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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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男と女、陰謀をめぐらすのに向いているのは……? 「大奥」&「あるいは裏切りという名の犬」

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古くは紀元前エジプトのクレオパトラからイエス・キリストを裏切ったユダまで、人間は陰謀をめぐらさないではいられない生き物なのかもしれません(もちろん、人それぞれですが)。今週は、男と女のどちらが“陰謀”向きなのか(笑)、ちょっと考えてみるのはいかがでしょう? 

時は7代将軍・徳川家継の世。先代将軍に取り立てられ、わずか5歳の幼将軍の後見人となった側用人・間部詮房(まなべあきふさ/及川光博)と、それを快く思わない老中・秋元喬知(岸谷五朗)一派との権力争いが表面化する中、女たちの世界「大奥」でも、現将軍の生母・月光院(井川遥)と先代将軍の正室・天英院(高島礼子)とが、熾烈な争いを繰り広げていた。月光院の信頼厚く、若くして大奥総取締となった絵島(仲間由紀恵)は、月光院に降りかかる敵意や中傷をその知性と機転で切り抜けていくが、やがて天英院側の悪意の矛先にされてしまう。何とかして月光院を陥れたい天英院は、絵島失脚の陰謀を、腹心の女中・宮路(杉田かおる)に命じる。そして、恒例の寺社詣後に寄る歌舞伎見物で、絵島は人気歌舞伎役者・生島新五郎(西島秀俊)と出会う……。

大人気となったTVシリーズ「大奥」。満を持して、といった感じでスクリーンへ進出です。今回は、新キャストはもちろん、TV版に出演していた人たちが、メインからちょっとした脇役までズラリ勢ぞろいで、まさしく“大奥祭り”状態(笑)。TV版を見ていた人は、余計に楽しめるかも知れません。

でも、見ていない人でも大丈夫。日本史の教科書にもチラリと出てきたあの有名な「絵島生島事件」を軸に、物語は展開します。

「おなごはおなごを裏切るものにございますのえ」――手を結んだ秋元に天英院が計略を明かし、彼が「あの聡明な絵島がひっかかるのか」と危惧すると、ニヤリと語るこのセリフ。おおコワ!! 高島礼子、「極妻」以上の迫力です。

その上を行く迫力を見せたのが、宮路役・杉田かおるでした。天英院に命じられ、絵島を“おとす”よう、ひと目をしのんで生島に頼みに行ったとき。そして、2人の関係を決定的にするためにある事件を引き起こしたとき。さらに、自身忍ぶ恋をしていた天英院の恋の顛末を見届けたときの彼女の表情。その複雑な感情が見事に伝わってきて、結婚・離婚以来、バラエティ番組でのとんでも発言ばかりが目立っていた彼女は、そう言えば子役時代から演技派だった、と再認識してしまいました。

もちろん、NHK大河ドラマで最年少主演記録を打ち立てた、本作主演仲間由紀恵も、凛々しく、聡明な絵島を演じ、清々しいほど。対する生島役・西島秀俊の相変わらずの変幻自在ぶりも、やっぱり、この人は得体が知れない(いい意味です)、と満喫できました。

総額1億円を超えた衣装は、企画段階から2年をかけて製作された物まであるという、豪華絢爛、艶やかな物ばかりで、これまた見応え十分。華やかな女優たちがイジワル役を楽しんでいる様もまた、楽しいです。忙しい年の瀬のひと時ですが、映画館へどうぞ。

「大奥」 12月23日(土)~、全国東映系にて公開
オフィシャルサイト 
http://www.oh-oku-movie.jp
(c)2006フジテレビジョン 東映 FNS27社 東映ビデオ

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「あるいは裏切りという名の犬」――パリ警視庁所属のBRI(探索出動班)リーダー、レオ・ヴリンクス警視(ダニエル・オートゥイユ)は正義感に溢れ、部下の信頼も厚い。一方、BRB(強盗鎮圧班)リーダー、ドニ・クラン警視(ジェラール・ドパルデュー)は権力志向が強い野心家。かつて親友同士だった2人は、同じ女性カミーユ(ヴァレリア・ゴリノ)を愛し、彼女がレオの妻になったことから袂を分かち、今では率いるチームまでが対立している。その対立を決定づける事態が起きる。パリで多発する現金輸送車強奪事件に対する特別捜査チームの編成が決定し、その指揮官にレオが任命されたのだ。反発したドニは自分も捜査に加えるよう直訴。しかし、レオが立てた犯人逮捕のための計画は、ドニの独断行動ですべておじゃんに。しかも、レオの部下であり親友だったエディ(ダニエル・デュヴァル)が犠牲になってしまう。ドニは調査委員会にかけられることになるが、彼は一発逆転を可能にするレオのある秘密を握っていた――。

驚くべきことに、このストーリーは実話を元にしているのです。80年代のフランスを騒然とさせた“ロワゾー事件”。警官ドミニク・ロワゾーが無実の罪で逮捕され、実に6年半も投獄されたのです。その彼の後輩警官だったオリヴィエ・マルシャルが、本作の監督。元警官というのも異色の経歴ですが、今回、共同脚本としてロワゾー自身が参加しているのも、注目です(恩赦で釈放された彼にインタビューした本や雑誌が、90年代に続々と発表されています)。

もちろん映画はその事実を取り入れつつも、他の事件も加えたフィクション。それにしても、ドニのあらゆる計略に背筋が寒くなります。愛する妻も、家庭も、警官という仕事も、男としての誇りも、すべてが奪われていくレオの慟哭は、見ているのがつらくなるほど。親友だったのに、いえ、もしかしたら親友だったからこその、憎しみ、嫉みなのでしょうか。

そう考えると、よく言われる「女の嫉妬より、男の嫉妬のほうがずっと恐ろしい」説に軍配が上がりそう。だって、女だったらここまでするでしょうか? それほど、ドニの陰謀はレオを徹底的に打ちのめし、叩き潰さんばかりなのです。

すべてを失ったレオの選ぶ道は? その結末に至るまでに、張り巡らされた伏線がすべて集約されていき、サスペンスとしても一級の物語になっています。

テイストはかなりハードボイルド(しかも中年オジサンが主人公)ですが、あえてお薦めしたい。それにしても、先週に引き続き、フランスのオジサンはひと味もふた味も違います(笑)。余談ですが、ロバート・デ・ニーロが本作のリメイク権を手に入れ、2007年にクランクイン予定。デ・ニーロとジョージ・クルーニーW主演との噂です。それもまた楽しみ。


「あるいは裏切りという名の犬」 銀座テアトルシネマで公開中。他全国順次公開
オフィシャルサイト 
http://www.eiga.com/aruinu

 
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2006-12-22 【映画】 | 固定リンク

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