそろえて挙げているだけあって、そのおもしろさはお墨付き。サスペンス、ミステリー、コメディ、そしてラブとあらゆる要素をギュウギュウ詰めにした展開で、息つく暇を与えません。

まだ、どんな話かわからない、と言うあなた。またまたゴメンナサイ。たっぷり楽しんでいただくためには、これ以上、説明できないんです。とにかく、「ダマされた」と思って見て下さい。きっと、「ダマされ」続けて迎えるラスト・シーンに、ニヤリとしてしまうから。

「ラッキーナンバー7」 1月13日(土)~、丸の内プラゼール他、全国松竹・東急系にて公開
オフィシャルサイト 
http://www.lucky-movie.jp
(c)2005 Film & Entertainment VIP Medienfonds 4 GmbH & Co. KG All Rights Reserved.

 
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2007-01-05 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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