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[映画]-2時間1800円の至福- 映画を観よう、幸せになろう

加藤アカネ
“独身の新人ライター”としてスタートしてから5年以上が過ぎ、今ではなんと2人の子供がいる身の上。いまだにそんな自分が時々不思議に思えるほどの自覚のなさですが、元映画宣伝マンの経験を生かして、ジャンルを問わず、いろんな映画を楽しく、わかりやすくご紹介していきたいと思います。よろしくお願いします。

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運命の分かれ道は、さりげなくやって来る――「クラッシュ」&「ミュンヘン」

Movie0131_1もし、あの時、こちらを選ばなかったら。今頃どうしていただろう?――一度はそう考えたこと、ありますよね。小さなものも大きなものも、分かれ道は不意にやって来ます。人生が一変するほど大きな分かれ道も、そうとは気づかないくらい、さりげなく現れるのかもしれません。今週は、運命を変えた分かれ道に立った人たちの物語。どちらもハードな内容ですが、見応え十分。誰かと語り合いたくなること必至です。

「クラッシュ」は、クリスマス間近のロサンゼルスが舞台。深夜のハイウェイで、交通事故に巻き込まれたロス市警の黒人刑事グラハム(ドン・チードル)と同僚で恋人のリア(ジェニファー・エスポジト)。その近くで、若い黒人男性の死体が発見される――。

これはストーリーのほんの冒頭。実は、“主人公”は20数名いるのです。野心に燃える地方検事(ブレンダン・フレイザー)とヒステリックな妻(サンドラ・ブロック)。人種差別主義者の警官(マット・ディロン)と彼に眉をひそめる相棒(ライアン・フィリップ)。成功した黒人TVディレクター(テレンス・ハワード)と理知的な妻(サンディ・ニュートン)。護身用の拳銃を買いに行きイラク人と間違われたペルシャ人店主(ショーン・トーブ)と娘(バハー・スーメク)。愛する妻と幼い娘を守るため、必死に働く黒人の鍵屋(マイケル・ペニャ)。差別に我慢できない若い黒人2人組(クリス・“リュダクリス”・ブリッジス&ラレンツ・テイト)――。一見、何の関係もない彼ら。ところが、予期せぬ出来事に襲われ、選んだ道は彼らを繋いでいき、一つの円のような関係を織り成すのです。

いちいち文章に“黒人”“ペルシャ人”と入れたのは、この作品で“差別”が大きなテーマのひとつになっているから。「アメリカって、人種問題がタイヘンだよね。」そう思いますか? でも、それは他人事でしょうか? 心のどこにも、ひとかけらの偏見も差別もないですか? 実は、眉をひそめ、異議を唱える人々も、無意識のうちに差別意識を持っているのかもしれない。そんな心の闇と痛い現実がぐいぐいと突きつけられます。

重く哀しいドラマです。でも、手を握りしめて見入ってしまったのは、ただそれだけじゃないから。次から次へと変化する展開はスリルに溢れ、エンタテインメント性も十分。そして、その先に、小さいながらも救いや希望が見える。まだまだ、人間あきらめちゃいけない。言葉にすれば、そんな気分。心に残る1本です。見逃さないで。

「クラッシュ」2月11日~、シャンテ シネ他、全国で公開
オフィシャルサイト
http://www.crash-movie.jp

Movie0131_2各映画賞で話題の「ミュンヘン」は、スティーブン・スピルバーグ監督が「シンドラーのリスト」に続いて挑む、実話を元にした“戦争”の物語です。

1972年9月。ミュンヘン・オリンピック開催中、パレスチナ・ゲリラが選手村を襲い、イスラエル選手団11名が殺された。イスラエル情報機関“モサド”は報復を決定。暗殺チームのリーダーに任命されたのは、人を殺したことなど一度もないアヴナー(エリック・バナ)だった。妊娠7ヶ月の妻を残し、4人のスペシャリストと共にヨーロッパに渡ったアヴナーは任務を着々と遂行していく。しかし、それは終りなき“報復”の始まりだった……。

自国の選手たちを殺された怒りから、何の疑問も抱かず任務をこなす5人。でも、パレスチナが“報復”に“報復”で応じ、自分たちが狙われ出すと、歯車がきしみ始めます。自分たちは正しいのか? 任務は終る時が来るのか? 家族の元に帰れるのか……?

“報復”には“報復”があるだけ。誰もがわかっていることです。それでも止められないのは、何故なのか。複雑な長い歴史があることは百も承知ですが、今尚続く紛争を思うと、「人間って愚かだ……」と呟きたくなります。

仲間が次々と殺され、今度は自分かもしれないという考えに取り憑かれるアヴナー。危険は、自分ばかりか家族にまで及ぶかもしれない。もし、あの時、任務を断っていれば。でも、もう過去には戻れないのです。

公開にあたり、イスラエル側からもパレスチナ側からも抗議の声が上がったという本作。見れば、“報復”の連鎖がいかに虚しいものなのかは、十分に伝わって来ると思います。問題は根深いのだと、暗澹たる気持ちに襲われるかもしれません。でも、30数年を経て、この映画が作られたという事実こそが、未来への道しるべなのかもしれません。

「ミュンヘン」 2月4日~、丸の内プラゼール他、全国ロードショー
オフィシャルサイト
http://www.munich.jp
TM & (c)2005 DREAMWORKS LLC./Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 
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2006-01-31 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

いつの時代も、恋は突然で切ない――「プライドと偏見」&「好きだ、」

Movie0124_1 「ああいうタイプ、ムカつく」「なんか苦手」と思う相手ほど、実は気になる――そんな経験、ありませんか? 恋はいつも突然で、切ないもの。そして、時代を超えて共感できるもの。今週は、初恋の物語です。

「プライドと偏見」は18世紀末の英国が舞台。5人姉妹と両親が暮すベネット家の隣りに、大富豪ビングリー(サイモン・ウッズ)が越してきた。長女ジェーン(ロザムンド・パイク)は彼に惹かれるが、なかなか気持ちを表せない。一方、次女エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、ビングリーの親友ダーシー(マシュー・マクファディン)のプライドの高さと態度に強い反感を抱く。でも、なぜか気になって……。

おカタいタイトルで見る気を失くしたという人、いませんか? そのイメージを大きく覆し、思わず笑っちゃうほど明るく楽しく、そしてもちろん、初恋の切なさやドキドキ感もたっぷりの映画です。

「女3人寄れば、かしましい」なんて失礼な言葉(でも、事実?)もあるように、5人姉妹だけでもにぎやかなベネット家は、母親もキョーレツ。なにせ、女性には相続権がないという、驚きの時代。もし、父親が死亡すれば財産は遠縁の男性が相続し、姉妹は無一文で放り出されるのです。母が必死に資産家の若い男性に娘たちを売り込むのも、「結婚」が女性の人生すべてを決めてしまう当時では、仕方のないことかもしれません。

それでも、やっぱり愛のある結婚をしたい。読書好きで聡明なエリザベスは、自分の理想を追い求め、それをはっきりと口に出す勝気な女性。彼女には、上流階級に属し、自分たちを見下す態度をとり、さらには姉の恋路を邪魔するダーシーは許せない男なのです。

でも、そう考える頭と感情が別物なのが、人間の厄介でおもしろいところ。惹かれているのに気づかないまま、反発を重ねる彼女はかわいいけれど、ちょっとヤキモキ。そして、クソ真面目なダーシーの不器用な態度に、地団太踏みたくなります。

サラリと描写された当時の階級社会を背景に、人々の恋の行方を追うのは、ワクワクドキドキ。衣装や建物、風景も美しく、上質な映画は見る者を幸せな気持ちにしてくれるのだなと再認識。恋する切なさは、いつの時代も同じ。そんな当たり前のことも、嬉しくなる映画です。

「プライドと偏見」有楽座他、全国で公開中
オフィシャルサイトhttp://www.pride-h.jp
(c)2005 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

Movie0124_2 かわって約200年後の現代・日本を舞台にした「好きだ、」。17歳のユウ(宮崎あおい)とヨースケ(瑛太)は同級生。彼がユウの姉に憧れていることを、ユウは知っている。ヨースケが姉を誘って、学校帰りに川辺で会ったことも。でもある日、姉は事故に遭う。時が過ぎ、34歳のヨースケ(西島秀俊)は、ユウ(永作博美)と17年ぶりに再会する――。

これだけじゃ、なんだかわからないストーリーですよね。17歳の2人の関係も、何だか曖昧。「好き」と言ったことはなく、もちろん付き合っていたわけでもなく、「姉」の存在を挟んで、机を並べていただけ。一度だけ、ユウからキスをしたことはあったのだけど、それもハッキリ意思表示したわけじゃない。ユウ自身、なぜそんなことをしたのか、ヨースケも、その時なぜ逃げてしまったのか、曖昧なまま卒業し、遠ざかったのです。

全編を通じて流れるのは、不思議な「間」。台本の読み合せはせず、毎日、各キャストにキーワードを渡し、カメラは1~2時間回しっぱなしという、変わった撮影方法をとったそうです。だから、沈黙が続いたり、会話が途切れたりして、不思議な「間」が生まれる。でも、実はそれってすごくリアルなのかも。現実には台本がないのですから。

その不思議な「間」から、彼らの気持ちが伝わってくるような気がします。具体的な言葉も、大げさな感情表現もないのに。

17年の時を重ね、大人になった2人は、相変わらず器用じゃない。それでも、少しずつ少しずつ近づいていく姿に、なぜだか自分の初恋を思い出してしまいました。しみじみと味わってください。

「好きだ、」 2月下旬、渋谷アミューズCQNにて公開
オフィシャルサイトhttp://www.su-ki-da.jp

 
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2006-01-24 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

“天使”に心癒される「オリバー・ツイスト」&「天使」

Movie0117_1お正月も終わり、あっという間に戻ってきた日常。忙しさに追われる毎日だからこそ、癒されたくなりませんか。今週は、“天使”の物語。と言っても、“天使”のような少年と、ホントの“天使”が主人公ですが。

「オリバー・ツイスト」は、19世紀の英国が舞台。孤児オリバー(バーニー・クラーク)は奉公先の苛めに耐えかね、10歳で単身ロンドンへ向う。行き倒れた彼を救ったフェイギン(ベン・キングスレー)は、親のない子供たちをスリとして育て、その稼ぎで生活していた。何も知らないオリバーは、失敗した仲間の代りに警察に捕えられ……。

過去、何度となく映画化や舞台化された有名な物語は、かなりの長編。私も中学時代、文庫本のあまりの厚みにビックリして手に取った記憶があるくらいです。それを2時間にまとめているので、オリバーは次から次へ、目まぐるしく事件に見舞われます。

演じるB・クラークは、オーディションで選ばれた11歳(現在12歳)。天使のように純粋無垢な瞳をした彼が、周囲の思惑で小さな木の葉のように振り回される様子は痛々しい。でも、それにもめげず、流されることなく、正しいと信じることに従う姿は凛々しく、清々しいのです。

監督はロマン・ポランスキー。彼がこういった少年少女向け物語を題材に選んだのはちょっと意外でしたが、理由は、自分の子供たちに見せたかったから。そう言えば、「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出演した時のジョニー・デップもそんなことを言ってたっけ。親心って、古今東西、なんだかカワイイものなのかも。

雑然とした街は、すべてチェコにある欧州最大の撮影所に作られたセット。とてもそうは見えないリアリティと、悪人どものおどろおどろしく迫力タップリの描写は、さすがポランスキー、ちょっとヒネた大人の鑑賞にも十分堪えるのです。

マジメに一生懸命やっていれば、いい事もある――なんて解釈はゲンキンですが、勧善懲悪モノの結末はやっぱり気持ちいいもの。安心して、天使のように清らかでけなげなオリバーの行く末を応援できます。

「オリバー・ツイスト」1月28日~、日比谷スカラ座他、全国で公開
オフィシャルサイト
http://www.olivertwist.jp
(c)2005 Oliver Twist Productions LLP.

*バーニー・クラーク記者会見リポートはこちら!

Movie0117_2「天使」はごくごくフツーの人々が主人公。彼女が欲しいけど、積極的になれないコンビニ店員(内田朝陽)。イジメにあい学校をサボる女子中学生(小出早織)。幼い娘(森迫永依)を抱え、奮闘するシングルファーザー(永瀬正敏)。その恋人(永作博美)は再婚話にちょっと引き気味――。ある日、空からやって来た天使(深田恭子)は、そんな彼らにそっと寄り添い、ちょっと背中を押してくれた……。

何か事件が起きるわけでもなく、ドラマチックな転機が訪れるわけでもない。忙しい日常を精一杯生きている、そんな日々。うまくいかない時もある。思い通りにならないこともある。そんな彼らの近くにそっと来て、何を言うでもなく、奇跡を起こすでもなく、ただそばにいる天使。この天使が、ちょっと変わってるんです。

大好物は、ジンライム。誰かの飲みかけをぐいぐい飲んで、空になればグラスを振って催促。その姿が見える人と見えない人がいるから、ちょっとおかしい。

天使役・深キョンが、カワイイ。ちょっと天然のキャラがぴったりで、首をかしげて相手を見る様子は、子猫のよう。よくよく見ると、この天使は何をするでもなく(一言のセリフもない)、ただジンライムを飲んでるだけだけど(笑)、彼女のことが見える人は心が和むし、見えない人は不思議現象にオロオロするし。そう、天使はその存在だけで人を癒しているのかもしれません。

深キョン天使のほんわかムードに、ホッと一息つき、「明日から、またがんばろ」という気分になれる。あなたも休み明けで疲れが一層重く感じられる時期、天使に癒されてみませんか?

「天使」1月21日~、渋谷アミューズCQN、シネ・リーブル池袋他、全国で公開
オフィシャルサイト
http://www.tenshi.bz

*s-woman.net深田恭子さんインタビューはこちら!

 
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2006-01-17 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

母は強し!アカデミー女優が挑む、闘う母の勝負の行方は?「フライトプラン」&「スタンドアップ」

Movie0110_1 「女は弱し。されど母は強し。」と言いますが、今週は、闘う母が主人公。しかも、共にアカデミー女優の熱演ですから、一見の価値アリです。

「フライトプラン」で母が闘う相手は、娘を誘拐した犯人。夫を亡くし、一人娘ジュリア(マーリーン・ローストン)を連れ、ドイツからアメリカへ帰ることにしたカイル(ジョディ・フォスター)は、自ら設計した最新鋭の航空機に乗る。葬儀などの疲れから眠ってしまった彼女が目を覚ますと、娘の姿はどこにもなかった。必死に探しても、娘のいた痕跡すらない。高度1万メートルの航空機の中で、いったいどこに消えたのか――?

飛行中の航空機は一種の巨大な密室。なのに、娘の姿はおろか、1人の目撃者もいない。乗客名簿には名前もない。ホントに娘はいたの? と、見ている私たちでさえ、疑ってしまうサスペンスフルな状況。1人の味方もない中、娘を探す母の姿には鬼気迫るものが。シングル・マザーという生き方を選んだジョディと、カイルの強さがシンクロして、相乗効果バッチリです。

女優として2度のアカデミー受賞を果たしただけでなく、監督やプロデューサーとしても評価の高いジョディ。3年ぶりのスクリーン復活作に、前回(「パニック・ルーム」)同様、母親役を選んだのは、きっと、2人の子供(人工授精だと話題)との生活が充実してるからだろうな、なんて思ったりして。

最初のシーンでアップになった彼女にすごく年齢を感じて、ちょっとショックを受けたけど、見ているうちにどんどんドラマに引き込まれ、あっという間にそんなことは忘れていました。そう、ジョディは昔から美醜や年齢を超えたところにいたよなあ。

いわゆるアカデミー狙いの作品ではないですが、一級のエンタテインメントになっているのは、さすが。ハラハラドキドキ、最後まで安心して(笑)、楽しんでください。

「フライトプラン」 1月28日~、丸の内ピカデリー1他、全国公開
オフィシャルサイト http://flight-p.jp
(c) TOUCHSTONE PICTURES


Movie0110_2 「スタンドアップ」の敵は、女性差別をする職場と土地。10代でシングルマザーとなったジョージー(シャーリーズ・セロン)は、後に結婚した夫の暴力に悩み、2人の子供を連れて故郷に帰る。しかし、昔ながらの町が彼女を温かく迎え入れることはなかった。子供と3人の自立した生活を目指す彼女は、男だけの職場、鉱山で働くことを決める。しかし、そこは差別と偏見が渦巻く場所だった。度重なるセクハラや嫌がらせに、ついに彼女は訴訟を決意。それは、たった1人で巨大企業に挑む、厳しい闘いの始まりだった。

実話を基にしたという物語ですが、1980年代とは思えないほど、時代錯誤な男女差別ぶりに、唖然。辞めちゃえばいいのに、と言いたくなりますが、それぞれに事情があって辞められないのがつらいところ。どんな屈辱を受けても働かなければならなかった女性たちにとって、会社に反旗を翻し、立ち上がったジョージーはただ邪魔な存在に過ぎず、協力したがらないのも十分納得できるのです。

だからこそ、立ち上がった彼女の勇気にエールを送りたくなります。自分だったら、行動できたか? たとえそれが、子供とのより良い生活を得るためだとしても、正直私には自信がありません。前作(「モンスター」)でアカデミー賞を受賞したセロンが、文字通り、泥だらけになりながら、弱く、しかし強い母をじっくりと演じます。

話は変わるけど、この2本のもう一つ共通点は、ショーン・ビーン。「ロード・オブ・ザ・リング」以降、悪役以外の役柄が増えた彼が、最近ちょっとお気に入りの私。特に、「スタンドアップ」の彼は病気の妻を支え続ける、うらやましい夫ぶりです。シブイ大人の男の色香に酔うのも、またよし。女優対決とあわせて存分に味わってくださいませ。

「スタンドアップ」1月14日~、サロンパスルーブル丸の内他、全国で公開
オフィシャルサイト http://www.standup-movie.com
(c)2005 Warner Bros. Entertainment Inc.

 
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2006-01-10 【映画】 | 固定リンク | コメント (0)

新年は、愛あふれる“数学”映画からスタート「博士の愛した数式」&「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」

Movie0103「数学」と聞いただけでウンザリするほど、学生時代に手こずった私。でも、そのイメージを180度ひっくり返し、「実はおもしろい、感動的学問かも」と思わせた(笑)のが、この2本。今週は、「数学」と人間を心から愛した人たちの物語です。

「博士の愛した数式」は、高校の数学教師(吉岡秀隆)の回想から始まる。彼のニックネーム“ルート”は、少年時代、家政婦をしていた母(深津絵里)の勤め先の博士(寺尾聰)がつけたもの。博士は、事故で記憶が80分しかもたないというハンデを抱えながらも、心から数学を愛し、人を慈しむ人だった。

“80分しかもたない記憶”という驚きの設定は、見ているうちに、それがどれほど哀しいことなのかひしひしと感じさせます。誰と何を話したのか。何を見てどう感じたのか。どれほど感動しても、どれほどつらい思いをしても、80分後にはすべてリセットされてしまう。つらいことは忘れたほうがマシ、と思う人もいるでしょう。でも、何一つ積み重ねられないということが、どれほど切ないか。博士がどんな思いでそれを受け容れたのか。それすらも80分だけの記憶なのですが、時に現れる激情が彼の思いを垣間見せます。

そんな博士に対し、明るくイヤな顔一つせず、同じ会話を楽しむように繰り返す母。母からたっぷり愛情を注がれたルート少年も、博士とのおしゃべりに物怖じしません。そんなルートを慈しむ博士の姿はただただ優しく、見ているこちらまで心が温まります。

悩みも苦労もたっぷりあるけど、誰もが優しく相手を思いやる。それは、大人のお伽話なのかもしれません。でも、見終わってこんなに優しい気持ちになれるなんて。みんな幸せになれますように。そう願う、帰り道でした。

「博士の愛した数式」 1月21日~、渋谷東急他、全国松竹・東急系で公開
オフィシャルサイト
http://www.hakase-movie.com
(c)「博士の愛した数式」製作委員会

Movie0103u_1「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」は、天才数学者でありながら、晩年は精神のバランスを失った父(アンソニー・ホプキンス)と、同じ才能に恵まれながらも、父の再起を信じ、すべてを捨ててその世話に明け暮れ、5年の時を過した娘(グウィネス・パルトロウ)の物語。その父の死後、弟子(ジェイク・ギレンホール)が書斎で発見したノートに記されたある数式の証明(プルーフ)は、世紀の発見だった。証明したのは、父と娘のどちらなのか?

“証明”、あったねえ。もう、結論はわかってるんだから、今さら証明なんてしなくたっていいじゃん!と思ったものです(笑)。そんなあなたでも大丈夫。証明そのものは、大した問題じゃないのです。亡き父との生活を思い起こし、それを追体験しながら立ち直っていく娘の物語です。

元々は舞台作品。2002年、監督ジョン・マッデンと主演グウィネスはロンドンの舞台で上演し、今回の映画化で再びタッグを組んだのです。上演時に元気だったグウィネスの父は、映画撮影前年に逝去。彼女の父への思いが役柄にシンクロし、派手ではないけれど、真に迫った演技が印象的です。

なんとなく、「数学って人間的じゃない」なんて思っていた私。この2本を見て、もっと勉強すればよかったと、ちょっと後悔。今年の抱負は、「先入観にとらわれない」にしようかな。では、今年もどうぞよろしくお願いします。

「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」1月14日~、みゆき座他、全国で公開
オフィシャルサイト
http://www.gaga.co.jp
(c)2004 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.

 
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2006-01-03 【映画】 | 固定リンク | コメント (2)

 
 
 
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