あなたはもう、たった1つの真実の愛を見つけましたか? 「カサノバ」&「プルートで朝食を」
“愛”と一口に言っても、いろいろな種類がありますが、今週はたった1つの真実の愛を探す物語。彼らは望んだものを手に入れることができるのでしょうか?
18世紀ヴェネツィア。街の話題は稀代のプレイボーイ、「カサノバ」で持ち切りだ。常に相手に無限の愛を注ぎ、未婚の乙女から人妻、修道女に娼婦とあらゆる女性を虜にしてきたカサノバ(ヒース・レジャー)。しかし、カソリック教会の糾弾が厳しくなってきたため、名家の女性と結婚して身を守ることにする。彼が選んだのは、ヴェネツィア一の美少女ヴィクトリア(ナタリー・ドーマー)。すぐに彼女を落として婚約成立させた直後、出会ったのがフランチェスカ(シエナ・ミラー)だった。男勝りで知的なフランチェスカの、「生涯たった1人だけを愛する」という言葉が、彼に火を点ける。彼女を振り向かせるため、あの手この手で恋の駆け引きを始めるが、彼女には裕福な婚約者(オリヴァー・プラット)がいた。
ドナルド・サザーランド、アラン・ドロンなどの名優も演じ、何度となく映像化されてきた実在のプレイボーイ、ジャコモ・カサノバ。彼が残した130名もの女性との“愛の日々”が綴られた『回想録』は、あまりに波瀾万丈でスキャンダラスだったため、その信憑性を問われてきました。でもこの数年、多くの研究者によって、ほとんどが事実だったと証明。本作は、“意外な真相”(もちろん、証拠はありません)を加えた、新しい物語です。
“18世紀”“プレイボーイ”“恋の駆け引き”―― 一見、古臭くて、重くて、ベタな話だと思うでしょう。ところが、物語は意外なほど軽やかで、明るく、コミカル。先日、あの話題作「ブロークバック・マウンテン」で注目を浴びたばかりのH・レジャーが、情事の最中に踏み込まれ、服を片手にあたふた逃亡するシーンには、思わず笑ってしまいます。
「すべて真実の愛」と断言するカサノバと、「生涯、ただ1人を愛する」と誓うフランチェスカ。今まで出会った数々の女性とまったく違う彼女に、カサノバは急速に魅かれていきます。その想いを、彼は遂げることができるのか。まるで水と油のような2人の関係は、どんな結末を迎えるのか。
「そんなの、簡単に想像できちゃう」というあなた。たぶん、あなたの思った通りでしょう。想像できる結末に加え、「生涯、ただ1人」「真実の愛」だなんて、口にするのも気恥ずかしい、ベタさ加減(笑)。「それで、おもしろいの?」そう思うかもしれません。でも、敢えてベタに言いきれば、ホントはあなたも、心のどこかで願っていませんか? 自分にとってたった1人の人が現れることを。
ラストは、拍手喝采したいほど、見事な大団円とちょっとだけ意外な展開。実際に4ヶ月かけてロケーション撮影されたヴェネツィアの風景もため息が出るほど美しく、幸せな気分になれること間違いナシです。ぜひ、劇場で。
「カサノバ」6月17日~、テアトル タイムズスクエア、シネセゾン渋谷他、全国順次公開
オフィシャルサイト http://movies.co.jp
(c)TOUCHSTONE PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
「プルートで朝食を」は1970年代のアイルランドとロンドンが舞台。北アイルランド近くの小さな町に生まれたパトリック(キリアン・マーフィー)は、生後間もなく教会の前に捨てられた。神父(リーアム・ニーソン)は、近所のブレイデン夫人に彼を託す。しかし、成長と共に化粧やアクセサリー、女性の服に興味を示すようになった彼に手を焼いた夫人は、捨て子であったことを明かしてしまう。パトリックは自分に“キトゥン”という名前を付け、女優ミッツィ・ゲイナーに似ていたという生母アイリー・バーギンを探すため、家を出て単身ロンドンへ向かうが――。
この「ヒロイン」、パトリック・“キトゥン”・ブレイデンの変貌ぶりがスゴイ。初めは、細身でも見るからに男性の女装姿で、ちょっとエグくて、違和感たっぷり。でも、次第にしっくりと、かわいらしく見えてくるのです。それは彼女の優しく温かで、何もかもをあるがままに受け止める心のせいかもしれません。
小さな田舎町では、彼女は奇異で、誰にも理解してもらえない存在。数少ない友人を除くと、まったく居場所のなかった彼女にとって、生母の存在は唯一の心の拠り所なのです。大都会ロンドンで、名前と女優に似ていたという話だけを手がかりに、人一人探し出すなんて、うまくいくはずがない。それでも、ロンドンへ行かないではいられない彼女の気持ちが、切ないのです。
行く先々で出会った人に、真摯に愛情を捧げるキトゥン。利用され、裏切られても、彼女は軽薄なほどに明るく受け止め、サラリと流し、また1人歩き始めます。彼女が求める真実の愛とは、彼女にとって居心地のいい、本当の居場所なのかもしれません。
キトゥンは母と再会できるのか。そして、真実の愛を見つけて、自分の居場所を手に入れられるのか。アイルランドの独立運動やテロによる悲劇を背負いながらも、決してあきらめず、自分が欲しいものをひたすら追い求めるキトゥン。そんな彼女の姿はちょっと滑稽にも見えるでしょう。でも、他人の目も、評価も、モノともしない彼女のしなやかさ、強靭さは見ていると応援したくなってくるのです。彼女の大いなる旅を、一緒に楽しんでください。
「プルートで朝食を」6月10日~、シネスイッチ銀座他、全国順次公開
オフィシャルサイト http://www.elephant-picture.jp/pluto
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2006-06-09 【映画】 | 固定リンク
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「カサノバ」★★☆
ヒース・レジャー、シエナ・ミラー主演
ラッセ・ハルストレム監督、アメリカ、2005年
扮装ものは苦手だ、
演じているということを大前提に
見ることになり、
そのことは始めから
映画の中には入り込めないことになるからだ。
ヴェネチアの...... [続きを読む]
トラックバック送信日 2006/06/27 19:34:36
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