カッコよすぎるぜ! アンディ・ラウ 「愛と死の間で」&DVD「インファナル・アフェアIII 終極無間」
韓流もすっかり定着した今日この頃。でも、かつてはアジア映画と言えば、香港映画でしたよね。今週は、久々の香港物2本立て。年々カッコよくなってきたアンディ・ラウ主演作です。
仕事漬けの多忙な日々に追われる外科医コウ(A・ラウ)は、妻チーチン(シャーリン・チョイ)との約束破りの常習犯。その晩も約束をすっぽかされた彼女は、迎えに来ていた病院の駐車場から、1人車で帰途に着く。しかし、彼女が家に帰ることはなかった。チーチンを失い、外科医を辞めて救護隊員になったコウは、交通事故に遭った女性ユンサム(チャーリー・ヤン)を救助する。彼女の鼓動に特別なものを感じるコウ。実は彼女は、事故死したチーチンの心臓を移植された女性だったのだ。移植の甲斐なく、ユンサムの余命が残り僅かだと知ったコウは、「愛と死の間で」、ある決意をする――。
心臓の音で誰だかわかるだなんて、かなり無理のある設定。それでも許せちゃうのは、コウがどれほどチーチンを愛していたか、そして後悔しているかが切々と語られるから。
ちょっと幼いくらいに素直で愛らしかった妻の姿を、壊れたレコードのように何度も何度も回想し続けるコウに、ちょっとウルウル。彼がいつも仕事を優先させ、約束をすっぽかしていたのは、「今日」と変わらぬ「明日」があると信じていたから。それは、あなたも私も同じこと。今朝だって、いつも通りに「いってらっしゃい」と家族を見送りませんでしたか? 「昨日」と変わらない「今日」だという保証は、何一つないのに。
そんな当たり前の事実を、不意に突きつけられたようでドキリ。「もし、あの時こうしておけば」。「あんなこと、言わなければ良かった」。本来ならどんなに後悔しても、絶対にやり直せないはずのことが、やり直せるかもしれない。今度こそ、せめて彼女の心臓だけは独りで逝かせてはならないと、彼が全力を傾ける気持ちが痛いほど伝わってきます。
ユンサムに彼がどう寄り添い続けるのか。現実にはありえない展開ですが、それもまた良し。そう、これは女性のある種の願望を描いた物語なのかも(もちろん、生きて、約束も守ってもらって、一緒にごはんを食べることがいちばんの願いですが)。アクション・スターのイメージが強いラウが、ノー・アクションで静かに熱演する姿に浸ってしまいましょう。
「愛と死の間で」8月12日~、シャンテ シネ他、全国公開
オフィシャルサイト http://www.ai-to-shi.com/
(c)2005 FOCUS FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
そしてA・ラウと言えば、やっぱりこのシリーズを挙げたい。前2作ともご紹介し、最終章「インファナル・アフェアIII 終極無間」も……と思っていたのですが、ちょうど公開時にお休みをいただいておりましたので、DVDでご紹介です。
マフィアに潜入していた捜査官ヤン(トニー・レオン)の死後、警官として生きていくために、警察内に残る仲間の潜入マフィアたちを次々に始末したラウ(A・ラウ)。ようやく過去を抹殺した彼の前に、保安部の警官ヨン(レオン・ライ)が現れる。冷静沈着でエリートの彼の背後には、かつてラウのボスだったサム(エリック・ツァン)や、中国本土の大物密輸商人シェン(チェン・ダオミン)の影がちらついていた。ヨンをもう1人の潜入マフィアだと確信したラウは、密かに彼を追い始める。しかし、ヤンの死の真相が暴かれる時は、刻一刻と迫っていた――。
実は、A・ラウよりもT・レオン派のワタシ(笑)。でも、最終章はやっぱりラウ役を演じきったアンディでしょう。潜入マフィアだった過去をすべてリセットし、「善人になりたい」彼。すべてをなかったことにできる筈もないのに、それでももがき苦しむ彼がジワジワと追い詰められていく様子は、迫力満点です。
この「III」はヤンの死後の話が中心ですが、回想シーンで「I」の時間軸のエピソードも多数登場。元々、当初から「I」と「III」(ヤンとラウの少年時代が描かれる「II」は途中で企画)の構想があり、脚本も同時執筆されていたというだけあって、「I」で語られなかった「間」にはこんなエピソードもあったのか、という展開が楽しめます。すべてを通して1本のストーリーなので、前2作を復習(あるいは予習)していないと、ちょっと混乱してしまうかも。でも、その時間をかける価値は十分あります。
個人的には、「I」でつらく哀しいことばかりだったヤンに、実は楽しいことも安らぎもあったということがわかって、嬉しい限り(笑)。精神科医リー(ケリー・チャン)との心の交流の描き方が弱いなあ、なんてエラソーに思っていたのですが、「III」の回想シーンでは、そのあたりも丁寧に描きこまれています。
もうご存知でしょうが、ハリウッドでのリメイク作もこの10月に全米公開予定。名匠マーティン・スコセッシ監督に、レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーティン・シーン、マーク・ウォルバーグ等、そうそうたる面々が勢ぞろいですから、期待するなというのがムリなほどです。
「運命は人を変えるが、人は運命を変えることができない」。それをひっくり返そうとあがくラウは、どんな結末を迎えるのか。T・レオンが「I」で主演男優賞を受賞したのに続き(香港アカデミー賞)、A・ラウも本作で受賞(台湾アカデミー賞)。もちろん、賞がすべてではありませんが、彼の演じたラウは本作で完成した、と言えるのではないでしょうか。とんでもない悪人なのに、憎みきれないラウ。A・ラウの熱演を、堪能してください。
DVD「インファナル・アフェアIII 終極無間 <ONE DISC EDITION>」
発売元:コムストック/販売元:ポニーキャニオン
2,625円(税込)で発売中(※10月末までの期間限定価格)
オフィシャルサイト http://www.infernal.jp
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2006-08-11 【映画】 | 固定リンク
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