空港のカウンター越しに活躍する“あぽやん”たちを描く。『あぽやん』
今年のゴールデンウィークは飛び石だったので、比較的近場の旅行先が人気でしたね。今日は連休最後の5月6日。海外から帰国した人も多いかな? お帰りなさい、楽しい旅になりましたか? ところで、飛行機で旅先に向かった人の中には、空港で「あぽやん」のお世話になった人もいるんじゃないでしょうか。
「え? あぽやんって何?」
と思いました? 思いますよね。もちろん私も、新野剛志さんの小説『あぽやん』を読んで、初めて知った言葉です。
「あぽやん」とはいわゆる旅行・航空業界用語で、エアポートを略したAPOから派生しており、旅行会社の、空港勤務で空港業務のエキスパートとなった人を指すとか。仕事は、発券ミスやオーバーブッキングの他、様々なトラブルを解決し、自社のツアー客を笑顔で送り出すこと。空港はアクシデントが起こりがちな場所だし、急を要する問題も多いに違いありません。あぽやん、重責です。さぞや社内で大切にされているんだろうな……と思いきや、実は旅行会社社員にとって、空港は「島流し」的なイメージもなくはない、少なくとも、華やかに出世街道を駆け上がりたいと願うなら近道では決してない、ちょっぴり微妙な立ち位置の職場らしい。
新野さんは旅行会社勤務の経験がある作家さんですから、本書で描かれる繊細な社内の空気、きっとリアルなのでしょうね……。
物語は、就職氷河期に頑張って「大航ツーリスト」に就職した、29歳の遠藤慶太が「企画課」から「成田空港支所」に異動――というか、「飛ばされてきた」ところから始まります。遠藤は感情をすぐに顔に出すし、上司に自分の意見を表明するし、一所懸命なんだけど、若干、世渡り下手な性格。そんなわけで、ちょっとばかし上司に楯突いた結果、異動先がここに……。おまけに彼女に振られてしまい、腐った気分の遠藤は「あぽやんにはならない。本社に返り咲くんだ」と心に誓って、成田空港で働き始めます。しかし、腐ってばかりもいられない。なぜなら、空港は、当たり前ですが「現場の最前線」。ルーティン・ワークも時間との戦いだし、その間に緊急事態も続出、たまに、あっと驚く事件だって起こるし、まさに“戦場”。トラブルシューターとして、しっかり働かなければならないミッションがあるからです。
再入国許可のない日系ブラジル人少女を出国させるか否かという駆け引き、カウンターには現れるのだけど、なぜか出発しようとしないリピーター客の老婦人‘ひらひらさん’、パスポートを忘れた少年1人を空港に置いて、旅に出かけてしまった(!)ファミリー、いかついお客さんたちの無理難題……。さえない上司や同僚だと思っていた「先輩あぽやん」たちの「お客様が笑顔で出発できるよう」誠心誠意努力する姿を見た遠藤は、「あぽやん」の仕事の面白さとやりがいを見つけ、生来持っていた正義感も手伝って、立派な「あぽやん」に成長していくのです。
お客様に笑顔で旅立ってもらうため、奮闘し努力すること。これが遠藤にとって、喜びに変わっていく様子を描いた本書は、読後感がスッキリ爽やか。随所にユーモアが散りばめられているので笑えるし、空港業務の裏側を知る「ギョーカイ物」としての面白さもあり。かなりお勧めの作品です!
毎年、ゴールデンウィークは仕事があって休めない私は、来週、海外に行く予定。早速、成田空港で「あぽやん」の皆さんに注目してきます。
『あぽやん』(文藝春秋)定価1890円
新野剛志 著
お勧め度 ★★★★★
『あぽやん』を発行している文藝春秋のサイトはこちら。
http://www.bunshun.co.jp/
●マガジン見どころ、読みどころ
モア
2008年6月号
ジューン・ブライドのシーズンが近づいてまいりました。結婚する人は、そりゃもうバタバタしていると思いますが、お招ばれするほうも「自分史上最高キレイ」を目指したいイベントです。そこで、『モア』6月号の堂々37ページの大特集
ザ・結婚の真実と別冊付録 結婚式のお招ばれスタイル完璧バイブル‘08
をご覧あれ! 「今どき結婚のその後」の真実をアンケートやルポで誌上体験し、別冊付録では、お招ばれスタイルの選び方、結婚式会場別のマナーなど、様々な角度からアプローチしていました。モア読者にぴったりの「カルティエ」のブライダルリングの紹介もあり! こちらのページでも「レッドボックス」を開けた瞬間から始まる、幸せいっぱいのコレクションを見られます。
また、今月はキュートな特別付録が1冊に1個、必ず付いています。
MORE×ORBIS 大人のためのドット柄シュシュ
ネイビーにドット柄。ナチュラルなスタイルにも、ちょっとおしゃれした時も、しっくり馴染む絶妙なシュシュです。きっと、重宝すると思いますよ。私も、まさに今、結っている髪に巻いています(左上の写真の頃より、ワタクシ、髪がだいぶ伸びております)! モア世代よりかなり歳上の私ですが、「大人のための」柄なので違和感なしでした(たぶん)。
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2008-05-06 | 固定リンク
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