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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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どんな困難にも負けない、しなやかで美しい女たち 「戦場のアリア」&「美しき運命の傷痕」

Movie0411_1 美しく、華奢で、今にも折れてしまいそう――もちろん、イマドキそんな表現にピタリと当てはまる女性は少ないですが(笑)、男性と比べて、女性はとかく周囲に翻弄されやすいような気がしませんか。今週は、どんな困難にあっても、つらいことがあっても、再び立ち上がり歩き出す、強くしなやかな女性たちの物語。彼女たちの姿は、きっとあなたに勇気をくれるはずです。

「戦場のアリア」の舞台は1914年、第一次世界大戦勃発後に初めてのクリスマス・イブを迎えつつも、フランス・スコットランド連合軍とドイツ軍がにらみ合う“ノーマンズ・ランド”(敵対する両陣営の中間にある無人地帯)。一時帰宅を心の支えにしていた兵士や家族たちの願いは、戦況の泥沼化に打ち砕かれる。しかし、ソプラノ歌手アナ(ダイアン・クルーガー)は、ただ待つだけではなかった。職業を利用し、あちこち働きかけた結果、ドイツ軍兵士として招集された、テノール歌手の夫シュプリンク(ベンノ・フュルマン)がいるフランス前線への慰問許可を得たのだ。ようやく再会した夫との共演は、戦場に思いも寄らぬ奇跡をもたらした――。

イブの晩、わずか数メートル離れたスコットランド軍から聞こえてきたバグパイプの音色とコーラスの響きは、シュプリンクの歌声を誘い出します。そして、これをきっかけに、なんと「クリスマス一時休戦」が実現するのです。

そんなお伽話は映画の中だけ――と思うでしょう。ところが、これは実話がベース。司令部の許可を取らず、各軍の現場指揮官の判断によるものだったため、公的資料は一切存在しない、驚くべき事実なのです。実際に体験した各軍の兵士が、家族へ宛てた手紙数千通の中に記されていました。そういった資料を丹念に集め、映画化したのが本作です。

言葉が通じなくとも、音楽という世界共通の言葉は、彼らが同じ人間だということを気づかせてくれました。遥か彼方の遠い国から、宇宙衛星を使ってボタン一つで攻撃しあう、まるでゲームのような現代の戦争では、決して起こりえない奇跡。100年近くを経た今、私たちは本当に進歩し、少しは賢くなったのでしょうか? 心のゆとりすら感じられる、一時休戦の決断をした若き指揮官たちの勇気(後で事実が知れて、それぞれ厳重な処罰を受けることになるのですが)を見ていると、そんな疑問すらわいてきます。

キーとなるアナの存在はフィクションですが、実際に彼女同様、心から無事を祈り、命の危険を冒してでも、恋人や夫、息子と共にあることを願った女性たちがどれほどいたことか。「感動的」とただ涙するだけではなく、様々なことを考えさせてくれる映画です。

「戦場のアリア」4月29日~、シネスイッチ銀座、恵比寿ガーデン・シネマ他、全国公開
オフィシャルサイトhttp://www.herald.co.jp/official/aria

Movie0411_2
「美しき運命の傷痕」は、パリに住む3姉妹とその母が主人公です。2人の子供を抱えながら夫の浮気を知った長女ソフィ(エマニュエル・ベアール)。施設で暮す体の不自由な母(キャロル・ブーケ)の元に通いながら、孤独な日々を送る次女セリーヌ(カリン・ヴィアール)。妻子ある大学教授と不倫関係にある三女アンヌ(マリー・ジラン)。嫉妬に苦しむソフィは夫と愛人をホテルまで尾行し、アンヌは教授に突然の別れを告げられる。一方、セリーヌの前には1人の男性が現れたが――。

とっても泥沼状態の姉妹。ギリギリまで追い詰められた彼女たちが、どんな結末を選ぶのか。それも気になるところですが、さらに気になるのが、断片的な映像で現れる、子供時代の記憶。22年前の、彼女たちの父の死についてです。

見ている私たちにはなかなか明かされない、父の死の真相。謎をはらんだ過去が、物語をただのメロドラマにせず、ミステリアスに見せます。そして、夫の浮気に過剰な反応を示すソフィが、男性に対して異常なほど慎重なセリーヌが、父親ほどの年齢の教授を愛したアンヌが、消えることのない傷を抱えて成長してきたこともわかって、ちょっと切ないのです。

演じる女優陣が圧巻。E・ベアールを中心に、登場する男優の影が薄く感じるほど、エキセントリックで強烈です。物語は姉妹を中心に展開していくのですが、ラストシーンでそれを一気にひっくり返したのが、母親役C・ブーケでした。

あの「007」シリーズでボンド・ガールを演じたこともある華やかな女優さんですが、今回は車椅子姿で、話すこともできない白髪頭の老け役。でも、その“眼力”たるや、「!!!!!」。実は、父の死にはもう一つ、家族の誰も知らない真相が隠されていました。それを知った母が、「それでも私は何も後悔していない」と、書いた時(声が出ないので筆談)の表情といったら……。脳裏に焼きついて離れません。

ああ、この母の娘たちならば、大丈夫。何があっても、どんなに傷ついても、生き抜いていける。ああ、オンナって強い(笑)。そんな1本でした。

「美しき運命の傷痕」 Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ他で公開中。全国順次公開。
オフィシャルサイトhttp://www.utsukushiki.jp

 
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2006-04-11 【映画】 | 固定リンク

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