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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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運命は変えられるのか?「ヒストリー・オブ・バイオレンス」&「エミリー・ローズ」

Movie0314_1「運命」は、あらかじめ決まっているものなのでしょうか? それとも、その人次第で変えることができるのでしょうか? 今週は、とんでもない「運命」を背負った人のお話です。

トム・ストール(ヴィゴ・モーテンセン)は、アメリカの小さな田舎町でダイナーを経営するごく普通の男。弁護士の妻エディ(マリア・ベロ)と2人の子供に囲まれ、平凡で幸せな日々を送っていた。しかしある晩、強盗が店を襲う。銃を突きつけられたトムは、隙を突いて犯人たちを射殺。従業員と客を守った男として、一躍ヒーローになり注目を浴びることに。数日後、店に現れた片目の男(エド・ハリス)が、トムに「ジョーイ」と呼びかける。彼は人違いだと否定するが、男の態度にエディは不安を抱く――。

20年間一緒に暮してきた夫の過去が、全部ウソだったら――しかも、何人もの殺人を犯してきたという、想像を絶するような過去だったとしたら。穏やかで幸せだった20年までもが、一瞬にして崩れ去ってしまいそうなエディの不安は、決して他人事とは言い切れません。だって相手の過去すべてを知ることなんて、不可能なのですから。

小さな不安を抱えながらも夫を信じていたエディですが、少しずつ、まるで薄皮がはがれていくように、彼の過去が浮び上がります。身のこなし一つとっても、それまでとは別人に見えてくる夫。本当は、どんな男だったのか。優しい眼差しまでもが、まるで底なし沼を覗き込んでいるように思わせるV・モーテンセンが、スゴイ。『ロード・オブ・ザ・リング』の正義の人アラゴルンとは思えない、妙な虚無感まで漂ってきます。

でも、実はもっと怖い「運命」は、タイトルにありました。直訳すれば、「暴力の歴史」。それは、トムの過去だけではないのです。その「歴史」は未来=息子へと受け継がれていくのかもしれない。そう匂わせるシーンに、慄然。息子として生まれた彼の「運命」もまた、変えられないのでしょうか。そして、過去が明らかになったトムを家族は受け入れることができるのか。見る者に委ねられたラスト・シーン、あなたはどう見るのでしょうか。

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」東劇他、全国公開中
オフィシャルサイト
http://www.HOV.jp

Movie0314_2やり手弁護士エリン(ローラ・リニー)が昇進のために引き受けた仕事は、ムーア神父(トム・ウィルキンソン)の弁護。「悪魔祓い」をするために精神疾患の少女の治療を止めさせ、死に至らしめたという罪を問われている、注目の事件だ。無信仰のエリンだったが、弁護をするうちに強い信念を持った神父を尊敬するようになっていく。しかし、裁判はどんどん不利に。「悪魔祓い」の真相とは。

「法律」で「悪魔の存在(=超常現象)」に関することを裁こうなんてムチャな、と思うかもしれませんが、これは1970年代にドイツで起きた実話だそう。つまり、悪魔の存在が公式に認められた初めての裁判なのです。

と言っても、オカルト・タッチなシーンは少なくて、メインの舞台は法廷。この法廷でのやり取りがとってもスリリングなのです。生活の基盤にキリスト教がある欧米と違い、日本人の私たちにはわかりにくいこともあるのでは、と思っていたのですが、心配ご無用。とても丁寧に作られていて、陪審員の1人であるかのように、じっくり理解することができます。

なぜ、少女は「悪魔憑き」になったのか。その過酷な運命を背負った少女を救うことができなかった神父が語る、真実とは。その神父を信じて、周囲の思惑をよそに孤軍奮闘するエリンが、カッコいいのです。

ところで、回想シーンで描かれる「悪魔祓い」が、あの『エクソシスト』にそっくりでビックリ。オカルトやホラー好きなあなたはもちろん、苦手なあなたも(私も)、きっと大丈夫です。真摯な語り口で、ラストは感動。かつてない異色の作品を、ぜひご覧ください。

「エミリー・ローズ」 日比谷スカラ座他、全国東宝洋画系にて公開中
オフィシャルサイト
http://www.SonyPictures.jp


<アカデミー賞後記>
全米アカデミー賞授賞式も終了。私の予想は7部門中4部門が当たりでした。予想しておいて何ですが、『クラッシュ』の作品賞受賞にはビックリ。監督賞と作品賞が別々ということは、『ブロークバック・マウンテン』とかなり競っていたのでしょう。主演女優賞受賞のリース・ウィザースプーンは日本では知名度が今ひとつですが、先日、次回作のギャラが2900万ドル(推定)となり、ついに長年トップに君臨していたジュリア・ロバーツ(推定2400万ドル)を抜き、名実共にハリウッドNo.1女優に。アカデミー女優となった今後は、さらにギャラがあがること間違いナシです。ノミネート作品の規模や俳優の知名度から、巷で「地味」と囁かれていた今年のアカデミー賞。いわゆる“社会派”と呼ばれる作品が揃ったのは、アメリカの現状を映し出しているからとも言われています。賞がすべてじゃありませんが、どれを見るかの検討材料のひとつにどうぞ。

 
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2006-03-14 【映画】 | 固定リンク

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