モノづくりの知られざる裏側とは? ~ウドンとクツの場合 「UDON」&「キンキーブーツ」

普段、私たちが何気なく食べたり、身に着けたりする身近なモノを、誰がどうやって作っているか、考えたこと、ありますか? モノづくりの裏側を、覗いてみませんか。ちょっとフツーじゃ、ありませんが(笑)。
世界的コメディアンを目指し、単身NYに渡り6年。「NYではゴジラマツイより有名」なんて見え透いた嘘と借金を土産に、松井香助(ユースケ・サンタマリア)は故郷・香川に帰ってきた。姉の万理(鈴木京香)や友人たちは温かく迎え入れるが、頑固な手打ちうどん職人の父(木場勝己)とは、相変わらずの険悪ムードだ。親友・庄助(トータス松本)の紹介で、タウン誌編集部で働き始めた香助は、観光客の讃岐うどんニーズに気づく。彼の提案で、庄助と編集部員恭子(小西真奈美)の3人は“麺通団”を結成、うどん屋を探して走り回る記事を企画し、大当たり。これをきっかけに、「UDON」は全国的ブームを興し……。
“ソウル・フード”というと、大げさに思うかもしれません。でも、きっと誰でも、ごく身近で懐かしい食べ物が何か1つあるはず。おむすび、カレーライス、ラーメン……いろいろある中、本作の主人公のそれは、うどん。一度も食べたことがない、という日本人はいないんじゃないかというくらい馴染みの食材ですが、本場はひと味もふた味も違うのです。
この数年、関東にも讃岐うどん店が怒涛の勢いで出店していますが、地元の製麺所の存在を知っていましたか? 一見、普通の民家なのに実は製麺所、という家がたくさん。そこで100円ほど出すと、打ちたての麺を食べさせてくれる。これが、とにかくおいしそうで、見ているだけで、口の中に唾がたまってきちゃいます。
そんな地元の人しか知らないうどんが、どうやってブームになったのか。役柄とピタリと合ったユースケ・サンタマリアのフットワークの軽さと、おちょくった語り口のマスコミや周囲の大騒ぎを、麺同様しっかりこねてまとめて、楽しさいっぱい。実は、本広克行監督の出身地は香川。久々に食べた故郷の味に、映画化を思いついて3年。企画を温め、リサーチを続けた監督自身の思い出や、実体験を元にしたストーリーだからこその、リアルさと、おかしさと、懐かしさが詰まっているのです。
庄助の予言通り、「祭りは、いずれ終わ」り、跡形もなく消えていきます。でも、本作の良さは、その後にありました。ブームが去った後、それぞれに残った何か。その優しい後味は、ちょっとしたお伽話のようです。
笑いあり、涙あり、友情あり、愛情あり、アクションあり、夢ありと、大ヒットシリーズ「踊る大捜査線」製作チームが送り出した作品は、やっぱりウマかった。映画の後に寄るうどん屋のチェックも、お忘れなく。
「UDON」8月26日~、全国東宝系にて公開
オフィシャルサイト http://www.udon.vc
(c)2006 フジテレビジョン ROBOT 東宝
「一体、僕に何が出来る?」が口癖のチャーリー(ジョエル・エドガートン)は、ノーサンプトンで代々続く靴工場の跡取り。仕事は嫌いじゃないが、どこか馴染めず、婚約者ニック(ジェミマ・ルーパー)の転勤を機に一緒にロンドンへ。そんな彼を追ってきたのは、父の訃報だった。経営者となったチャーリーは、工場が倒産寸前という事実を知り、ロンドンの取引先を奔走するがうまくいかない。偶然、出会ったドラッグクイーンのローラ(キウェテル・イジョフォー)が女性用の靴をムリヤリ履いていることに気づいた彼は、従業員ローレン(サラ=ジェーン・ポッツ)の一言で、起死回生の策を思いつく。それは、ドラッグクイーン向けの「キンキーブーツ」(キンキー=性的に倒錯した、奇妙な)を作ること。ローラをデザイナーに、ミラノ見本市を目指し、一か八かの賭けに出るが――。
「フル・モンティ」「ブラス!!」など、小心なダメ男を描いたら天下一品のUK映画に、新たな1本が加わりました。主人公は2人。尊敬され、慕われる立派な経営者を父に持つチャーリーと、少年時代から男性であることに違和感を抱きながらも父に逆らえず、ボクサーになった過去を持つ、カリスマ・ドラッグクイーン、ローラことサイモン。まったく異なる2人が、まったく違う理由で、同じ目標を目指すのです。
保守的な田舎町ノーサンプトンでドラッグクイーンは注目を集め、波紋を広げます。ローラを従業員から隠そうとしたチャーリーも、面倒を避けるため、あえて男装したローラも、最初はただ自分のメリットを考えていただけ。
でも、摩擦の起こらない関係なんて、ないのです。意見を出し、ぶつかり合ううち、2人は互いを認め、理解し、やがては遠巻きにしていた周囲の人々も巻き込んでいきます。そして、父を意識しなくなった時、ようやく本来の姿が見えてくるのです。
実は、本作は実話を元にした話。世間の大きな波に取り残されたごく普通の人々が、アイディアと努力と根性で息を吹き返す話の、なんと小気味良いことか。ハリウッド製アメリカン・ドリームのように大きな話ではありません。でも、その身近さ加減がイイのです。
ごく身近にある、何ていうことのないモノの裏側にも、作り手のいろんなドラマがある。当り前のことですが、見逃していませんでしたか? そういう人々と、それを切り取って描き出す映画に感謝。どうぞ、楽しんでご覧ください。
「キンキーブーツ」8月26日~、シャンテ シネ他、全国順次公開
オフィシャルサイト http://www.movies.co.jp
(c)Buena Vista International.
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2006-08-18 【映画】 | 固定リンク
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