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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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たまには手紙を書いてみませんか? 「手紙」&「ただ、君を愛してる」

Movie1110_1
最近、手紙を書きましたか? 私はパソコンや携帯のメールばかり。もしかしたら今年の年賀状以来かも。でも、手書きの手紙には、メールでは伝えきれない思いがこめられそうな気がするのです。今週は「手紙」にまつわる物語。あなたも、手紙を書きたくなるかもしれません。

川崎のリサイクル工場に勤める20歳の武島直貴(山田孝之)は誰とも目を合わさず、口もきかず、寮と職場を往復する日々を送っている。彼が唯一心を開くのは、子供のころからの親友で、お笑いコンビの相方・寺尾祐輔(尾上寛之)だけ。地元のライブスペースで活動を続ける2人は「プロを目指そう」と語り合っていたが、直貴にとっては夢物語だった。彼の兄・剛志(玉山鉄二)は、空き巣に入った家で誤って殺人を犯し、無期懲役囚となっていたのだ。兄の事件が表ざたになる度、転職と引越しを繰り返してきた彼は、毎月届く兄の「手紙」に欠かさず返事を書きつつも、兄の存在を秘密にしていた。そんな彼に、同じ職場の由美子(沢尻エリカ)は何かと声をかけてくるが……。

原作は、「白夜行」「秘密」「レイクサイド」(映画タイトル「レイクサイド マーダーケース」)と、次々に映像化されている東野圭吾。実は、本作の映画化が決まったときは驚いたそうです。それというのも、「果たして読んでおもしろいのかどうかさえ自信がなかった」から。確かに内容は重く、考えさせられずにはいられません。

両親を亡くし、たった2人きりで苦労してきた分、人一倍絆の強かった兄弟。兄が、成績の良かった弟の進学資金が欲しくて空き巣に入った家で、弾みで人を殺してしまったなんて、同情できる事情です。でも、殺人は殺人。永久に母を喪った被害者の家族はもちろん、世間も、決して許してはくれないのです。

どんなに隠しても、どこからともなく漏れる“秘密”。進学も、仕事も、恋人も、手に入れたものすべてが、スルリとその手をすり抜けていくのに、なす術もない直貴。彼には何の罪もないのに。兄の犯した罪が被害者ばかりでなく、愛する家族にまで及んでいたという事実と、「気にしないよ」と言ってくれる“世間”はほとんどないという現実が、あらためてズシンときます。

つらくて、哀しくて、見ているのも切ない直貴を必死に支える由美子の強さが救いです。そして、節目節目で直貴が出会う人たちが、とても印象的でした。リサイクル工場の同僚・倉田(田中要二)、別れてしまった恋人・朝美(吹石一恵)とその父・中条(風間杜夫)、被害者の遺族・緒方(吹越満)、そして、転職先の会社会長・平野(杉浦直樹)らが、それぞれの立場で、正直に直貴に告げる言葉が、キレイ事ではなく心に響きます。

決してドラマチックじゃないドラマです。でも、ひたひたと何かが心に沁みてきます。

「手紙」 サロンパス ルーブル丸の内他、全国松竹・東急系にて公開中
オフィシャルサイト 
http://www.tegami-movie.jp
(c)2006「手紙」製作委員会

Movie1110_2
「ただ、君を愛してる」は、突然届いたニューヨークからの手紙で始まります。
クリスマスを迎えて賑わうニューヨークに降り立った誠人(マコト/玉木宏)。彼の手には、2年前に姿を消した静流(シズル/宮崎あおい)からの手紙があった。6年前、2人は大学の入学式の日に出会った。交通量の多い横断歩道を渡ろうとしていた静流に、「ここは渡れないから、向こうから渡ったほうがいいよ」と声をかけた誠人。年よりグッと幼く見える彼女の不思議なムードに、思わず趣味のカメラのシャッターを押してしまった誠人。そんな彼に静流は恋をする。彼に近づきたい一心で、カメラを始めた静流。一方、誠人は同級生のみゆき(黒木メイサ)に想いを寄せていた。“友達”としてどんどん親しくなっていく2人の関係は永遠に思われたが、ある日、静流は姿を消してしまう――。

原作(「恋愛寫眞 もうひとつの物語」)が、「いま、会いにゆきます」の市川拓司と聞けば、「世界の中心で、愛をさけぶ」、「いま会い」に続く涙涙の純愛モノ、とお思いでしょう。その通り!(笑) またまたやって来ました、の泣かせ路線です。でも、ちょっと待って。宮崎あおい演じる静流のけなげな姿は、きっと「見てよかった」と思わせてくれるので。

外見は「中学生」と言っても通ってしまいそうな静流。素直に真っ直ぐに誠人に想いを伝え続ける彼女ですが、逆にいつも明るく元気なその姿のせいで、誠人に彼女が本気だと思わせることができないのです。それが、とても切ない。

でも、彼女は負けません。誰よりも誠人を理解し、まるで家族のように彼の隣りにあり続けます。誠人の片想いの相手、みゆきとも親しくなります。その時の誠人への彼女のセリフが、この映画の中で一番印象的でした。「好きな人が好きな人を、好きになりたいの。」

こういった発想、普通ないですよね。好きな人が好きな映画、音楽、本、スポーツなどに対してそういう思いを持ったとしても、好きな人の好きな人は、言ってみれば恋敵。気にしたり、張り合ったりすることはあっても、そんな風に思うことがあったでしょうか。ガーン。このセリフを聞いた瞬間は、ちょっとした衝撃でした。

そう、静流はひたすら、誠人を愛し、彼を愛する自分を大切にしているのです。もちろん、想いが通じることを望んではいるけれど、それ以上に、ただ、彼を愛しているのです。今までにそんな気持ちになったことがあっただろうか。ふと、自分を振り返ってしまいます。

彼女の切なる願いがスクリーンから溢れ出すようなラスト・シーンでは、隣りの席の人にバレないように、こっそりとハンカチで目頭を押さえていた私。いつもは、“純愛泣かせ路線”に、フンと鼻を鳴らしがちな私ですが(笑)、たまにはいいかも。

「ただ、君を愛してる」 全国東映系にて公開中
オフィシャルサイト 
http://www.aishiteru.jp
(c)2006「ただ、君を愛してる」製作委員会

 
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2006-11-10 【映画】 | 固定リンク

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