北京オリンピック前に、中国という国をもっと知りたい。北京本&香港本いろいろ。
20世紀はアメリカの世紀、21世紀は中国の世紀――という言葉があります。正式名称・中華人民共和国の悲願だった北京オリンピックももうすぐですし、文字通り、目ざましい経済発展を続ける中国を見ていると、先の言葉もあながち大げさとは思えません。
その一方で、世界中の人々が心配しているチベット問題やエイズ防止活動で有名な市民活動家・胡佳さんの自宅軟禁・逮捕など、1989年の天安門事件の悪夢を思い起こさせるような問題も多数抱えています。非常に複雑なお国柄です。
不幸な歴史により、日中間の関係も微妙ですが、しかし、これまでも、これからも中国は日本の隣国。ビジネス面だけではなく、もう少し中国という国を知って、仲良くなれたらいいのになあ、と思います。そこで、オリンピック開催まで2ヵ月を切った今、たくさん出版されている中国関連本の中から、「これは!」と思った何冊かをご紹介したいと思います。
まず、「今」の中国と「近過去」の中国をクールかつノスタルジックに案内してくれるのが、20年以上北京に通い続けているエディター&作家の森永博志さんと元近衛兵の写真家・李長鎖さんによる、タイトルもズバリな『北京』です。北京に生きる人々の本音や様々な事情、街の変容を鮮やかに伝えてくれています。マフィア(!)に要人、アーティストまで、北京に幅広い人脈を持つお2人だからこそ聞き取り可能だったエピソードが多く、セピア色の北京も原色の最新北京事情も知りたい人にうってつけ。本の作りもおしゃれなので、「北京本を1冊だけ買いたい」という方には、本書をお勧めしたいと思います。
お次は、北京の下町「胡同(フートン)」の町並みを2003年から撮り続けて来た、中村晋太郎さんの写真集『胡同物語―消えゆく北京の街角』です。胡同のルーツは1271年、フビライ・ハーンが今の北京に首都・大都を置き、元王朝が始まった頃まで遡るそう。中庭を囲み、東西南北に4家族が住む「四合院」という家屋が多い、独特の町並みで知られていますが、その胡同が再開発ラッシュのあおりを受けて、ここ数年、激減してしまいました。何百年もの歴史の中で育まれてきた町並みと庶民の暮らしが、たった数年の間に変貌していく様、特別保護された地域の変わらぬ風景、すでに消えてしまった風景などが収められています。私も訪れたことがある胡同。初めてなのに、なぜか懐かしく感じました。きっと、この写真集を見れば、胡同に行ったことがなくても、そう感じる人が多い気がします。古き良き北京の姿が焼き付けられた1冊です。
『レスリー・チャンの香港』は、1997年にイギリスから中国に返還された香港の激動の現代史と、スーパースターの人生を重ね合わせて描いた異色のノンフィクションでした。
歌手として、また映画「欲望の翼」「さらば、わが愛 覇王別姫」といった映画で、日本でも人気だったレスリーが、2003年、エイプリル・フールの日に自ら命を絶ったことは、ファンのみならず、多くの人に衝撃を与えました。香港好きだけど、特に彼のファンではなかった私もその1人。なぜ、どうして? という思いと、でも同時にちょっと理解できるような、そんな気持ちでした。ゲイであることをカミング・アウトした初の香港芸能人でしたし、香港芸能界は中国の影響を受けて、急激に変貌していました。悩みがいろいろあったに違いありません。
ちょっと話はそれますが、ピーター・チャン監督の「ラブソング」という作品がありました。1986年の香港が舞台の1996年の映画ですが、主演のレオン・ライ(←ちなみに北京出身の香港スター)が「大陸の天津から香港にやってきた田舎者」を演じ、広東語がうまく話せなくてバカにされる場面があります。昔の香港はそうだったんですね。でも、今や、北京語が町中で飛び交っています。われ先に! って感じです。たった10年で、です。私は返還前後、某香港スターと何度か話す機会があったのですが、その時、「返還後の不安」を繰り返し口にしていたことを思い出します。ところが、数年後、青山でバッタリ会った彼は元気いっぱいに声をかけてくれて、「返還後の不安」など忘れた様子でした。このたくましさ、衒(てら)いのなさが、まさに香港人だわ~と、当時思ったのですが、あっけらかんとなりきれない、レスリーのような人も、やっぱりいたはず。
レスリー・チャンの偉大さと魅力を存分に伝えつつ、香港現代史と香港芸能界史を詳細に伝えてくれる本書。様々な読み方ができる良書だと思いました。
他に、返還前後の2年間香港に住み、『転がる香港に苔は生えない』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した星野博美さんの最新作『愚か者、中国をゆく』もお勧めです。星野さんには中国を旅して書いたデビュー作『謝々! チャイニーズ』という名作もあるのですが、最新作はこのデビュー作で書いた旅の記憶を改めて掘り起こし、「大国の本質」を見据えた鋭い考察、20年前の中国と今の中国の変わらぬ部分、あるいは、20年前の中国はすでにこんなにも「昔」なのか! という驚きを感じさせる貴重な証言となっています。
と、駆け足で、巷にあふれまくる中国本の中からお勧め本をご紹介してみました。どれか1冊でも「読んでみようかな」と思っていただけたら、嬉しいです。
さて、今回でこの気ままなBOOKSブログもおしまいです。長い間お付き合いいただき、本当にありがとうございました!
『北京』(東京書籍)定価1680円
森永博志 著 李長鎖 写真
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/
『胡同物語―消えゆく北京の街角』(アーカイブス出版)定価2400円
中村晋太郎 写真
http://www.archives21.com/index.html
『レスリー・チャンの香港』(平凡社)定価2310円
松岡環 著
http://www.heibonsha.co.jp/
★星野博美さんの3作品
『愚か者、中国をゆく』(光文社新書)定価924円
http://www.kobunsha.com/
『謝々! チャイニーズ』(文春文庫)定価810円
『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)定価1040円
http://www.bunshun.co.jp/
●マガジン見どころ、読みどころ
バイラ
2008年7月号
今月の『バイラ』で私が最初にチェックしたのがこちらの特集。
「大人のレース服」40人の40プラン
です。今年は「レース」が大ブレイク中。しかも、かなり手の込んだレース付きでも、案外プチプライスなアイテムも多く、ショップで見かけると、つい欲しくなっちゃいます♪ そんなレース服――ブラウス、スカート、ワンピース、チュニックetc.を上手に着こなすためのスタイリング法がズラリの特集でした。私は「欲しい!」と思ったアイテムが8枚もありましたよ……って、ツボにはまり過ぎ!?
バイラ世代の「一生買い」時計&ジュエリー
は人気スタイリストやプレスの皆さんの“一生アイテム”の私物公開、憧れブランドの「指名買いリスト」など、ボーナス・シーズンの今こそ、真剣に読みたい大特集でした。ボーナスのない私は、以前、「一生アイテム」と清水買いした時計の革ベルトをステンレスに変えたいなあ、と思っていたところですが、ショップに問い合わせてみたら、交換すると軽く25万円くらいかかることが判明……かなり悩んでおります。『バイラ』を参考に、いっそ、もう1本、買うか!?
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2008-06-17 | 固定リンク
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