笑って笑って、ドキドキしたら、次はじーん…と、盛りだくさん! 「寝ずの番」&「チェケラッチョ!!」
今週の主人公たちは、文字通り老若男女よりどりみどり。舞台は、かたや人生の最終章を終えた人を偲ぶ、“寝ずの番(お通夜)”。こなた、4人の高校3年生がめいっぱいセイシュンする沖縄。どちらも、笑って、泣いて、ドキドキして、また笑って、と楽しめること間違いなし。絶対に“チェケラッチョ!”です!
「寝ずの番」は、上方落語界の重鎮、笑満亭橋鶴(長門裕之)の臨終から始まる。妻・志津子(富司純子)と弟子(中井貴一、笹野高史、岸部一徳、木下ほうか、田中章)たちに囲まれた橋鶴は、最期の願いも叶い(?)、穏やかに息を引き取った。通夜では、弟子たちの妻(木村佳乃、土屋久美子、真由子)も交え、親しい者ばかりで生前の師匠にまつわるいい話、笑える話、ジーンとする話が次々に語られていく。しかし、そこは噺家一家、事態は次第にとんでもない方向に……。
とにかく、初めから笑わせてくれます。まず、師匠の最期の願い。それは、「そ○が見たい」。「“そ○”ってなあに?」と、無邪気に聞いたアナタ。スミマセン。ハッキリお答えするには、ちょっとためらいが…。そうなんです、いきなり下ネタなんです。だから、師匠に誰の“そ○”を見せるかで、早速一騒動が持ち上がるのです。
下ネタ、と聞いただけで眉をしかめたアナタ。まあ、待って。私もそっち系の話は苦手ですが、これが不思議に下品じゃない。次から次へ、溢れだすように下ネタ話が出てきますが、どれもこれも、明るくて、楽しくて、生命力に溢れていて。語る人たちの度量の大きさなのか、これぞ大人の「粋」なのか。笑いながら楽しく見られちゃうのです。
演じるキャストたちが素晴しい。中井貴一のあまりの声の良さにビックリし、気風のいい木村佳乃に気持ちは晴れ晴れ。そしてとっても可愛い富司純子には、「いったい、何歳!?」と確認したくなります。監督はマキノ雅彦こと、日本映画史に残る名監督の叔父、マキノ雅弘の名を継いだ俳優、津川雅彦。彼の監督デビューを応援し、幅広い交遊録を証明せんとばかりに、堺正章、高岡早紀に加え、桂三枝、笑福亭鶴瓶、浅丘ルリ子、米倉涼子、中村勘三郎と錚々たる顔ぶれの登場も、楽しいのです(ちなみにタイトル字は緒形拳)。
久しぶりに映画館で見たのですが、予想通り年齢層はかなり高め。意外だったのはオバサマばかりでなく、もうすぐ“寝ずの番”をされちゃいそうな年齢(失礼!)の男性も多いことでした。笑いの中に感じられる、生きるということ、死ぬということをより深く味わえるのは、酸いも甘いも噛み分けたオトナならでは、だからでしょうか。でも、見逃してはもったいないくらいおもしろい。アタマの固くない、大らかなお相手とぜひ、劇場へ!
「寝ずの番」、シネスイッチ銀座他にて公開中
オフィシャルサイト http://nezunoban.com
うって変わって、「チェケラッチョ!!」は青春モノ。透(市原隼人)、哲雄(平岡祐太)、暁(柄本佑)、そして唯(井上真央)はごくフツーの沖縄の高校3年生。卒業を間近に控え、進学、就職とそれぞれの道は何となく決まりつつも、退屈な毎日を送っている。ところが、透は偶然知り合った年上の美女、渚(伊藤歩)に一目惚れ。地元で大人気のヒップホップバンド、ワーカホリックのライブで再会するや、ラップ音楽の楽しさと、女の子にモテたいという不純な動機から、哲雄と暁の3人でバンドを組むことに。バンド名は、沖縄の市外局番「098」。唯の心配をよそに、ワーカホリックの前座を務めることになるが……。
バックに流れるのはオレンジレンジの名曲の数々――とくれば、もうそのノリはしっかり伝わってくるでしょう。沖縄の真っ青な海と空にふさわしく、とにかく楽しくテンポがいい物語なのです。
透たち4人の関係が、うらやましいほどイイ感じ。透の片想いを軸に、それぞれの気持ちが重なりあい、ぶつかりあい展開します。でも不思議に、見ていても青春物にありがちな気恥ずかしさはなく、とても素直に受け止められて、なんだか嬉しくなってきます。
透にカツを入れながらも一番の理解者で、みんなからは「男前!」とからかわれるほど潔い唯は、お察しの通り、一途に透を想っています。そして、そんな彼女を静かに見つめている哲雄。この哲雄が、またイイんです。彼の笑顔がスクリーンに広がると、胸がキュンキュン、気持ちは20年前(笑)。もちろん、天然的ニブさと純情一直線な透もカワイイんですが、このちょっと冷静な哲雄がどんなふうに思い、考え、結論を出したのか。私の中では、もう一つの物語が出来上がってしまったほどです(笑)。
実際の撮影でも、この4人はかなり仲が良かったとか。そのムードはしっかり映画に反映され、楽しさがスクリーンから溢れかえります。その青春小僧たちを支える陣内孝則、平田満、柳沢慎吾、松重豊、樹木希林、大島さと子、KONISHIKI、ゴリ&川田(ガレッジセール)等々のベテラン&実力派&個性派の面々も奮闘して、楽しさは倍増です。
音楽や踊り、エキストラのおじいやおばあたちの存在が、沖縄独特の香りをさらに盛り込んで、気分はすっかり沖縄。歌って、踊って、しゃべって、精一杯生きなくっちゃ。そしたら、何も思い残すことなく、“寝ずの番”をしてもらう日を迎えられるに違いない。そんなふうに思ったのでした。
「チェケラッチョ!!」 4月22日~、全国東宝洋画系にて公開
オフィシャルサイト http://www.ch-098.com
(c)2006 フジテレビジョン/東宝/S・D・P
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2006-04-18 | 固定リンク
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