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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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映画史に残るであろう、2作。 「父親たちの星条旗」&「硫黄島からの手紙」

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硫黄島の名前を知っていますか? 詳しくは知らなくても、太平洋戦争の激戦地だったことは、教科書などに載っていたのではないでしょうか。今週は、その戦いを日米双方の視点から描いた姉妹作となる2本をご紹介します。

アメリカ・ウィスコンシン州で葬儀社を営む老人が、最期のときを迎えようとしていた。彼の名は、ジョン・“ドク”・ブラッドリー(ライアン・フィリップ)。太平洋戦争では衛生兵として従軍、硫黄島にあの有名な星条旗を立てた写真の中の1人だった。初めてその事実を知った息子ジェイムズ(トム・マッカーシー)は、生前、何も語らなかった父を不思議に思う。なぜ、父は沈黙を守り通したのか。「父親たちの星条旗」とは、何だったのか。彼は、父の人生をたどり始めた――。

きっとどこかで、この写真を見たことがあると思います。ピュリッツアー賞を受賞し、全米中の新聞や雑誌の表紙を飾り、後に記念切手やポスターにまでなった伝説の写真は、一方で50年以上もの間、撮影カメラマン、ジョー・ローゼンタール(今年8月、94歳で死去)がバッシングされた原因でもありました。

長期にわたる戦争に疲弊していた全米国民を鼓舞し、被写体となった兵士6名(うち3名は硫黄島で戦死)を“英雄”に祭り上げた写真が、なぜ非難の的となったのか。それは、この写真の星条旗掲揚が“2回目”のものだったから。演出した、つまり今でいう“ヤラセ”疑惑があったためです。

そのあたりの事情と、その後に起きた事実を、ジェイムズが生き残った兵士の元を訪ね歩くという形で明らかにしていきます。戦場で戦う兵士と、遠く祖国から命令を下すだけの上層部の人間たちとのあまりに大きなギャップ。なぜこんなことになったのか。問いかけずにはいられません。

以前、聞いたことがありますが、地球上で戦争の行われていなかった期間は、わずか1年にも満たないそうです。なぜ、人間は戦争をするのか。“それ”は、本当に命を懸けてまでやらなければならないことなのか。こんな大きな問いに答えは簡単に出ませんが、1人1人が考え続けることに、意味があるはず。映画を見ながら、そんなことを思いました。

原作の映画化権を持っていたスティーヴン・スピルバーグに、「監督したらどうか」と勧められたクリント・イーストウッドは早撮り(リハーサルをほとんどせず、1テイクのみの撮影が多い)で有名ですが、あの写真のシーンは珍しく入念にリハーサルをし、本物そっくりの再現を目指したそうです。そこに、彼の思いが込められているのかもしれません。

饒舌に、声高に語ってはいないけれど、見る人それぞれに大きな何かを投げかけてくるような映画です。ぜひ、劇場でご覧ください。

「父親たちの星条旗」 10月28日~、丸の内ピカデリー1他、全国松竹・東急系公開
オフィシャルサイト 
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC

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実は、今この原稿を書いている時点では、まだ映画を見ることは出来ません。でも、「父親たちの星条旗」と一緒にご紹介するなら、やっぱり2部作のもう1本、「硫黄島からの手紙」しかない。そう思ったので、ご紹介します。

1944年6月、1人の指揮官が硫黄島に降り立つ。彼の名は、栗林忠道中将(渡辺謙)。太平洋戦争の終盤、生きて祖国の地を踏むことはないだろうと覚悟していた若い兵士たちに向かい、「死ぬな。最後まで生き延びて、この島を守り抜け」と命じた彼は、部下への理不尽な体罰や、場当たり的な作戦を次々に変えていく。彼を信頼する兵士(二宮和也、伊原剛志)がいる一方で、反発する古参の将校(中村獅童)や兵士もいた。1945年2月、ついに上陸を開始したアメリカ軍の圧倒的な兵力に、日本軍は惨敗するものと見られていた。しかし、栗林の革新的な作戦は、予想もしなかった激戦を招き……。

「父親たちの星条旗」は、実際に父の過去をたどった息子が書いたノンフィクションが原作となっていますが、こちらは、栗林中将に関する資料や、彼が戦地から日本にいる幼い娘と息子に書き送った手紙(小学館文庫より「『玉砕総指揮官』の絵手紙」として刊行)を元に脚本が書かれました。

5日間で終わると見られていた硫黄島の戦闘を、36日間にも及ぶ激戦に変えた栗林中将に興味を引かれた監督C・イーストウッドは、かなりリサーチしたそうです。昨年の来日時には、遺族や生還者に直接会って話を聞いたこともあったとか。見る前ではありますが、よくある「外国人が日本を撮ると、どうしてこんなことに……」なんて心配は、まったくないと断言します。

アメリカ留学の経験から、海外の軍事力や技術力を熟知し、開戦に反対していた栗林は、上層部に睨まれ、生きて帰る望みのない硫黄島の指揮官を任じられたとの噂もあるそうです。そんな彼を演じるのは渡辺謙(写真は、渡辺謙と、演出中の監督C・イーストウッド)。彼だけは、オーディションなしでイーストウッドに抜擢されました。ケン・ワタナベのハリウッドでの存在感も一緒に見えてくるようです。

妻子を日本に残してきた兵士を二宮和也、1932年のロサンゼルス・オリンピックの馬術競技で金メダリストとなった実在のバロン西を伊原剛志、理想主義に燃える元エリート士官・清水を加瀬亮、栗林に反発する厳格な軍人・伊藤を中村獅童が演じるのも大きな話題です。特に二宮和也は、公開前からアカデミー助演男優賞ノミネートが噂されるほどのデキだとか(実際には、12月までに全米公開された作品がノミネート対象なので、来年2月全米公開予定の本作は間に合いませんが)。

明るく楽しい映画じゃありませんが、きっと映画史に残る2作になるはず。見逃さないで。

「硫黄島からの手紙」 12月9日~、丸の内ピカデリー1他、全国松竹・東急系公開
オフィシャルサイト 
http://wwws.warnerbros.co.jp/iwojima-movies/
(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks LLC

 
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2006-10-27 【映画】 | 固定リンク

コメント

初めまして。かずと言います。
この映画は、私も期待してます。何故って、やっぱりアメリカ側の視点からの「父親たちの星条旗」と、日本側の視点からの「硫黄島からの手紙」の2部作と言うところ。後は作品を観て見ないと・・・。

投稿: かず | 2006/11/05 3:04:44

かずさん、コメントありがとうございます。
「戦争」が人の命を奪うだけでなく、生き残った人の人生までも破壊してしまうことが、改めて突きつけられているような、リアルで重い作品です。でも、だからこそ今、見なければならないのかもしれませんね。
「硫黄島からの手紙」と併せて見ると、監督クリント・イーストウッドという人の伝えたいことが、一層わかるのではないかと私も楽しみにしています。

投稿: 加藤アカネ | 2006/11/06 14:15:05

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