じんわり心に染みわたる『ドア・イン・ザ・フロア』
やっぱりジョン・アーヴィングはスゴい。そしてこの彼の小説、『ドア・イン・ザ・フロア』を映画化した人たちも……。観終わった後「感動した」なんて、簡単な一言で済ませちゃいけない気分になります。
これまでに映画化された『ガープの世界』『ホテル・ニューハンプシャー』『サイモン・バーチ』『サイダーハウス・ルール』に劣らず、本作も期待を裏切らない映画になっています。
ある夏。作家志望の青年エディ(ジョン・フォスター)は、有名な児童文学作家であるテッド(ジェフ・ブリッジス)の家に、助手として住まわせもらうことになります。テッドと、彼の妻マリアン(キム・ベイシンガー)、そして幼い娘(エル・ファニング)の一家は、一見、幸せそうに見えました。でも、数年前の“ある事件”から夫婦はすれ違い、半別居状態になっていたのです。助手であるはずのエディは人妻であるマリアンに魅かれていき……。
父であるテッドは娘を溺愛しながらも、人妻と浮気を繰り返す。母であるマリアンはそんな夫を黙認しつつ、夫の助手である青年エディを心身ともに受け入れていく。そんな状態を、心の底まで見透かすような眼差しで見つめる幼い少女。――と並べると、ドロ沼状態の悲壮感が漂ってきそうですが、そうではありません。映画はとても穏やかに、時にコミカルに進むのです。そして何より、ジェフ・ブリッジスとキム・ベイシンガーの、控えめでいて説得力がある演技! 歯車がかみあわなくなった夫婦のやりとりは、私たちの目を釘付けにします。
タイトルになっている『ドア・イン・ザ・フロア』は、劇中でテッドが書く児童書の題名でもあります。誰の心の中にもドアがあり、その中には恐ろしい「何か」が存在していたりします。そしてそのドアを、人は開けずにはいられなかったりするのです。ドアを開けてしまったマリアンは、壊れてしまった関係を再生し、人生を再びその手に取り戻すため、どんな選択をするのか? そしてテッドは? エディは……?
映画で描かれた物語だけでなく、その後の彼らの人生にも思いをめぐらせずにはいられない作品です。
10月22日~、恵比寿ガーデンシネマにて公開。全国順次公開予定。
オフィシャルサイト http://www.herald.co.jp/
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2005-10-03 【映画】 | 固定リンク
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