キケンだとわかっていても、落ちてしまった恋。その結末は――「マイアミ・バイス」&「マッチポイント」
「やめたほうがいい」と頭ではわかっていても、落ちてしまうのが、恋。今週は、ヤバい恋にハマった男たちの物語。彼らがたどり着いた結末とは? スリルとサスペンスを、思う存分楽しんでください。
フロリダ州の「マイアミ・バイス」(=警察特捜課)刑事、ソニー(コリン・ファレル)とリコことリカルド(ジェイミー・フォックス)は、タイプは違うが最高のコンビだ。ある日、助けを求めてきた馴染みの情報屋が自殺。同じ晩、FBI潜入捜査官2名も射殺される。彼らは、FBIなどの司法機関による巨大麻薬組織の合同捜査に加わっていた。情報が漏れている――FBIのフジマ(キアラン・ハインズ)は独断で、関わりのないソニーとリコに潜入捜査を要請。2人は上司(バリー・シャバカ・ヘンリー)の反対を押し切って、運び屋として組織に接触し、中堅幹部イエロ(ジョン・オーティス)にたどり着く。さらにソニーは組織の女性イザベラ(コン・リー)に接近。リコの心配をよそに、瞬く間に2人の関係は燃え上るが――。
「マイアミ・バイス」と聞いてすぐわかるのは、私と同じく30代以上の方でしょうか。日本で1986~88年(全米1984~89年)に放映され、大ヒットしたTVシリーズは、ソニーをドン・ジョンソン、リコをフィリップ・マイケル・トーマスが演じ、軽やかでスタイリッシュなテイストが一大旋風を巻き起こしました。
今回の映画化を指揮したのは、TV版製作総指揮のアンソニー・ヤーコヴィックと、同じく当時、製作総指揮を務めていた、「ヒート」や「コラテラル」の監督で知られるマイケル・マン。実は、「最初にTV版のあらすじを読んだ時、直感的に長編劇場用映画にするべきだと思った」というマンの、まさしく満を持した作品なのです。
映画ならではの2時間超の長尺を活かしたググッとハードで濃い展開に、往年のファンは驚くかも。でも、フェラーリ(!)でハイウェイを疾走するなど、勧善懲悪ではない、清濁併せ呑むようなサバけたテイストは変わらず。何より2人の個性的な俳優の存在が際立ちます。
同僚刑事トルーディ(ナオミ・ハリス)に一途なリコは、捜査は常にクール。一方、美女数人とヨロシクしているらしいソニーの捜査は、時に暴走気味。対照的な2人が、何も言わずともわかり合っているシーンでは、男同士の友情も鮮やかに浮かび上がってドキドキです。
それまで執着しなかったのに、一番ヤバい女性にぐいぐい惹かれてしまうソニー。アリ地獄のように底の見えない潜入捜査に神経をすり減らしながら、彼女を見つめる彼の困惑した切ない目が印象的です。身分を明かせないまま、深みにハマって行くソニーは、どんな決着をつけるのか。彼のオトシマエを黙って見守るリコの友情がまた、イイのです。クールで熱い男たちに、もううっとりです。
「マイアミ・バイス」 9月2日~、日劇1他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.miami-vice.jp
(c)2006 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
アイルランド出身の元プロテニス選手クリス(ジョナサン・リース・メイヤーズ)は、今はロンドンの特別会員制クラブのコーチ。野心溢れる彼は、会員である大富豪の息子トム(マシュー・グード)と親しくなり、家族を紹介される。妹クロエ(エミリー・モーティマー)は彼に一目惚れ、両親の好感も得て、上流社会への足場を固めるクリス。だが、トムの婚約者の売れないアメリカ人女優ノラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会い、強く惹かれるように。クロエと結婚し、義父の会社で着々と出世しても、ノラを忘れられない彼は、ついに彼女と関係を持ってしまう。密会を重ねる彼の人生の「マッチポイント」とは。
ニューヨークを愛し、常にそこを舞台に映画を作り続けてきた監督兼脚本家兼俳優のウディ・アレン。36作目にして初めてニューヨークを離れて選んだ舞台は、ロンドンでした。70歳になっても、守ってきたスタイルを変えられる彼の前向きな姿勢には驚きです。
舞台は変わっても、ニューヨークの人物や日常風景を切り取り、映画に反映してきた彼らしく、ロンドン上流社会の人物像や日常が余すところなく描かれて、興味津々。私にはわかりませんが、英語に通じている人なら、階級社会の微妙な差異の描写も楽しめるのでは。
クリスがトムと親しくなったのは、オペラや文学の話がきっかけ。でも、その陰で、密かに『ドストエフスキー入門』を読むクリスの姿が映し出されます。満々の野心を、オブラートにそっと包んで見せない彼の真の姿。思い通りにクロエの心も勝ち得たその時、彼はノラと出会ってしまうのです。
挑発的で蠱惑的なノラ。実はクリスは、どう足掻いても、完全には上流社会に溶け込めない自分と通じる何かを、彼女に感じていたのではないでしょうか。それに目を背けたまま、彼はテニスの試合を進めるように、冷静に論理的に計画を進めていきます。
でも、冷静にも論理的にもなれないのが、恋。マズイとわかっていても、落ちてしまったら、もう抜け出すことは出来ないのです。
愛と野望の両方を望んだクリス。1つしか選べないことを悟った時、どちらを捨て、どちらを選ぶのか? 彼が人生におけるマッチポイントに出した結論とその勝敗は? その結末に、あなたは何を感じますか?
「マッチポイント」 恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座他、公開中。全国順次公開
オフィシャルサイト http://matchpoint-movie.com
(c)JADA PRODUCTIONS 2005
下の「コメント」をクリックして、人名欄はペンネームを、URL欄は不要、コメント欄にご意見を書き込んで「投稿」をクリックしてください。
トラックバックについて詳しくお知りになりたい方は、「トラックバックについて」をクリックしてご確認ください。


「一体、僕に何が出来る?」が口癖のチャーリー(ジョエル・エドガートン)は、ノーサンプトンで代々続く靴工場の跡取り。仕事は嫌いじゃないが、どこか馴染めず、婚約者ニック(ジェミマ・ルーパー)の転勤を機に一緒にロンドンへ。そんな彼を追ってきたのは、父の訃報だった。経営者となったチャーリーは、工場が倒産寸前という事実を知り、ロンドンの取引先を奔走するがうまくいかない。偶然、出会ったドラッグクイーンのローラ(キウェテル・イジョフォー)が女性用の靴をムリヤリ履いていることに気づいた彼は、従業員ローレン(サラ=ジェーン・ポッツ)の一言で、起死回生の策を思いつく。それは、ドラッグクイーン向けの
韓流もすっかり定着した今日この頃。でも、かつてはアジア映画と言えば、香港映画でしたよね。今週は、久々の香港物2本立て。
そしてA・ラウと言えば、やっぱりこのシリーズを挙げたい。前2作ともご紹介し、最終章
今年の夏までにダイエット――と心に決めていたのに、もう夏……(笑)。今年も水着が着られないという自戒の念をこめ、
「青春漫画 ~僕らの恋愛シナリオ~」