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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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カッコよすぎるぜ! アンディ・ラウ 「愛と死の間で」&DVD「インファナル・アフェアIII 終極無間」

Movie0811_1韓流もすっかり定着した今日この頃。でも、かつてはアジア映画と言えば、香港映画でしたよね。今週は、久々の香港物2本立て。年々カッコよくなってきたアンディ・ラウ主演作です。

仕事漬けの多忙な日々に追われる外科医コウ(A・ラウ)は、妻チーチン(シャーリン・チョイ)との約束破りの常習犯。その晩も約束をすっぽかされた彼女は、迎えに来ていた病院の駐車場から、1人車で帰途に着く。しかし、彼女が家に帰ることはなかった。チーチンを失い、外科医を辞めて救護隊員になったコウは、交通事故に遭った女性ユンサム(チャーリー・ヤン)を救助する。彼女の鼓動に特別なものを感じるコウ。実は彼女は、事故死したチーチンの心臓を移植された女性だったのだ。移植の甲斐なく、ユンサムの余命が残り僅かだと知ったコウは、「愛と死の間で」、ある決意をする――。

心臓の音で誰だかわかるだなんて、かなり無理のある設定。それでも許せちゃうのは、コウがどれほどチーチンを愛していたか、そして後悔しているかが切々と語られるから。

ちょっと幼いくらいに素直で愛らしかった妻の姿を、壊れたレコードのように何度も何度も回想し続けるコウに、ちょっとウルウル。彼がいつも仕事を優先させ、約束をすっぽかしていたのは、「今日」と変わらぬ「明日」があると信じていたから。それは、あなたも私も同じこと。今朝だって、いつも通りに「いってらっしゃい」と家族を見送りませんでしたか? 「昨日」と変わらない「今日」だという保証は、何一つないのに。

そんな当たり前の事実を、不意に突きつけられたようでドキリ。「もし、あの時こうしておけば」。「あんなこと、言わなければ良かった」。本来ならどんなに後悔しても、絶対にやり直せないはずのことが、やり直せるかもしれない。今度こそ、せめて彼女の心臓だけは独りで逝かせてはならないと、彼が全力を傾ける気持ちが痛いほど伝わってきます。

ユンサムに彼がどう寄り添い続けるのか。現実にはありえない展開ですが、それもまた良し。そう、これは女性のある種の願望を描いた物語なのかも(もちろん、生きて、約束も守ってもらって、一緒にごはんを食べることがいちばんの願いですが)。アクション・スターのイメージが強いラウが、ノー・アクションで静かに熱演する姿に浸ってしまいましょう。

「愛と死の間で」8月12日~、シャンテ シネ他、全国公開
オフィシャルサイト
http://www.ai-to-shi.com/
(c)2005 FOCUS FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

Movie0811_2そしてA・ラウと言えば、やっぱりこのシリーズを挙げたい。前2作ともご紹介し、最終章「インファナル・アフェアIII 終極無間」も……と思っていたのですが、ちょうど公開時にお休みをいただいておりましたので、DVDでご紹介です。

マフィアに潜入していた捜査官ヤン(トニー・レオン)の死後、警官として生きていくために、警察内に残る仲間の潜入マフィアたちを次々に始末したラウ(A・ラウ)。ようやく過去を抹殺した彼の前に、保安部の警官ヨン(レオン・ライ)が現れる。冷静沈着でエリートの彼の背後には、かつてラウのボスだったサム(エリック・ツァン)や、中国本土の大物密輸商人シェン(チェン・ダオミン)の影がちらついていた。ヨンをもう1人の潜入マフィアだと確信したラウは、密かに彼を追い始める。しかし、ヤンの死の真相が暴かれる時は、刻一刻と迫っていた――。

実は、A・ラウよりもT・レオン派のワタシ(笑)。でも、最終章はやっぱりラウ役を演じきったアンディでしょう。潜入マフィアだった過去をすべてリセットし、「善人になりたい」彼。すべてをなかったことにできる筈もないのに、それでももがき苦しむ彼がジワジワと追い詰められていく様子は、迫力満点です。

この「III」はヤンの死後の話が中心ですが、回想シーンで「I」の時間軸のエピソードも多数登場。元々、当初から「I」と「III」(ヤンとラウの少年時代が描かれる「II」は途中で企画)の構想があり、脚本も同時執筆されていたというだけあって、「I」で語られなかった「間」にはこんなエピソードもあったのか、という展開が楽しめます。すべてを通して1本のストーリーなので、前2作を復習(あるいは予習)していないと、ちょっと混乱してしまうかも。でも、その時間をかける価値は十分あります。

個人的には、「I」でつらく哀しいことばかりだったヤンに、実は楽しいことも安らぎもあったということがわかって、嬉しい限り(笑)。精神科医リー(ケリー・チャン)との心の交流の描き方が弱いなあ、なんてエラソーに思っていたのですが、「III」の回想シーンでは、そのあたりも丁寧に描きこまれています。

もうご存知でしょうが、ハリウッドでのリメイク作もこの10月に全米公開予定。名匠マーティン・スコセッシ監督に、レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーティン・シーン、マーク・ウォルバーグ等、そうそうたる面々が勢ぞろいですから、期待するなというのがムリなほどです。

「運命は人を変えるが、人は運命を変えることができない」。それをひっくり返そうとあがくラウは、どんな結末を迎えるのか。T・レオンが「I」で主演男優賞を受賞したのに続き(香港アカデミー賞)、A・ラウも本作で受賞(台湾アカデミー賞)。もちろん、賞がすべてではありませんが、彼の演じたラウは本作で完成した、と言えるのではないでしょうか。とんでもない悪人なのに、憎みきれないラウ。A・ラウの熱演を、堪能してください。

DVD「インファナル・アフェアIII 終極無間 <ONE DISC EDITION>」 
発売元:コムストック/販売元:ポニーキャニオン
2,625円(税込)で発売中(※10月末までの期間限定価格)
オフィシャルサイト
http://www.infernal.jp

 
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2006-08-11 【映画】 | 固定リンク

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