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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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読んでから見るか? 見てから読むか? “読書の秋”はベストセラー作家の原作物2本立て 「天使の卵」&「地下鉄(メトロ)に乗って」

Movie1013_1
続編&リメイク映画が続き、ネタ切れが囁かれているハリウッド。コミックや小説を原作にした映画が続々と製作されている日本もまた、アイディア不足なのかもしれません。でも、映像で見たいと思う作品って、ありますよね。それが、期待を裏切らないデキだと嬉しさもひとしお。今週はそんな2本をご紹介。どちらも人気はもちろん、直木賞受賞という折り紙つき作家の作品が原作です。あなたは読んでから見ますか? 見てから読みますか?

「天使の卵」は、村山由佳(2003年『星々の舟』で直木賞受賞)の原作。高校で国語教師をしている夏姫(ナツキ/沢尻エリカ)は、道路工事をしている男たちの中に高校時代の同級生・歩太(アユタ/市原隼人)を見つける。4年前、大学生になったばかりの夏姫と、美大を目指して浪人中の歩太は恋人同士だったが、ある出来事から別れてしまったのだ。それは、歩太が夏姫の姉・春妃(ハルヒ/小西真奈美)と出会ったことから始まった……。

年上の女性に魅かれる少年の話、と言うのはよくありますが、19歳の歩太を演じる市原隼人クンが見事にハマって、ウツクシイのです。実際に19歳の、まだ少年っぽさを残した彼自身のキャラクターと、真っ直ぐで怖いもの知らずな歩太は眩しいくらい。この役はゴツイ大きな男のコじゃ、ダメなのです(笑)。

そして、歩太が憧れる春妃も、小西真奈美さんがピタリとはまりました。心に大きな傷を抱えた儚げな彼女が相手じゃ、元気な夏姫もかわいいけど、チョッと分が悪いよなあ、なんて、歩太の心変わりもついつい認めてしまいそうなほどに。

偶然、出会った年上の女性に憧れ、やがて真剣に魅かれていく。でも、彼女は恋人の姉だった――なんて、どこかで聞いたような展開。乱暴な言い方をすれば、ありがちかもしれません。でも、これがじんわり心に沁みてくるのです。

それは、何気ない2人の会話や視線などの描写が、丹念に描かれているから。一直線に春妃に向かっていく歩太も、抗いつつも、いつしか歩太に魅かれていく春妃も、無理なく、すとんと自分の中に落ちていきます。舞台は京都ですが、あえて有名な神社仏閣を避けて撮影していることで、逆にその土地の持つ、不思議な空気感とでもいうようなものが全編をふんわりと包み込み、物語を完成させています。

原作を読んでいない人はもちろん、結末を知っている人も、原作の持つ空気そのままに映像化された映画には、きっと新たな感動があるはず。秋にふさわしい、しっとり気分を味わってください。

「天使の卵」10月21日~、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.tentama.jp
(c)「天使の卵」フィルムパートナーズ

Movie1013_2
「地下鉄(メトロ)に乗って」は、浅田次郎(1997年『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞受賞)の自伝的小説が原作です。
長谷部真次(堤真一)は、小さな下着メーカーの営業マン。一代で大企業を立ち上げた父とはソリが合わず、もう何年も会っていない。その父が倒れたという連絡が入った日、真次は地下鉄の通路で兄の後姿を見かける。何年も前に亡くなったはずの兄を追いかけて地上に出ると、そこには昭和39年の東京の街が広がっていた。時空を超える旅はそれで終わらなかった。続いて、終戦直後の東京に来てしまった彼は、混沌とした時代をたくましく生き抜くアムール(大沢たかお)とお時(常盤貴子)と知り合う。そして、そこには真次の恋人、みち子(岡本綾)も時空を超えて来ていた――。

地下鉄の階段を昇って地上に出ると、昭和39年だったり、眠りにつくと昭和21年で目覚めたりと、タイムスリップの方法も時代も様々。だから、最初は少し混乱してしまうかもしれません。でも、真次とみち子についていけば、大丈夫。

2人は様々な時代で、アムールとお時に出会います。生きることに貪欲で、たぎるようなエネルギーを持つ彼らのたくましさに、圧倒されずにはいられません。そして、ふと思うのです。現代を生きる私たちの、なんと脆弱なことか。

時空の旅を繰り返しながら、真次はアムールがどんな人生を送ってきたか、そして、どんな変化を遂げていくのかを、間近で見つめます。それは、思いも寄らぬ人物の、想像もしていなかった人生でした。舞台となる昭和の時代を、あえてCGを使わず、実在する場所に手を加えて作り上げたことが、時代の大きなエネルギーを、より強く感じさせてくれるようです。

なぜ、真次とみち子は旅を繰り返すのか。その旅の先には、何が待っているのか。人を動かす一番大きなエネルギーは、人を想う気持ちなのだ、と身を持って示すみち子。旅の終わりに彼女が下す決断に、涙が溢れました。一見、ファンタジー風の物語ですが、実はそれは外側の包装だけ。とても深く、重く、胸に迫ります。

「鉄道員」「壬生義士伝」「天国までの百マイル」等々、映像化されることが多い浅田作品に、また新たな1本が加わったことが、嬉しくなるような映画です。ぜひ、劇場で。

「地下鉄に乗って」10月21日~、全国公開
オフィシャルサイト 
http://www.metro-movie.jp/
(c)2006 METRO ASSOCIATES

 
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2006-10-13 【映画】 | 固定リンク

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