タイムリミットまで、あとわずか。知恵と体力と根性の限りを尽くして脱け出せ! 「ポセイドン」&「インサイド・マン」
今週のキーワードは、“脱け出す”。主人公は、想像を絶する巨大な高波に遭い、転覆した超豪華客船からの脱出を試みる船客と、行員と客50人を人質に銀行に立てこもって脱走をたくらむ強盗犯グループ。タイムリミットが迫る中、彼らは無事に目的を完遂することができるのか? 息詰るスリルを、たっぷり味わってください。
新年のカウントダウンを海上で迎えた豪華客船「ポセイドン」号。盛大なパーティの最中に、突然、巨大な高波に襲われ転覆、180度さかさまになってしまう。多くの死傷者の姿を目の当たりにしたギャンブラー、ディラン(ジョシュ・ルーカス)は危険を察知、脱出を決意する。船長の制止を振り切って、元ニューヨーク市長(カート・ラッセル)他数名が、彼と行動を共にする道を選ぶ。刻一刻と浸水と火災が激しさを増し、限界が迫る中、“天井”となった船底を目指すディランたち。果たして、脱出することができるのか?
あの大ヒット作「タイタニック」にも影響を与えたといわれる名作、「ポセイドン・アドベンチャー」の34年ぶりのリメイクです。ここ数年で信じられないほどの進歩を遂げた映像技術。それらが結集した、船の巨大さを示す冒頭のシーンに、度肝を抜かれます。CGと実際のセットを駆使して作り上げられた船は、その名の通り“海神(ポセイドン)”のような圧倒的存在感。“彼”も本作の主役の一人なのです。
巨大な船内の、単純に“上”を目指せばいい、と思ったらとんでもない。スタッフが使う通用口を知らない乗客にとっては迷路そのもの。そして、迷った時は最期なのです。あたりに転がる死体、ひっくり返った天地……。どこで火災が起き、どこまで浸水しているのか。一度選んだ道は、二度と後戻りできません。一瞬の判断が、生死を分けるのです。
そのスリリングな脱出行の中、浮かび上がるのが、彼らの人物像と関係性です。「タイタニック」は主人公2人の関係に絞っていましたが、本作は父子、母子、恋人に加え、その晩初めて会った人々が関わりあうことになるのです。そして、彼らが多くを語らなくとも、その人となりが伝わってくるのは、ベテラン監督ウォルフガング・ペーターゼン(「パーフェクト・ストーム」「トロイ」)の手腕。ドラマが奥行きを増します。
数分前までは、名前も知らなかった相手と命懸けの脱出を共にする不思議。そして、自分が助かるためには、時に容赦なく助けを求める手を振り払い、時にその手を固く握りしめる残酷さ。奇麗事では済まされない、究極の選択の瞬間が次々と彼らに襲いかかります。
気がつけば、浸水した狭い通路を泳ぐ彼らと一緒に、息を止めていた私。ハァハァ言いながら、気分はすっかり脱出メンバーの1人になっていました(笑)。息つく間もないとは、まさにこのこと。いったい何人が生き残れるのか。あなたも、体感してください。
「ポセイドン」6月3日~、丸の内ピカデリー1他、全国松竹・東急系にて公開
オフィシャルサイト http://www.poseidon-movie.jp
(c)2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
豪華客船から一転して、「インサイド・マン」の舞台は銀行です。マンハッタン信託銀行を襲った強盗一味。立てこもった彼らは、行員と客50名を人質に取り、逃走用のジャンボ機を要求する。だが、交渉役のニューヨーク市警刑事フレイジャー(デンゼル・ワシントン)は、妙に冷静なリーダーのラッセル(クライブ・オーウェン)に疑問を抱く。彼らの本当の狙いは別にあるのではないか? 一方、銀行会長ケイス(クリストファー・プラマー)は辣腕弁護士ホワイト(ジョディ・フォスター)を呼び寄せ、ある依頼をしていた。ラッセルたちの狙いは? そして、二重三重に取り囲まれた銀行から、どうやって脱け出すつもりなのか? 知力の限りを尽くす、攻防戦が始まった――。
これまで人種問題を中心にした、社会派作品を数多く送り出してきたスパイク・リー監督。その彼がサスペンス作品なんて、ちょっと意外な感じがするかも。そんな彼が選んだ脚本です。もちろん、一筋縄ではいきません。
書いたのは、これがデビューの新人と聞いてびっくり。その新人ラッセル・ジェウィルス自身も、初めて読み合わせに参加した時は、「デンゼル、クライブ、ジョディが私の書いたセリフを読んでいるなんて、とても現実だとは思えなかった」とか。早くも2作目(エドワード・ノートン主演)、3作目の製作が決定しているのも納得のおもしろさです。
ただの金目当てとは思えない強盗一味。それを証明するかのように、あまりに用意周到な完璧な計画。ラッセルたちは立てこもるや、人質全員に自分たちと同じジャンプスーツと覆面を身に着けさせたのです。人質同士すら顔がわからない状況。50人の目撃者がいるのに、誰が犯人で、誰が人質なのか、自信を持って断言できる者は、誰一人いないのです。
そして、夢の競演と言いたくなる俳優陣も、本作の大きな魅力の一つでしょう。リー監督とはこれが4度目のタッグとなるD・ワシントンに加え、J・フォスター、C・オーウェンと実力派がズラリ勢ぞろい。彼らが互いに競演を楽しんでいるかのような余裕が感じられるのが、また物語にぴったりマッチして、ワクワクしてきます。
おもしろい脚本を実力派キャスト&スタッフが織り上げる、シャレた味わいのクライム・サスペンスです。どんな結末を迎えるのか。最後には、きっとあなたもニヤリとしているはずです。
「インサイド・マン」6月10日~、日比谷みゆき座他、全国東宝洋画系にて公開
オフィシャルサイト http://insideman.jp
(c)2006 Universal Studios, All Rights Reserved.
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2006-06-02 【映画】 | 固定リンク
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