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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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日本を代表する大監督の最新作がそろって公開! 「犬神家の一族」&「武士の一分」

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ふと気づけば、今月のラインナップは邦画ばかり。このところ、ハリウッドよりも日本を始めとしたアジア映画の方が、ずっと元気なせいでしょうか。今月の締めも、邦画のご紹介です。ともに全米アカデミー外国語映画賞のノミネート経験もある、日本を代表する大監督、市川崑さんと山田洋次さんの最新作です。映画への情熱と経験にあふれる2作をご堪能ください。

信州一の財閥、犬神家当主・佐兵衛(仲代達矢)が逝去した。彼の残した遺言状を管理する法律事務所所員・若林は、その内容が一族の争いの引き金になるだろうと予期、東京の私立探偵・金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼する。しかし、金田一と会う直前、若林は何者かによって毒殺、代わって所長の古館弁護士(中村敦夫)が金田一に調査を依頼する。遺言状開封は、必ず「犬神家の一族」全員が揃った席でという条件があった。ようやく佐兵衛の腹違いの娘たち(富司純子、松坂慶子、萬田久子)とその夫(岸部一徳、螢雪次朗)、その子供たち(尾上菊之助、葛山信吾、池内万作、奥菜恵)、そして佐兵衛の恩人の孫娘(松嶋菜々子)の全員が揃った席で発表された遺言状には、驚くべき内容が記されていた。ほどなくして、連続殺人の幕が切って落とされる――。

原作を読んでいない人でもイメージがわいてくるのが、横溝正史原作の金田一耕助シリーズではないでしょうか。映画・ドラマ化作品は数知れず、金田一を演じた歴代俳優も、映画だけで片岡千恵蔵、高倉健、中尾彬、渥美清、西田敏行、鹿賀丈史、豊川悦司などの錚々たるメンバー。中でも、石坂浩二は一番のハマリ役と評判です。

実は本作は1976年に製作された作品のリメイク。それも、監督&主演&一部キャストともに同じ顔ぶれという珍しいパターンなのです。市川崑監督は先日91歳(!)を迎えたばかりですが、映画への熱意とこだわりはなんら変わることなく、 「最近は映画とTVドラマが混合した作品が多く、もっと映画らしい映画を撮りたいと思った。楽しくて明るい娯楽作品を作る」という言葉通り、2時間を超える長尺を飽きさせることなく、グイグイ物語に引き込んでいきます。

ものすごーく凄惨な連続殺人事件なのに、「楽しくて明るい」だなんてヘンだと思いますか? 確かに、予告編やTVコマーシャルにあった、湖から足が突き出ている死体の他にも、○○されちゃったり、××しちゃった死体がぞろぞろ登場します。でも、ホラー物が苦手な私ですら目を背けるなんてことはなく、なんだかワクワクして見てしまうのです。

それはきっと、驚くほどリアルな描写が多い最近の映画に対して、本作はそうじゃないから。リアルであることよりも、あくまでもエンタテインメントであることを大事にしてストーリーを語っているからではないでしょうか。だから、おどろおどろしい内容でもどこかカラリとしているのかもしれません。

キャストも主演級の俳優がズラリ勢ぞろいで、豪華なことこの上ナシ。お正月映画らしい華やかなサスペンスを、お楽しみください。

「犬神家の一族」 12月16日~、全国東宝系にて公開
オフィシャルサイト 
http://www.inugamike.com
(c)2006「犬神家の一族」製作委員会

Movie1124_2
三村新之丞(木村拓哉)は、文武に秀でながらも、今はお毒見役を務める貧乏下級武士。お務めは不本意ながらも、美しく気立てのいい妻・加世(檀れい)と父の代から仕える中間・徳平(笹野高史)と平和に暮らしている。しかし、毒見で貝の猛毒にあたった新之丞は瀕死の状態に。加世と徳平の必死の看病で一命は取り留めるが、失明してしまう。絶望して命を絶とうとした新之丞を思い留まらせたのは、加世の「私も後を追う」という言葉だった。一方、一家の今後を心配した親戚たち(桃井かおり他)に、藩の有力者の元へ口添えを頼みに行けと命じられた加世は、娘時代に顔見知りだった島田藤弥(坂東三津五郎)の元を訪ねる。しかし、それは新之丞の「武士の一分」を揺るがす結果を招くことに――。

2002年「たそがれ清兵衛」、2004年「隠し剣 鬼の爪」と久しぶりの時代劇ブームを巻き起こした監督・山田洋次×原作・藤沢周平のコンビ。いよいよ本作で、「山田時代劇3部作」は最終章を迎えます。

今回も主人公は貧しい武士。華々しい殿様や、階級が要職にある者たちではないごく普通の、ある意味、裕福な商家よりもずっと庶民に近い暮らしを送る武士たちを中心にした物語は、静かで淡々とした日常が丁寧に描かれ、どこか懐かしい感じがします。

タイトル「武士の一分」とは、武士として、これだけは何があっても譲れないという意地、気概のようなもののこと。実は、最初に山田監督が書いたシノプシスのタイトルには、「愛妻記」とあったそうです。

そう、本作は「愛妻記」でもあり、「愛夫記」でもあるのです。相手のためなら自分の体すら投げ出し、命を懸けることさえ厭わないほど、互いの幸せを願って生きてきた2人が、ある人間の悪意ある戯れから、すれ違い始めます。加世の行動も、対する新之丞の怒りもよくわかるから、尚のこと切なくなります。

「貧しくとも、幸せな生活」なんて、言い尽くされて手垢にまみれたような表現ですが、それゆえに何ものにもかえがたいのです。そのすべてが失われてしまったとき、何の力も持たない武士がどんな行動に出るのか。

加世役・檀れいの佇まいがとても清々しく、凛として美しいのが印象的でした。盲目でありながら、「一分」を守るため、命懸けの闘いに挑む木村拓哉演じる新之丞と、ホントにいやらしいくらいに憎たらしい坂東三津五郎演じる島田のクライマックスの一騎打ちも見応え十分。たまには親御さんと一緒にいらしてはいかがでしょう。いい親孝行になるかも。

「武士の一分」 12月1日~、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.ichibun.jp
(c)2006「武士の一分」製作委員会

 
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2006-11-24 【映画】 | 固定リンク

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