鳥肌モノのスリルとサスペンスあふれる2本立て 「スネーク・フライト」&「ブラック・ダリア」

朝晩、ぐっと涼しく秋らしくなってきましたね。さらに涼しくなってもらおう、というワケじゃないですが、今週はスリルとサスペンスたっぷりの2本を。まったく違う種類のオソロしさですが、背筋がゾワッとすること、間違いナシです!
ハワイを旅行中のショーン(ネイサン・フィリップス)は、エディ・キム一味の殺人現場を目撃する。ドラッグ、恐喝、児童売春、武器売買とあらゆる悪事を働きながら、証拠を残さないキムを逮捕するには、ショーンの証言だけが頼りなFBI捜査官フリン(サミュエル・L・ジャクソン)は、民間機のファーストクラスを借り切ってショーンを護送することを計画。しかし、情報は漏れ、キムは機内に“暗殺者”を送り込む。それは、数千匹の毒蛇だった……! 何も知らないフリンとショーン、そして一般の乗客や乗務員を乗せ、恐怖の「スネーク・フライト」が飛び立った――。
実は私、ダメなんです。ヘビとか、ミミズとか、ナメクジとか、足のない生き物。これを見ながら何度、「もう、帰してくれ~! ここ(試写室)から出してくれ~!」と叫びそうになったことか。じゃあ、何で見に行ったの、って? アメリカ公開前後の異様な盛り上がりが、とっても気になっていたもので……。
厳戒態勢の昨今、機内に銃や爆弾を持ち込むなんて、まずムリ。でも、ヘビだったら? 金属探知機にはひっかからないし、特定の1人を狙うことはできなくても、誰彼かまわず、無差別に襲いかかることは十分可能。飛行機という密室に、凶暴化させたヘビを何千匹と放ったら、どんなことになるのか。呆れるほど乱暴だけど、今までになかった発想ですよね。その奇抜な設定は、公開前からインターネットを中心に多くのファンを引きつけ、あっという間に火が点きました。一時、検索サイト・グーグルで「スネーク・フライト」を検索すると、3800万件もの結果が出たとか。
とにかく、ぜひ映画館で見てほしいのです。映画館の座席ってちょっと飛行機に似てませんか? みんな同じ方向を向いてズラッと並んで、隅っこは薄暗く隙間もいろいろあって。今にもそこら中から、太いのや細いのや、長いのや短いのや、赤や青や黄色の極彩色のヤツらが、ズルズルと這いずり出てくるような、こんな臨場感はそうそう味わえません!?
そんなとこ噛まないで! と叫びたくなるような、イヤーなところも情け容赦なくガツガツ噛んで、もうタイヘン。でも、ヤツらの襲撃を見ているうちに、次第に笑いが。人間、一線を越えると笑ってしまうと、身をもって実感してしまいました。
生き残った乗員と個性豊かな客たちが、どう立ち向かうのか。果たして、無事生還できるのか。ドキドキしながらも、キレたS・L・ジャクソンの「ふざけんなあ!!」の咆哮と共に、何かがスッキリ落ちていったのは、私だけでしょうか? 犠牲者続出のトンでもない設定ですが、見ているだけで何かやり遂げたような(笑)爽快感が待っています。蛇足ながら、彼氏と行くのは要検討。男性には凍りつくような展開がありましたので。
「スネーク・フライト」10月21日~、有楽座他、全国東宝系公開
オフィシャルサイト http://www.movie-eye.com/snake/

変わって、こちらはサイコ・サスペンス。1947年、ロサンゼルスのダウンタウンで、体を腰から真っ二つに切断された惨殺死体が発見される。内臓が抜かれ、血液は洗い流され、笑っているかのように口を耳元まで裂かれたそれは、いつも黒髪に黒いドレス姿でハリウッド・スターを夢見ていた、「ブラック・ダリア」と呼ばれる若い女性だった。ロス市警の刑事コンビ、バッキー・ブライカート(ジョシュ・ハートネット)とリー・ブランチャード(アーロン・エッカート)は捜査を開始するが、リーは異様なまでに事件解決に執念を燃やす。そんな彼を心配するバッキーとリーの恋人ケイ(スカーレット・ヨハンソン)だったが、2人は次第に魅かれあっていき……。
原作は、“アメリカ文学界の狂犬”を自称する作家ジェイムズ・エルロイの代表作<暗黒のLA4部作>の第1作。実は、完全なフィクションではありません。ロサンゼルスで実際に起き、当時のアメリカを震撼させた迷宮入り殺人事件を、エルロイが丹念に事実を調査し、生まれた作品なのです。彼自身、少年時代に母を殺され、事件は未解決のままという過去が。それを思うと、なにか執念のようなものを感じてしまいます。
なぜ、ブラック・ダリアは殺されたのか。しかも、こんな異常な姿で。誰が手を下したのか。事件にのめり込んでいくリーを心配し、諭そうとするバッキー。でも、一番バランス感覚に優れていたはずのバッキー自身、解決のヒントを求めて、ダリアが受けたオーディション映像を片っ端から見ているうちに、とり憑かれていたのかもしれません。
もうこの世に存在しない女性が、生きているとき以上に周囲にその存在感を強めていくという、皮肉。スターを夢見ていた彼女は、殺されて初めてスターになったのです。一方、事件に関わった者たちは、まるで彼女に焼き尽くされていくように、身を滅ぼしていきます。
ハリウッドの華やかなイメージと、まだ開発途上の街特有の荒々しく雑然とした背景が、当時のロサンゼルスが持つムードを色濃く映し出し、さらに物語の陰影を強めます。捜査のために、ダリアそっくりの大富豪の娘マデリン(ヒラリー・スワンク)に近づいたバッキーは、真相にたどり着くことが出来るのか。親友の恋人ケイと魅かれあう彼には、どんな未来が待っているのか。
虚実入り混じった物語は、あっという間に見る者を引きずり込んでいきます。もしかしたら、エルロイが導き出した事件の結末こそが、この迷宮入り事件の真相なのかも。そんな説得力を持つストーリーです。映画を見た後、原作を読むのもきっとおもしろいですよ。
「ブラック・ダリア」日比谷スカラ座他、全国公開中
オフィシャルサイト http://www.black-dahlia.jp
(c)2005 Millennium Films All Rights Reserved.
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2006-10-20 【映画】 | 固定リンク
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