オトナになる直前の少女たちが迎えた人生の岐路――「フラガール」&「夜のピクニック」

私にはすでに遠い昔ですが(笑)、「10代後半」って、子供じゃないけど大人でもない、なんだかスペシャルな感じがしませんか? 今週は、そんなオトナ直前の少女たちが主人公の、実話をベースにした物語です。
昭和40年、エネルギー需要が石炭から石油へと急激に変化し、リストラが始まった福島県の炭鉱町。起死回生を狙った会社は、従業員たちの激しい反対の中、レジャー施設「常磐ハワイアンセンター」を計画する。その目玉のフラダンス・ショーのために、東京から教師として招かれたまどか(松雪泰子)だが、炭鉱の田舎娘に踊れるわけがないと、まったくやる気がない。一方、ダンサー募集の貼り紙に、「ここから抜け出すチャンス」と紀美子(蒼井優)と早苗(徳永えり)は家族に内緒で応募。その真剣な彼女たちの姿が、まどかを変えていく。メンバーも徐々に増え、いよいよ「フラガール」たちは始動するが……。
「常磐ハワイアンセンター」(現:スパリゾートハワイアンズ)に行ったことがある人、名前だけは聞いたことがある人、たくさんいるでしょう。でも、ホテルや施設の従業員だけでなく、ダンサーやバンドメンバーも炭鉱員やその家族だったこと、知っていましたか? 本作は、その立ち上げを描いた実話なのです。
ダンサー、と聞いてストリップ・ショーを連想するコ、初めて見たフラダンスに、「ケツは振れねえ」「ヘソ丸見えでねえか」とドン引きしてしまうコ……、純情な彼女たちにちょっとクスリ。でも、その陰には、父や家族の働く炭鉱の行く末をシビアに見つめる、真剣な思いがありました。
母(富司純子)と兄・洋二朗(豊川悦司)の3人で暮す紀美子は高校に通っていますが、彼女をフラダンスに誘った親友・早苗は、父(高橋克実)と幼い弟妹を抱え、自分も炭鉱で働く少女。父と2人きりの小百合(南海キャンディーズ しずちゃん)に、子供を抱える事務員・初子(池津祥子)など、ダンサーに応募してきた女性はそれぞれに事情を抱えています。
SKD(松竹歌劇団)の花形ダンサーだったまどか自身も、ある事情から東京を出てきました。自分の力ではどうにもできない厳しい現実。でも、逃げることなく、きちんと向き合う彼女たち。笑顔で踊る姿に鼻の奥がツンと痛くなります。
圧巻は、もちろんダンス・シーン。3ヶ月間猛特訓したという松雪泰子が1人踊るシーン。蒼井優たちフラガールの勢ぞろいしたシーン。物語と実際の彼女たちのがんばりが重なって、感動。これがホントの映画初出演となる(「ラブ★コン」より撮影が先)南海キャンディーズのしずちゃんも、一際大きく目立ってガンバってます。
母と衝突する紀美子を陰ながら応援していた洋二朗が、「母ちゃんも、お前も、あの先生も、女はつえぇな」と尊敬の念をこめて言うシーンが印象的。そう、女はガンバっているのです。もちろん、男も(笑)。ぜひ見て、元気をもらって来てください。
「フラガール」 9月23日~、シネカノン有楽町、渋谷アミューズCQN他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.hula-girl.jp

ガラリと変わって、「夜のピクニック」は現代の高校生が主人公です。24時間かけて80kmを歩くという高校生活最大のイベント、歩行祭。高校生活最後の歩行祭を目前に、貴子(多部未華子)は密かに決めたことがあった。それは、同級生の融(石田卓也)に話しかけるということ。2人の間には、そんな簡単なことがどうしても出来ない、親友にすら言えない秘密があった。しかし、以前から意識しあう2人の関係を噂していた周囲は、ここぞとばかりにあれこれとおせっかいを焼いてくる。2人の秘密とは? そして、ゴールまでに貴子は融に話しかけることが出来るのか?
第1回受賞作「博士の愛した数式」、第3回受賞作「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」――全国の書店員が“自分が一番売りたい本”に投票し、選出される本屋大賞。本作はその第2回受賞作が原作。このラインナップからも、楽しみになってきませんか。
本作も実際の出来事がモデル。原作者・恩田陸氏の母校(茨城県立水戸第一高校)で戦後から行われている伝統行事「歩く会」がそれです。ただ夜に歩くだけで、なんで映画(小説)に…と思う人もいるかもしれませんが、これがなかなかのドラマなのです。
実は、私も学生時代に学祭行事のオーバーナイト・ハイクというのに参加したことが。夜の10時ごろに学校を出発し、チェックポイント数ヶ所を回って、ほぼ山手線を一周して翌朝に戻るという、なんてことのないイベントです。ところが不思議なことに、歩いているとハイになってくるのです(お酒を飲んでいるわけじゃありませんよ)。しゃべって、歌って、走って(!)と、もう大騒ぎ。それも深夜には語り合いになり、最後はあまりの疲労に口も聞けなくなり、足を引きずって帰ってきました(笑)。
考えてみると、一晩かけて何十kmも歩くなんて、そうそうないこと。その“疲労感を体感する”ために、貴子役・多部未華子の提案で、主要キャストとスタッフで実際に60kmを24時間かけて歩いたそうです。そのせいか、スクリーンにはワクワクするような、ある達成感がにじみ出てくるみたい。
主人公2人の間を流れるぎこちないムードがとっても初々しくて、嬉しくなってきます。周囲の個性的な友人もいい感じ。特に、昼間はゾンビのようなのに、夜になると俄然ハイテンションになる高見役・柄本佑がイイ味出してます。
2人が抱えていた秘密から解き放たれ、新たな1歩を踏み出した時、何だか私も少しだけ軽くなったような気分に。きっとあなたも、夜のピクニックに行きたくなりますよ。
「夜のピクニック」 9月30日~、丸の内プラゼール他、全国松竹・東急系にて公開
オフィシャルサイト http://www.yorupic.com
(c)2006「夜のピクニック」FILM VENTURER
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2006-09-15 【映画】 | 固定リンク
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しずちゃんがアカデミー賞?! [続きを読む]
トラックバック送信日 2006/09/17 15:00:25
» しずちゃんの演技に号泣! 今、最も“泣ける”映画はコレ トラックバック 芸能☆極秘☆ニュース
雑誌「Weeklyぴあ」調査による、9月23日(土)公開の映画満足度ランキングでは、“泣ける”と評判の『フラガール』が、92.8点という高得点をたたき出し、1位となった。2位には家族のあり方を問う『紀子の食卓』、3位にはアダム・ サンドラー主演の『もしも昨日が選べたら』が入った。『フラガール』は、“常盤ハワイアンセンター”の誕生に際するエピソードがもとになったストーリー。約40年前、相次ぐ... [続きを読む]
トラックバック送信日 2006/09/28 19:41:07
» 松雪泰子かっこよかった!です。 トラックバック スパリゾートハワイアンズ
スパリゾートハワイアンズの映画、WOWWOWでみました。主役の蒼井優は、ちょっと、迫力不足だったけど、まっ、可憐な乙女だったかなか。スパリゾートハワイアンズの前進の常磐ハワイアンセンターには、何度かいきましたけど....。フラガール メモリアルBOXpowerd by 楽市360... [続きを読む]
トラックバック送信日 2007/08/01 21:37:31

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