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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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日本を代表する大監督の最新作がそろって公開! 「犬神家の一族」&「武士の一分」

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ふと気づけば、今月のラインナップは邦画ばかり。このところ、ハリウッドよりも日本を始めとしたアジア映画の方が、ずっと元気なせいでしょうか。今月の締めも、邦画のご紹介です。ともに全米アカデミー外国語映画賞のノミネート経験もある、日本を代表する大監督、市川崑さんと山田洋次さんの最新作です。映画への情熱と経験にあふれる2作をご堪能ください。

信州一の財閥、犬神家当主・佐兵衛(仲代達矢)が逝去した。彼の残した遺言状を管理する法律事務所所員・若林は、その内容が一族の争いの引き金になるだろうと予期、東京の私立探偵・金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼する。しかし、金田一と会う直前、若林は何者かによって毒殺、代わって所長の古館弁護士(中村敦夫)が金田一に調査を依頼する。遺言状開封は、必ず「犬神家の一族」全員が揃った席でという条件があった。ようやく佐兵衛の腹違いの娘たち(富司純子、松坂慶子、萬田久子)とその夫(岸部一徳、螢雪次朗)、その子供たち(尾上菊之助、葛山信吾、池内万作、奥菜恵)、そして佐兵衛の恩人の孫娘(松嶋菜々子)の全員が揃った席で発表された遺言状には、驚くべき内容が記されていた。ほどなくして、連続殺人の幕が切って落とされる――。

原作を読んでいない人でもイメージがわいてくるのが、横溝正史原作の金田一耕助シリーズではないでしょうか。映画・ドラマ化作品は数知れず、金田一を演じた歴代俳優も、映画だけで片岡千恵蔵、高倉健、中尾彬、渥美清、西田敏行、鹿賀丈史、豊川悦司などの錚々たるメンバー。中でも、石坂浩二は一番のハマリ役と評判です。

実は本作は1976年に製作された作品のリメイク。それも、監督&主演&一部キャストともに同じ顔ぶれという珍しいパターンなのです。市川崑監督は先日91歳(!)を迎えたばかりですが、映画への熱意とこだわりはなんら変わることなく、 「最近は映画とTVドラマが混合した作品が多く、もっと映画らしい映画を撮りたいと思った。楽しくて明るい娯楽作品を作る」という言葉通り、2時間を超える長尺を飽きさせることなく、グイグイ物語に引き込んでいきます。

ものすごーく凄惨な連続殺人事件なのに、「楽しくて明るい」だなんてヘンだと思いますか? 確かに、予告編やTVコマーシャルにあった、湖から足が突き出ている死体の他にも、○○されちゃったり、××しちゃった死体がぞろぞろ登場します。でも、ホラー物が苦手な私ですら目を背けるなんてことはなく、なんだかワクワクして見てしまうのです。

それはきっと、驚くほどリアルな描写が多い最近の映画に対して、本作はそうじゃないから。リアルであることよりも、あくまでもエンタテインメントであることを大事にしてストーリーを語っているからではないでしょうか。だから、おどろおどろしい内容でもどこかカラリとしているのかもしれません。

キャストも主演級の俳優がズラリ勢ぞろいで、豪華なことこの上ナシ。お正月映画らしい華やかなサスペンスを、お楽しみください。

「犬神家の一族」 12月16日~、全国東宝系にて公開
オフィシャルサイト 
http://www.inugamike.com
(c)2006「犬神家の一族」製作委員会

Movie1124_2
三村新之丞(木村拓哉)は、文武に秀でながらも、今はお毒見役を務める貧乏下級武士。お務めは不本意ながらも、美しく気立てのいい妻・加世(檀れい)と父の代から仕える中間・徳平(笹野高史)と平和に暮らしている。しかし、毒見で貝の猛毒にあたった新之丞は瀕死の状態に。加世と徳平の必死の看病で一命は取り留めるが、失明してしまう。絶望して命を絶とうとした新之丞を思い留まらせたのは、加世の「私も後を追う」という言葉だった。一方、一家の今後を心配した親戚たち(桃井かおり他)に、藩の有力者の元へ口添えを頼みに行けと命じられた加世は、娘時代に顔見知りだった島田藤弥(坂東三津五郎)の元を訪ねる。しかし、それは新之丞の「武士の一分」を揺るがす結果を招くことに――。

2002年「たそがれ清兵衛」、2004年「隠し剣 鬼の爪」と久しぶりの時代劇ブームを巻き起こした監督・山田洋次×原作・藤沢周平のコンビ。いよいよ本作で、「山田時代劇3部作」は最終章を迎えます。

今回も主人公は貧しい武士。華々しい殿様や、階級が要職にある者たちではないごく普通の、ある意味、裕福な商家よりもずっと庶民に近い暮らしを送る武士たちを中心にした物語は、静かで淡々とした日常が丁寧に描かれ、どこか懐かしい感じがします。

タイトル「武士の一分」とは、武士として、これだけは何があっても譲れないという意地、気概のようなもののこと。実は、最初に山田監督が書いたシノプシスのタイトルには、「愛妻記」とあったそうです。

そう、本作は「愛妻記」でもあり、「愛夫記」でもあるのです。相手のためなら自分の体すら投げ出し、命を懸けることさえ厭わないほど、互いの幸せを願って生きてきた2人が、ある人間の悪意ある戯れから、すれ違い始めます。加世の行動も、対する新之丞の怒りもよくわかるから、尚のこと切なくなります。

「貧しくとも、幸せな生活」なんて、言い尽くされて手垢にまみれたような表現ですが、それゆえに何ものにもかえがたいのです。そのすべてが失われてしまったとき、何の力も持たない武士がどんな行動に出るのか。

加世役・檀れいの佇まいがとても清々しく、凛として美しいのが印象的でした。盲目でありながら、「一分」を守るため、命懸けの闘いに挑む木村拓哉演じる新之丞と、ホントにいやらしいくらいに憎たらしい坂東三津五郎演じる島田のクライマックスの一騎打ちも見応え十分。たまには親御さんと一緒にいらしてはいかがでしょう。いい親孝行になるかも。

「武士の一分」 12月1日~、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.ichibun.jp
(c)2006「武士の一分」製作委員会

 
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2006-11-24 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

あなたの心に“闇”はありますか? 「キング 罪の王」&「暗いところで待ち合わせ」

Movie1117_1
2ヶ月前と同じ時間に帰宅しても、すっかり日が沈み暗くなっているこの頃、冬の到来を感じます。でも、同じ日暮れでも夏の闇と冬の闇は、なんだかまったく違うもののような気がしませんか? 今週は、心の中の“闇”の物語。多かれ少なかれ誰でも持っていると思うのですが、あなたの心にはどんな”闇”がありますか? 

「キング 罪の王」--海軍を退役したエルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、深夜バスでテキサス南部の町にやって来た。亡き母から、そこに実の父が暮らしていると聞かされていたのだ。まだ見ぬ父との再会に胸を膨らませ、なけなしの金で中古車を買ったエルビスは、ピザ屋に就職し町外れに小さな部屋を借りると、日曜日、教会へ向かう。しかし、そこの牧師である父デビッド(ウィリアム・ハート)は、突然の“息子”の登場に困惑。美しい妻トゥワイラ(ローラ・ハーリング)と神学を志す優秀な息子ポール(ポール・ダノ)、純真な娘マレリー(ペル・ジェームズ)という素晴らしい家族に囲まれ、“皆に信頼される敬虔な牧師”である彼にとって、エルビスの存在は過去の汚点でしかなかったのだ。曖昧な態度で追い払われたエルビスは、異母兄妹であることを隠したまま、マレリーに近づく。深まる2人の関係に気づいたポールは、妹を心配しエルビスの元を訪ねるが……。

オープニングから悲劇的な結末が見え隠れする、不安な展開。それがわかっていても、最後まで見ずにはいられない不思議な力を持っています。それはやはりこの人、G・G・ベルナルの存在にあるのでしょう。

笑うと口から覗く不ぞろいな歯並びのせいか、どこかあどけなく、かわいらしく見える彼。ところが今回は、そのあどけなさが余計に背筋をゾッとさせるのです。父に体よくあしらわれた時も、激しい感情をあらわにすることはありません。でも、逆に噴火直前のマグマのような不気味さが立ち込めます。

異母兄妹であることを知りつつ、マレリーに近づくエルビス。無邪気で穢れを知らないマレリーは、優しい彼にあっという間に魅かれていきます。でも、いつもにこやかに彼女に接するエルビスの顔に感情は一切見えず、その笑顔もまるで顔に張り付いた仮面のよう。余計に彼の抱える心の“闇”の深さ、大きさが迫ってきます。

いったい、彼は何をしようとしているのか。父への復讐であることは容易に解るのですが、その手段は、自分をも傷つけるだろうに。彼の本心が見えない不安は、デビッドの家族を崩壊させていくと同時に、見ている私たちの不安をさらにかきたてていきます。

“すべて”をやり遂げ、父に語りかけるラスト・シーンのエルビスの笑顔。彼がその時に何を思っているのか、その判断は見る者に委ねられているのです。あなたは、彼の表情に何を感じるでしょうか?

「キング 罪の王」 11月18日~、アミューズCQN他、全国順次公開
オフィシャルサイト 
http://www.king-movie.jp
(c)2005 Corpus, LLC All rights reserved

Movie1117_2
「暗いところで待ち合わせ」--3年前、交通事故が原因で失明したミチル(田中麗奈)は、父(岸部一徳)と2人静かに暮らしている。時々、昔からの親友カズエ(宮地真緒)と外出する他は、身の回りの家事など家の中では何の不自由もない。しかし、父の突然の死で彼女は1人に。気丈に変わらない毎日を送っていたある朝、家の向かいの小さな駅で転落事故が起きる。死亡したのは印刷会社勤務の松永(佐藤浩市)という男で、現場を走り去る若い男アキヒロ(チェン・ボーリン)が目撃されていた。松永と同じ会社に勤める日中ハーフのアキヒロを重要参考人として捜索していた警察の聞き込みに、何も変わったことはないと答えたミチル。しかし、実は事件直後、彼女がチャイムの音でドアを開けた隙に、アキヒロが家に入り込んでいたのだ。こうして、奇妙な共同生活が始まった――。

見知らぬ他人がこっそり家の中に入り込んで生活しているだなんて、気持ちが悪いと思いますよね。でも、大丈夫(?)。そんなイヤーな展開にはなりません。

突然、視力を失って“闇”の世界の住人となったミチル。一見、穏やかで落ち着いた生活を送っているように見えますが、実は1人では外出できないなど、“闇”への怯えを持っていました。追い討ちをかけるような父の死に気丈に対応しますが、ひっそりと抱えていた寂しさや絶望が、時間が経つに連れて少しずつ見えてきて、切なくなります。

演じるのは、実際に視覚障害者のリハビリ施設にも通ったという田中麗奈。スクリーンを通して見る観客が“見えていない”ように“見えなければいけない”ため、執拗なテストと撮り直しが重ねられました。ある食事シーンでは、何回ものテストで茶碗の中がすっかり空になっていたのにも気づかなかったとか。そこまで“見えていない”状態になって役に入り込み、撮影に臨んでいたそうです。そうして生まれたミチルはとても自然で、泣いたり叫んだりしなくても、彼女の感情が切々と伝わってきます。

一方、殺人の嫌疑をかけられたアキヒロも、“闇”を抱えていました。日本語が不自由で生真面目なために自然とつき合いが悪くなり、仕事を押しつけられたり、いやがらせを受けていた(その中心人物となる松永を演じる佐藤浩市が、まあホントにイヤラシイ人間で、お見事!)彼が、心にふと抱いた殺意。まるで“闇”が“闇”を呼び込んでいるようです。

形は違っても“闇”を抱える者同士が、期せずして始めた共同生活。ミチルは彼の存在にいつ、どうやって気づくのか。転落死亡事件の真相を追うというサスペンスの要素もはらみながら、話は展開していきます。

異常な状況ではありますが、ミチルがアキヒロの存在に気づいたとき、孤独だった2人の世界はほんの少し広がり始めます。きっと2人の抱える“闇”は冷たく寂しいものではなく、ほんの少し温かく優しいものに変わっていくに違いない。そんな希望のもてるラストにホッとしました。

「暗いところで待ち合わせ」 11月25日~、シネスイッチ銀座他、全国公開
オフィシャルサイト
http://www.kuraitokorode.com
(c)2006 “Waiting in the Dark” production comittee

 
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2006-11-17 【映画】 | 固定リンク | コメント (2)

たまには手紙を書いてみませんか? 「手紙」&「ただ、君を愛してる」

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最近、手紙を書きましたか? 私はパソコンや携帯のメールばかり。もしかしたら今年の年賀状以来かも。でも、手書きの手紙には、メールでは伝えきれない思いがこめられそうな気がするのです。今週は「手紙」にまつわる物語。あなたも、手紙を書きたくなるかもしれません。

川崎のリサイクル工場に勤める20歳の武島直貴(山田孝之)は誰とも目を合わさず、口もきかず、寮と職場を往復する日々を送っている。彼が唯一心を開くのは、子供のころからの親友で、お笑いコンビの相方・寺尾祐輔(尾上寛之)だけ。地元のライブスペースで活動を続ける2人は「プロを目指そう」と語り合っていたが、直貴にとっては夢物語だった。彼の兄・剛志(玉山鉄二)は、空き巣に入った家で誤って殺人を犯し、無期懲役囚となっていたのだ。兄の事件が表ざたになる度、転職と引越しを繰り返してきた彼は、毎月届く兄の「手紙」に欠かさず返事を書きつつも、兄の存在を秘密にしていた。そんな彼に、同じ職場の由美子(沢尻エリカ)は何かと声をかけてくるが……。

原作は、「白夜行」「秘密」「レイクサイド」(映画タイトル「レイクサイド マーダーケース」)と、次々に映像化されている東野圭吾。実は、本作の映画化が決まったときは驚いたそうです。それというのも、「果たして読んでおもしろいのかどうかさえ自信がなかった」から。確かに内容は重く、考えさせられずにはいられません。

両親を亡くし、たった2人きりで苦労してきた分、人一倍絆の強かった兄弟。兄が、成績の良かった弟の進学資金が欲しくて空き巣に入った家で、弾みで人を殺してしまったなんて、同情できる事情です。でも、殺人は殺人。永久に母を喪った被害者の家族はもちろん、世間も、決して許してはくれないのです。

どんなに隠しても、どこからともなく漏れる“秘密”。進学も、仕事も、恋人も、手に入れたものすべてが、スルリとその手をすり抜けていくのに、なす術もない直貴。彼には何の罪もないのに。兄の犯した罪が被害者ばかりでなく、愛する家族にまで及んでいたという事実と、「気にしないよ」と言ってくれる“世間”はほとんどないという現実が、あらためてズシンときます。

つらくて、哀しくて、見ているのも切ない直貴を必死に支える由美子の強さが救いです。そして、節目節目で直貴が出会う人たちが、とても印象的でした。リサイクル工場の同僚・倉田(田中要二)、別れてしまった恋人・朝美(吹石一恵)とその父・中条(風間杜夫)、被害者の遺族・緒方(吹越満)、そして、転職先の会社会長・平野(杉浦直樹)らが、それぞれの立場で、正直に直貴に告げる言葉が、キレイ事ではなく心に響きます。

決してドラマチックじゃないドラマです。でも、ひたひたと何かが心に沁みてきます。

「手紙」 サロンパス ルーブル丸の内他、全国松竹・東急系にて公開中
オフィシャルサイト 
http://www.tegami-movie.jp
(c)2006「手紙」製作委員会

Movie1110_2
「ただ、君を愛してる」は、突然届いたニューヨークからの手紙で始まります。
クリスマスを迎えて賑わうニューヨークに降り立った誠人(マコト/玉木宏)。彼の手には、2年前に姿を消した静流(シズル/宮崎あおい)からの手紙があった。6年前、2人は大学の入学式の日に出会った。交通量の多い横断歩道を渡ろうとしていた静流に、「ここは渡れないから、向こうから渡ったほうがいいよ」と声をかけた誠人。年よりグッと幼く見える彼女の不思議なムードに、思わず趣味のカメラのシャッターを押してしまった誠人。そんな彼に静流は恋をする。彼に近づきたい一心で、カメラを始めた静流。一方、誠人は同級生のみゆき(黒木メイサ)に想いを寄せていた。“友達”としてどんどん親しくなっていく2人の関係は永遠に思われたが、ある日、静流は姿を消してしまう――。

原作(「恋愛寫眞 もうひとつの物語」)が、「いま、会いにゆきます」の市川拓司と聞けば、「世界の中心で、愛をさけぶ」、「いま会い」に続く涙涙の純愛モノ、とお思いでしょう。その通り!(笑) またまたやって来ました、の泣かせ路線です。でも、ちょっと待って。宮崎あおい演じる静流のけなげな姿は、きっと「見てよかった」と思わせてくれるので。

外見は「中学生」と言っても通ってしまいそうな静流。素直に真っ直ぐに誠人に想いを伝え続ける彼女ですが、逆にいつも明るく元気なその姿のせいで、誠人に彼女が本気だと思わせることができないのです。それが、とても切ない。

でも、彼女は負けません。誰よりも誠人を理解し、まるで家族のように彼の隣りにあり続けます。誠人の片想いの相手、みゆきとも親しくなります。その時の誠人への彼女のセリフが、この映画の中で一番印象的でした。「好きな人が好きな人を、好きになりたいの。」

こういった発想、普通ないですよね。好きな人が好きな映画、音楽、本、スポーツなどに対してそういう思いを持ったとしても、好きな人の好きな人は、言ってみれば恋敵。気にしたり、張り合ったりすることはあっても、そんな風に思うことがあったでしょうか。ガーン。このセリフを聞いた瞬間は、ちょっとした衝撃でした。

そう、静流はひたすら、誠人を愛し、彼を愛する自分を大切にしているのです。もちろん、想いが通じることを望んではいるけれど、それ以上に、ただ、彼を愛しているのです。今までにそんな気持ちになったことがあっただろうか。ふと、自分を振り返ってしまいます。

彼女の切なる願いがスクリーンから溢れ出すようなラスト・シーンでは、隣りの席の人にバレないように、こっそりとハンカチで目頭を押さえていた私。いつもは、“純愛泣かせ路線”に、フンと鼻を鳴らしがちな私ですが(笑)、たまにはいいかも。

「ただ、君を愛してる」 全国東映系にて公開中
オフィシャルサイト 
http://www.aishiteru.jp
(c)2006「ただ、君を愛してる」製作委員会

 
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2006-11-10 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

この世ならぬ世界を、ちょっと覗いてみませんか? 「デスノート the Last name」&「椿山課長の七日間」

Movie1103_1
先日亡くなった俳優の丹波哲郎さんはよく語っていましたが、実際に見たことがある人は、まずいない(はずの)死後の世界。人間があれこれ“死”について考えをめぐらすのは、老いた人にも若い人にも、貧しい人にも富める人にも、必ず等しく訪れるからではないでしょうか。今週は、この世とあの世(?)をリンクさせた世界をお楽しみください。

次々と不審な死を遂げる犯罪者たち。彼らを“裁く”者として救世主キラの存在が巷で囁かれる中、ついに対面した夜神月(やがみ・ライト/藤原竜也)と探偵L(エル/松山ケンイチ)。月は、キラ逮捕に協力するためと称し、Lの率いるキラ対策室に入り込む。彼を有力なキラ候補者と考えるLは、それを虎視眈々と待ち受けていた。一方で、死神リューク(声:中村獅童)とは別の死神レム(声:池畑慎之介)が、もう1冊のノートを人間界に送り込む。拾ったのは、キラを崇拝するアイドル・弥海砂(あまね・ミサ/戸田恵梨香)。彼女は、月が持とうとしなかった特別な力“死神の目”をも手に入れると、月を探し出し、“第二のキラ”として協力を申し出る。デスノートのルールを熟知した月は、海砂の“目”とその天才的な頭脳を駆使し、Lを葬るための策を練る。果たして、誰の名前が「デスノート the Last name」として書かれるのか――? 

ついに完結編です。6月の「前編」公開時に「後編」とされていたタイトルも、「デスノート the Last name」に決定。最後に名前を書かれるのは誰か? 意味深なタイトルに期待が膨らみます。

前編では少しだけの登場だった海砂も、今回は原作同様、中心キャラとして大活躍。ゴスロリ系ファッションに身を包み、まるで宿題でもこなすようにノートに“裁く”者たちの名前を書き込んでいく姿には、ドキリとさせられます。原作ファンには有名な(?)監禁シーンも再現。演じる戸田さん自身、「一番印象に残るシーン」にあげていますが、「待ち時間に縄を解くと戻すのが大変なので、縛られたまま待機していたことも。だからリアルな芝居が出来た気がする(笑)」と、まさしく体当たりで演じたことがうかがえます。

今回、とってもおもしろかったのが、Lのお菓子シリーズ。前回はケーキやパフェの洋菓子でしたが、和菓子にチェンジ。松山さんが、「Lは言葉や表情に気持ちが出てくる人間ではないので、様式で見せるしかない」と、自ら提案したラインナップだそうです。長い串団子を、ワインクーラーほどもあるガラス瓶にたっぷり入ったタレに浸して食べるシーンや、キラに殺された○○さんの遺影に供えられたおはぎ3個を、捜査会議中にパクパクたいらげるシーンなどが、印象的です。やっぱり頭をフル活動させると、カロリーも大量に消費するんでしょうか(笑)?

そして、もちろん一番の見どころは月とLの対決。天才2人の頭脳戦は、一種のアクション映画のよう。「原作のテーマを尊重し、それをどう受け止めるかに重きを置いた」と監督が語るように、原作ファンも、前編を見た人も、納得のラストシーンになっていると思います。

最後に、誰が、誰の名前を書くのか。ぜひ、劇場で確かめてください。

「デスノート the Last name」11月3日~、丸の内プラゼール他、全国松竹・東急系にて公開
オフィシャルサイト 
http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote
(c)2006 「DEATH NOTE」 FILM PARTNERS

Movie1103_2
打って変わってこちらはほのぼの系です。デパートに勤める椿山課長(西田敏行)は、社運を賭けたバーゲンセールを指揮する最中に、脳溢血でパッタリ逝ってしまう。妻(渡辺典子)と小学生の息子(須賀健太)、新築した自宅と残っている21年のローン、施設で暮らす認知症の父(桂小金治)と未練たっぷりの彼は、天国と地獄の中間点にある“中陰役所”のマヤ(和久井映見)から、やむにやまれぬ事情がある者だけ、7日間現世に戻れることを聞く。その“逆送”が許されたのは、彼とヤクザの武田(綿引勝彦)、雄一(伊藤大翔)という少年の3人だけだった。ところが、目覚めると椿山は絶世の美女・椿(伊東美咲)に、武田はヘアスタイリストの青年・竹内(成宮寛貴)に、雄一は蓮子(志田未来)という少女に変わっていた。死後4日が過ぎていたため、残すところあと3日。「椿山課長の七日間」は、“この世”の未練を解消し、彼を心安らかに旅立たせてくれるのか?

つい先日、ご紹介したばかりの「地下鉄(メトロ)に乗って」に続き、原作は浅田次郎。朝日新聞での連載中には、「死ぬのが怖くなくなった」という感想が続々と寄せられたとか。それも納得の、ちょっとおかしくて切ない物語です。

そもそも椿山課長の“逆送”が、なぜ許可されたのか。それには深い事情がありました。彼自身が気にしていたことなんて、実はどうってことなかったのです(笑)。“役所”が「知らないままでいるには、あまりにかわいそう」と同情するほどの、数々(!)の事情。それが、一つ一つ明かされていくのが、おかしいやら哀しいやら。

そして、こう言っては何ですが、ふくよかなオジサン・西田敏行が八頭身美女・伊東美咲に変わるというおかしさ。鏡に映った自分の姿に驚愕し、あちこち触りまくって確認する彼(彼女)に、「あまり、恥ずかしいことはしないでくださいね」とすかさず突っ込むマヤ。さらに動揺する椿の姿に、笑いがこぼれます。

すばらしい迫力だったのが、成宮寛貴。本体がヤクザという設定を120%納得させてくれる鋭い目つきに、まさしく“眼力”とはこのこと、と言いたくなります。仕草や口調にも“本来の姿”がにじみ出ていて、こんなにスゴい俳優だったんだ、なんて遅まきながら認識した次第です。

数々の衝撃的な真実を知らされる椿山課長。「知らないまま、あの世に逝った方が良かったんじゃ……」なんて思わないでもないですが、“椿”や“蓮子”、“竹内”がこの世で過ごした3日間は、遺された人々にも大きな影響を与えたのです。あなたもきっと、温かな気分になれるはず。ぜひ、ご覧ください。

「椿山課長の七日間」11月18日~、東劇他、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.tsubakiyama.jp
(c)2006「椿山課長の七日間」フィルムパートナーズ

 
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2006-11-03 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

 
 
 
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