たまには手紙を書いてみませんか? 「手紙」&「ただ、君を愛してる」

最近、手紙を書きましたか? 私はパソコンや携帯のメールばかり。もしかしたら今年の年賀状以来かも。でも、手書きの手紙には、メールでは伝えきれない思いがこめられそうな気がするのです。今週は「手紙」にまつわる物語。あなたも、手紙を書きたくなるかもしれません。
川崎のリサイクル工場に勤める20歳の武島直貴(山田孝之)は誰とも目を合わさず、口もきかず、寮と職場を往復する日々を送っている。彼が唯一心を開くのは、子供のころからの親友で、お笑いコンビの相方・寺尾祐輔(尾上寛之)だけ。地元のライブスペースで活動を続ける2人は「プロを目指そう」と語り合っていたが、直貴にとっては夢物語だった。彼の兄・剛志(玉山鉄二)は、空き巣に入った家で誤って殺人を犯し、無期懲役囚となっていたのだ。兄の事件が表ざたになる度、転職と引越しを繰り返してきた彼は、毎月届く兄の「手紙」に欠かさず返事を書きつつも、兄の存在を秘密にしていた。そんな彼に、同じ職場の由美子(沢尻エリカ)は何かと声をかけてくるが……。
原作は、「白夜行」「秘密」「レイクサイド」(映画タイトル「レイクサイド マーダーケース」)と、次々に映像化されている東野圭吾。実は、本作の映画化が決まったときは驚いたそうです。それというのも、「果たして読んでおもしろいのかどうかさえ自信がなかった」から。確かに内容は重く、考えさせられずにはいられません。
両親を亡くし、たった2人きりで苦労してきた分、人一倍絆の強かった兄弟。兄が、成績の良かった弟の進学資金が欲しくて空き巣に入った家で、弾みで人を殺してしまったなんて、同情できる事情です。でも、殺人は殺人。永久に母を喪った被害者の家族はもちろん、世間も、決して許してはくれないのです。
どんなに隠しても、どこからともなく漏れる“秘密”。進学も、仕事も、恋人も、手に入れたものすべてが、スルリとその手をすり抜けていくのに、なす術もない直貴。彼には何の罪もないのに。兄の犯した罪が被害者ばかりでなく、愛する家族にまで及んでいたという事実と、「気にしないよ」と言ってくれる“世間”はほとんどないという現実が、あらためてズシンときます。
つらくて、哀しくて、見ているのも切ない直貴を必死に支える由美子の強さが救いです。そして、節目節目で直貴が出会う人たちが、とても印象的でした。リサイクル工場の同僚・倉田(田中要二)、別れてしまった恋人・朝美(吹石一恵)とその父・中条(風間杜夫)、被害者の遺族・緒方(吹越満)、そして、転職先の会社会長・平野(杉浦直樹)らが、それぞれの立場で、正直に直貴に告げる言葉が、キレイ事ではなく心に響きます。
決してドラマチックじゃないドラマです。でも、ひたひたと何かが心に沁みてきます。
「手紙」 サロンパス ルーブル丸の内他、全国松竹・東急系にて公開中
オフィシャルサイト http://www.tegami-movie.jp
(c)2006「手紙」製作委員会

「ただ、君を愛してる」は、突然届いたニューヨークからの手紙で始まります。
クリスマスを迎えて賑わうニューヨークに降り立った誠人(マコト/玉木宏)。彼の手には、2年前に姿を消した静流(シズル/宮崎あおい)からの手紙があった。6年前、2人は大学の入学式の日に出会った。交通量の多い横断歩道を渡ろうとしていた静流に、「ここは渡れないから、向こうから渡ったほうがいいよ」と声をかけた誠人。年よりグッと幼く見える彼女の不思議なムードに、思わず趣味のカメラのシャッターを押してしまった誠人。そんな彼に静流は恋をする。彼に近づきたい一心で、カメラを始めた静流。一方、誠人は同級生のみゆき(黒木メイサ)に想いを寄せていた。“友達”としてどんどん親しくなっていく2人の関係は永遠に思われたが、ある日、静流は姿を消してしまう――。
原作(「恋愛寫眞 もうひとつの物語」)が、「いま、会いにゆきます」の市川拓司と聞けば、「世界の中心で、愛をさけぶ」、「いま会い」に続く涙涙の純愛モノ、とお思いでしょう。その通り!(笑) またまたやって来ました、の泣かせ路線です。でも、ちょっと待って。宮崎あおい演じる静流のけなげな姿は、きっと「見てよかった」と思わせてくれるので。
外見は「中学生」と言っても通ってしまいそうな静流。素直に真っ直ぐに誠人に想いを伝え続ける彼女ですが、逆にいつも明るく元気なその姿のせいで、誠人に彼女が本気だと思わせることができないのです。それが、とても切ない。
でも、彼女は負けません。誰よりも誠人を理解し、まるで家族のように彼の隣りにあり続けます。誠人の片想いの相手、みゆきとも親しくなります。その時の誠人への彼女のセリフが、この映画の中で一番印象的でした。「好きな人が好きな人を、好きになりたいの。」
こういった発想、普通ないですよね。好きな人が好きな映画、音楽、本、スポーツなどに対してそういう思いを持ったとしても、好きな人の好きな人は、言ってみれば恋敵。気にしたり、張り合ったりすることはあっても、そんな風に思うことがあったでしょうか。ガーン。このセリフを聞いた瞬間は、ちょっとした衝撃でした。
そう、静流はひたすら、誠人を愛し、彼を愛する自分を大切にしているのです。もちろん、想いが通じることを望んではいるけれど、それ以上に、ただ、彼を愛しているのです。今までにそんな気持ちになったことがあっただろうか。ふと、自分を振り返ってしまいます。
彼女の切なる願いがスクリーンから溢れ出すようなラスト・シーンでは、隣りの席の人にバレないように、こっそりとハンカチで目頭を押さえていた私。いつもは、“純愛泣かせ路線”に、フンと鼻を鳴らしがちな私ですが(笑)、たまにはいいかも。
「ただ、君を愛してる」 全国東映系にて公開中
オフィシャルサイト http://www.aishiteru.jp
(c)2006「ただ、君を愛してる」製作委員会
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2006-11-10 【映画】 | 固定リンク
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