だって、好きなんです! 佐藤浩市2本立て 「陽気なギャングが地球を回す」&「雪に願うこと」
今週は、個人的趣味に走ります(笑)。だって、佐藤浩市サマ出演作が続けて公開になるんです。全然毛色の違う作品で、全然タイプの違う人物を生き生きとスクリーンに息づかせる彼に、あなたもハマること、間違いなし?!
「陽気なギャングが地球を回す」は、ひたすらエンタメに徹した作品。銀行で強盗に遭遇した4人が、互いの超個性的な特技に気づき、銀行強盗チームを結成した。求めるのは、お金よりもロマン。"仕事"は順調、今回も見事に成功させるが、逃走途中、待ち伏せていた4人組に戦利品を強奪されてしまう。情報が漏れていた? 裏切り者がいる? 横取りされた現金を奪還するため、彼らは奇抜な計画を実行するが……。
この4人の特技が、おもしろい。人の嘘が100%見抜ける、人間嘘発見器の成瀬(大沢たかお)。常に正確な体内時計で物事を計測し、脅威のドライビング・テクニックを誇る雪子(鈴木京香)。スリの腕前は超一流、動物をこよなく愛する大学生、久遠(松田翔太)。そして、「夢の中でもしゃべってる」(笑)という、人を煙に巻く演説の天才、響野(佐藤浩市)。実際の"仕事"に彼らの特技をどう役立てるかは、見てのお楽しみです。
響野の口グセは、「ロマンはどこだ!」。本職は喫茶店経営ですが、その店名も「ロマン」。金髪をツンツン立たせ、口説き落とした若妻(加藤ローサ)とラブラブな日々を送りながら、進展しない成瀬と雪子の仲を取り持とうと余計なことをしては、久遠に冷たーく突っ込まれる。でも、メゲずに「俺のポリシーは、大人げなく生きることなんだ!」と言い切るカワイイ彼。ともかくしゃべりまくりで、「無口でシブい俳優」というイメージは、大転換。ひっくり返り過ぎて、1回転半しちゃったような勢いです。
私が彼にハマッたのは、かれこれ十数年前。映画「トカレフ」を見て、でした。恋した人妻を我が手にするため、彼女の1人息子を誘拐し殺害するという、とんでもない男。もちろん以前から知っていましたが、特にどうということもありませんでした。それが、ほとんどセリフの無い、極悪非道で同情の余地ナシの不気味な男に、なぜかヤラレてしまったのです。ちょっと斜め下から見上げる目つきが、強烈に印象に残っています。
映画にテレビに出演作が多数ある中でも、本作はかなり異色。こんなにしゃべりまくって、お節介で、陽性のオトコは初めてじゃないでしょうか? 金髪にド派手なシャツや真っ赤なロングコート、いかにもギャングなピンストライプのスーツ等々、銀行強盗用衣装も意外なほど似合って、目に鮮やかです。
Skoop On Somebodyの主題歌のようにテンポ良く展開するノリの良いストーリーに、脇を固める一癖も二癖もある共演陣(大倉孝二、大杉漣、篠井英介、松尾スズキ、古田新太)。佐藤浩市好きじゃなくても、まったく問題ナシの超豪華エンタテインメントです。まずは、見て!
「陽気なギャングが地球を回す」5月13日~、池袋シネマサンシャイン、渋谷アミューズCQN他、全国公開
オフィシャルサイトhttp://yo-gang.com
(c)2006 「陽気なギャングが地球を回す」製作委員会
“ギャング”とは対極の佐藤浩市を楽しむ(笑)「雪に願うこと」は、北海道のばんえい競馬が舞台。ばんえい競馬とは、いわゆるサラブレッドではない農耕馬が人を乗せたソリを引くレースで、農民の祭りをルーツとする、世界でも唯一のレースです。元騎手で、今は調教師として厩舎を経営する年の離れた兄、威夫(佐藤浩市)と母(草笛光子)を捨てて東京に行き、IT産業で成功を収めた学(伊勢谷友介)。ある事情から、13年ぶりに故郷に帰ってきた学は、ひょんなことから厩舎を手伝うことに。ギクシャクした関係の兄や厩務員たちと馬の世話をするうち、彼は自分自身を見つめ直していく――。
スマートで頭が良く、一見洗練された学に対し、生意気な弟を本気で蹴り倒すほど、すぐに手が出る短気で無骨な威夫。対照的な兄弟が馬を挟んで、少しずつ互いを認めていくストーリーは、目新しいものではないでしょう。でも、ちょっとした1シーン、例えば、威夫が学に語りかける「馬を見てっと、気持ちやわくなってこねえか?」という一言など、弟への愛情と自分への自信が胸に沁みます。
学や、騎手として伸び悩む牧絵(吹石一恵)など、甘ったれた人間に対しては容赦なく鉄拳を振るう威夫が、必死に生きる晴子(小泉今日子)に対しては限りなく優しくて、羨望のため息。言葉より態度で示す威夫に、やっぱり、男はこうでなくちゃと再確認です(笑)。
移動しながら開催される実際のレースを追いかけて撮影しただけあって、ドキュメンタリーのようなシーンも、物語の骨組みをたくましくします。中でも、厳寒の朝靄の中、調教する馬から湯気が立ち昇るシーンは息を呑むほどに美しく、迫力満点。速さより力強さを競うばんえい競馬が、兄弟の人生にも重なっていくようです。
これほど対照的な人物を、過剰でなく、きちんと息づかせる佐藤浩市という人は、年々どんどん輝いていくよう。彼が出演するだけで、物語が幾重にも厚みを増していくみたい。そう言えば、某大河ドラマも、彼の役が死ぬ回まではちゃんと見てた私。きっと、これからもカッコよく年を重ねてくれるんだろうなあ。ああ、楽しみ(笑)。
さて、突然ですが、リニューアルのため、しばらくの間お休みをいただきます。また、戻ってまいりますので、懲りずにお付き合いくださいませ。どうぞよろしくお願いいたします。
「雪に願うこと」5月20日~、テアトル タイムズスクエア、銀座テアトルシネマ他、全国公開
オフィシャルサイトhttp://www.yukinega.com
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