この世ならぬ世界を、ちょっと覗いてみませんか? 「デスノート the Last name」&「椿山課長の七日間」

先日亡くなった俳優の丹波哲郎さんはよく語っていましたが、実際に見たことがある人は、まずいない(はずの)死後の世界。人間があれこれ“死”について考えをめぐらすのは、老いた人にも若い人にも、貧しい人にも富める人にも、必ず等しく訪れるからではないでしょうか。今週は、この世とあの世(?)をリンクさせた世界をお楽しみください。
次々と不審な死を遂げる犯罪者たち。彼らを“裁く”者として救世主キラの存在が巷で囁かれる中、ついに対面した夜神月(やがみ・ライト/藤原竜也)と探偵L(エル/松山ケンイチ)。月は、キラ逮捕に協力するためと称し、Lの率いるキラ対策室に入り込む。彼を有力なキラ候補者と考えるLは、それを虎視眈々と待ち受けていた。一方で、死神リューク(声:中村獅童)とは別の死神レム(声:池畑慎之介)が、もう1冊のノートを人間界に送り込む。拾ったのは、キラを崇拝するアイドル・弥海砂(あまね・ミサ/戸田恵梨香)。彼女は、月が持とうとしなかった特別な力“死神の目”をも手に入れると、月を探し出し、“第二のキラ”として協力を申し出る。デスノートのルールを熟知した月は、海砂の“目”とその天才的な頭脳を駆使し、Lを葬るための策を練る。果たして、誰の名前が「デスノート the Last name」として書かれるのか――?
ついに完結編です。6月の「前編」公開時に「後編」とされていたタイトルも、「デスノート the Last name」に決定。最後に名前を書かれるのは誰か? 意味深なタイトルに期待が膨らみます。
前編では少しだけの登場だった海砂も、今回は原作同様、中心キャラとして大活躍。ゴスロリ系ファッションに身を包み、まるで宿題でもこなすようにノートに“裁く”者たちの名前を書き込んでいく姿には、ドキリとさせられます。原作ファンには有名な(?)監禁シーンも再現。演じる戸田さん自身、「一番印象に残るシーン」にあげていますが、「待ち時間に縄を解くと戻すのが大変なので、縛られたまま待機していたことも。だからリアルな芝居が出来た気がする(笑)」と、まさしく体当たりで演じたことがうかがえます。
今回、とってもおもしろかったのが、Lのお菓子シリーズ。前回はケーキやパフェの洋菓子でしたが、和菓子にチェンジ。松山さんが、「Lは言葉や表情に気持ちが出てくる人間ではないので、様式で見せるしかない」と、自ら提案したラインナップだそうです。長い串団子を、ワインクーラーほどもあるガラス瓶にたっぷり入ったタレに浸して食べるシーンや、キラに殺された○○さんの遺影に供えられたおはぎ3個を、捜査会議中にパクパクたいらげるシーンなどが、印象的です。やっぱり頭をフル活動させると、カロリーも大量に消費するんでしょうか(笑)?
そして、もちろん一番の見どころは月とLの対決。天才2人の頭脳戦は、一種のアクション映画のよう。「原作のテーマを尊重し、それをどう受け止めるかに重きを置いた」と監督が語るように、原作ファンも、前編を見た人も、納得のラストシーンになっていると思います。
最後に、誰が、誰の名前を書くのか。ぜひ、劇場で確かめてください。
「デスノート the Last name」11月3日~、丸の内プラゼール他、全国松竹・東急系にて公開
オフィシャルサイト http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote
(c)2006 「DEATH NOTE」 FILM PARTNERS

打って変わってこちらはほのぼの系です。デパートに勤める椿山課長(西田敏行)は、社運を賭けたバーゲンセールを指揮する最中に、脳溢血でパッタリ逝ってしまう。妻(渡辺典子)と小学生の息子(須賀健太)、新築した自宅と残っている21年のローン、施設で暮らす認知症の父(桂小金治)と未練たっぷりの彼は、天国と地獄の中間点にある“中陰役所”のマヤ(和久井映見)から、やむにやまれぬ事情がある者だけ、7日間現世に戻れることを聞く。その“逆送”が許されたのは、彼とヤクザの武田(綿引勝彦)、雄一(伊藤大翔)という少年の3人だけだった。ところが、目覚めると椿山は絶世の美女・椿(伊東美咲)に、武田はヘアスタイリストの青年・竹内(成宮寛貴)に、雄一は蓮子(志田未来)という少女に変わっていた。死後4日が過ぎていたため、残すところあと3日。「椿山課長の七日間」は、“この世”の未練を解消し、彼を心安らかに旅立たせてくれるのか?
つい先日、ご紹介したばかりの「地下鉄(メトロ)に乗って」に続き、原作は浅田次郎。朝日新聞での連載中には、「死ぬのが怖くなくなった」という感想が続々と寄せられたとか。それも納得の、ちょっとおかしくて切ない物語です。
そもそも椿山課長の“逆送”が、なぜ許可されたのか。それには深い事情がありました。彼自身が気にしていたことなんて、実はどうってことなかったのです(笑)。“役所”が「知らないままでいるには、あまりにかわいそう」と同情するほどの、数々(!)の事情。それが、一つ一つ明かされていくのが、おかしいやら哀しいやら。
そして、こう言っては何ですが、ふくよかなオジサン・西田敏行が八頭身美女・伊東美咲に変わるというおかしさ。鏡に映った自分の姿に驚愕し、あちこち触りまくって確認する彼(彼女)に、「あまり、恥ずかしいことはしないでくださいね」とすかさず突っ込むマヤ。さらに動揺する椿の姿に、笑いがこぼれます。
すばらしい迫力だったのが、成宮寛貴。本体がヤクザという設定を120%納得させてくれる鋭い目つきに、まさしく“眼力”とはこのこと、と言いたくなります。仕草や口調にも“本来の姿”がにじみ出ていて、こんなにスゴい俳優だったんだ、なんて遅まきながら認識した次第です。
数々の衝撃的な真実を知らされる椿山課長。「知らないまま、あの世に逝った方が良かったんじゃ……」なんて思わないでもないですが、“椿”や“蓮子”、“竹内”がこの世で過ごした3日間は、遺された人々にも大きな影響を与えたのです。あなたもきっと、温かな気分になれるはず。ぜひ、ご覧ください。
「椿山課長の七日間」11月18日~、東劇他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.tsubakiyama.jp
(c)2006「椿山課長の七日間」フィルムパートナーズ
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2006-11-03 【映画】 | 固定リンク
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トラックバック送信日 2006/11/04 7:44:18

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