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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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実在の人物がリアルに甦る、重厚感たっぷりのドラマ 「カポーティ」&DVD「グッドナイト&グッドラック」

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「事実は小説より奇なり」なんて言葉もありますが、時にフィクションを遥かに凌ぐパワーを持つ「事実」。今週は、そんなパワーを秘めた実在の人物を描いた、事実に基づくドラマを2作ご紹介します。

1959年11月、前年に出版された『ティファニーで朝食を』の成功で作家としての名声を手にした「カポーティ」(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、小さな新聞記事に目を留める。それは、カンザス州の農家で一家4人が惨殺されたという事件だった。幼なじみで良き理解者の作家ネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)と共にカンザスへ向ったカポーティは、捜査官デューイ(クリス・クーパー)に近づく。1ヶ月後、容疑者の2人組が逮捕。拘置所に通い、犯人の1人ペリー(クリフトン・コリンズJr.)と親しくなったカポーティは、死刑宣告を受けた彼の上訴のため、敏腕弁護士を雇う。そして、事件を題材とした本を書くために彼の元に通いつめるうち、次第に友情にも似た感情を抱き始め……。

まだ同性愛に対する偏見が強かった時代に堂々とゲイであることを公言し、華やかでスキャンダラスな数々の言動行動で常に注目を浴びていた作家トルーマン・カポーティ。今では珍しくもない、実在の事件や人物をもとに書く“ノンフィクション・ノベル”というジャンルの第1作となったのが、彼の『冷血』でした。

本作は、カポーティが『冷血』を書き上げるまでの物語。カポーティの作品中、もっとも高い評価を受けたこの小説は、同時に彼にとっての最後の作品となりました。その後は、書き始めはするものの、完成させることが出来なくなってしまったのです。その理由はなんなのか。映画は感情的に彼に寄り添うことなく、淡々と語られていきます。

これを見てカポーティに感情移入する人は、おそらくいないでしょう。それほどに彼の個性は強烈です。後世に残る作品を生み出すような天才は、やはり常人には測りきれないのかもしれません。

演じるP・S・ホフマンが圧巻です。女性的な仕草、甲高い声など、実際のカポーティを見事に体現。名バイプレイヤーとしてずっと地道に活動してきた彼が、本作でアカデミー賞をはじめとした数々の主演男優賞の栄冠を手にしたのも納得の迫力です。

死刑執行を著作の結末にしたいのに、ペリーに会ううち、恵まれない家庭環境にあった彼と自分を重ね合わせていくカポーティ。そう、本を完成させるためには、カポーティこそがもっとも死刑を切望し、同時にもっとも恐れていたというパラドックスが、彼を激しく蝕むのです。

実は、これが初の長編劇映画となる監督ベネット・ミラーと脚本ダン・ファターマンとホフマンは高校生の頃からの友人。彼らの熱い、でも冷静な心意気が伝わってくる作品です。

「カポーティ」 9月30日~、恵比寿ガーデンシネマ、シャンテ シネ他、全国公開
オフィシャルサイト
http://www.sonypictures.jp/movies/capote

Movie0922_2「グッドナイト&グッドラック」は、1930~1950年代に、全米で最も高い人気を誇り、“アメリカの歴史を変えた1人”と称される伝説のニュースキャスター、エド・マローが番組の締めに言った言葉からタイトルがつけられました。
1953年、米ソ冷戦下で上院議員マッカーシーが率いる調査委員会の厳しい追及は、共産主義者を根絶やしにする“赤狩り”として恐れられていた。マスコミさえ見て見ぬふりをする中、CBSの人気キャスター、エド・マロー(デヴィッド・ストラザーン)とプロデューサーのフレッド・フレンドリー(ジョージ・クルーニー)らスタッフは、アメリカの自由を守るために議員の虚偽と策謀を次々に暴いていく。しかし、彼らを待ち受けていたのは強大な圧力とワナだった――。

G・クルーニーと言えば、その明るいキャラクターと、一声かければブラッド・ピットをはじめとするスターがズラッと集まって、信じられない豪華キャストの共演映画(「オーシャンズ11」シリーズ)があっさりと実現する信頼篤い兄貴ぶりでおなじみ。その彼が、監督&共同脚本&出演の3役をこなしたばかりか、自宅を抵当に入れてまで製作費を捻出し、映画化を実現させたのが、本作です。

スタイリッシュなモノクロ映像や、自ら選曲した、全編を流れるスタンダード・ジャズにちょっと驚くかも。お茶目でイタズラ好きな彼のまったく別の一面が不意に現れたようで、ドキドキです。

ニュースキャスターだった父親の影響で、元々ジャーナリスト志向だったクルーニーにとって、エド・マローは文字通り「我が家のヒーローだった」とか。「情熱から作った映画で、お金のためではない。どうしてもこの映画を撮りたかった。出来なかったら、70歳になったとき、一体何を残せたと言えるのだろう」という熱い思いを抱いた作品なのです。

どんな圧力がかかっても、平然と、そして淡々と真実を追い、報道するマローたち。報道人としての彼らの静かで熱い思いのなんてカッコいいことか。激したり、怒鳴ったりの感情的な姿は見せなくても、彼らの中に熱い血が滾(たぎ)っているのが見えてきます。同時にそれは現代アメリカの行く末を案じる、クルーニーたちスタッフやキャストの思いなのかもしれません。

それにしても、カッコよすぎるなあ、G・クルーニー(笑)。ブラピやマット・デイモン、ジュリア・ロバーツが彼を心から信頼し、一緒の仕事を楽しむ気持ちがわかるような気がします。売れない時代が長かった苦労人のせいか、やりたいと思うことは硬軟問わず、飄々とこなしていくところもまたカッコいい。監督2作目にしてアカデミー賞ノミネートもお見事。すっかり褒めちぎってしまいましたが、彼のちょっと意外な一面、ぜひご覧ください。

DVD「グッドナイト&グッドラック」
発売・販売:(株)東北新社
豪華版(2枚組)は7,140円(税込)・通常版は3,990円(税込)で11月22日リリース
オフィシャルサイト
http://www.goodnight-movie.jp
(c)2005 Good Night Good Luck, LLC. All Rights Reserved.

 
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2006-09-22 【映画】 | 固定リンク

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